登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

パタゴニア

赤岳鉱泉 アイスクライミング入門とはじめての小屋泊

2017年2月11日(土)~12日(日)

赤岳鉱泉 アイスキャンディ

 

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前回の山行から約一ヶ月。

chi-sk8.hatenablog.com

 

国家試験の受験のため、山に行けず、嫌いな勉強の毎日でした。

無事に試験を終えたら世間は厳冬期です。

身体もすっかり鈍ってしまいました。

 

さて、赤岳鉱泉は11月にテン泊して以来です。

chi-sk8.hatenablog.com

 

今回は予約してずっと楽しみにしていたアイスクライミングにチャレンジします。

 

 

 

2月11日(土)

7:30八ヶ岳山荘駐車場に到着しました。

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今日はどこの山も天気が悪い為か、この八ヶ岳に登山者が集中しているようです。

 

支度をしたら、赤岳鉱泉、いざゆかん!

 

赤岳鉱泉までのアプローチ

 

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ここから美濃戸山荘まで、無雪期は車で入れるのですが、積雪期は無理なようです。

四駆でもチェーンが必要で、慣れていないと危ないそうです。

 

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最初は平坦な道をてくてく。

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真っ白な森の中。

昨日、一昨日に降った雪が、澱粉のようにさらさらしています。

雪崩は大丈夫かな?

一歩一歩踏むたびに、「キュッ、キュッ」と心地よい音が森に響きます。

 

アイゼンは必要ありませんでした。

約40分で美濃戸山荘。

 

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さらに北沢ルートに進みます。

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ここからはつづら折りの道に、所々ショートカットしたようなトレースが数箇所ありました。

下山のときに通ってみたのですが、ショートカットできたところもありましたが、逆に遠回りの獣道のようなところもありました(汗)

急がば回れというやつですね(笑)

 

約40分で堰堤広場に到着しました。

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ここのちょっと手前に物置小屋のようなところがあり、風が防げるので、休憩するならそこの方が良いと思いました。

 

ここからはいよいよ登山道らしくなってきます。

 

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樹々も岩もみんな雪の帽子を被っています。

登るペースを上げ過ぎたため、汗が凍ってきました。

ハードシェルのジッパーを開けると湯気が!(笑)

冬の部活動の朝練を思い出します。

 

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急に視界が開けたら、アイスキャンディーがお出迎えです!

 

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どーん!

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 赤岳鉱泉

11:00赤岳鉱泉到着。

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テントも10張り以上ありました。

羨ましい。

 

私は、アイスクライミングを体験するため、はじめての小屋泊です。

 

入口に注意書がありました。

 

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文三郎尾根で雪崩があったようです。

硫黄岳の手前、赤岩の頭でも雪崩とホワイトアウトだったようです。

この二日間の降雪と、サラサラの雪質の影響でしょうか?

事故が無いといいなぁ。

 

受付を済ませ、部屋に案内してもらいます。

 

部屋 

部屋はこんな感じ。

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ドラえもんのベッド(押入れ)もあります(ワラ)

こっちの方が快適そうですね。

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ちゃんと一人一枚の布団が確保されています。

 

ヒーターまであります。

文明開化!

暖かい。

テン泊しかしたことがなかったので衝撃的な快適さでした。

でも同室の人がどんな人なのか?

頭はどっちに向けるのか?

いろいろ考えてしまいドキドキします。

 

あっ!耳栓を忘れました。

 

 

夕食は17:00から。

今日は3回転させるようです。

 

硫黄岳まで行こうと考えていましたが、コンディションが悪いのであきらめます。

 

夕食まで時間が長い。

食堂でコーヒタイムです。

みんな思い思いにくつろいでいます。

持ってきていたおやつの90%を消費してしまいました(ワラ)

 

ロープワークの練習

山荘内を探検してみます。

すると、食堂脇にロープワークを練習できるコーナーを発見!

 

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マムートの高級ザイルがずらり。

上の段がお手本。

下の段が練習用です。

 左から、

エイトノット・・・覚えていました。

ブーリンとエバンスの合体?・・・難しい~。

バタフライノット・・・これは得意!秒殺だぜ~。

ダブルフィッシャーマン・・・片方はできるのですが、反対側が混乱してしまいます。

止め結び・・・日常生活で一番使うやつですね。

 

ブーリン+エバンス(で合ってるのかな?)が難しかったです。

こうしてみると、自分の苦手な結び方が良くわかります。

 

何度も何度も練習していたら、他のお客さんが教えてくれました。

実際に目で見るとわかりやすいですね。

登山の技術は本やYouTubeで見るより、実際に教えてもらった方が早く覚えられるし、

間違いもないし、応用するシチュエーションなんかも教えてもらえます。

こういったことがガイドさんを頼む一番の良いところなんでしょうね。

まさにプライスレスですね。

 

そうこうしていると夕食の時間です。

 

夕食

前回来たときはステーキでしたが、今回は豚しゃぶと焼き魚。

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ボリュームも品数も豪華です。

それにご飯がとても美味しいです。もちろんおかわり可です!

 

大人気の小屋だから、語弊がありますが、テキトーに営業していてもお客さんは来るのでしょうが、

スタッフさんはみんな親切ですし、室内もキレイ。

いろいろなディスプレイもカッコよく、グッズもおしゃれ。

赤岳鉱泉、来て良かったです♪

 

明日のアイスクライミングに備えてたくさん食べておきました(NG)

 

食後は談話室へ。

宴会が始まっています。

みんな山の話で盛り上がります。

知らない人同士でもすぐに仲良くなっています。

こういったところも小屋泊の楽しいところなんでしょうね。

 

関西方面から来たクライマー3人組が話かけてくれました。

アイスクライミングの話をいろいろお聞きできて、とても参考になりました。

背筋が悟空(ドラゴンボール)みたいに発達しているお兄さん。

平山ユージ似のお兄さん。

小柄なのに気合の入ったお姉さん。

とても息の合ったチームに見えました。

こんな人達といろいろな山に登れたら素敵だろうなと思いました。

 

 歯磨きのついでに外の気温を見ると

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マイナス12℃。

 

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21:00消灯とともに部屋へ。

みんな寝静まっています。

というかイビキが・・・(汗)

ヘッデンの灯りを一番暗くして自分の布団へ。

何故か頭の向きがバラバラです。

頭同士をくっつけるのも変だし、人様の頭に足を向けるのも申し訳ない・・・。

結局壁際に丸まって寝ることにしました。

パタゴニアのキャプリーンの上下に登山ズボン、パタゴニアR1プルオーバー、

ウールの極厚ソックスで寝ましたが、寒さは全くなく、むしろ暑いくらいでした。

なぜかこの布団がとても暖かい。

あ、でも個人差がありますし、上下ダウンにゾウ足のお客さんもいました。

ちなみにヒーターも9時で消えます。

 

今日はほとんど疲れていない為か、なかなか寝付けません。

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 はぁ~、明日のアイスクライミングは大丈夫かなぁ。登れるかなぁ。

 

 

2017年2月12日(日)

5:30

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スーパーのレジ袋のシャラシャラした音で起床。

部屋の他のお客さんたちは赤岳を目指すようで、もう支度しています。

 

外の気温はマイナス13℃

テン泊だったらシュラフから出るのに気合が必要ですね。

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朝食

 納豆に焼き魚。

私の大好きな鯖の塩焼きでした。

お腹がぺこぺこで写真を撮り忘れてしまいました(汗)

またまたおかわり。

 

いささかウェイトアップしましたが、大丈夫かな?

ザイルが切れたり、カラビナが破断しないかな?

ビレイヤーの手のひらがズル剥けになったり、

あるいはアイスキャンディが崩壊・・・もういいか(懺)

 

部屋に戻り支度します。

ハーネスを付けると急に緊張感が湧いてきます。

 

体力は自信がありますが、私の弱点は恐怖心なのです。

 

 

アイスクライミング体験

 

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8:30に昨日のロープワークのコーナに集合します。

全員で10名。

女性は私の他にもう一人いました。

 

荷物はひとまとめにして乾燥室にデポします。

 

緊張でそわそわしていると、先生が登場。

赤岳鉱泉四代目の柳沢さんと、長谷川さん。

こんなイケメン&ダンディな先生に教えていただけるなんて♪

不安が少し無くなりました。

 

ヘルメットに名前を貼ったら、アイゼンをお借りして外へ。

私がお借りしたのは、CASSINのブレードランナーのセミワンタッチのものです。

 

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シャキーン!

前爪が一本になっています。

私の靴(モンベル アルパインクルーザー2800)とも相性が良さそうです。

それに下から見上げたら裏がオレンジ色でかっこいいはずだ♪

 

でもサイズ合わせがうまく出来ず、二人がかりで着けてもらいました(情)

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お待たせしたみなさまに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 

さて、いよいよアイスキャンディへ。

陽に照らされたブルーアイスが、まるで内部から光を放っているようです。

 

上に人がいるときは真下に寄らないように注意です。

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体験は3コースあります。

左のオレンジのロープのところ。

真ん中の青いロープのところ。

この二つはなんとかできそうかな?

 

右の垂直のところは怖そうですが、ホールドがあるので逆に安心かも。

 

ちなみにアイスキャンディは毎年違う形に作っているそうです。

 

まずは説明から。

 注意事項

・壁に向かうときは、氷のかけらで転倒しないように。

・「ラク」の合図があったら頭上に注意する。

・アックスをロープに打たないこと。

・シェルのジッパーは全て閉めること。

・サングラスは必須。

・待機中は寒いので、ダウンジャケットがあると快適。

 

私はもちろんハクキンカイロを懐に。

chi-sk8.hatenablog.com

 

個人的には山専ボトルに飲み物でも持ってくればよかった。

 

 

アックスの振り方

アックスはシャフトの一番下のひっかかる部分に小指をぴっちり当てて握ります。

軽く握り、打ち込む瞬間に強く握ります。

肘を中心に振り、刺さる手前で手首のスナップを効かせます。

アイスアックスはブレードの先端が斜め下に向いているので、手首のスナップで刺さりやすくなるそうです。

また、刺すだけではなく、場所によっては引っ掛ける使い方もするそうです。

アックスを抜くときは、上下にキコキコ動かします。左右に動かすとブレードが曲がってしまうのでやめましょう。

それでも抜きにくいときは、カラビナホールのあたりを掴んで引っ張ります。

 

ロープの装着

安全環付きカラビナをダブルでビレイループにかけます。

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あ、先生が全部着けてくれますので安心です。

 

カラビナはビレイループの縫い目の3重になっているところにかけます。

少しでも頑丈なところにかけるそうです。

こういったポイントの説明やアドバイスや豆知識をその都度教えていただけるので、

とても勉強になります。

 

登る前に全体重をかけて、安全のチェックをします。

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チェックが終わったらいよいよ登攀開始です。

 

今回使用したアックス

・ブラックダイヤモンドのバイパーアッズとバイパーハンマー。

 これは一般的におすすめされているモデルで使い易いそうです。

 持ってみると、頭が重たくて、軽く振っただけでビュンと動きます。

 私には重かったです。

 

 

・トランゴのラプター

 こちらはグリップが細いので女性にも使いやすいそうです。

 私はこっちの方が軽くて使いやすかったです。

 

アイスクライミングの登り方

まずは真ん中のルートをやってみました。

ビレイヤーの合図で壁に寄ります。

開始の合図で始めます。

本当は「クライムオン」「クライミング」とか言うのかな?

恥ずかしいので、心の中で「I'm climbing!」と言ったら、

アイスキャンディ、いざゆかん!

 

基本的には右手→左手→右足→左足。逆でも良いそうです。

アックス同士は体の中心に寄せて、両足は同じ高さで肩幅にします。

この三角形が安定するそうです。

 

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早速アックスを・・・。

振るとブレードがぶれて、狙ったところに刺さるには慣れが必要です。

氷の窪んでいるところが刺さりやすかったです。

氷柱のところや、ナメタケのようなポコポコしているところは、刺すと砕けやすかったです。

バラバラと氷が降って顔や身体にあたります。

なるほど。サングラスやジッパーを閉める意味がわかりました。

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腕は伸ばしたほうがパンプしにくいそうです。

アックスが腕の代わりなのではなく、アックスはホールドの代わりなんですね。

 

足は、前爪を少ししゃくるように蹴り込みます。

これも爪の角度が下を向いているからだそうです。

最初は自分の足が信用できなかったのですが、少し刺さっているだけでも安定します。

足も蹴り込みやすい場所を見ながら。

足はあまり一段を上げすぎると抜けやすいそうです。

 

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なんとか登りきりました。

 

アイスクライミングのロアーダウン

終了点までいったら、

「テンションお願いしまーす!」と言い、

「テンションいっぱい」の合図で降下します。

ビレイヤーを信じて、アックスを下にぶら下げて、体重をハーネスにかけます。

これが最初は怖いですが、一回やってしまえば平気でした。

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足の裏を壁に着けて膝をのばして歩くように降りていきます。

下を確認しながら慎重に・・・といっても完全にビレイヤー任せなのですが(汗)

 

途中で「50!」(半分来たよの意)とか「300」(あと3メートルの意)とか「150」とか距離を教えてくれます。

また、「右下に登攀者がいまーす」とか「傾斜が変わります」とか教えてくださるので、安心です。

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下まで降りて、壁から離れて、カラビナを外してやっと登攀終了となります。

 

楽しい!!

なんだこの楽しさは!?

 

それから先生のビレイの動きが超かっこいい!!

私もビレイ覚えたいなぁ。

 

上手く見えるコツ

・アックスは左右を狭く、手首のスナップで。

・足は一段を上げすぎず、少しづつ。

 

 

次はいよいよ垂直のルートに挑戦します。

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アックスを引っ掛けやすい所がたくさんあるので登りやすいです。

足もスタンスになる窪みがあります。

 

それでも途中から手足の短さを思い知ることになりました。

遺伝元の母方を恨みます(ワラ)

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ビレイヤーから「右足の膝のところにスタンスがあるよ~」とか、

「次は左上の窪みに引っ掛けて」と教えていただけたので、わかりやすかったです。

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あと1メートルというところで腕がパンプしてしまいました。

「ひ~」

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壁にしがみついて、「もう降りま~す」(泣)と言ったら、

テンションをかけてくれて「好きなだけ休んでいいから、最後まで頑張る?」と。

 

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だる~ん。

 

「いや、やめま・・・」と言おうとしたら他の参加者から「ガンバ!」の声援が!

逃げられない状況(汗)

こりゃもう行くっきゃない!となんとか終了点まで行けました。

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やったぁ~!!!

 

途中身体が軽くなったので、内緒でテンションかけてくださったのだと思いますが、とても嬉しかったです。

 

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まとめ

本当に楽しかったです。こんなに楽しく登れるとは思いませんでした。

反省点は、

・途中、腕を伸ばして休めば良かった。

・届かないところは腰をひねれば届いたかもしれない。

・必死なとき「ラク」が言えなかった。

・減量が必要。

・もっと足を信じること。

などなどたくさんありますが、またやりたい!と思いました。

 

柳沢さんの「修行ではなく、遊びだからこそ楽しく、そして安全に」という言葉、

長谷川さんからは「事故を防ぐ意味の練習場所としてアイスキャンディができた背景がある。事故を防ぐ意味では、やはり山に精通したガイドさんに教えてもらうのが一番良い。」

 

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お二方の言葉が印象に残っています。

優しく丁寧に、そして楽しく教えていただいてありがとうございました。

次はガイドさんに教えてもらって、もっと安全に登れるようになりたいな♪

八ヶ岳は凄いガイドさんがたくさんいるそうです。

yatsugatake.main.jp

 

 

下山

さあ、行程はまだ半分。

名残惜しいですが下山です。

下山もアイゼンは必要ありませんでした。

でも「楽勝!」と、言ってるそばから地味にコケる(ワラ)

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2時間程で無事に駐車場に到着しました。

 

赤岳鉱泉 アイスキャンディ、また来るよ~♪

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