唐松岳 ゴールデンウィーク 登山 二日目
4/29、昨日は八方尾根スキー場から、ここ唐松岳頂上山荘までアプローチしてきました。
唐松岳頂上山荘までのアプローチ
寒い寒い夜は-7℃。
雪の上の幕営は下から冷気が上がってきて、体中が冷やされて、まるで背中やお尻から冷風が吹き出しているんじゃないかと思うほどでした。
深夜2:00頃から寒さでウトウトしながら朝を待ちました。
2月にビバークしたことを思い出しながら、太陽の有り難さを再確認。
4時頃には、ご来光目当てのお客さんだろうか、シャリシャリに凍った雪の上を歩く音がします。
遠慮がちにジッパーを開け閉めする音、冷たい冷気に咳き込む音、ジェットボイルのガスの音、一日の始まりを音で感じます。
シュラフから出るのも勇気が必要です。
いつもモジモジしている私とは違って、パートナーは意味不明の言葉を発し、シュラフから飛び出しました(w)
浮腫んでジャムおじさんの失敗作品集に加えられそうな出来栄えの顔。
何パンなんだろうか?(w)
それでもお湯を沸かしてくれるので、顔については言及しないでおきます。
カメラを片手にモルゲンロート目当てで徘徊してみます。
残念ながら赤くはなりませんでしたが、今日も快晴で絶景です。
冷たい風が鼻と頬をキンキンに冷やし、手先が痺れてきます。
それでも朝日の中だと気持ち良い。
隣のテントのお姉さんと「今日も天気が良いですね」と声を掛け合います。
本当に最高の天気だな。雲一つ無い。
唐松岳アタック
朝食を終えると、今日下山するだろう人たちはテントを撤収しています。
小屋泊のお客さんもちらほらアタックしていきます。
私はもう一泊する予定ですので、昨夜泊のお客さんが下山し、今日日帰りの人が来る隙に貸切状態を狙って登ります。
テン場から見上げると、山頂に向かってほぼ一直線の登山ルートが見えますので、混み具合が丸見えです。
その間に、皆が撤収した雪の無いところにテントを引越ししたり、お菓子を食べながらタイミングを待ちます。
頃合を見て、9:00アタック開始です。
持ち物
共通の持ち物は雨蓋を取り外してスリングで背負います。
缶コーヒーやバナナはともかく、無駄なものまで持ちたがるパートナーが担当します。
中身は、共通装備。
救急セット、GPS、補助ロープ、スリング、カラビナ、飲み物、行動食などなど。
私はアイゼンケースにスリングを通し斜めがけに背負います。
中身は無線、飲み物、などなど。
ブラックダイヤモンドのケースはいろいろな使い方ができて便利ですね。
パートナーはピッケル。
私は、雪面の状況と登山ルートの傾斜やトラバース道の幅から判断してトレッキングポールにしました。
山頂アタックのポイント
ヘルメットを被ったら、
唐松岳、いざゆかん!
まずは岩と砂利の道を登ります。
傾斜もゆるく、歩きやすいですが、さすがに標高が高いので息が上がります。傾斜がゆるいと余計にハイペースになってしまいます。
少し進むと右手に白馬岳が見えてきます。
雪渓の手前でアイゼンを装着します。
アイゼンは前爪のあるもの。
雪の箇所はトレースがあっても慎重に行きます。
夏にも一度登っていますので、この右側は切れ落ちているはずです。
これ以上右に行かないように。
逆に左過ぎても踏み抜きに注意しなければ。
少しの砂利道を過ぎ、
また雪です。この上を進みます。
よっこらせっ!
ここは狭いトラバースです。
しっかりトレースがありますが、要注意です。
一歩一歩慎重に行きます。
ここまで来れば一安心。
やった~!
登頂!
こんなに天気の良い日に登れるなんて最高だな。
剱、立山
大きな鳥が翼を広げたようです。
白馬
遠く遠くへ続く、雪が被った縦走路を辿って見ているだけでワクワクしてきます。
五竜
ダイナミックな山容
風も穏やかで暖かい。
ゆっくり景色を眺め、雪だるまを作ったり、のんびり過ごします。
ここでお昼御飯にすればよかったなぁとちょっと後悔します。
せめてストーブを持ってくればコーヒーが飲めたのに。
本当に貸切状態になるとは・・・。
夏に登ったときは山頂は混雑していて、写真を撮ったらすぐに空いているスペースに避けなければならないほどでした。
さて、ぼちぼち日帰りのお客さん達の姿が山荘の向こうに見えてきました。
先ほどの狭い急傾斜のトラバースですれ違うのは怖いし、雪面が緩んでくる前にテン場に戻ります。
やはりこのトラバースが核心ですね。
かなり緊張します。
景色に見とれて油断しないよう慎重に。
ただいま~。
テン場に戻ってきました。
このテン場でも今日も立山連峰が眺め放題です。
シュラフを干したり、コーヒーを淹れたり。
小屋の周りをお散歩したり。
イワヒバリ。
夕食
今日の夕食はボイルのみで作れる「簡単ロコモコ丼」です。
メスティンで御飯を炊いたら、
昨日から雪に埋めて保存しておいたレトルトのハンバーグと卵をボイルします。
温まったら御飯に乗せて、カットバターをトッピングしたら完成です!
山でハンバーグが食べられるなんて、なかなか贅沢ですね♪
残雪期テント泊の寒さ
太陽は丁度唐松岳山頂に沈みます。
天空が透明な青い絵の具色に染まるブルーモーメント。
夕闇が訪れると、雪面は薄ら青白く光を放ち、急に冷たい風が吹いてきます。
東京では夕方には街の照明が輝き出し、一日の終わりを振り返る時間もありません。
こんなに綺麗な光のスペクトルが空を包んでいるなんて、山に登らなければ気づかなかったことですね。
食事を終え、歯磨きをしたら明日の下山に備えて眠ります。
昨日と違って、今日は土の上の幕営です。
雪上と寒さはどのくらい違うのか。
装備も同じく、アルミ蒸着のグランドシート、
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使い古して薄くなった銀マット、
3シーズン用のシュラフ、
パタゴニアのナノパフ、
ナンガのダウンパンツ、
寝始めは良かったのですが、深夜になると、床からの冷気はないものの、寒さはあまり変わらず。
外気温は-7℃~-8℃程。
テントの後ろの方から、時折「ゲケケケケ~」と雷鳥の鳴き声が聞こえます。
雷鳥も寒いのかなぁ?
遠くからハイマツを撫でた風が一塊りとなって、ゴーっとやってくるのが分かります。
寒い。
昨夜に引き続き朝日を待ちながら過ごす夜となりました。
三日目につづく
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