9月17日
木曽駒ヶ岳 秋
寒さは?雨のテント泊はどう過ごすの?
参考になれば幸いです。
前回の木曽駒ヶ岳から約3週間。
目標を剱岳に定め準備を重ねてきました(大袈裟)
毎日天気予報を確認していると、ん?
んんっ!?
日曜日は雨!(泣)
これではちょうどピークアタックの日が雨になってしまいます。
剱の岩場はさすがに雨では自殺行為ですね。
決算期の激務をこなしながらこの日の為だけに頑張ってきたのに!
一方、パートナーだってアンチ労基!地獄の21連勤&前日は泊まりの出張!
土曜日だけなら晴れているので、日帰りで坊抱にクライミングでも?と思いましたが、メンバーと都合が合わず、せっかくの三連休だし、テン泊したいなぁ。
しかし立山まで車で五時間半で剱沢まで登って敗退というのも、なんだかもったいない気がします。
う~ん。
そうだ、木曽駒に行こう!
木曽駒ヶ岳ならテン場までのアプローチも短いし、乗越から宝剣にアタックして、極楽平まで降りてまた戻ってくれば、劔岳の良い練習になるし、何よりも雨だろうが厳冬期のツェルト泊だろうが、なんでもOKの大好きな山なのです。
というわけで、またまた深夜の高速を飛ばして(法廷速度)駒ヶ根へ!
駒ヶ岳ロープウェー
始発
前回から3週間しか経っていないのに、五時の始発バスの時間でもまだ暗いです。
私は寒さに強いのでTシャツ一枚で平均でしたが、回りの人は薄手のシェルを着ていました。
いつも親切にしていただいている、宝剣山荘の憧れのお姉さんに教えてもらった年間フリーパスを申込むことにしました。
実は私、毎月木曽駒に来ている程の木曽駒フリークなのです。
駒ヶ岳ロープウェイ年間パスポート
このフリーパスは、
年間12000円でバスとロープウェイが乗り放題です。
菅の台バスセンターの駐車券も8枚ついていて、ホテル千畳敷のコーヒーも一日一杯サービスなのです!
駒ヶ岳ロープウェイ|年間パスポート会員お申し込みフォーム利用規約
しらび平のロープウェイ窓口でフリーパスの申込みをすると、なんと写真を撮るとのこと!?
白い壁をバックに、帽子もザックも背負ったままいきなり撮影です。
くそー!こんな日にノーメイクだなんて~⤵
きっと寝不足&ノーメイクで、おやきみたいな顔になっているはずです(悔)
そんなこんなで駒ヶ岳ロープウェイに乗車。
車内からちょうど日の出が見れました♪
冬もこの時間から登れると余裕を持てるのですが。。。
千畳敷に到着すると、なんか空気が違います。
ちょっぴり冷たい初秋の風が頬に快い。
しまった!
お気に入りの快適装備、ソフトシェルを忘れてきてしまいました。
こんな季節にこそ最適だったのにぃ~(悔)
はぁ~来て良かった。
木曽駒ヶ岳、いざゆかん!
木曽駒ヶ岳 ルート
季節の色彩を目に焼き付けます。
千畳敷から乗越浄土
まずは秋の匂いを嗅ぎながら、八丁坂をガンガン登ります。
色付きかかった草木のそよぎをひんやり耳に聞きながら。
登山道の整備が進んでいました。
メッシュが新しくなっています。
ありがたいですね。
30分で乗越浄土到着です。
Tシャツ一枚で少し汗ばむ程度ですが、停まっていると寒くなります。
うろこ曇が「もう秋ですよ~」と植物たちに教えているようです。
宝剣岳も伊那前岳も色付きはじめています。
イワヒバリたちも、春までの束の間の、季節と季節の糸を断ち切らないよう鳴いて飛び回ります。
何もかもがすきとおってしまいそうな静かな空気を胸一杯に吸い込んだら、出発です。
乗越浄土から頂上山荘
草木はともかく、足元の岩まで秋は違って見えます。
小石を踏む音までも高い空に響きます。
春夏秋冬それぞれ季節の変わり目がありますが、秋は一番変化が大きいように感じます。
ルンルンしながらあっという間に中岳です。
女の子二人組に頼まれて、写真を撮ってあげます。
私のザックにぶら下がったスリングを見て、「何に使うんですか?」と興味があるようでしたので、
簡易ハーネスにしたり、セルフビレイに使ったり、ズボンのベルトが切れたときや、皆で持ち寄れば怪我人を運ぶ担架にもなるんですよ、と、あまり偉そうにならないように、通販番組風に説明してあげました。
頂上山荘を見下ろすと、テン場はガラガラです。
スタスタと降りていきます。
ここの下りは好きなところです。
木曽駒ヶ岳 テント場
「ただいま」と到着です。
登ってくる最中も、みんな日帰り装備で、もしや明日は相当悪天候なのかな?とちょっと心配になり、誰か来ないかな~、待っていましたが、寒くなってきたので受付をします。
いつものメガネのお兄さんがいません。
マナーの控えめな人にはしっかり注意してくれたり、かなり忙しそうでもいつも親切にしてくれます。
そういったところも木曽駒ヶ岳の素敵なところですね。
寒くて震えが出てきましたが、逆にテンションが上がります。
シェル(モンベルのストームクルーザー)を羽織り、
「おりゃ~」とか「ほいっ、ほいっ」と叫びながらテント設営完了です。
まだ8時。
テントから外を眺めると、冷たく澄んだ風が外張りを撫でていきます。
ここは空が近い。
斜めに流れる雲の切れ間から太陽が覗くと鏡の破片でも振り撒いたような陽光が眩しくテン場に溢れます。
夏の名残を引き摺った暑さをひんやりした風がさらって行きます。
景色をぼんやり眺めているだけで「やっぱいいな」と声が漏れます。
オレンジのフライ越しに、この季節特有の内省的な温かみを肩に浴びていたら、ここ最近の疲れとハードワークの緊張から解放されたのか、眠気が。
足元にシュラフをかけると、ウトウトしてきました。
山は、ピークハントが目的の人もいれば、写真や、山ごはん、みんな色々な目的があって登ってきます。
私が山に登る目的は何かな?
パートナーはよく「ヤマがきれた」と、喫煙者が「ヤニがきれた」と言うよなことを言います。
私も一週間山に登らないともう限界になります。
何か山の仕事でもできたらなぁ、と、いつも思っています。
嫌な会議に出なきゃいけないときも、いつも山のことを考えて上の空(笑)
雪山で滑落したり、ビバークしたり、沢の水にあたったりしても、どんどん好きになっていきます。
そんなことを考えていたらぐっすり寝てしまったようです。
しまった!宝剣にいかなければ!
と、テントを開けると、
真っ白です。
時折パラパラと雨も混じっています。
もっと雨が強くなったら危ないな、と潔く諦めます。
テントも増えています。
寒さも、もう冬が来たと感じる程です。
旅寝して 我が句を知れや 秋の風(芭蕉 野ざらし紀行)
なるほど、芭蕉センパイ、気持ちがわかりました。
お花摘みに小屋まで行き、コーラを買って、水を汲みました。
それから思い直して、チーズ鱈を買いました。
テントに戻り、昨夜木曽駒行きを決めて急いでザックに放り込んだパーコレーターでコーヒータイムにします。
歩行距離も短いので、こうやってどんどん装備が重くなってしまうんですね。
でもパーコレーター特有の酸味が出たザリザリしたコーヒーは山ならではの楽しみのひとつです。
雨のテント泊
雨のテント泊を楽しむコツ その1
折り畳み傘
やはりテント~トイレ移動や、ちょっとしたお散歩にも傘があるだけですごく快適になります。
モンベルの折り畳み傘なら、軽いし風にも強いのでおすすめです。
※あまりにも風が強い場合は使用できません。
雨のテント泊のコツ その2
ブーツはビニール袋に入れてテント内へ。
テントの前室に置いておくと、万が一前室のフライが風でめくられたらおしまいです。
夕食までする事がないので、山の話や、音楽の話で盛り上がります。
夕食は無印良品のロコモコです。
テント内のストーブの使用は換気と火事に要注意ですね。
卵を忘れてしまったので見栄えは悪いですが、美味しいのでおすすめです。
無印良品の湯煎シリーズは今のところハズレ無しですね。
だんだん風と雨が強くなってきました。
今日は風でかき消されるのか、回りのテントもとても静かです。
風の音、フライを叩く雨の音で自然を感じ、小屋の発電機の音に人の温かみを思います。
秋のテント泊 服装
歯みがきをしてシュラフに潜ります。
シュラフはおなじみモンベルのバロウバッグ♯3です。
Tシャツにパタゴニアのナノパフで、足元がちょっと寒いかな?といった感じでした。
フリースのズボンでもあったら調度良かったかもしれません。
ナノパフは春・夏から初冬まで通年活躍してくれて、化繊綿なので濡れても保温しますし、胸ポケットを裏返してコンパクトに収納できるので大活躍しています。
もう少し寒くなったらダウンパンツの出番ですね。
目を覚ますと、12時。
もの凄い雨の音。
数十人の兵隊がテントの回りを走り回っているようです。
風も強く、四方の壁とフレームが歪み、結露が顔に降ってきます。
兵隊は走るのをやめ、今度は布団叩きでテントをパンパン叩きます。
テントの床は浮き上がり、誰かが下に潜ったようです。
パートナーはテントの隅を押さえながら、何かわけのわからないことを叫んでいます。
遠くに雷が落ちたようで、テントの外が光りました。
これではテントがどうにかなってしまうと思い、カッパを着て外に出てみました。
すると布団叩きを持った兵隊達の姿はありませんでした。
外は意外と明るく、ガスと雨が真横にビュンビュン流れるのが見えます。
テントの中だと大袈裟に聞こえるようです。
でもガイラインを結んだ10キロはあろう石が動いていました。
しっかり固定し直して、再び眠りにつきます。
9月18日
秋の木曽駒ヶ岳 テント泊 二日目
青灰色のおぼめく朝の光を感じ、目を覚まします。
時計を見ると4時。
テントは相変わらず雨粒の強く叩きつける音と、バコンバコンと風で歪み、天井に吊るしたランプはぐるぐる回っています。
一晩過ごすと馴れたものです。
通気孔から外を覗くと、乳白色の世界の中、撤収中のテントがいます。
床に溜まった結露を拭きながらコーヒーを入れます。
ほろ苦い香りに包まれる、いつもの山の朝。
今日は下山するだけ。
心の中では、風が弱くなるよう祈る一方で、もう一泊したい誘惑が顔を出します。
朝食はサタケのマジックパスタです。
テント泊のテーブルマナーはかなりカジュアルで、マナー教室では良い点数は貰えないだろうけど、パートナーを見ていてとても美味しそうに見えるから不思議です。
名残惜しいですが撤収です。
風でテントが飛ばされないように、パッキングしたザックをテント内に置いたまま、先にポールを抜きます。
それでもテント本体とグランドシートを畳むときは要注意ですね。
泥水が跳ねて、体中が水玉模様になります。
これだけでも楽しくてテンションが上がります。
小屋に挨拶をしてテン場を後にします。
ハードシェルの下はナノパフとTシャツです。
中岳に向かう登りはかなり風が強く、真横から吹いてくるので、風上に体を向けながら腰をかがめて登ります。
それでも転びそうになりますので、時々耐風姿勢をとりながら、風の息の合間で前進します。
雨が袖口から流れ込んで肘に溜まります。
グローブを装着すれば良かったかな。
なんとか転ばず天狗山荘。
そして宝剣山荘。
木曽駒ヶ岳 宝剣山荘
ここで恒例のコーヒーをいただくことにしました。
受付横の天気インフォメーションを見ると、なんと今日は「暴風」!
あ、いつも頂上山荘にいるメガネのお兄さんがいました。
格闘家風の支配人さんも。
小屋の存在や、スタッフの人たちの存在は、とても安心感があります。登山者が安全、快適に過ごせるのも、小屋の皆さんのおかげです。本当に感謝です。
コーヒーを注文し、受け取りにカウンターにいくと、いつものお姉さんがいました。
前回、年間フリーパスの存在を教えて頂いたお礼を伝えます。
それから、ノリで作ったクライミングクラブのステッカーをプレゼントしました。
“chill pine climbing club”
Chill out とAlpine
を合わせた造語で、「山に登って素敵な時間を過ごす」とか「山でくつろぐ」というような意味です。
ステッカーが好評だったので、Tシャツもあります♪
宝剣山荘を後に、下山します。
また来ま~す!
乗越から千畳敷は風もそれほど強くありませんでした。
でも登山道は雨が流れ込んで沢になっています。
深いところでは足首まであるので、トレランシューズやアプローチシューズでは無理だと思います。
ゴアテックスの登山靴が必要ですね。
登山道脇はもっと本格的な沢に。
風雨に耐えるオットセイ岩。
イケメンに見えます。
雨に煙る千畳敷に赤く色づいた植物が浮かびます。
前回来たときもそうでしたが、新しい丸太で登山道がさらに整備されていました。
ありがたいですね。
雨水を集めて流すためでしょうか、水路のようになっています。
この橋はこの水路を渡る為だったんですね。
千畳敷に到着です。
どんな季節でも、どんな天気でも木曽駒ケ岳は最高です。
おいでなんしょ、木曽駒ヶ岳♪