北穂高岳にアタック!果たして登頂なるか!?
昨日は、涸沢カールまで、ヒュッテの社長山口さんの後を追い、の高速アプローチに成功し、4時間半で上高地から涸沢に登ってきました。
・秋のテント泊について
しかし、昨夜は強風でほとんど眠れず。
テントのベンチレーターから外を覗くと雨は止んでいます。
乳白色に包まれるた涸沢のテン場。
トイレのため外に出てみると、レンタルのエスパーステントが1張りポールが折れて潰れていました。
隣のテントのお兄さんは「怖くて眠れなかったです!」と笑顔。
私のエアライズ3は無事でし・・・・
あぁ!!
テントの角が2箇所破れています!ぬゎ~!
風で一晩中ずっと岩に擦れていたようです。
今シーズン新調したばかりなのにぃ!(泣)
道具の傷は山屋の勲章!と自分に言い聞かせます。
テントの補修はこちら↓
気温
8時で気温は8.9℃
昨夜は夜中の辞典で4℃ほど。
モンベルの化繊シュラフ「バロウバッグ#3」で寒いということはなく、快適でした。
常駐隊の詰所の掲示板よると、
天気は曇っていますが、午後は晴れるとのこと。
よし!
まずは楽しみにしていた、涸沢ヒュッテで昨日購入しておいたお弁当を食べます。
これがまた美味しい。
特に鮭の塩加減が丁度良いです。
・北穂高アタックの装備
アタックザックに無線、ツェルト、地図、コンパス、GPS、水、救急セット、タオル、ヘッデン、グローブ、行動食を入れたら、首から笛をぶら下げます。
事前に調べたところ、北穂高は長い鎖場があるそうですので、念のためスリングで簡易ハーネスをつくります。
たぶん必用ないと思いますが、狭い登山道や岩場でいちいちザックから取り出して作っていては危険ですので、恥ずかしいですが、安全第一で先に作っておきます。
もう1本はセルフビレイ用に1/3の位置2ヶ所にそれぞれオーバーハンドノットで結び目を作ります。
こうすることで好きな長さにカラビナをかけることができます。
結ぶときは、2本の片側をたるませておくとカラビナがかけやすいです。
ラビットノットでカラビナ2枚だとビレイが途切れることがなくさらに安全でしょうけど、事前に調べた限りではそこまでは必要なさそうなルートでした。
私がいつも持参するのは定番のロックエンパイアの20mm幅の120センチスリングです。
ダイニーマ細いやつは身体に食い込むので、20mm幅が使いやすいです。
ヘルメットのあご紐もしっかり締めます。
滑落したらものすごい衝撃で、ヘルメットがズレることもあるそうです。
ヘルメットを被ったことで安心しがちですが、あご紐をしっかり締めることを忘れないように要注意ですね。
安全登山のポイント
トレッキングポールの危険性
山岳警備隊の方にお聞きしたのですが、9月にもザイテングラートで事故が3件連続で起きてしまったそうです。
トレッキングポールを浮き石に着いてしまい、バランスを崩しそのまま転倒、滑落となったそうです。
こういった岩稜帯ではトレッキングポール危ないので使わない方が良さそうでした。
・北穂高 登山ルートについて
9:15
北穂高目指し、いざゆかん!
まずは涸沢小屋の方面に向かいます。
ここから北穂の取り付きです。
最初は低い草の間の登山道。
昨日の大雨で沢が滝になっています。
沢の脇を通る登山道も雨が流れ込んで足首ぐらいまで水に浸かるところもありました。
ここから
いきなり急登です。
15分登っただけで、テン場があんなに遠くに。
○と×の目印を間違わないように。
ハイマツ帯 に入るとルートがジグザグに。
大きな岩がゴロゴロ。
この辺りから浮石が多くなります。
落石に十分注意が必要です。
この辺りから南稜の取り付きで核心部に近づきます。
ハードシェルの中も汗で湿ってきました。
帰ったら洗濯です。
鎖場の登場です。
ここはホールドもステップもたくさんありますので、鎖は使わなくても足場さえ固めてしまえば安心です。
一枚岩ですので今日みたいな天気では滑りますので、注意が必要です。
振り返ると前穂高
真下は
はしごが登場しました。
はしごも登りは怖くありませんが濡れてつるつる滑るので慎重に。
手は2段飛ばしで、足は一段づつ。
右手、左手、右足、左足、右足、左足と慎重に。
はしごを登り切ると、南稜の稜線に飛び出します。
「はぁ~、来てよかった」
足は重くなってきていますが、心はほぐれていきます。
山を、風を、季節を五感で感じながら、意識が山頂へと引っ張ってくれます。
よじ登るような場所もありますが、スタンスは豊富です。
とにかく集中を切らさないように進みます。
岩稜歩きは本当に楽しいなぁ。
ガンガンいきます!
また鎖です。
登ると右にトラバースです。
高度感があり、落ちたら最低でも重症なので気を付けます。
こんなところにテン場があります。
最高のロケーションですが、強風の時は飛ばされそうですね。
7~8月だったらお花畑ですね♪
北穂南峰の直下で、涸沢岳・奥穂方面の指導標があります。
これを右に向かいます。
岩の殿堂が厳かに迎えてくれます。
ここまで来ればあと少し!
「最高だね」と独り言が漏れます。
10分程でいきなり山頂!
誰もいません。まるで私を待っていかのよう。
「やった~」
平坦な山頂は360°のパノラマです・・・が、ガスっていました。
圧倒的なスケールの岩稜を越え、いっぱい努力して、いっぱい準備して、やっと踏んだ頂です。
標高3106メートル。
涸沢から2時間20分でした。
寒さも気持ちいい。
空気が美味しい。
谷から上がったガスが、稜線を越え巻いています。
もう少し遅めに来ればもっと晴れていたかもしれません。
それでも念願の北穂高岳に登れたことは、こうしてブログを書いている今でも嬉しさが込み上げてきます。
寒くなってきたので、北穂高小屋に行きます。
頂上からすぐ下ったところが小屋です。
お昼ご飯はカルビ丼を注文しました。
せっかくの山なので、寒いですが外のテラスで食べます。
食後はホットミルク。
「はぁ~」ずっとここにいたいなぁ。
小屋の裏にまわると、
大キレット!
飛騨泣き!
これはなかなか怖そうですね。
ということはこの向こうに槍が見えるはずですがガスの中のようです。
しばらく待っていましたが、ほんの一瞬槍がその姿を現しました。
どーんと天空を突き刺す槍の穂先!
黒く眠っていた槍が目を覚ましたように見えました。
ついこの前登ったのに、なんだか遠い存在に感じます。
こっちに来いと呼んでいるようです。
残念ながらシャッターが間に合わず、記憶に焼き付けます。
一時間ほど満喫したので、名残惜しいですが下山です。
12:30
向こうには涸沢岳と奥穂高岳。
ジャンダルムも見えます。
いつか絶対登ってやる!と心に誓います。
下山も登りと同じルートです。
違うのは高度感ですが、宝剣や槍のはしごで慣れたのか、それほど怖くありません。
一枚岩の長いクサリはステップを探すのに少し迷いましたが問題なくクリア。
こういった核心部をクリアした後に、安心して気を抜いたり、集中力が切れている自分に気付きます。
いかんいかん!
私は下りの方が苦手なので、ゆっくり下ります。
登ってくる人たちもいますので、落石に注意しながら。
あれだけ名残惜しかった下山でずが、だんだんテント場が近づいてくると、不思議と早くテントに戻りたくなります。
14:40 涸沢小屋まで降りてくると、胸がいっぱいです。
パートナーも達成感からか、テン場に向かってバンザイしています。
北穂高から涸沢テン場まで2時間30分かかりました。
「あそこに登ったんだ!」と何度も何度も、ずーっと北穂を見てしまいます。
テント戻り、湿ったシュラフを干し、床の結露を拭きます。
荷物を置いたら缶コーヒーを買って、バッカス(チョコレート)を持って、お気に入りのお昼寝岩へ。
昨日とは正反対のお天気のせいか、テン場全体が柔らかく幸せそうに見えます。
お気に入りのソフトシェルは適度な防風性で気持ち良い♪
仰向けになると眩しいのでサングラスが便利です。
北穂高登頂の実感と達成感がジワジワと込み上げてきます。
一方で、無意識に奥穂高を見上げてしまいます。
ザイテングラートから下山してくる色とりどりのハードシェルの列を見ながら、次の目標に期待を膨らませる貪欲な私。
雲海に一日が沈んでいきます。
・涸沢ヒュッテの夕食について
夕食はまたまた豪華な小屋のメニューです。
社長さんもご飯を盛るのに大忙しです。
警備隊の方は今日も手伝っています。
テント受付のお兄さんは、朝から晩まで誰よりも本当によく働きます。
小屋の皆さん、長野県警山岳警備隊のみなさんがいるから、安全に楽しく山に登れるんですね。
小屋やテントで快適に過ごせ、しっかり休息できるように配慮してくださっているからこそ、事故を未然に防げている部分は大きいのでしょう。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
今日は昨夜よりも寒いですね。
18:00の時点で4℃です。
間近に迫った冬の到来を感じさせます。
でも風が弱いぶんマシです。
時折パタパタと鳴るフライの音。
静かに外を通り過ぎるヘッデンの明かり。
2週連続で来られたこと。北穂高に登った無量の気持ち。
そのまま静かに眠りにつきます。
ところが。。。
三日目につづく。
テント場までの様子はこちらもご覧ください↓