2016年10月10日(月)
穂高 冬の訪れ
上高地から涸沢ヒュッテまでのスピード登山作戦を成功させ、
昨日は初めての北穂高に登頂しました。
幸せな気持ちいっぱいで眠りについたのですが・・・
さ、寒い。
なんだこの寒さは。
時計のバックライトを点灯させると4:30。
あ、今回の腕時計はプロトレックです。
まだ暗いテントの中、首にかけたヘッデンをつけます。
今回持参したヘッデン。
テント場での使用に丁度良いスペックとコスパ。
すると、
なんじゃこりゃ~!
シュラフの表面に霜がびっしりです!
これが一泊目だったら大変でした。
プリマロフトのシュラフですので、濡れても保温はしますが、湿ったシュラフで寝るのは辛いものがあります。
ダウンのシュラフだったら完全アウトですね。
ゴアテックスのシュラフカバーが必要ですね。
各メーカーありますが、1番安いのはライペンですね!
テントの内側も霜。
フライのジッパーは凍って開きにくくなっています。
シュラフから出るのに勇気がいります。
このまま7時頃まで寝ちゃおうかな~。
でもシュラフの中でも寒いしなぁ~。
パートナーとも「まだ起きないの?」、「そっちこそ」と言い合って、なかなかエンジンがかかりません。
しばらく悩んでいると、パートナーが「破!心頭滅却すれば冬の穂高も寒くな~い!素意!」と叫び、涅槃の境地に達したような顔で、パッと動き始めました(ワラ)。
仕方なく私も着替えます。
腹を決めたらやるしかない!
脱いでしまえば意外と平気です。
お湯を沸かします。
念のため寒くても点火しやすいパワーガスにしてよかったです。
キンキンに凍りかけたお弁当を食べ、お花摘みに。
トイレ横の温度計を見ると0.1℃!
ということは深夜は氷点下だったわけです。
こりゃ寒いはずだ。
たった一日でこんなに寒くなるんですね。
岩も表面が凍っています。
目で見てもわからなくてツルツル滑りますので要注意ですね。
もうこの時期は朝方や日陰の岩は気を付けないといけないですね。
赤いフリースで揃えた警備隊の方々も小屋に向かいます。
朝食の手伝いでしょうか。
有りがたいですね。
寒いのに、もう少しテラスにいなければ・・・
その訳は。。。
そう、モルゲンロートです。
モルゲンロート
5:50、今日は見れるのか。
シーズンに1~2回程しか見ることができないそうですので、どうかなぁ?
すると・・・
前穂高から顔を出した朝日が、穂高の尾根筋全体を赤く染め上げます。
車のウィンドウを降ろすように。
ゆっくり確実に新しい一日の始まりを告げます。
さぁ、今日は下山だ。
テントに戻ると撤収です。
フライをパタパタしても霜が取れません。
ジャージテムレスというゴム手を装着し、表面を擦ると霜が取れます。
ジヤージテムレスは防水透湿のポリウレタン製で、雪山では「防寒テムレス」という内側がボアになっているものを愛用しています。
雪山では汗をかくと凍ってしまい凍傷の危険性があるため透湿性能がかなり大事です。
その点テムレスは透湿性もあり、防水防寒で、山岳警備隊も使っているほどです。
それでも濡れたテントは重たい・・・(汗)
重たいのは嫌ですが、そのまま45リットルごみ袋へ。
テントは水分を吸うとかなり重くなります。
実はこの霜、東京に着いた夕方でもまだ凍っていました!
寒いですが、ダウンを脱いで、Tシャツとソフトシェルのレイヤーに変えます。
靴ひもを締めたら、
よし!下山だ。
やはり岩が所々凍っていますので慎重に。
誰もいない本谷橋
横尾まで2時間。
朝霧につつまれる徳澤園
柔らかな日差しを浴びるテン場
冬は、どこに登ろうかな?
そんなことを考えながら
横尾から上高地までは休憩しながら2時間10分でした。
また来よう。
秋から初冬の装備
ザック:ゼロポイント アルパインパック60
シュラフ:モンベル バロウバッグ#3
マット:サーマレスト リッジレストクラシックS
5mm厚銀マット
ブーツ:モンベル ツオロミーブーツ
防寒着:パタゴニア ナノパフジャケット
ナンガ ポータブルダウンパンツ
ユニクロ ヒートテックタイツ
コーナンで買った激安フリース手袋
持っててよかったもの
ハクキンカイロ
助かりました。
スリング
テント天井や外でトレッキングポールに張って物干しにも便利。
プラティバス
湯たんぽにもなります。
あったらよかったもの
ニット帽・・・寒かったので。
フリース・・・ソフトシェルよりフリースが良かったですね。
パタゴニアのR1だったら行動中も暑くなりません。
シュラフカバー・・・結露対策や防寒対策に。
サーモス山専ボトル・・・いちいちお湯を沸かすのが手間です。
吸水速乾タオル・・・結露拭きに便利です。
寒さについて
こればかりは個人差があります。
わたしは比較的寒さに強い方です。
そして行動中はかなり汗をかきます。
この時期の北アルプスは雨が降れば、翌朝には雪が積もることもあるそうですし、岩が凍ると滑って怖いです。
衣類やシュラフは冬だと思ってチョイスするのですが、過剰だったり、甘く見ると寒かったり。
なかなか難しいですね。
ダウン製品は濡れるとおしまいですので、プリマロフトが好きです。ただ重たくなりますので、そのへんのバランスにいつも悩みます。
装備品はよく軽アイゼンの必要性が議論されますが、天気予報を見て、お守りとして持っていきます。
何年か前のこの時期の涸沢で、朝起きたら雪が10センチ積もっていたそうです。
今後、積雪になったら試してまたレポしようと思います。
長野県警の統計によると、今年10月2日までで、槍、穂高山域での事故発生は54件、遭難者59人、負傷者27人、死者13人となっています。
県内全体の22.8%と、一番事故が多い山域です。
ビバークになったら恐ろしく寒いですし、逆に過剰装備でも疲労と事故につながります。
自分の実力を見極めたり、トレーニングしたり、経験を積んだ上で必要な装備を考えなければと思いました。
まとめ
北穂高は天気の良いタイミングに二泊で行くのが一番楽しめました。
軽量化でこんなに楽になるのを実感した一方で、筋力や心肺を鍛えて、もっと重たい装備でも早く登れるようになりたいと思いました。
厳冬期はもっともっと装備が重たくなりますし。
今回の山行では、登山の基本を再確認できました。
ポイント
·天気
·軽量化(装備の工夫と取捨選択)
·トレーニング(筋力、心肺、歩き方)
·そして何より安全意識
とにかく安全に北穂高に登頂できたことと、それによって得たことは私の宝物になりました。
次はどこに登ろうかな~?