登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

パタゴニア

剱岳 難易度 アプローチ編

2017年7月15日(土)
剱岳 登山 剱澤までのアプローチ
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前回の宝剣岳を宝剣山荘から極楽平まで行き、さらに登り返して戻ってくるという岩場歩きのトレーニングをしました。
岩場は楽しい♪
ということで今回は、ずっと楽しみにしていた剱岳に行ってきました。
結論から言ってしまえば悪天候のため撤退だったのですが、得るものは沢山ありましたので、記事にしてみます。

宝剣岳の記事はこちら↓
chi-sk8.hatenablog.com



立山はゴールデンウィーク以来2ヶ月ぶりとなります。
夜9時に東京を出発し、一路立山へ6時間のロングドライブです。

深夜3時、立山駅に到着。
ゴールデンウィークは切符売り場に列ができていたので、到着するなりすぐに並ぶことに。
あれ?
誰もいません(汗)
車に戻るのも面倒なので、駅前でビバークすることに(苦笑)
サーマレストを敷き、ツェルトを被ります。

ケーブルカーの始発は7時、チケットは6時20分から販売開始です。
明るくなってくると、登山客がちらほら。
黄色い布の中で動く怪しさ満天のかたまりを見て、「えっ?寝てる人がいるよ」とヒソヒソ。
恥ずかしいので、そのまま寝続けます。

GWの様子とケーブルカー・バスの乗り方はこちら↓
chi-sk8.hatenablog.com


駅では燕がお出迎えです。
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ケーブルカー、バスと乗り継いで、室堂へ!
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観光客がたくさんいます。


やっぱいいなぁ~♪
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往復4000円ちょっとでほとんど歩かずに来られる天国。

千畳敷とも涸沢ともまた違った雰囲気。
なんというか奥行きがあります。
自分の意識も遠く向こうへ吸い込まれるようです。

さぁ、今日は剱澤のテン場まで。
いざゆかん!

剱岳 登山 行程

登山の行程は、
一日目:室堂から剱澤まで登りテン泊
二日目:夜明け前に剱岳にアタックして、剱澤で撤収し16:00頃室堂着
といった一泊二日の予定です。



剱澤の水場が使えるか分からなかったので、水5リットルを担ぎ上げます。
おまけにセルフビレイ用にP.A.Sを使おうとハーネスやらルベルソ4やら、いつも以上の数のスリングとカラビナまで持ってきてしまったため、ザックの重量が厳冬期並みの重さになってしまいました(後悔)
これが後々仇となるのでした・・・。

室堂から雷鳥沢

雪の無くなった石畳をずんずん雷鳥沢まで行きます。
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雪と岩の斑模様の峰々。
空は刻々と表情を変え、刷毛で描いたような雲が流れています。
360°、こんな景色がぐるぐるして目眩がするほどです。


12本爪のアイゼンやピッケルを持っている人がそこそこいます。

私はポールと6本爪アイゼンのみ。
心配なのは剣山荘から前剱の間にある雪のトラバースです。

それと一番懸念されるのは天気です。
今日の段階の予報では明日のアタック時は「てんきとくらす」だと「C」。
「mountain forecast」では「heavy」。
麓の天気は午前中は曇りで午後から雨。

ここ数日でコロコロ予報が変わっていますので、今夜あたり「A」、つまり晴れになってくれることを、
淡く期待します。
ダメならダメで、剱澤までのアプローチとテン場の実地踏査とすればよし。
と、結局山に身を置きたくて仕方ないんですね。
登れなくても、そこにいるだけで充電できます。



みくりが池。
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雪が溶けて池に沈み、その上に水があるという、この短い時期しか見られない現象です。
水面に山と空と雲が映っています。
水の色もこれぞ「水色」。


地獄谷。
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雷鳥荘。
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このあたりが1番地獄谷の硫黄がキツく、喉が痛くなります。
濡らした手ぬぐいで鼻と口を塞ぐと良いそうです。


テン場が見えてきました。
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雪の間を抜けて・・・。
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雷鳥沢ヒッテ。
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宝剣山荘のお姉さんに教えてもらった頼もしい立派な建物。
ここは温泉に入れるレアな小屋なんですね。
オヤジさんはお元気かな?


雷鳥沢のテン場は、まだテントがまばらです。
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雷鳥沢から剣御前小舎

ここからが本番です。
雷鳥坂はまだ行程の1/3が雪の上を歩くことになります。
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浄土川の先を見ると、気持ちも一緒に流れていきそうです。
下界のストレスや憂鬱や鬱憤が、雷鳥沢の空気に溶けて吸い込まれていきます。
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橋を渡る。
恐る恐る、慎重に。
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ここからは登山道を中心に、どこから登るのが安全で楽か、ルートファインディング(大袈裟かな?)しながら登ります。
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試しに軽アイゼンを履いてみます。
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うわ~、やっぱり登りは一歩一歩がキツい!
ザックの重さで息が上がり、太ももがパンプします。
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いつもならぐんぐん他の人を抜かせてもらうのですが、今日はダメだぁ~。
上を見上げる度に天気も変わっています。
時折現れる青空と山のコントラストに励まされます。
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こんなときはマイペースに景色やお花を見ながら登ります。
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悔しい気持ちが出ますが、無理にペースを上げると、これは危険。
「だって楽しむために来てるんだから」と自分に言い聞かせます。


夏道に出たのでアイゼンを外します。
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手間でも外した方が早い。
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と思ったらまた雪渓が現れます。
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今度はアイゼン無しで登ってみます。
滑ることなく登れました。

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こんな感じで岩、雪、岩、雪を繰返します。
身体の使い方もころころ変えるので、余計に疲れる気がします。
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振り返ると雷鳥沢があんなに小さく見えます。
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「剱御前はいねがぁ~!」
と台詞も表情もナマハゲのようなパートナー(笑)
駅前ビバークでも眠ることができなかったようで、不眠不休の登山を決行するとこうなるようです。
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小屋はまだ見えません。
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見えたら見えたで遠く感じますが、見えないと励みになりません。


ひ~!!
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ガスの向こうに小屋の影が!
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やったぁ♪
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小屋に出ると、ガスと強風で一気に汗が冷えます。
こんなときは撥水性のあるソフトシェルは便利ですね。
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お気に入りのホグロフス。快適♪

剱岳も見えますが、上の方はガスでかくれんぼ。



剣御前小舎から剣沢キャンプ場


ここから40分程は剱沢まで下るのみ。
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剱御前小屋から剱沢まではほとんどの雪の上を歩きます。
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転んだところで滑落するような心配はない道なのですが、なんとなく怖くてペースが落ちてしまいます。

岩に大きなレリーフが。
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石井逸太郎さん。
地質学者の方で、このあたりの氷河地形の調査中にクレバスから滝に落ちて亡くなってしまったそうです。


テントが見えてきました!
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もうちょい。
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雪渓をひたすら下ります。
足が横滑りして歩きにくい。

太ももがパンプして、体幹もブレてきました。
体幹の筋力は今後の課題ですね。

テン場に到着です!
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テントは15張り程。

雪のないところに目星を付けてザックを置いたら、管理小屋に向かいます。


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するとガタイの良い人達が沢山います。
富山県警山岳警備隊の方々が訓練に来ていました。
頼もしい。

小屋の前には手書きのイラスト掲示板があります。
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剱岳の各ルートの情報が詳細に書かれています。


む~ん、明日の天気が心配だ。
山の天気予報はこちら↓
chi-sk8.hatenablog.com



あ、それから水場が使えました♪
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それにしてもヘトヘトです。
いつもならテン場を散策するのですが、しばらく座り込みます。


重い腰を上げて(実際に腰も足も重くなっていました)、テントを設営します。
いつものエアライズ3


張り縄を固定する石を運ぶのも一苦労です。

パートナーは大きな石を動かしながら、「どうですかっ?どうなんですかっ!」と敬語で石にキレています。
末期症状です(笑)

テントを設営したら、中に滑り込み、しばらくぼんやりします。
お昼ごはんはコンビニで買ってきたおにぎりとサンドイッチとゆで卵です。
こんなに疲れていても食べる力は人一倍あります(笑)

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だんだんとガスってきました。
剱様もかくれんぼ。
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明日通過する前剱下のトラバース。
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凄い斜面です。

警備隊の方に状況をお聞きしたら、人がすれ違える幅もあるし、
急な傾斜のところは階段状に切ってあるそうです。
剣山荘の人達が総出で整備してくださったそうです。

それでも転ぶ人が多いので、気をつけるよう教えていただきました。

プラティパスに水を汲み、テントに、戻ります。



太陽が見え隠れするのに連動してテント内も暑くなったり寒くなったりします。

足だけシュラフに突っ込み、上半身はソフトシェルを羽織ります。

何をしていたのか、何を考えていたのかも覚えていない程、瞬間的に深い眠りがやってきたようです。


15:00肌寒くて目が覚めました。

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テントも増えています。


トイレに向かいます。
管理小屋から雪渓を越えた反対側にあります。

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トイレは二ヶ所あって私が使った方はバイオトイレ。

もう1つは汲み取り式だそうです。

バイオトイレ、何故かぜんぜん臭くありません。

携帯の電波も通じます。
天気予報をチェックしたり、ガスに見え隠れする剱岳を見上げたり。
気持ちの半分は疲れに支配され、もう半分は明日アタックできるのか、天気のことが気になります。

テン場全体が同じような雰囲気に包まれています。


みんなヒソヒソ。

すでにやることが無い。
ヒマだ・・・。
最近お気に入りのハーブティーをすすりながらぼんやりします。


夜になると寒さが増してきました。
パタゴニアのナノパフにナンガのポータブルダウンパンツで快適です。


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明日は3:00起床。
夕食はお茶漬けで簡単に済ませ、早々と眠りに着くのでした。
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まとめ

剱沢までのルートは歩きやすく、残雪による危険な箇所はありませんでした。

なによりテン泊装備の重さが1番キツかったです。
剱沢まではあくまでアプローチ。
ここで翌日に疲れを残してしまっては意味がありません。

二泊の予定にするのも安心だと思いました。

どちらにしても一泊でも二泊でも、余計な装備は必要ないですね。

今回私の余計な装備は、
ハーネス+ガチャ類。
これはスリングで簡易ハーネスを作ればOKですし、剱のクサリ場でセルフビレイなんて取ることはまず無いと思います。
あくまでお守りです。

それから水場が使えるなら6リットルも水はいらなかったですね。

サプライズで持ってきていた缶コーヒーもいらなかったですね(苦笑)

他にも身体拭きシートや、大量のお菓子などなど。
軽量化の余地はたくさんあります。


テン場での快適さ=十分な休息
or
軽量化による疲れ予防

どちらを取るかバランスが大切だと思いました。

あ、もちろん体力作りは絶対ですね。


逆に持ってくれば良かったものは、ピッケルと前爪のあるアイゼン。
お守り効果による余裕が生まれると思います。



二日目につづく

chi-sk8.hatenablog.com

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