【唐松岳】ロープウェイを使って日帰り登山
前回の、奥穂~ジャンダルム、そして木曽駒ケ岳から下界に戻って一週間。
さっそく山パワーが切れかけてしまいました。
これは充電が必要だ。
・唐松岳の概要
唐松岳は、標高2696m。北アルプスの後立山連連峰の縦走路にの途中にあります。
ロープウェイ、リフトを使ったら一気に1800メートルまで標高が稼げ、積雪期を除けば難所も無いので、「北アルプス入門の山」といわれています。
その魅力は登山起点の八方池からすぐに視界が開けた八方尾根であるため、抜群の眺望を楽しみながら登ることができることです。
・アクセスと駐車場
中央道安曇野I.Cを降りて、コンビニで食料を仕入れます。
八方尾根までの道中にコンビニはたくさんあります。
現地にも白馬駅の近くにローソンがありますので、山によくある「最終コンビニ」を意識しなくても大丈夫です。
ガソリンスタンドは、夜中は1箇所だけ営業していました。
駐車場は、ゴンドラリフトアダムの乗り場の真横にあります。
夜中に到着する場合は、「こんな道の先にあるの?」と思う程狭くて暗い道の先にあります。
駐車料金は1日500円。今回は朝6時の時点でまだ空きがありました。
もちろん深夜でも入庫可能です。
トイレはアダムの駅舎の中にあります。
自販機もあります。
・八方アルペンラインについて
八方アルペンラインというのは八方駅から八方池山荘まで3つあるリフトの総称です。
これを利用することで、一気に標高1830m、八方池山荘まで、約20分の空中散歩を楽しみます。
料金は大人往復3000円
発売日を含む3日間有効なので、泊りの山行も往復券で大丈夫です。
モンベルカードやJAFカードで割引になるそうです。
荷物が15kgを超える場合は、片道450円が必要です。
営業時間
営業時間は時期によって変わりますので、HPで確認すると良いですね。
グリーンシーズンを過ぎた今回は始発7:30、チケットの販売は7:15分から。
下山の最終便は上の第1ケルン駅が16:30でした。
6:00に起床してゆっくり準備します。
車中泊の車内は少し肌寒く、毛布を被ると丁度寝やすい季節になりました。
7:30ちょっと前からチケット売り場に列が出来ていました。
それでもゴンドラがどんどん来ますので、それほど待つことはありませんでした。
すこし肌寒いので薄手のソフトシェルを羽織って丁度良い気温でした。
八方駅から兎平まで8分の空中散歩です。
標高は770mから1400mへ。
上に向かって右は牛の放牧地帯になっていて、たくさんの牛が朝ごはん中でした。
兎平から黒菱平まで7分。
黒菱平で標高1680m。
リフトは4人乗り。ザックは前で抱きかかえます。
こちらも4人乗りのリフト。
5分ほどで終点の八方池山荘に到着です。
・登山ルートの紹介
八方池山荘から第3ケルンまでは、標準タイムで登り1時間、下りは40分です。
グリーンの絨毯に引かれた白い登山道がどこまでも続いています。
路の傍らには、高山植物が咲き誇り、風に揺れています。
その種類も多く、高山植物が好きな方には本当にオススメです。
唐松岳、いざゆかん!
すぐに分岐が現れ、上に向かって右が登山道、左が散策ルートになっています。
分岐に気付かず、散策ルートを進んでしまいました。
登山ルートは下山で紹介します。
しっかり整備された木道を、ぽくぽく鳴らしながら歩きます。
勾配もゆるく、霧の中でも、その先に浮かぶ景色を追いかけて歩くのはとても気持ちいい。
汗ばんできたので、シェルを脱ぎ、Tシャツ1枚に。
唐松岳はケルンが多く、地図を確認してもほとんど一本径なので、大小様々なケルンを見つけながら進んでいきます。
遠くにケルンの影を見つけると、まるで宝物を見つけたように、「あっ!あった!」と声が出てしまいます。
第2ケルンの手前にトイレがあります。
ここは水洗式で綺麗なトイレです。
このトイレの裏手で登山ルートと合流しています。
この先は唐松山荘までトイレはありませんので要注意です。
念のための簡易トイレとツェルトも持ってきました。
本当にお花がたくさん。
天気が悪くても、足元で楽しめますね。
魔女の帽子のような形の第3ケルン
ここから下に降りると有名な八方池があります。
八方池の湖面に映る逆さの不帰剣が有名で、それを見るのを目当てに登ってくる方も多いそうです。
今日は残念。
ガスで山が見えませんので、八方池には立ち寄らずこのまま進みます。
遊歩道はここで終わり、この先は登山道ですので、しっかりした装備が必要です。
足元は次第にゴツゴツした岩場になってきます。
ガスに煙る山の影。
稜線歩きがは初心者からベテランまで楽しめるコースです。
晴れていたらもっと素敵な眺望だったでしょう。
地味な傾斜でも登り続けてきた疲労の蓄積で、それなりに疲れます。
途中、バナナでエネルギー補給。
アミノ酸等のゼリーもお手軽ですが、自分でもぐもぐ噛んで食べる方が、力が出る気がします。
この区間の標準タイムは、登り1時間40分、下り1時間です。
岩が滑るなぁと思ってよく見たら、青い岩が。
谷川岳によくある蛇紋岩ですね。
乾いていても良く滑るので油断しないように。
下ノ樺、上ノ樺の間はダケカンバの樹林帯です。
樹々がガスを避けていてくれているようで、明るい緑のトンネルを抜けます。
見上げると樹々の間から見えるのは明るい乳白色のみ。
まるでメルヘンの世界にいるようです。
ここの道は土がむき出しの箇所が多く、雨の下山時は滑りやすそうです。
森の切れ目から急に雪渓が姿を現しました。
雪渓の周りは座るのに丁度良い岩がゴロゴロしています。
ここで休憩する人が多かったです。
雪渓の上を撫でた風が、身体の熱気をさらってくれます。
先月はこの近辺で滑落事故もあったそうです。
なぜこんなところで!?という気がしますが、それが山の事故なんですね。
気を引き締めて先に進みます。
ここで一段と景色が開けます。
小高いてっぺんにちょこんとケルンが見えます。
丸山ケルンに到着です。
天気が良ければ、向かって左から、五竜岳、唐松岳、白馬三山まで見渡すことができます。
ガスが濃さを増して、幻のような山影が見え隠れします。
真っ白ですが、ルートは見えています。
積雪期だったらあきらめていますね。
一瞬、ガスが掃けると、空は変わらずそこにありました。
先が見えてきました。
山荘までは登り50分、下り40分です。
ここからはガレ場になります。
木道は雨で濡れたり、霜が付く季節は滑りそうですね。
積雪期はここが難所になります。
山側は落石防止のネットが張られています。
稜線の南側をトラバース気味に進んで行きます。
クサリやロープが張られていますが、普通に通過できます。
さすがに太ももがパンプ気味です。
思えばこのルートはアップダウンはなく、アップのみ。ずっと登りっぱなしでした。
緩斜面が多いので、ついついハイペースで登ってきてしまったせいでしょうか。
ここを右に巻くと、唐松岳頂上山荘が見えてきました。
結局、標準タイムを1時間以上短縮してきました。
唐松岳頂上山荘は、80年以上の歴史がある山小屋です。
山頂から15分の好立地で、テント場もあります。
入ると、とてもおしゃれな内装で、窓からは剱岳を正面に望みます。
日帰りのお客さんでも、トイレは一日に何回使用しても300円です。
自販機もあり、食事もできます。
唐松の姿が見えました。
手のひらで撫でたようななめらかな稜線にガスが巻いています。
綺麗だなぁ。
「今からあそこを歩くんだ」とワクワクすると同時に、お腹が減ってきました。
アタックの前に食事にします。
コンビニで仕入れた、のり巻き、サンドイッチ、バナナ、ゆで卵・・・
食べ過ぎです(笑)
寒いのでソフトシェルを羽織ります。
時折姿を現す太陽が、暖かい。
さあ、いよいよ頂上にアタックです。
ここからは往復で30分程です。
山荘前に荷物をデポして空身で登る人も多く見かけました。
緩い斜面を登っていきます。
コマクサがまだ残っていました。
他にも色々なお花が咲いています。
不帰剣も見えます。
食べ過ぎたせいか、急に身体が重くなったように感じます。
また、お花を見るのに急に立ち止まったり、しゃがんだりするのも、心肺を乱しますね。
上を見上げると、空に向かって登っているような感覚です。
やった~、登頂です!
人気の山だけあって、山頂にも人がたくさん。
みんな笑顔です。
お話をしてみると、はじめての北アルプスという人が多かったです。
登っているときは晴れていたのですが、頂上についたらガスが(泣)
一瞬ガスが晴れると、空の真ん中に五竜岳が姿を現しました。
う~ん、晴れていたら絶景のパノラマだったでしょう。
振り返ると
白馬三山方面は
どんどん混んできますので、山頂お弁当を食べたりするのは控えた方が良さそうです。
写真撮影なども譲り合って。
名残惜しいですが下山の時間が近づいてきました。
下山は八方池山荘まで2時間30分程の道のりです。
来た道をそのまま戻ります。
一泊できるなら、五竜まで縦走するのもいいですね。
ガスがさらに濃くなってきました。
泊り装備の人もどんどん登ってきます。
こんなロケーションで、星空を見たりできるなんて、羨ましい。
登りで時間を巻いたぶん、下山はゆとりを持ってお花を見ながら進みます。
丸山ケルン
唐松岳は虫がとても少ないように感じます。
いつもそうなのか、今日だけ特別なのか・・・。
相変わらず蛇紋岩が滑ります。
疲れていたり、登頂の達成感で油断すると危険ですね。
樹林帯の土も、ズリズリと、やっぱり滑りやすい。
第3ケルン
第二ケルンのトイレに寄ったら、今度は遊歩道ではなく登山道を進んでみます。
誰も歩いている人がいなくて、貸切状態。
これだけ幻想的な中を歩いていると、なんだかふわふわと身体が軽くなったような錯覚。
登山道の方もしっかり整備されていました。
こちらの方が散策路より高い位置にあるので若干見晴らしが良いです。
下の人が歩いているところが散策コースです。
木道を歩くポコッ、ポコッという音が小気味よく響きます。
歩く音、吐く息、おしゃべりの声、日頃の憂い、全てが白いガスに溶けていくようです。いつもは寂しい下山の時間ですが、ロケーションの良さのためか、下山路も楽しめます。
八方山ケルン
最後は岩がごろごろした道を進んで、
八方池山荘まで戻ってくると、朝は閉まっていた売店が開いていました。
ソフトクリームは300円!
・まとめ
北アルプス入門の山ということで、難易度は低く、危険ヶ所もほとんどありませんでした。
それでも、行動時間長いですし、大きなおにぎり型の山は、登りはずっと登り、下りはずっと下り。足の筋肉は休まるタイミングがなく、それなりに疲労感がありました。
これで晴れていれば、絶景の稜線を歩けますが、今日のような天気でも、多品種多量のお花や、ガスに霞む山の影、と幻想的な雰囲気が楽しめます。
また運が良ければ雷鳥にも出会えるそうですし、高山のシンボルとも言えるケルンが一層唐松岳の雰囲気を作っています。
これぞ北アルプス!と周り全てが山、山、山、と山の中を歩いているという感覚が、1番の魅力ですね。
木道の散策路、樹林帯の土の道は雨天だと滑りやすいので注意が必要ですね。
それから蛇紋岩も滑りますので要注意です。
それから難易度の低い山だからこそ、油断せずに装備もしっかりしないといけないと思いました。
唐松岳、次来るときはどんな姿を見せてくれるのか、何度も訪れたくなる山でした。
また来るよ~。
ゴールデンウィークにテント泊で行ってきました↓