岳沢小屋でテント泊
10月7日(土)
6月の残雪の時期に前穂高にチャレンジしましたが、今年は融雪が長引いており、嫌らしい雪渓が残っていました。
おまけに軽アイゼンのみで、ピッケルも無いまま奥明神沢ルートに行けるほどの技量もなく、撤退となりました。
それでも岳沢から見上げた峰々は、間近から立ち上がり、青白い真珠色のガスが立ち込めた幾筋もの谷が、秘境を思わせる雰囲気に満ちていました。
小屋のまわりの低木に鳥がやってきては歌っています。
「絶対に良い時期にリベンジしてやる!」と意気込んで、今回、一泊の計画で向かいました。
アクセス
さわんど駐車場
10/6金曜夜、雨の降る中、中央道を飛ばします。
先週の西穂高上高地ルートの疲れが残る中、駐車場が混んでいないことを祈りつつ深夜1時、さわんど駐車場に車を滑り込ませます。
駐車場は天候の為か、がら空きです。
ヘッドライトに浮んだ黒光りするアスファルトを慎重に進み、タクシー乗り場とトイレの丁度中間辺りに駐車しました。
先週ほど気温は低くなく、毛布一枚で快適に眠れました。
天気
早朝4:30起床。車は全く増えていません。
外に出ると、山間部の朝特有の樹々の濃い匂いが胸を満たします。
トイレを済ませ車に戻り天気予報を確認します。
今日は昼まで雨・・・。
10時まで二度寝することにしました。
天気は悪いけど、今日はいい朝だ。
こんなにのんびりスタートする山も、はじめてかもしれません。
シャトルバス
予定通り10時に起床し、シャトルバス乗り場に向かいます。
降っているのかわからない程度の小雨。
バスは30分間隔で出発しています。
上高地まで片道1250円。
往復なら2050円とお得なのですが、時間を気にするのも嫌だし、帰りの混雑具合によってはタクシーで相乗りの方が早い場合もあるので片道にしました。
ほとんど並ぶことなく乗車できました。
実はバスに乗るのははじめてだったのですが、今日みたいに空いている時期はバスがおすすめです。
タクシーは相乗りできるほど人もいませんでしたので。
それに他の観光客に混じって、大型バスの車窓から眺める景色は、いつもより優雅な気分にさせてくれます(笑)
11:00上高地バスターミナル着。
観光客も登山者も少ないです。
登山届けを提出し、トイレを済ませたら、
岳沢小屋、いざ、ゆかん!
岳沢トレイル
岳沢トレイルの詳細は6月の記事もご覧ください↓
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ルートはこんな概念です。
河童橋を渡り・・・
登山口までは、木道の散策路を行きます。
午前中の清々しい美しさと、その明るい広がりとを思いながら進む道は、なんだかいつもの上高地と違って見えます。
観光客のお父さんが私を指差して、「あの人は山屋って言うんだよ。リュックにはテントとか寝袋とか岩に登る道具が入っているんだ。何日も山で過ごすんだよ。」と子どもに説明していました。
いや・・・ほとんどは食べのもなんですけど・・・とは言えず、足早に登山口に向かいます。
登山口到着。
岳沢トレイルは、登山というにはちょっぴり物足りない、でもハイキングよりはキツイ、といった感じのコースです。
登山口から順に、10番、9番・・・・1番、岳沢小屋、とポイントごとに番号と説明の書かれた看板が設置されています。
標高を上げるごとに、植物の種類が変化していきます。
この時期は、樹々の色付きも緑から黄色・赤と変化を見ながら登るコースとなっています。
なかなか雨が降り止みません。
風の無い樹林帯の小雨なら、傘を持ってくれば良かった。
ザックカバーは、マットやヘルメットが外付けなので、大き目のものがオススメです。
あぁ!!!!
カメラが壊れてしまいました(泣)
ここからはスマホで頑張ります。
小雨が葉を伝い、静かにパラ・パラパラと落ちてきて、日常の憂いを洗い流してくれるようです。
雨もまた良し。
雨が少し強くなると、木の下で雨宿り。
視線は自然と足元や近くを見るようになります。
蟻も一緒に雨宿りです。
サーっと、耳鳴りのように続くのは、雨の音なのか、もうだいぶ下になった梓川の早瀬の歌か、耳に心地よい。
雨足の弱くなった合間で先に進みます。
本来なら2時間程度のコースをゆっくりゆっくり。
流れる景色をしっかりと心にとめながら。
小径の岩に鳴る靴の音。
原生林の幹は濡れて黒々と光っています。
風穴
気温もこの季節にしては高く、雨ともガスとも言えない湿気に満ちた登山道では、かなり汗をかきます。
歩き始めて50分、おなじみ名物の風穴で涼みます。
だんだんと紅葉が増えてきました。
変わらず止まない雨の中を、のんびりした気持ちで行く。
物見高い目や鼻や耳はすっかり解放しながら。
別に急用があるわけじゃないんだ。
日頃、「全日本せっかち協会」の会長と揶揄されているパートナーも今日は珍しくゆっくり歩いています(笑)
雨降りの森歩きは、自然をそのまま受け入れる者の気宇を大ならしめずにはいない。
爪先上がりの淡々とした階段状の整備された道。
赤黄色のトンネルを抜けます。
岳沢小屋が見えてきました。
あと少し、ガンバ!
岳沢小屋
ゆっくりゆっくり登って、雨が強まれば木の下に、弱まればまた進み、といった具合で、結局2時間30分かけて到着しました。
岳沢小屋は標高2,170メートに位置します。
定員は60名、絶対予約してくださいね。
テン場は、小屋から沢を挟んだ登山道の両側に設営します。
30張りが限界です。
テント泊でも、
夕食2000円
朝食1700円
お弁当1300円
で、前日までに予約しておけば注文できます。
テント設営
小屋前に行くと・・・
えぇ~!?
結構混雑しています。
小屋の宿泊はもう一杯のようです。
以前、親切にしていただいた、清木場俊介似のイケメンのお兄さんが受付してくれました。
テン場ももう一杯とのことです。
どこに張れば良いかわからないと困っていると、外に出てきてくれて、「明日は前穂高?それなら撤収してデポしてからアタックすれば大丈夫だから、あの辺りとかがいいんじゃないかなぁ?」と教えてくださいました。
おかげて平らな、寝心地の良さそうな場所を確保できました。
テン場が一杯のときは、小屋周りに張ることができますが、7時までには撤収しないといけないのです。
撤収した荷物は預かってはくれませんが、小屋周辺にデポして良いそうです。
すると、これまでとは一変して強い雨が!!!
ぬわ~!
ツェルトをザックに被せ、ザックカバーを頭から被ります(笑)
先にフライシートを取り出し、広げた下にテント本体を入れます。
普段は一緒に餅つきのペアなんか組んだら、きっと大怪我するほど息の合わないパートナーと、軍隊の訓練のようなコンビネーションとスピードで。
猛吹雪の厳冬期のテント設営を思い出します。
「そっちたぐり寄せて!」
「イエッサー!」
「ガイラインを出せ!」
「イエッサー!」
「男になりたいか!?」
「というか入口が逆であります!」
「口答えするな!」
と、なぜか上下関係に(笑)
そしてもちろん上官の私から先に中に滑り込みます(爆)
そこらじゅうが濡れているので、パックタオルで拭きます。
服も濡れてしまいましたが、体温もまだまだ高いので着干しで大丈夫そうです。
装備は、大きなゴミ袋に入れてきていたし、さらにジップロックや防水のスタッフバッグに入れていたのでノープロブレム。
濡れた手ぬぐいはテントの天井に細いスリングを張って、干します。
それにしても強い雨。
タイミングが良いんだか悪いんだか。
水場
雨が弱くなった隙を見て水を汲みにいきます。
ついでにコーラを買いました。
小屋の中にもお土産が色々。
手ぬぐいを二種類GETしました♪
長野県警山岳遭難救助隊のお馴染みTシャツが飾ってあります。
カッコイイ!
自衛隊のTシャツみたいに一般販売したら売れると思うんですけど・・・、長野県警さんいかがでしょう?
トイレを済ませたら、テントに戻ります。
結局服は完全に乾きませんので、着替えると随分心地よくなります。
お昼ご飯はコンビニで買ったもの。
天気次第で今日の行動がどうなるかわからなかったので、調理せずに食べられるものにしました。
お味噌汁だけは作ります。
今日の気温ではノーマルガスで大丈夫でした。
また雨が強くなりました。
シュラフを広げ、横になりながらフライに当たる雨音を聞きます。
こうしているのも山の魅力です。
自然の全体と細部を見て感じて、受け入れてもらいます。
近くの木に鳥がやってきたようです。
パタパタタと羽根に付いた水玉を落として、その合間に水晶珠をぶつけ合ったように唄っています。
CMかラジオのジングルのようなメロディーに似ていますが・・・思い出せません。
お腹が一杯になって身体が温まると心地よい眠気がやってきました。
熟睡してしまうと勿体無いので、シュラフには入らずウトウトします。
!・・・熟睡していたようで、夕方になっていました。
お昼を食べ過ぎたせいでお腹が空いていません。
パーコレーターでコーヒーを沸かし、りんごジャムクッキーで晩御飯にします。
明日は念願の前穂高へ。
岩峰歩きを想像してワクワクします。
テント泊の装備と服装
・サーマレストのマット(1番安いやつ)
・銀マット(ホームセンターの5ミリ厚のもの)
・シュラフ・・・モンベル バロウバック#3
・インサレーション・・・パタゴニア ナノパフジャケット
・ダウンパンツ・・・ナンガ ポータブルダウンパンツ
・像足・・・モンベル エクセロフトフットウォーマー
・ハクキンカイロ
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以上で快適に眠れました。
湿気ったシュラフの匂いに包まれて、深い眠りがやってくるのでした。
まとめ
雨の樹林帯歩きは、確かに不快でしたが、真夏のそれとは違って、傘があれば小雨程度なら楽しめると思いました。
もっと強い雨の場合は、登山道が川のようになってしまったり、土が田んぼのようにぐちゃぐちゃになったら滑って危険だと思います。
木道はありがたいですが、重たいテント泊装備を担いでいるとブレーキが効かず、滑りやすいので注意が必要です。
また、ザックカバーをつけていても浸水しますので、ザック内のものも防水対策が必要です。
岳沢小屋は素敵なロケーションに建っている小ぢんまりとした小屋です。
トイレもキレイでしたし、スタッフさんも親切です。
キャパの限度もありますし、混雑するときこそマナーを守って利用すると良いとおもいます。
予約は必須ですし、テン場も張れない場合は沢に設営しますので、マット等で対処できるように想定しておくと良いと思います。
前穂高アタック編につづく・・・
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