登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

パタゴニア

残雪期おすすめの山[中央アルプス・木曽駒ケ岳]

木曽駒ケ岳 ゴールデンウィーク登山

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今年のGWは10連休。

前半は唐松岳にテント泊で行ってきました。

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下山後、その足で大好きなホームマウンテン、中ア木曽駒ケ岳に行ってきました。

 

木曽駒ケ岳の概要

改めて紹介すると、木曽駒ケ岳は標高2956m、中央アルプス(木曽山脈)の最高峰です。

他の山と比べ、非情に急峻ですが、駒ケ岳ロープウェイを利用することで、一気に2612mまで標高を稼ぐことができます。

ロープウェイの千畳敷駅は、目の前がカールと呼ばれる、氷河が削って出来上がったお椀状の地形に、初夏は一面のお花畑が広がり、遊歩道も整備されています。

登山道は八丁坂という急登を登ると、50分ほどで乗越浄土という尾根の鞍部に飛び出します。

乗越浄土からは、正面に木曽駒ケ岳の前衛峰である「中岳」、左手には天空に突き刺す「宝剣岳」、右手には「伊那前岳」と、大パノラマが広がっています。

ここからさらに中岳を越え、木曽駒ケ岳頂上山荘の鞍部から、さらに登り返すと、本峰、駒ケ岳に登頂します。

日帰りの登山者も多いですが、是非、宝剣山荘に泊まって贅沢な時間を過ごすのも、おすすめです。

木曽駒ケ岳のアクセス

木曽駒ケ岳は、中央道・駒ヶ根ICから5分程で「菅の台バスターミナル」に到着します。菅の台には、駐車場、トイレ、自販機があります。

そこから山岳バスに乗り30分でロープウェイの「しらび平駅」に到着します。

バスから外を見ていると、カモシカに遭遇することもあります。

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シラビソ、ダケカンバの森を抜けると、いよいよロープウェイです。

7分間の空中散歩であっという間に標高2612メートル、日本で一番高い駅、千畳敷に到着です。

 

 

<料金>

菅の台駐車場:600円(一日)

バス・・・菅の台⇔しらび平:1640円(往復)

ロープウェイ・・・しらび平⇔千畳敷:2490円(往復)

登山ルート詳細

<コースタイム>

※残雪期、小屋泊装備の場合(個人差がありますので日帰りの場合は余裕を持った行動が良いと思います)

千畳敷→乗越浄土:50分

乗越浄土→中岳:20分

中岳→駒ケ岳:30分

 

<登山ルート>

まだこの時期も冬季の入り口があります。

コンパネを敷いた床に、ベンチもありますので、座ったままアイゼンを履くことができます。

ここで登山届も提出します。

 

木曽駒ケ岳、いざゆかん!

 

・まずは乗越浄土まで

いや~!来た来た。

 

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向かう先に壁のように聳えるカールが目に飛び込んできます。

稜線に切り取られた空とのコントラスト。

人が蟻んこの行列のように乗越浄土に向かって列を作っています。

 

冬季とは違って、神社から回り込みます。

 

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数日前のドカ雪のおかげで、雪も腐りきらずに、思っていたより歩きやすいです。

 

千畳敷スキー場は、今年はTバーリフトが中止ですが、お客さんはたくさんいます。

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昨日の唐松岳の後遺症で筋肉痛が!(泣)

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それでも嬉しくて、ついついペースが上がってしまいます。

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おなじみのオットセイ岩。

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この先は春でも凍ってガチガチになっていると、恐怖ゾーンになりますが、今日は登りやすい。

 

アイゼンを履いていない人も見かけます。中には布スニーカーの人も(驚)

事故にならないといいなぁ。

途中で撤退する人も。

もし登れても、下山は恐怖感が違います。

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春でも、天候が悪くなれば、一気に真冬に逆戻りすることもありますので、前爪のあるアイゼンとピッケルは必携ですね。

 

 

息が上がったころに、乗越浄土に飛び出すと、長い歴史の間、ずっと変わらずそこにある絶景が目に飛び込んできます。

私たちが、日常で悩んだり、病気になったり、気持ちが腐ったり。また嬉しいことがあったりしても、私たちが生まれるずっとずっと前からここにある景色。

それを「ひーひー」言いながら登ってきて眺めていると、日頃の憂いが消えさるようです。

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右は、なめらかな稜線が伸びる伊那前岳。

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そして正面の中岳から、さらに左で天空に穂先を突き刺しているのが宝剣岳です。

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やっぱいいいなぁ。何度来ても、いつ来ても感嘆の声が漏れます。

 

さて、特徴的な可愛い青い屋根の宝剣山荘に向かいます。

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今日も格闘家風の頼もしい支配人さんが出迎えてくれました。

 

・乗越浄土から駒ヶ岳まで

 

受付を済ませたら、駒ヶ岳に向かいます。

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本当は巻道も好きなのですが、この時期はまだ通行できません。

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 このまま中岳を越えていきます。

けっこう踏み抜きますので、ハイマツなどの植物を傷つけないよう慎重に進みます。

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ここから振り返った景観が一番のお気に入りです。

 

2925m、中岳

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このまま頂上山荘のある鞍部まで下ります。

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雪の下は岩道なので、溶けて小川のように水が流れています。

しつこいですが、踏み抜きやすくなっていますので要注意です。

パートナーは岩の隙間を踏み抜いてスネを強打!

痛そうです(泣)

 

頂上山荘。

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頂上山荘からは、一気に直登です。

 

気合を入れてずんずん進みます。

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もうちょい!

 

頂上です!

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風は吹くのを忘れてしまったのか、時間が止まったように静まり返っています。

雪の上にいるセッケイカワゲラを捕食しにやってきたイワヒバリの足音まで聞こえてきそうです。

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御嶽山

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三ノ沢方面の峰々

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しばらくここで過ごすことにしました。

 

日帰りのお客さんは丁度下山したところで、山頂は貸し切りです。

パーコレーターで沸かしたコーヒーを啜り、何も考えずぼんやりする贅沢。

少しお散歩すると、頂上木曽小屋の屋根が見えています。

この先はシーズンになると可憐に咲くコマクサが見られます。

 

気が付けば2時間近く山頂にいました。

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こんなに長く山頂に滞在したのは初めてです。

ぽつぽつと空に浮かんだ雲は、ゆっくりゆっくり。

天候がしばらく安定することを物語っています。

 

夕食の時間もあるので、ゆっくり下山します。

 

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試しに前転して滑落停止の練習!

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パートナーも一人バックドロップで練習!(笑)

 

頂上山荘のテン場も一面雪ですが、雪が融け、ここがテントで埋まる頃を思い出すと、昔味わった幸せがこちらに微笑みかけてくるようです。

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中岳からの下山は、大好きな景色を見ながら進み、あっという間に宝剣山荘です。

 

 

営業している山小屋[宝剣山荘]

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 ただいま~♪

山荘の中は皆さん思い思いに過ごしています。

 

この時期に中央アルプスで営業している山小屋は宝剣山荘だけです。

宝剣岳の北側直下に位置し、窓から伊那前岳を眺めながら過ごすことができる贅沢なロケーションです。

料金は一泊二食で9500円。

この時期は水場が凍っていますので、水はなるべく持参した方が良いです。

売店でもビールやジュースが売っています。 

 

facebookで最新の登山道の情報も配信しているので安心です。

何よりスタッフのみなさんは遭対協の救助隊員ですので心強いですし、登山に関するアドバイスもいただけます。

建物の作りは歴史を感じる趣きがあり、鉄骨の山岳建築様式を垣間見ることができます。

 

テント泊ではなかなか味わえない、お客さん同士の交流も小屋泊の素敵なポイントですね。

大きな規模の小屋での慌ただしい食事時間では、なかなか会話のきっかけを掴めませんが、アットホームな宝剣山荘で、あまり混雑しないこの時期だからこそ、引っ込み思案な私でも出会いがあるんだと思います。

 

食事は普段のテント泊ではなかなか食べることのできない揚げ物やハンバーグが!

一番のおすすめポイントは白米が美味しいことです!

標高の高い場所では、沸点が低いため、なかなかお米を美味しく炊くことができないと言われていますが、白米の美味しさは、№1だと思います。 

 

九州から燕岳をやって、そのまま木曽駒に来たという素敵な(&気合バリバリな)ご夫婦と、山談義で盛り上がります。下山前にパチリ♪

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おまけ編[伊那前岳の様子]

 二日目・・・

朝食は、これまた美味しくいただき、今日も風が無いので伊那前岳に行ってみます。

積雪期の伊那前はまだやったことがありません。

いつも和合ノ頭までで、その先の稜線歩きが怖くていったことがありません。

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今日も行ける所まで行って、無理はしないつもりです。

 

伊那前岳、いざゆかん!

 

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登り始めは緩やかなトラバース。

踏み抜いてバランスを崩さないように慎重に。

まだ早朝なので、雪の表面がサクサクしています。

 

千畳敷側(夏道側)はズブズブと踏み抜きますし、そのまま架線沢を落ちたら恥ずかしいので、和合ノ頭から岩の露出した稜線を進むことにします。

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すぐに汗だく。

Tシャツ1枚で進みます。

だめだ!

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数分で陽が高くなり、さらにズブズブになり、隠れた岩の隙間を踏み抜きます。

雪庇もあり、なんだか嫌な予感がするので、残念ですが、ここまでにします。

 

恐る恐る戻ります。

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でも・・・

今度はまた違った角度から見る宝剣岳がかっこいい!

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しばらく景色を堪能し、戻ります。 

そのまま山荘周辺を徘徊し、山荘のスタッフさんにご挨拶して下山します。

 

八丁坂の下山 アイゼンなしVer.

下山はアイゼンを履かずに、歩行の訓練をします。

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恐怖心から身体を山側に寝かすと、足の裏の力が谷に抜けてバランスを崩してしまいます。

靴のソールで踏みつけてステップを作るよう、思い切って谷側に上半身を起こして一歩一歩カニ歩きで降ります。

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オットセイの岩からは、グリセードの練習。

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もちろん、登ってくる登山者がいないことを確認してから。

どこもかしこもトレースでボコボコで、さらに斜度が足りないのか、なかなか上手くいきません。

 

きゃぁ~!!

失敗してクルっと停止。

ズリズリズリ~となかなか止まらず、ゆっくりと滑り落ちながら、爪先を蹴り込んで停止。

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くやしい!でも楽しい!

もっと上手くできるように練習しなければ。

 

楽しい時間はあっという間で、千畳敷駅に到着。

 

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おいでなんしょ!木曽駒ケ岳。

 

 

まとめ

ゴールデンウィークの木曽駒ケ岳は、暖かい(夜は氷点下になりますが)環境で雪山に登れる絶好のチャンスです。

それでも注意点がいくつかあります。

 

<気象の急変>

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春は冬のように好天が数日続くことはなく、1~2日周期で、急に真冬に逆戻りすることがあります。

雪の中でのホワイトアウトはとても怖いです。

天気予報は登る直前にチェックしておく必要があります。

また、無雪期に何度か登っていると安心だと思います。

私は、日帰りの場合でも、ツェルト、無線、GPS、ビレイヤ―ダウン、予備の食糧等、これでもかっ!っていう程装備します。

冬に合わせて、前爪のあるアイゼン、ピッケル、暖かい格好も必要です。

また、一日の中での気温差が激しく、前日融けた雪が明け方に凍って、ガチガチのアイスバーンになることもあります。

 

<雪の状況>

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春の雪は、水分を含んで重く、ズブズブと踏み抜くと膝上まで埋まります。

また雪崩の場合も、表層でも重くなるので注意が必要です。

千畳敷は雪崩の多発ゾーンなので、できれば千畳敷スキー場がオープンしてから登ると良いと思います。

斜面にできたシワや、ひび割れは全層雪崩の前兆です。

ボコボコしたデブリがある箇所は、上部の雪庇が崩れた跡なので注意しましょう。

それから、雪に反射する紫外線も大敵です。

曇り空でもサングラス、日焼け止めは必須アイテムです。

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