秋の木曽駒ケ岳でテント泊
9月の連休、木曽駒ケ岳にテント泊で登ってきました。
今年はなかなか登れず、思い返せば木曽駒は正月に登って以来となります。
- ・木曽駒ケ岳の概要
- ・木曽駒ケ岳の登山ルート
- ・木曽駒ケ岳の穴場ルートを紹介します
- ・木曽駒ケ岳テント場の攻略法
- ・「お花がたくさん」頂上アタックのおすすめルート
- ・山でつくる絶品スパイスカレー
- ・秋の山の寒さを快適に過ごす服装と装備
- ・下山の様子
・木曽駒ケ岳の概要
木曽駒ケ岳は、中央アルプスの主峰で、標高は2,956mです。
とても急峻な山ですが、駒ケ岳ロープウェイを利用することで日帰りの登頂も可能です。
逆に、ロープウェイで一気に2,612mの千畳敷駅まで登れてしまうので、軽装備になりがちですが、ここは3,000m級の山なので、しっかりした装備が必要です。
・木曽駒ケ岳の登山ルート
木曽駒ヶ岳一帯は、比較的短い行動時間の範囲に、色々なルートとピークが凝縮されていて、何度訪れても魅力が尽きることはありません。
駐車場は麓の菅野台バスターミナルに隣接していて、トイレや自販機もあります。
・駐車場代金は一日800円
・バスとロープウェイの往復チケットは、4200円(大人)
料金は時々改定するので、詳しくはHPをチェックしてください。
また、雨天時は雨量規制によりバスが運休になることもしばしばありますので、こちらもHPで確認が必要です。
夏休みシーズンや、秋の紅葉シーズンは、混雑具合に合わせて臨時バスが早く出ますが、しらび平駅からのロープウェイは整理券が配られ、結構待つこともあります。
ここから、バスに乗って、ロープウェイ乗り場のある、しらび平駅まで30分ほど。
そこからロープウェイの空中散歩を7分楽しんだら、絶景の千畳敷駅に到着です。
千畳敷駅に到着するとあいにくの雨。
でも予報では好転するはずなので、千畳敷駅/ホテル千畳敷の「2612cafe」で朝ご飯です。(カウンターから漂ってくる美味しそうな匂いの誘惑に勝てませんでした)
知り合いの小屋のスタッフさんと遭遇したので、上の様子をお聞きすると、強風でまだテントは張れない状況らしい。「ゆっくり登ってくるといいよ」とアドバイスをいただきました。
子供のようにそわそわしながら天気を気にしつつ待ちます。日帰りのお客さんは、シェルを着込んでどんどん出発していきますが、焦らない、焦らない。
何度も外に出たり入ったりしていると、ガスが掃けて乗越が見えてきたので、出発します。
シャァ~!
久しぶりの木曽駒ケ岳、いざゆかん!
これだ~!この感じ♪
壁のように聳える千畳敷カールの八丁坂を、空に向かって登ります。
紅葉はもう少し先ですが、秋らしく乾いた空気が足音を吸い込んでいきます。
秋の山特有の空気感。太陽の純粋な熱を感じながら、空気を胸いっぱいに吸い込みます。
岩ヒバリが低く飛びまわり、夏のなごりを繋ぎとめるように鳴いています。
冷たい風が身体の熱気をさらってくれるので、汗もそれほどかきません。
この時期は天気が読めればソフトシェルが大活躍ですね。
オットセイ岩もご無沙汰です。
宝剣岳を見守る岩に「元気だったか~?」と挨拶。
木曽駒ケ岳は行動時間も短いので、いつもあれやこれや、無駄なものを持っていってしまいます。
ザックは、モンスターゾーンまで使ってパンパンに。ちょっと恥ずかしい。
あ、階段が整備されて新しくなっていました。
感謝、感謝です。
ハイテンションでぐんぐん登って、40分で乗越浄土。
飛ばしすぎ!アルブミン全開です!
千畳敷で待機した甲斐があって、念願の夢にまで見た(実際に夢に見ました)大パノラマが広がります。
なだらかな尾根が涅槃像を連想させる伊那前岳。
空には刷毛で履いたような雲がゆっくり伸びています。
天空に突き刺さる岩峰は宝剣岳。すでに渋滞ができています。
正面には中岳を越して、遠くに木曽駒ケ岳の山頂が見えます。
そして青い屋根の宝剣山荘と赤い屋根の天狗荘がシャンパン色の陽光を浴びて輝いています。
まずは支配人さんにご挨拶。「お世話になります!」
まるで実家に帰ってきたような、ほっとする山小屋です。
・木曽駒ケ岳の穴場ルートを紹介します
ご挨拶を済ませたら、テント場のある頂上山荘まで。
中岳を越えるルートが景色も良く安全でおすすめですが、私は無雪期で強風でなければ巻き道を使うことが多いです。
中岳からの眺めも大好きなので、それは下山時の楽しみにとっておきます。
巻き道は、強風のときはちょっと危ないので要注意です。積雪期は通行止めになります。
地図上では破線ルートになっています。
三点確保ができれば、問題なく通過できますが、くどいようですが、強風時はちょっと怖いです。
それでも高低差が少ないし、岩歩きも楽しいし、三ノ沢方面や深い谷が見渡せるので私の好きな道です。
切り立った崖沿いで、装備が重いと不安定になる箇所もあります。
不安で引き返してきた人もいました。
・木曽駒ケ岳テント場の攻略法
岩道を乗り越えると、ぽつんと佇む頂上山荘が見えてきました。
「ただいま~」
頂上山荘のテント場は第二の我が家。
何度ここに泊まったことか。
頂上を踏まずにのんびり過ごすために来ることもあります。
「今週は疲れたからキソコマでのんびりしようか?」なんてセリフもしばしばです。
読書をしたり、音楽を聴いたり。パーコレーターでコーヒーを淹れて、気が付けばお昼寝していることもあります。
受付でご挨拶をすると、スタッフのみなさんもお元気そう。
フラットな場所を探してテント設営をします。
今夜は強風になりそうなので、大きな石でガイラインを固定します。
おでこに血管を浮き上がらせたパートナーが、奇声を発しながら大きな石を運んでくれました。
助かりますが、近所迷惑なので、おやつを与えて鎮静します(笑)
ポールのショックコードも交換したので、シャキンシャキンと接続できて設営も楽しい。
テント泊装備についてはこちら↓
水場は、小屋の入口の左側の壁に蛇口が付いています。
夜間は止まってしまうので注意が必要です。※夜間はトイレの洗面台が可能。
清掃の行き届いたとても綺麗なトイレです。
トイレは朝の7時から清掃が終わるまで使用できません。
さて、頂上を見上げると結構混んでいますので、コンビニのおにぎりを食べて、ゆったり流れる贅沢な時間を過ごします。
・「お花がたくさん」頂上アタックのおすすめルート
テントのフライ越しに照らす陽光が温かく、徐々の増えてくるテント泊まるのお客さんの足音や笑い声。まるで昔味わった幸せが遠くから微笑みかけてくるようです。
気が付いたら昼過ぎまで寝てしまいまいた。
頂上を見上げると人が少なくなってきましたので、眠い目を擦り、準備運動をしたら、アタック開始。
頂上山荘から直登するルートが一般的ですが、私の好きなルートは、頂上山荘から西駒山荘・将棋頭山方面に迂回するルートです。
こちらは、迂回するぶん時間は少しかかりますが、なだらかで登りやすいです。
西駒へ延びる尾根や、伊那前岳の稜線を眺めながらのんびりした気持ちで進みます。
このルートはお花も多いので楽しめます。
今はチングルマの綿帽子が、西日に反射し、風と戯れる姿が情緒的です。
あっという間に山頂です。
山頂からは、中岳越しの宝剣岳がフォトジェニック。
午後の日差しを浴びる福島Aコース・上松Bコースと、雲の向こうに浮かぶ御岳山もエモいですね。
陽が傾くと、夕闇の気配を含んだ風が今夜の寒さを予感させます。
山頂には二つのお社があります。
東側にある伊那駒ケ岳神社と、西側にある木曽駒ケ岳神社。
厳冬期の登山では、木曽駒ケ岳神社が強風の盾になってくれます。
厳冬期にビバークになってしまったけど、なんとか生還できたのも、ここの神様のおかげです。
いつもお礼参りをして、安全な登山を誓います。
下山の穴場ルートは、頂上からさらに進んで頂上木曽小屋から折り返して頂上山荘まで戻ってくるルートです。
こちらはコマクサが群生していて、白い砂礫に可憐に咲くピンクの花弁に癒されます。
もう一つの下山の穴場ルートは、「その3」の分岐よりさらにちょっと進んで折り返し、頂上山荘まで戻るルートです。
地図上は破線になっていますので危険です。
道も荒れていて、頭上を「その③ルート」が通っていますので上からの落石に注意が必要です。
また、斜面をトラバースするような細い道で、あまり人も通らないので、滑落しても気づいてもらえません。
岩場歩きに慣れていて、人の少ないところでシャッターチャンスを待ちたい方にもおすすめです。
今回は一度テントに戻ってから引き返してきて、タイムプラス動画を撮ってみましたので、よろしければYouTubeをご覧ください。
・山でつくる絶品スパイスカレー
普段のテント泊山行では、装備を軽くしたいので、食事のメニューは限定的になってしまいますが、木曽駒ケ岳は行動時間が短いので、メニューも色々作ることができます。
今回はスパイスカレーに挑戦します。
カレー作りになると、なぜか気合を入れだして、奇怪なメロディーの鼻歌を歌い出すパートナー・・・。
炊飯のコツは↓
とても簡単で美味しいです。
今回は強風だったのでテント内でストーブを使っていますが、基本的には非推奨です。
私は、厳冬期は大体テント内で料理してしまうので慣れていますが、それでも気が抜けません。
一酸化炭素中毒の恐れもあり、ストーブをひっくり返したら、化学繊維のテントは一瞬で燃えてしまいます。
換気をしっかりして、防炎シートを使うと少しは安心です。
できれば、折り畳み式の風よけを使用して、テントの外で料理すると良いと思います。
エバニューのTiフーボーなら超軽量なのでおすすめです。
・秋の山の寒さを快適に過ごす服装と装備
秋の服装は、「かなり寒い」と思って準備しておいた方が良いと思います。
今回はかなり寒く、翌朝は雪の予報でした。
折り畳みチェアまで持っていきましたが、テントの外でのんびりできる気温ではなかったです。
・行動中は夏服に、天気が良ければソフトシェルで調整。
・停滞中~夜間は、フリースにダウン上下、ニット帽があると快適です。
寝るときは、モンベルのバロウバッグ#3以上のシュラフにダウン上下、象足があると快適です。
それでも寒い場合は、ナルゲンボトルにお湯を入れて湯たんぽにするとかなり温かいです。
ハクキンカイロも持っていけばよかったです。
稜線を渡ってくるゴーという風の音、他のテントの楽しそうなヒソヒソ話、何かを炒めている美味しそうな匂い。テント場はいろんな人のいろんな幸せに満ちています。
シュラフの口を限界まで閉めると、意識も夕闇に溶けていきます。
・下山の様子
翌朝、時折風に煽られた雨粒が、テントのフライに砂のように叩き付けられています。
当初からのんびり二泊する予定だったので、周りのテントが撤収する中、微睡タイムです。
この雨の音も、木曽駒ならなんだか幸せに感じるから不思議です。
水場の取水タンクシステムをチェックする小屋のお兄さん。
私たちが快適、安全に山で過ごせるのも小屋のスタッフさんたちのおかげなんですね。
今日は一日、寝たり食べたり、お散歩したり。
こんなに贅沢に過ごす時間は下界ではなかなかありません。
そして、さらに次の朝。
いよいよ下山です。
下山の日に限って天気が良い。
ご来光を見ようと、中岳に。
ダウン上下のまま、シェルを着込んで岩の上へ。
残念ながら、太陽は雲の向こうで明るく輝いています。
ご来光を見えませんでしたが、ゆっくり確実に姿を現す伊那前岳から宝剣岳の稜線。
さらに遠くには甲斐駒から塩見まで南アがくっきりと見えます。
振り返ると御岳が鎮座し、さらに右に目をやると槍ヶ岳が見えます。
テント場に戻り、テントを乾かしながらゆっくり撤収です。
今日の始発組が到着しはじめました。
すごい人数。
八丁坂の渋滞が心配です。
パッキングを終え、下山します。
まずは中岳へ登ります。
中岳からの大好きな景色。
極楽平から下山しようと思いましたが、宝剣がこれまたなかなかの渋滞なので、諦めて八丁坂から下山することに。
八丁坂はすごい渋滞。
こんなときは譲り合いの精神で。
登り優先ですが、相手の疲労具合を判断しながら先に降りることもあります。
大きなザックが邪魔にならないように気を付けて、むやみに振り返ると危険です。
登りの時は気づかなかった景色を楽しみながら。
紅葉はあと一週間後でしょうか。
標高を下げるにつれ、ぱんぱんに浮腫む手に、下山の寂しさを感じながら、千畳敷に到着しました。
木曽駒ケ岳、やっぱりフェイバリットホームマウンテンです。
また来るよ!!