登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

パタゴニア

【テント泊縦走】薬師岳 ルートガイド~五色ヶ原から立山室堂へ~4DAYS

五色ヶ原から立山室堂へ~テントを担いで・・・

 

薬師岳を縦走したくて、折立から立山室堂まで、4日間の計画で縦走します。

今回は最終日の4日目、雲上の楽園と称される五色ヶ原を出発し、ザラ峠、浄土山を踏んで立山室堂へ下山します。

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前回の記事はこちら↓

www.chillpaine.com

 

五色が原~室堂までのルート

5:00am五色ヶ原

さて、今日はスタートから悪天候で視界不良です。

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まるで雲の中を歩いているようです。

今日の行動時間は5時間近くの予定。

 下山後は、車を駐車している折立キャンプ場まで戻らなければいけません。

キャンプ場へ通じる有峰林道は通行時間が決まっているので、今日も5:00にスタートします。

 

標高2500メートル。広大な溶岩台地。

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池塘が点在する五色ヶ原から立山に向けて木道を進みます。

ルートは右手に見える獅子岳の急登をいきます。

 

天気が良ければ振り返ると鷲岳、鳶山が見えるはずです。

例年は山腹に多くの雪渓が残っているのですが、今年は少なめです。

小屋の水の確保にとっては切実な問題です。

 

ここからザラ峠に落ち込みます。

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立山カルデラの縁を沿うように木道があります。

鞍部からは、獅子岳への上り返しと鬼岳のトラバースが待ち受けています。

ザラ峠への下りは、踏み外さないように。

 

標高2348mのザラ峠。ここは昔から立山連峰横断の古道が通っていたと言われています。

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有名な戦国武将、佐々成政が、厳冬期のアルプス越えをしたルートと言われています。

 

 

ここから標高2741mの獅子岳へ登り返します。

高低差は393m。

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ジグザグに進む道は、かなりザレていて歩きにくい。

ハイマツが切れると今度は浮石ゾーンです。

 

獅子岳上部は岩場の連続で、ザックの重さのせいで、一歩一歩「フンッ」と踏ん張りが必要ですが、変化に富んでいて楽しく登れます。

2連の梯子。

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高度感はありませんが、濡れて滑るのでヒヤヒヤしました。

 

そしてすぐに短い鎖です。

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このルートの核心部と言えそうですが、高度感もないので、初心者でも問題なくクリアできそうです。

 

鎖場を抜けると、緩やかなハイマツ帯になるので、息を整えながら先に進みます。

獅子岳山頂まではコブを二つ、東斜面を巻きながら越えます。

トラバースのように進む箇所も、スタンスは豊富です。濡れて滑るので緊張しましたが、通常であれば斜面も緩いので怖くはありません。 

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この先の緩くなったあたりから獅子岳のピークが見えるはずですが、真っ白けっけ。

 

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!!

モーニング中の雷鳥さんがいました!

小ぶりで若い雷鳥です。食べることに夢中で、こちらに全く見向きしません。

悪天でもこんなチャンスがあるから捨てたものではないですね♪

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出発から50分

5:50am獅子岳

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獅子岳山頂からは次の鬼岳が、ガスの切れ間に薄っすらコブのように見えます。その左には龍王岳の影も見えます。

天気が良ければその右手は立山雄山まで見えるはずです。

 

獅子岳から先はハイマツの中を進み、鬼岳の右側を越えていきます。

 

鬼岳へ進む鞍部は木道になっています。

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段々と風が強くなってきました。

視界も悪く、あたり一面が真っ白なガスの中です。

それでも足元に咲く可憐なお花たちに癒されます。

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一年のほとんどが雪で閉ざされ、雪解けしても気温の寒暖差に強烈な爆風。自然の美しさは過酷さの中にしか存在しないんですね。

 

登山道は鬼岳の手前で右手に折れて、鬼岳東側の稜線に飛び出します。

 

鬼岳の稜線に出る手前は、急登の岩場。

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鬼岳東側の稜線から振り返ると獅子岳が見えます。この辺りの斜面には、7月になり雪渓が溶けると、一気にお花畑が広がるそうです。

 

鬼岳の東斜面は、岩の殿堂。

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ごつごつの壁面が出迎えます。

 

7:10am鬼岳東面

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鬼岳東面を巻く基部は雪渓ゾーンですが、このときは溶けている箇所を進むことができました。

下手に踏み抜いて脛を強打!なんてこともよくあります(泣)

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初夏にはもっと雪渓が残り、フィックスが張られていますが、慣れていれば軽アイゼンが無くても進めます。

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私はお守りとしていつも軽アイゼンを持っていきますが、装着が面倒なので、ポールに頼りながら恐る恐る進むのがいつものパターンです(苦笑)

 

短い梯子。下が固定されていないのでバインバイン揺れます。体重のせいか!?

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登りきると、緩斜面になり一安心です。

 

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龍王岳も城壁を連想させる岩壁を東面に抱えています。

登山道は左側を巻きます。

この岩壁はクライミングルートになっています。

 

龍王の左側(南斜面)を巻くように進みますがザレザレで滑りやすいです。

 

途中からは岩場。斜度は緩いですが、テン泊装備だと、一歩一歩が重くてつらい。

風の威力はさらに増して、爆風です!

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龍王岳の西面まで進むと、登山道は緩くなります。

先に見える丸い丘のようなピークが浄土山。

 

龍王岳の山頂を踏むには、越えた西面からピストンすることができます。

今回は視界も効かないため、またのお楽しみに取っておきます。

 

寒い。10m先も見えなくなってきました。

念のためGPSを起動させて進んでいると、建物らしき黒い影が。 

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例の富山大学立山研究所です。

 

8:10am浄土山

ここが浄土山南峰です。

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いつもなら雄山に登るときによく休憩する場所でベンチもありますが、強風と寒さと雨のため、休憩どころじゃないので、このまま先に進みます。

悪天候で爆風ですが、なんとなく静かな雰囲気があるのは山岳信仰の山ならではですね。

 

北峰はこのちょっと先に石垣が積まれた軍人霊碑のところです。

「北峰」という標識も見当たらないので、最初来たときは場所がわからず周辺を彷徨ったことを思い出します。

 

さてここからはどんどん標高を下げて、室堂まで。

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ごつごつした岩の急傾斜は、雨のため滑りやすく、爆風に煽られるので、バランスを保ちながら歩くのにかなり消耗します。

 

遠くは何も見えない。誰ともすれ違わない。異世界に迷い込んだようです。

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ずっと同じ景色の中を、ずっと滑るのに注意しながら。地味に疲労します。

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登山道の様子が変わり、整備されてきました。

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室堂はあと少し。

本当なら、雄山や別山、眼下にはみくりが池や雷鳥沢が見えるはずです。

 

9:40am立山室堂

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雨、強風、ガスにまみれながら、ゴール!

 

コースタイム

五色ヶ原
     0:50
獅子岳
     1:20
鬼岳東面
     1:00
浄土山
     1:30
室堂

 

合計4時間40分(休憩を含みます)

 

<折立からの移動距離>

 31.8キロ

 

<4日間合計移動時間>

折立~薬師峠    4時間20分

薬師峠~スゴ乗越  6時間40分

スゴ乗越~五色ヶ原 6時間47分

五色ヶ原~室堂   4時間40分


       合計 22時間27分

「まとめ」縦走のコツ、装備など

3泊4日の薬師岳縦走。今回は一日の行動時間を短く設定しましたので、装備も削らずに、快適にテン泊縦走ができました。

持ってき良かったor持ってくれば良かったものに下線を引いておきます。

 

<折立から薬師峠>

太郎平までは、危険個所もなく、足慣らしに丁度良いウォーミングアップとなりました。アブの襲来には虫よけスプレーが効果的でした。

一番キツかったのは、薬師峠テン場の日差しの強さ。

日避けになる折り畳み傘があると快適だったと思います。

太郎平小屋の「行者にんにくラーメン」がおすすめです。

日程に余裕があれば、ピストンで黒部五郎も登っちゃいましょう!

 

<薬師峠からスゴ乗越>

薬師岳は薬師~北薬師のやせ尾根が核心です。ルートが薬師岳の日本海側斜面で、風を遮るものがありません。悪天候時は日本海側からの雨と爆風を受け続けますので、事前にシェルのフードを調整したり、濡れたら困るものを防水サックに入れたりして挑むと良いと思います。

寒さで手が凍りそうでしたが、フリースの手袋しか持っていなかったので使いませんでした。この季節なら「ジャージ・テムレス」を持ってくれば良かったです。

スゴ乗越までは本当に遠く感じますので、余裕を持った計画が必要です。

悪天が続いたため、スゴ乗越で計3泊しましたが、小屋の「スパイスカレー」が最高で、狭いことを除けば、かなりおすすめのテント場です。

停滞したこともありますが、飲み物を結構買いました。この四日間ジュースで生きていたと言っても過言ではありません(笑)とは言え予算の都合もあるので、お湯を沸かしてコーヒーも大量に飲んだので、インスタントコーヒーの消費量が激しかったです。

粉のスポーツ飲料や、麦茶パックも活躍しました。前日に作ってナルゲンボトルに入れておけば、翌日の行動中に飲むことができます。

 

<スゴ乗越から五色ヶ原>

スゴ乗越で停滞して正解でした。

とにかくアップダウンの連続で、「雨の中行動していたら」と考えるとグロッキーになります。

乾いていなくて滑りやすい箇所もあるので、トレッキングポールが安心でした。

天気が良ければ、ピークに登る度に、後ろは薬師岳、進行方向は立山と、絶景が待っていますので、励みになると思います。

五色ヶ原は、本当に雲の上の楽園。雪渓にお花畑、太陽の光を反射する池塘が点在し、草原をゆっくり流れるガス。そこをゆっくり進むと、まるで天国にいるようです。

テント場は広く、開放的で、立山からココを目指してのんびり過ごすのもおすすめです。

 

<五色ヶ原~立山室堂>

スーパースター級のピークはありませんが、変化に富んだ面白いルートです。

ハシゴや鎖もありますが、恐怖感もなく通過できました。

天気が良ければ龍王も踏みたかったです。

初夏は、鬼岳の基部が雪渓になりますので、慣れていない人は軽アイゼンチェーンスパイクがあると安心です。

もし天気が良くて時間があれば、雄山を踏んで、雷鳥沢で一泊するのも素敵だなと思いました。

できれば剱までやれたら最高ですね!

 

<番外編>

ちなみにパートナーは四日間一度もTシャツを着替えませんでしたが、まったく無臭!どうやらウールのTシャツの効果だそうです!

 

下山後にそのまま美容室に行こうとしていたのは、さすがに制止しましたが(笑)

 

薬師岳、また来るよ~!

よろしければyoutubeにもアップしましたので是非ご覧ください!

https://youtu.be/7dZqKK9nQV8

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