オールドコンデジって山の記憶を切り取るのに丁度良いかも。
私は山にはいつもカメラを持って行きます
「山岳写真」みたいな立派なものではなくて、山で出会った心が動かされる瞬間を
ただ撮る事が好きなだけです。
私のカメラ遍歴は、最初にLOMO LC-Aというロシア製のフィルムのトイカメラから始まり、NIKONのFM2、F3、U2・・・。
デジタルは、起動の速さと厳冬期のバッテリーの安定性からフルサイズの一眼を使っています(ただし腕前は素人です)。
でも今回は、人間臭さのある不思議なデジカメについて紹介したいと思います。
・Cannon IXY DIGITAL10とIXI 600Fについて
今日使うカメラは、CannonのIXY digital10とIXY 600Fという、とても古いカメラ。
最近は「オールドデジカメ」とか「オールドコンデジ」と呼ばれてInstagramやTicTokでもちらほら見かける、小さくてかわいいカメラたち。
最近はとくに人気が上がって、YOASOBIの幾田りらさんとか、Le Ssrafimの宮脇咲良さんとかも愛用しているようです。
海外ではファッションのモデルのベラ・ハディットさんとか女優のサブリナ・カーペンターさんとか。
人気が出るのはうれしいことだけど、一度気に入ると、壊れても新機種には目もくれず、また古い型のカメラを何度もリピート買いする私にとっては、値上がりが気になるところ。
なにせRicohのCXを3回も買い直す程なので・・・。
「CannonのIXY digital10のこと」
CannonのIXY digital10は昔実家でデジカメを買い替えるタイミングで、「まだ使える!」と山の記録用に貰ったもの。
それまで私は祖父に貰った、レンズカバーが閉じなくなったMINOLTAのDIMAGE Xというコンデジを山で使っていました。これもかなりコンパクトで、気に入っていたので、機会があればまた手に入れたいです。
IXY DIGITAL10は20年以上前のモデルですが、現役で活躍しています。
710万画素という今では考えられない低画素と、発展途上のCCDセンサー。
フィルムライクな画が撮れて、私にとってはとんでもなく惹かれる名機です。
「CCDセンサーにこだわらなくても」
このCCDセンサー時代というのは、世の中のフィルムカメラがデジカメへと移行する途上の時期で、絵作りがフィルム写真の写りをお手本にしていたため、その味わいが色濃く残っているのがCCDセンサーと言われています。
なので、フィルムライクというのは、「階調が~」とかではなくて、各メーカーが目指した絵作りがフィルムだったっていうことです。
もう一つのIXY 600Fもそうですが、個人的な感覚ではCCDではなくても、初期のCMOSでもフィルムライクなものもあります。
「IXY 600Fのこと」
さて、もうひとつはIXY 600Fはビンゴで当たったもの。
名刺サイズでポケットに入れるとその存在を忘れてしまうほど小さくて軽い。
こちらは28mmから始まる8倍ズームで、風景を撮りたいときには便利な画角です。
digital10より新しいので、1210万画素のCMOSセンサーですが、DIGITAL10よりもエモーショナルな画を吐き出すことも多いです。
ハイキ―で光をふんわりつかむのが特徴かもしれません。
これは、当時、子育てファミリー層やおしゃれなOLさんをターゲットに開発されたため、明るく優しい色になるように設計されたからじゃないかな、と勝手に想像しています。
動画を撮ると8mmフィルムのような雰囲気になるのもお気に入りポイントです。
この時代のコンデジとしては、私は他にfinepix 200exrを所有していますが、富士フィルムのCCD機は「スーパーCCDハニカム」と呼ばれて、とても解像感があって評判ですが、私には立派すぎるように感じます。ちょっとこってり気味な色づくり。
やっぱり私にはCannonのセンサー色の方が「なんでもない日常」って感じで(もちろん良い意味で)合っているかな。
「オールドデジカメはフィルムライクなんです」
操作性は、ボタンのレスポンスも遅いし、AFスピードが遅い。
でもそれが逆に、一枚一枚ゆっくり撮るしかなくて、「アナログ~」って感じが新鮮です。
モニターも荒くて、PCにつなげるまではどんな写真が取れているか、はっきりわからないところもフィルムみたいで楽しい。
カリカリによく写り過ぎるカメラより、手振れを気にしたり、フォーカスを何度も合わせたり、機械が撮ってるんじゃなくて自分が撮っている、という不思議な満足感があります。
私の愛機NikonのU2は、フィルムのコストがかかるし、失敗が許されないのでハードルが高い。
新しいデジカメとフィルムの間に位置する「オールドコンデジ」なら、不便を楽しむ山で、不便なカメラを使う楽しみがマッチします。
・八ヶ岳にハイキングに行ったので作例を紹介します
八ヶ岳の北端に位置する北横岳。
北横岳は、北八ヶ岳ロープウェイを利用して、標高1,771mの山麓駅から標高2,237mの山頂駅までの高低差466m。
約7分間の空中散歩を楽しみます。
山麓駅を降りたところが、坪庭自然園です。
今日は山頂は踏まずに、この「坪庭~縞枯山荘付近をお散歩します」
どんな写真が撮れたのか、IXY DIGITAL10とIXY 600Fの比較作例を紹介します。
すべて未加工のjpegです。
「まずはIXY digital10から。」
露出オーバー。
雲が白飛び、解像感も「ぼや~」
一般的にはダメダメな写真ですが、私には堪らない。
山では眩しい太陽で、景色の細部まで見えないことが多いです。
また、ガスが沸いてくれば光が乱反射することもあります。
家に帰ってきてこの写真を眺めていると、そんな環境で見たままの景色って、確かにこんな感じ!って記憶が蘇ってきます。
はっきりくっきり写らなかったり、ぼやけたり。
記憶色に変わることもあるし、まるでゆらゆら揺れる人間の記憶のようですね。
「つづいてIXY 600Fで。」
IXY 600Fの方も白飛び、ゴースト、フレア。
でもオートでそのまま撮るのが楽しい。
この光の具合が、実際に山で眩しくて、目を細めたときに見える景色みたい。
IXY DIGITAL 10に比べるとコントラストが低いように感じます。
それからフレアが入りやすいのも、オールドレンズのようで楽しいです。
・まとめ/オールドコンデジと登山のエトセトラ
「山の光」
どっちのカメラも、自分が意図しなかった記憶が写真に映し出されているようで、とても楽しいです。
とくに山の光。
「写真は光」って言いますが、山に行くととても光が溢れています。
日の出、青空と雲、夕焼、星空にマジックアワー。
1日や年間を通じて、いろいろな光の変化が見られます。
「登るついでに」
私には「山岳写真」みたいな立派な写真を取る技術も、その瞬間を待って何時間も耐える根性もありません。
時には日の出や日の入りで真っ赤に焼けた雪山や、テン場から見える風景をじっくり撮ることもあるけれど、結局は山登りそのものが楽しいのであって、そのプロセスの中で「あ、いいな」と思ったら気軽にシャッターを切るのが好きです。
北アルプスの人気ルートなんかで、ハシゴ待ちの渋滞のときでも、「あ、この錆びたハーケン」とか、「眼下のテン場がミニチュアみたいだな」とかっていう瞬間にシャッターを切るには、コンパクトで、なんならノールックでパシャリッとできるのも、オールドコンデジならでは。
「イメージを超えて」
山はこっちのイメージをドーンと越えて、想像もしなかった素晴らしい景色を見せてくれます。
なので、イメージ通りに写ってくれない古くて不便なオールドデジカメなら、こっちが望まなかった嬉しい偶然の瞬間を切り取ってくれます。
「こんなカメラも」
最近はちょっと値上がり傾向のオールドコンデジ。
故障のリスクもあるので、新品で買えるオールド?コンデジもあります。
Kodak PIXPRO FZ55
これはお友達が持っていて、使わせてもらったのですが、写りはまさにオールドコンデジでした。
1365万画素という低い画素数に、28mmから始まる広角の5倍ズームレンズは風景にぴったりだし、しかも8群8枚のレンズってなかなか凄いですね。
マクロ機能で高山植物も撮れるのは正直うらやましいです。
センサーはCMOSですが、色作りはフィルムそのまんまといった印象でした。
昔のコンデジのように適合バッテリーが廃版になる心配もありません。
次買うならこれを狙っています。
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