立山縦走 3000M峰を歩き尽くす!
北アルプス北部にある立山連峰。
室堂平の東側に連なる雄山(3003m)、大汝山(3015m)、富士ノ折立(2999m)の三つのピークを合わせて立山と総称されます。
これに南の浄土山(2831m)、北の別山(2880m)を合わせて立山三山と呼ばれています。
積雪期には登ったことがあったのですが、夏山ははじめてです。
いつもは剱沢に行く通過地点なので、楽しみです。
今回の登山起点は約2450mの室堂から雷鳥沢に2泊3日のテント泊で、立山三峰と別山を縦走しようと思います。
・立山へのアクセス
アクセスは、立山アルペンルートのケーブルカーと、バスを利用して室堂まで向かいます。
夏は立山駅から室堂までの直行バスがあるのですが、高山病が心配。(過去にパートナーが経験&撤退)
やはり美女平でバスに乗り換えることで、少しでも時間をかけて、標高に体を順応させる作戦で行きます。
前夜に立山駅の駐車場に到着し、仮眠しました。
でも車の中は蒸し暑くて、窓を網戸にしたけど、寝たのか寝てないのかわからないまま朝を迎えました。
1日目は、雷鳥沢に幕営するだけの予定なので、剱沢に行くときよりも時間に余裕があります。
ケーブルとバスを乗り継ぎ、高山病の兆候も出ず、無事に室堂に到着しました。
駅で登山届を提出し、立ち食い蕎麦で腹ごしらえをしたら外へ。
実は蕎麦に加え、パートナーがトイレに行っている隙に「おやき」も食べてしまったのは内緒です。
360°広がる室堂平の景観。
眩しい緑の峰々に、雪渓が残り、青空とのコントラストが目に飛び込んできます。
足元にはチングルマなどの高山植物がたくさん咲いています。
雷鳥沢までは、整備された遊歩道をゆっくり歩いても、約1時間の行程です。
すぐにミクリガ池に出ます。
湖面に映る逆さまの立山。
池の畔には「みくりがいけ温泉」があり、外来湯も楽しめます。
帰りのソフトクリームも山行計画に組み込みますw
さらに進むと、エンマ台。
ここからは火山ガスが噴き出す地獄谷を見渡せます。
火山ガスの監視小屋もあります。
雷鳥荘の辺りは、硫黄の匂いも一番きつく、ガスが濃いときは、手ぬぐいを濡らして口を塞ぐ必要があります。
酷いときは目も痛いし、喉も痛くなります。
数日ガスを浴びていると、金属類(ポールやピッケルなど)も腐食してしまうので、下山したら、しっかり拭いておきます。
色とりどりのテントが張られた雷鳥沢のテン場が見えてきました。
例年よりかなり少ないですね。
左手にはアーチ状の屋根の雷鳥沢ヒュッテ。
ここからの階段が長い!
帰りにはここを登ってこなければいけません。
毎回楽に登れたことがありません。勝手に日本三大急登階段に認定!
他の2つはどこの階段!?
室堂の夢のような景色の中を歩いていたらあっという間に雷鳥沢に到着しました。
・雷鳥沢キャンプ場について
管理棟で受付をしたらテントを設営します。
料金は一人1000円。
トイレあり。※2022現在は仮設トイレですがとても綺麗。
水場の水量は豊富で無料です。管理棟の中と、屋外にあります。
室堂からのアクセスも良いため、ちびっ子も多く、登山ではなくここでのキャンプを目的に来ている方もたくさんいます。
登山者、キャンパー、BCスキーヤー、クライマーなど、雷鳥沢は色々な文化が交差します。
お互いを理解して気持ち良く過ごせるといいですね♪
”Support your local mountain"
山ではお互い助け合おう!
オリジナルステッカー配布しています♪
設営を終えたら、今日はのんびり過ごします。
ちなみに売店はありません。
室堂から近いので、飲み物などは、みんな頑張って担いでいます。
風に吹かれながら、コーヒーを飲んだり、お昼寝したり。
ヘリノックスのチェアも持ってくれば良かったなぁ。
みんな思い思いに過ごしています。
浄土沢の沢音に誘われて、足を浸けてみると、骨に染みるほど冷たい。
夕食の時間になると、テント場全体が美味しそうな匂いや、楽しそうな笑い声に包まれます。
地図で明日のルートを確認して、一日目が終わりました。
・立山縦走のおすすめルート
今回は別山~立山三峰(雄山、大汝山、富士ノ折立)を歩きます。
浄土山は薬師岳からの縦走で踏んでいるし、一ノ越からの登り返しが大変そうなので。。。
問題は、立山縦走永遠のテーマ、「時計周りか、反時計周りか」問題。
一般的には、先に混雑しやすい雄山を登り、真砂岳から大走りを下山する反時計周りが多いようです。
かつての立山信仰のルートもこれ。
私は別山から眺める剱岳が大好きなので、こちらのルートからゆっくり登れば雄山に着くころには、混雑する時間を過ぎているかな?
それに一気に標高を稼げる雷鳥坂の方が性に合っているので、時計周りで進みました。
朝5:00
あそこを歩くんだ!
立山、いざゆかん!
雷鳥坂に大きな危険個所はありませんが、上部は九十九折りなので、暗いときに間違ったルートに入ってしまい、浮石を踏んで落とさないように。(実際に落ちてきたことがあります)
剱御前小舎が見えてくると、だんだんと風が強まります。
乗越に出ると、ガスを纏った剱岳の姿。
体温を奪われるのでソフトシェルを着込み、別山へ。
ここから別山までは、まるで剱岳の展望台。
ずっと剱を眺めながら、ボーナスステージの稜線歩きです。
途中、気まぐれに雨が降るし、寒いので、素直にレインシェルに着替えます。
雲がかかっているのは稜線だけ。
レインパンツは暑いので、濡れても雷鳥沢に降りたら着干しで乾くと判断。
南峰から北峰までは、ほぼ平坦で、左に剱、右は立山。右眼下には真砂沢カールが見えます。
北峰を踏んだら、南峰へ戻り、分岐を立山方面へ。
多少ザレていますが、危険個所の少ない稜線を雨混じりのガスが巻いています。
真砂岳までは、室堂平を眺めながらゆるい登りになります。
真砂岳は、わかりにくい巻道があって、間違って右に巻いてしまうと、頂上を踏まずに大走り分岐に行ってしまいます。
別山から1時間かからずに真砂岳、登頂です。
室堂平や雷鳥沢は晴れているのに、呼吸をするようなリズムでシェルを叩きつける雨。
せっかくフィルムカメラを持ってきたのに。カンガルーのお母さんのように、大切にシェルのお腹の中に隠します。
天気が悪くても、前方に伸びる立山への稜線が「おいでおいで」と励ましてくれます。
左手は内蔵助カール。
「内蔵助」というのは、どうやら佐々成正の幼少期の名前だそうです。
日本で唯一の登山道に接した氷河です。
雪渓との違いは、表面に無数のひっかき傷があるので見分けられます。
むやみに降りてしまうと、深さ25mにもなるシュルンドがあるので、要注意!
この先は富士ノ折立までどんどん勾配がきつくなります。
息が上がるけど、この日のために坂道ダッシュでトレーニングしてきたおかげで、順調に登れます。本当は減量しなければ・・・(汗)
一際尖った岩峰の富士ノ折立の影が見えてきました。
あそこに登るんだ!
富士ノ折立の肩からは、反対側に黒部湖が見えます。
山頂へは、踏み跡も少なく、絶壁をトラバース気味に登っていくので、初心者の方は注意が必要です。
すれ違いができないので、譲り合って。
別山から30分で登頂です。
標高2999メートル。
看板を持ち上げて3000メートルにしてあげましたw
大好きな岩稜歩きで威力高めのまま、次に進みます。
立山で一番標高の高い、3015m大汝山へ。
高低差はあまりないので、長閑な気持ちでガスの稜線を進みます。
雄山側からの登山者とすれ違うことが増えてきました。
富士ノ折立から10分程で大汝休憩所に到着しました。
こんな天気なので中は大混雑。
ちなみに宿泊はできません。
地図上では山頂がわかりにくいですが、休憩所から5m程登ったところにあります。
大きな岩が累々と積みあがった狭い山頂なので、譲り合って速やかに写真撮影。
次はいよいよクライマックスの雄山へ。
稜線の西側をトラバースしながら登っていきます。
ごつごつした岩場なので、慣れていない方は怖く感じるかもしれません。
大汝山から15分程で雄山神社の鳥居に到着です。
参拝料700円を支払って、階段を登りきると、山頂のお社があります。
狭い山頂は混雑していますので、参拝したら長居せずに、休憩は下の社務所前へ。
社務所の前は大勢の参拝者で賑わっています。
15分間隔でお祓いを受けることもできます。
一等三角点は社務所の脇にあります。
雄山から一ノ越の間はいつも混雑しているようです。
老若男女、登山者も参拝者も観光客も。
登りと下りでルートが分かれていますが、それでもノロノロ徐行の大渋滞ゾーンです。
追い抜こうにも、人の列がずっと続くので、諦めて、焦らず列について進む。
少し開けたところにある石造りの祠が、神域の入口。
身を清めるための払い処です。
ちなみにこの辺りでも雷鳥をよく見かけるポイントのようです。
今回のルート上で一番時間がかかった気がしますが、1時間ほどで一ノ越に降りてきました。
浄土山も気になりますが、太ももに疲労が溜まってきた・・・。
(ここからの浄土への登り返しはキツイなぁ~)と考えていると、
パートナーから「浄土山」どうする?
とキラキラした目で登りたそう。
ヤバイ!
すかさずパートナーに必殺の羊羹を与え、黙らせます。
羊羹を食べ終える頃、「テントに大福とコーラもあるよ」のトドメの殺し文句で決着しました。
せっかくなので私も登りたかったですが、この天気では、だだっ広い浄土山の山頂は爆風に違いないと、自分に言い聞かせます。
今度室堂側から五色ヶ原にでも行ってみよう。
小走り谷、大走り谷を突っ切るようなルートで、雷鳥沢に向かいます。
序盤は整備された登山道を進み、室堂との分岐から先は、お花畑ゾーンになります。
浄土沢を渡り返して、テント場に。
「ただいま~」
すぐに浄土沢へ降りて、沢に足を浸け、絞った手ぬぐいで体を清拭。
すると肌もサラサラ、次の日まで本当にさっぱり。気持ちよく過ごせます。
・コースタイム
雷鳥沢・・・1:30・・・別山乗越
別山乗越・・・0:30・・・別山南峰
別山南峰・・・0:10・・・別山北峰
別山北峰・・・1:00・・・真砂岳
真砂岳・・・0:50・・・富士ノ折立
富士ノ折立・・・0:15・・・大汝山
大汝山・・・0:15・・・雄山
雄山・・・1:00・・・一ノ越
一ノ越・・・1:15・・・雷鳥沢
計6時間15分(休憩含まず)
概ね山と高原地図のコースタイム通りかなと思いますが、雄山の渋滞や、富士ノ折立のすれ違い待ちで時間が変わってきます。
余裕を持った計画が必要です。
距離が不安な方は、別山はやらずに大走りから三峰にすると良いでしょう。
・縦走のポイント
・時計周り?反時計周り?
これはどちらでも良いと思いますが、ポイントは雄山の渋滞です。
学校登山が重なったり、連休中の場合は、日帰りのお客さんが来る前、かなり早い時間帯に雄山をクリアする。
あるいは、アタック日にもう一泊するなら、時間を遅らせるのも良いと思います。
ただし夏の午後は雷に注意が必要です。
天気予報で判断しても良いと思います。天気の良い時間帯に雄山~富士ノ折立を通過すると安心です。
・装備は?
室堂は晴れていても、稜線上は雲に覆われることも多いので、晴れていてもシェルは必須です。
意外と忘れがちなのが、アタックザックのレインカバーです。
アタックザックのためだけにレインカバー?ですよね?
私の場合は、事前にザックに防水スプレーをして、濡れて困るものは防水のスタッフバッグに入れています。
防水スタッフバッグは、軽量のものは破れやすいし、安いコーティングは剥がれてしまいます。
小分けにすると、雨天の爆風時に探すのが大変なので、大き目のバッグになんでもかんでも一括で入れるのがおすすめですよ。
また、富士ノ折立に登る場合はヘルメットがあると安心だと思います。
ちなみに稜線上ではトレッキングポールは使いません。
何人も危ない使い方をしている人を見かけました。
浮石にポールを着いて体重をかけてしまい転倒・・・
というパターンが多いです。
・食事、水分は?
今回は雨が降ったり止んだりの中、かなりの距離・時間を歩きました。
こんなときは、休憩所は混雑しますので、外で食事をすることになります。行動食で済ませるのが楽&早い。
(でも小屋で作ってもらったお弁当を食べている人、美味しそうだったなぁ。。。)
エナジージェルは軽量で高カロリーでバランスも良いですが、味に飽きてしまうので、私はパンとバナナ、羊羹などで、こまめに補給しました。
今回は1リットルの水分を持っていきましたが、飲んだのは500mlのみ。稜線上が肌寒かったためと思われます。必要な水分量は個人差が大きいので、多めに!
・まとめ
弥陀ヶ原や室堂平の広大な高原台地から、3000メートル峰の山々を巡りました。豊富な残雪に、色とりどりのお花畑。信仰の歴史や、温泉など、大自然が魅せてくれる感動のひと時が訪れる人を待っています。
・youtube
ルートの詳細や夜空のタイムプラスなど、アップしました。是非ご覧ください。