登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

前穂高岳 難易度と5つのポイント

前穂高 重太郎新道ルート詳細
10月8日(日)


昨日は雨の降る中、上高地から岳沢トレイルを越えて、岳沢ヒュッテに幕営しました。
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周囲のテントのヒソヒソした話し声で目が覚めました。時計のバックライトを点灯すると4:10。
気が付くとフライを叩く雨音は止んでいます。
スマホのアラームは4:30に設定したので、そろそろ鳴るはずです。
アラームが鳴るまで待つか、いっそこのまま起きてしまおうか、悩んでいる間にアラームが鳴りました。
テントのジッパーをそっと開けると、煙ったような薄明が山に跳ね返り、自然の濃度一杯の空気とともにテント内に流れ込んできます。
水仙色の空がゆっくりと、でも確実に透明度を増してきます。
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お湯を沸かすストーブのボーという音、ジッパーを開け閉めするジーという音。
テント内ではその狭い環境のためか、目より耳が活躍します。
朝の音は、お坊さんの朝のお勤めと同じ。衣を着て、木魚や鐘を叩く音のように、いつものお決まりの流れとなって、早朝アタックの心をめぐり、包み、洗っているようです。
そして私は峰々の美しさと、明るい移り行きとを思う。

朝食は簡単にカップラーメンで済ませます。

テラスの上の見晴らしで、低木に囲まれたテント、すがすがしい光に包まれた朝の岳沢。

テント撤収

昨日はテン場が一杯で、結局小屋隣のテラス状のところに幕営しました。
そのため、7時までには撤収しないといけないのです。
今日は、全てザックにパッキングして、アタックザックで前穂に向かいます。
テントは昨日の雨でたっぷりと濡れてしまい、数倍の重さになっています。
こんなときに活躍するのが45リットルゴミ袋です。
テントの専用袋にはきつくて入らないし、厳冬期なんかは手袋をしたままの撤収作業になりますので、ゴミ袋があると、そのまま丸めて突っ込むだけなので簡単です。
ザックはテラスの隅っこの邪魔にならないところでお留守番です。

前穂高岳 ルート詳細と危険ヶ所

重太郎新道

岳沢からはヘルメットを着用します。
ヘルメットのバックルを閉めると、胸が高鳴り、気合が入ります。
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6:00、
前穂高岳、いざゆかん!

岳沢小屋から沢を渡ります。
昨日の混雑で、沢にもテントが数張りありました。
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沢を越えたらすぐ左へ。
テン場の脇から重太郎新道がはじまります。
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前半は草木の生い茂るルートをジグザグに進みます。
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ここは6月にこれ以上進めなかった『岳沢小パノラマ(勝手に命名)』(笑)
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最初のハシゴ

昨日の雨がなごりなく上って、今朝は天地の間に新しい風が流れています。

岳沢小屋から30分。
ちょっとした岩場を這い上がると、最初のハシゴがすぐに現われます。
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長さは8メートル程。
角度も75°程かな?
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それほど怖くありません。


カモシカの立場


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ハシゴからさらに30分。
まばらに生えたダケカンバの林の急登を越えると、カモシカの立場です。
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目の前にはギザギザした西穂から奥穂の稜線がお出迎えです。


さらに右方向に草の間を登ると二連ハシゴが登場します。
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ここも難無く通過できます。


ここから急勾配のクサリ場が続きますが、この鎖は足場の悪いとき用ではないでしょうか?
少なくとも登りでは必要ありませんでした。

この後も短い鎖やハシゴがありますが、高度感はありません。
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岳沢パノラマ

ジンジャエールのような澄んで爽やかな、酔わせる陽光に包まれて。
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カモシカの立場から30分、
ハイマツと岩場の急勾配が結構長い。
登りきると、岳沢パノラマに到着です。
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パノラマから下を振り返ると、手前から霞沢岳、焼岳、乗鞍岳。さらに遠くに御嶽山を望む。

ここからは、ハイマツ帯の岩の稜線沿いに進みます。
岩の影から出ると、秋の陽光が眩しい。
それでも10月の脆い日差しは秋風と岩陰にあっさり飲み込まれてしまいます。
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時々岩を登る所がありますが、比較的なだらかなルートが大部分です。
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雷鳥広場

岳沢パノラマから25分の雷鳥広場は、岳沢から前穂の7合目に相当します。
前には吊り尾根が壁のように立ちはだかります。
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小さなピークの下りのハシゴ。
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私の苦手なスラブ状の箇所。三連のクサリ場があります。
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雨天時は滑りそうですね。

紀美子平

雷鳥広場から20分で紀美子平です。
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ここが休憩できるポイントとしては1番広いです。

ここで荷物をデポして空身で登る方が目立ちました。

私の場合、どの山でも同じなのですが、水分が心配だったし、バナナを山頂で食べたかったのでザックを背負ったまま進みます。

水分を補給して、
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山と高原地図のコースタイムと違い、ここからが長く感じます。
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先はずっと岩登りの連続です。
楽しい♪
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荒々しい岩が覆いかぶさってくるようです。
首を真上に向けても、山頂はなかなか姿を見せてくれません。
最後の砦といった雰囲気です。
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岩は触ると冷たくて、薄青い涼しい影を宿しています。
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まだか~?いや、もうちょい!
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ここを越えれば・・・
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前穂高岳


紀美子平から40分。

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9:00、
登頂です!


登頂に轟いた心臓がしばらくして鎮まると、おもむろに喜びが湧き上がってきます。
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西穂高からジャンダルム、奥穂高・・・
つい先週はあそこにいたんだなぁと感慨深い。
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北穂高から槍ヶ岳
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登ったことのあるピークは、とても綺麗に見えるから不思議です。
「あそこの天辺には昨年の私が」
「向こうのピークは夏休みの私が」
これまでの思い出が遠く向こうに霞んだ山頂に見える気がします。


そして念願のバナナ(笑)
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バナナを噛じると槍の穂先!・・・がやりたかっただけです。すいません。(懺)
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せっかくなのでFyuse貼り付けておきます。
PCの方は左右にドラッグで、スマホは傾けるだけで、パノラマが楽しめます。

奥穂が私を呼んでいる(笑)
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吊り尾根を歩いてみたかったですが、岳沢からの重装備を背負って下山する体力が心配でしたので、泣く泣く下山します。

下山

重太郎新道は、下山が怖いです。
実際奥穂から降りて来た方が怖がっていました。
「吊り尾根なんかここの下りに比べたらなんでもないよ」と言っていました。

山頂から紀美子平

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ジャンダルムで慣れた「お尻下り」が活躍します。あ、「しりさがり」じゃないですよ(笑)
ザックが引っかからないようショルダーストラップは1番短くします。
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トラバース。
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高度感があります。
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時には片手を着いて、ピョンと足をおろします。
「あぶない刑事」の舘ひろしのようにスタイリッシュに。
時には柴田恭兵のようにダンサブルに!
古くてすいません(笑)
岩場が得意なパートナーは余裕らしく、柴田恭兵(ユウジ)になりきって、勝手に私を「タカ!このすっとこどっこい!」なんて呼んでいます(怒)
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あ、決してふざけてはいませんよ。
実際この時はかなり怖かったです。
紀美子平手前はスラブ状になっています。
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紀美子平から岳沢パノラマ

鎖場
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ここは無理に降りなくても立って歩ける巻道がありましたが、鎖の練習をしておきます。
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垂直の壁を、うんしょ、うんしょ、とベタ足で。
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足元ばかり注意しているので、時々視線を上にやると、穂高の岸壁が迫り来るようです。
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岳沢パノラマ上部。
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岳沢パノラマから岳沢小屋

標高を下げるにつれて気温も上がる。
汗が吹き出してきました。
この季節にしてはかなり暑い。
これから登ってくる人は、今日ピストンで岳沢で泊まる方や、穂高岳山荘で泊まるそうです。
羨ましい。
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乾燥して粉っぽい岩は滑りやすいので、鎖を活用します。
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最初にあったハシゴ。
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ここは狭い。
手遅れになる前にダイエットしなくては(汗)
もう手遅れか!?(笑)
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事故発生

ここで、滑落事故が発生してしまいました。
50代の男性が、草つきのなんでもないところでバランスを崩してしまい、50メートルほど滑落してしまいました。
頭からは凄い量の出血。
意識はありますが、記憶も無くなっています。
幸い命に別状は無く、岳沢小屋の支配人さんが救助し、長野県警の「やまびこ」が搬送してくれました。
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ヘルメットを被っていたら、もっと軽傷だったかもしれません。

ヘリが来るまでの間、血もたくさん出ていたし、こんな山の中で、不安でいっぱいだっただろう思います。
助かって良かった。

私も気を引き締めて進みます。
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確かにこの辺りは、昨日の雨のせいか、泥の付いた岩が滑りやすく、
下山時の疲労もあって、油断すると危ないと思いました。


11:00、昼の陽光に照らされた岳沢小屋に到着しました。
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すでに小屋周辺のテラスまで混雑しています。

デポしておいたザックは、なぜか登ってきたときより荷物が増えています。
濡れたテントが嵩を埋め、昨夜食べなかった食料も大量で、誤算です。

ピーナツクリームのパンと、昨日から徐々に減っていった最後のバナナを食べたら、小屋にご挨拶します。

岳沢トレイル

秋風に吹かれながら、岳沢トレイルを下ります。
黄色のトンネルは陽を透かして、金色の空気に包まれます。
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金色や銅色に、ダケカンバや、モミジの朱色はそれぞれに燃え立つばかり。
凋落のときまであと幾日かと思えば、私まで染まりそうな色にもひとしおあわれが添うようです。

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標高を下げ、森が深くなると、樹々はこれから訪れる冬にまだ気づいていない。
季節と季節を繋ぐ糸が、断ち切れそうになってもなお一筋二筋繋ぎとめているようです。
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葉の間から差し込む光のカーテンをくぐり抜けます。
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苔の絨毯も、陽を受けて、印象派の画布を見ているようです。
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パンツの裾が結構汚れてしまいました。
スパッツを履いておけばよかった。
ポクポクと小気味よい音を響かせる木道。
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上高地に戻ってきました。
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ご褒美はいつもの上高地ソフト。
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チーズミックスがおすすめです♪

まとめ

コースタイム

岳沢小屋---カモシカの立場・・・・・60分
カモシカの立場---岳沢パノラマ・・・30分
岳沢パノラマ---雷鳥広場・・・・・・25分
雷鳥広場---紀美子平・・・・・・・・20分
紀美子平---山頂・・・・・・・・・・40分

後半は苦手な岩場のため、少し時間がかかっています。

下山時は、遅れて登って来る登山者も多く、すれ違いの待ち時間を考慮しておくと安心です。

目安のスポット

岳沢小屋から山頂までの目安としては、
カモシカの立場・・・三合目
岳沢パノラマ・・・・五合目
雷鳥広場・・・・・・七合目
紀美子平・・・・・・八合目
といった感じです。

一番きつく感じるのは岳沢パノラマ直下の登りでしょうか。
絶え間無く急登が続きます。
他も岩登りの連続ですが、合間に緩斜面があるので、息を整えたり、筋肉が休まったりできるので少し楽かなと思います。
そして紀美子平からは、スタミナの消耗もあり、長く感じます(汗)

難易度

重太郎新道は、何と言っても下山時が難しいです。
ザイテングラードや、北穂の下りよりも難しいと感じました。
とにかく急傾斜がずっと続くこと。
そして下山時の疲労も加味されると危険が増すように感じました。
実際に事故も頻繁に発生しています。
また滑落だけではなく、落石の危険もありますので、ヘルメットは必携です。


登山のポイント

①重太郎新道は後半、特に紀美子平からが意外と長く感じます。
これは体力的な消耗具合もあるかもしれませんし、手足の短さによる岩場歩きのハンデもあると思います。
②重太郎新道の下りは、思ったより大変でした。特に岩場は高度感があり、やはり手足の短さが仇となりました。
③山頂は結構広く、素晴らしい展望は北アルプスでもトップクラスだと思いました。山頂でゆったり過ごすスペースもあり、岳沢で一泊するのであれば、時間的にも余裕がありますので、紀美子平に荷物をデポするのではなく、食べ物、飲み物、カメラを持っていくと楽しめます。
④岩場の下山は、お尻を着いて降りる場合、ザックの底が地面に引っかかって怖い場面がありました。できるだけ背中の上の方に持ち上がるように、ショルダーストラップを短くすると良いと思います。
⑤一泊したことで、行動時間も短くなり、体力が温存できたと思っていましたが、岩場の急登は、普段と使う筋肉が違うようです。翌日はもちろん筋肉痛になりました。技術、経験はもちろんなのですが、連続する岩場では、体力・筋力で集中を切らさないことが大切だろ思いました。事前にランニングや筋トレなどのトレーニングをしておいて良かったです。

活躍アイテム

パックタオル・・・雨のテン泊登山は、テント内や濡れた装備を拭くのに、吸水速乾のタオルが大活躍でした。
アタックザック・・・賛否両論ありますが、中身が軽くても大きなザックでは下山のときに地面に引っかかって危険です。コンパクトなアタックザックがあって助かりました。

持ってくれば良かったもの

雨の中の樹林帯歩きは風も無く、傘があったら快適だと思いました。
いつもは持ってくるのですが、今回は完全に忘れていました(泣)

それから、雨上がりの登山道は、快晴の翌日でも結構泥はねでパンツの裾が汚れてしまいます。スパッツがあれば良かったです。
晴れていて、泥ハネだけの対策なら、ソフトシェル素材のスパッツは快適ですし、見た目もスマートでカッコイイ♪
帰りのバスやタクシーで観光客から白い目で見られることもありません(苦笑)


前穂高&岳沢小屋、また来るよ~♪

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