夏真っ盛りの登山シーズン。南八ヶ岳の一番北に位置する硫黄岳に登ってきました。
初心者からベテランまで、のんびり登山を楽しめる硫黄岳。苔の生い茂る神秘的な深い原生林に、森林限界を越えると、単独峰ならではの爆風の岩稜帯。
今回は人気の登山口である桜平から、オーレン小屋を起点にぐるっと一周するルートを紹介します。
・硫黄岳の概要
硫黄岳は八ヶ岳の中央、夏沢峠を境に、南八ヶ岳の最北に位置します。
標高は2760m
山頂には、直径1キロにもなる火山の爆裂火口跡があります。
一番メジャーな登山口「桜平」から、日帰りで十分登ることができ、
魅力的な山小屋が点在し、深い原生林や岩稜帯もある変化に富んだルートは、初心者からベテランまで、人気の山です。
・桜平駐車場の攻略法
桜平登山口は、八ヶ岳で一番稜線に近くて、
南八ヶ岳は、
「横岳(2,829m)」「硫黄岳(2,760m)」「峰の松目(2,567m)」
北八ヶ岳は、
「箕冠山(2,590m)」「根石岳(2,603m)」「天狗岳(2,646m)」の
6つの山の最短登山口です。
その駐車場は大人気。
今回の核心は、桜平駐車場までの林道といっても過言ではありません。
細いボコボコの悪路は、箕戸口よりもひどい!
深夜の真っ暗な山道。
所々に穴が開いていたり、岩の頭が飛び出していたり。
車高の低い車は苦労すると思います。
雨天時は下手するとスタックする可能性もあります。
駐車場は、桜平登山口から、近い方から順に「上 20台」、「中 60台」、「下 70台」と
三か所ありますが、「中」が人気。
というのも、トイレは「中」にしかないからです。
「下」から登山口まで歩くには3.5kmあるので、林道の隙間にまで路駐する車も多く、登山者のマナーが疑われます。
到着には時間に余裕を持って、前日夜には到着すると良いと思います。
また駐車する際は、間隔を詰めて、みんなが駐車できるようにしましょう。
結構隙間を開けてテントを張っていたり、折り畳みチェアーを並べて宴会をしていたりする人まで。(残念)
それから、
朝夕はアブが大発生します。
刺すことは稀な種類でしたが、これは不愉快!
虫よけの線香(赤いやつ)を持っていって正解でいした。
それから「オニヤンマ君」にも本当に寄ってこない。
でも本物のオニヤンマに何度もアタックされました(苦笑)
・硫黄岳のコースタイム
桜平からのコースタイムは
桜平→0:20→夏沢鉱泉→0:45→オーレン小屋
→1:20→赤岩の頭→0:20→硫黄岳山頂
→0:50→夏沢峠→0:20→オーレン小屋
→0:30→夏沢鉱泉→0:20→桜平
概ね『山と高原地図』のコースタイム通りです。
アップダウンも少なく、急登も無いので、八ヶ岳入門の山としておすすめです。
・硫黄岳の登山ルート
「中」駐車場から登山口ゲートまでは10分程。
硫黄岳、いざ、ゆかん!
序盤は沢沿いの道を進みます。
ザーザーと流れる清流の音が耳に心地よく、小鳥の囀りを聞いていると、
懐かしい気持ちでいっぱいになります。
学生時代は、アクセスの良さから、八ヶ岳に登ることが多く、
山に関する色々なことを学んだのも、ここ八ヶ岳です。
次第に温泉の匂いが濃くなってくると、30分程で夏沢鉱泉に到着しました。
ここでトイレ休憩。
トレイは水洗で、山小屋とは思えないほど綺麗。
朝の山小屋は、美味しそうなごはんの匂い。
この夏沢鉱泉や、この先通過するオーレン小屋は、お風呂もあり、トイレや室内もとても綺麗なので、小屋泊で訪れるのもおすすめです。
昨日の雨の影響で登山道はぬかるんでいます。八ヶ岳はこんな状況が多いので、晴れていてもスパッツを履いておくと、後でお洗濯が楽ですね。
森の奥へ奥へと進むと、空気が濃くなり、南八ヶ岳と北八ヶ岳のちょうど中間、八ヶ岳の最深部に向かって進んでいることが実感できます。
濃い空気を胸いっぱいに吸い込むと、日頃の疲れもどこかに消えていきます。
樹々の隙間から差し込む陽光が、地面にレース模様を映し出します。
清流の音に、小鳥のさえずり、自分の足音を聞きながら、進むとオーレン小屋に到着しました。
人気の山小屋だけあって、外のテラスは、これから山頂を目指す人や、朝食を待っているお客さんで賑わっています。
朝霞に包まれた静かなロケーション。
「八ヶ岳に来た」って感じが強くなる場所です。
テント場が併設され、日の差し込む明るい空間。
北アルプスのスゴ乗越のテン場に雰囲気が似ています。
今日の天気は晴れですが、上空はガスが濃く、下界はかなり気温が高い。
こんな日は、爆風になりやすいため、稜線を通過する夏沢峠からではなく、赤岩の頭から山頂を周回して、夏沢峠に下山することにしました。
昼前から段々天気が回復するはずなので、赤岩の頭で休憩しながら晴れ間を狙う作戦です。
初心者向けの山とはいっても、太ももがパンプしかかったころ、樹々が少なくなってきました。
森林限界を越え、ハイマツの間を抜けるとすぐに赤岩のアタマに到着します。
広い鞍部は風が強く、じっとしていると凍えるほど寒い。
暖かいコーヒーと即席のサンドイッチで休憩します。
一時間ほど時間をつぶしましたが、まだまだガスの中。
これ以上は寒くて厳しいので、このまま山頂をめざします。
岩稜帯はやっぱり楽しい。
ガスっていてもテンションが上がります。
岩の間で風雪に耐え、やっと花を咲かせた力強い植物たち。
ガスで濡れた岩を注意しながら登ると、
広大な山頂、
標高2760m、硫黄岳に登頂しました。
本当なら、横岳、その先にある八ヶ岳の主峰、赤岳。
反対側は夏沢峠を挟んで天狗岳まで大展望が広がるのですが、あいにくの真っ白シロ。
風が強く、じっとしていると凍えてしまうので、夏沢峠方面から下山します。
爆風も少し弱まったので、十分歩ける程度。
晴れていると、ここから爆裂火口を眺めながらの稜線歩きができるのですが、今回は残念。
それでも、斜面を駆けあがるガスの動きを見たり、強風に耐える力強い植物の姿を眺めたり。
一歩一歩足をどこに置けば強風でも安定するのか考えたり。
天気が悪くても、いろいろな楽しみ方ができるのが八ヶ岳の魅力です。
(あ、完全な悪天時は要注意)
標高を下げていき、気温が高くなってきた頃、山びこ荘のある、夏沢峠に到着しました。
山びこ荘は、モモンガやヤマネが姿を現すことで有名な山小屋。
残念ながら今日は臨時休業。
トイレも閉まっていました。
どんどん進み、オーレン小屋でアイスを食べ、
夏沢鉱泉でコーラを飲み、
登る前より体重が増えた状態で、登山口に帰ってきました。
清流の水面に陽光が反射するキラキラした登山道。
樹々の隙間から差し込む幾重もの光の筋がカーテンのよう。
神秘的な森は、樹林帯歩きの醍醐味です。
山の上部はアルプスムード満点の岩稜帯に、大迫力の爆裂火口に火山の成り立ちを垣間見ることができます。
変化に富んだルートは、初心者からベテランまで、八ヶ岳らしさいっぱいの姿で楽しませてくれます。
・まとめ
硫黄岳の登山のポイントは
①一番大変なのは桜平までの林道
②桜平近辺はアブ対策を
③雨の翌日はぬかるみが多いのでスパッツがあると便利
④オーレン小屋から先は、爆風のときは赤岩の頭から登ると安心
⑤初心者向けでも油断禁物。ここは立派な高山です。
といったところです。
特に近年はスタミナ切れによる行動不能になったり、なんでもない箇所での転倒事故が多発しています。
自分の体力・技術に合わせ、しっかりした装備が安心ですね。
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