圧倒的なスケールで立ちはだかる、北アルプス、穂高連峰。
その主峰、標高3190メートルの日本第三位の標高を誇る奥穂高岳。
岩肌に咲き誇る可憐な高山植物、多くの難所を乗り越えた先に現れる雄大な景色。
奥穂高岳にチャレンジしたいけど・・・
ルートの様子は?
難易度は?
注意点は?
気になるポイントを詳しく紹介します。
・奥穂高岳 おすすめルート
ルートは、まず上高地から涸沢へ。ここで一泊。
翌日、カールを登り、穂高岳山荘が建つ白出のコルを経由し、山頂を目指すルートが一般的です。
上高地からのアプローチはこちらの記事で紹介しています↓
昨日は、頑張って歩ききったご褒美、星が降り注ぐテント場で素敵な夜を過ごしました。
早朝4:00。
テントのジッパーが開く音。
お湯を沸かすストーブの音。
テン場の岩の上を歩く音。
まだ暗いテント場に、ヘッデンの灯りと音が響き、
人間の営みを感じます。
今日はこの涸沢カールから、カール中央のザイテングラートを通過し、穂高岳山荘の白出のコルまで。
さらに岩の稜線を進んで、登頂します。
実は前日に北穂から奥穂まで周回したのですが、撮影データが消えてしまい、あまりの悔しさに、今日は奥穂高をピストンしたのでした。
アタックザックを背負い、靴紐を締め、顔を上に上げると、
テント場が明るくなってきました。
今日も良いお天気。体調も万全。
念のために、テント内に名前と行先、予定の下山時刻をメモした紙を残します。
ヘルメットを着用したら、(ここからは必ずヘルメットを着用します)
奥穂高岳、いざ、ゆかん!
涸沢から山頂までのコースタイムは3時間30分ですが、
穂高岳山荘から先は渋滞しやいため、タイムロスを考慮して、
日が昇る前から出発します。
北穂側の涸沢小屋の前からスタート。
小屋の脇からすぐナナカマドの林を抜けます。
林を抜け、振り返ると常念の肩からご来光が。
モルゲンロートとまではいきませんが、黄金色に輝く穂高の峰々。
ザイテングラートの取付きまでは、カールの中央をトラバースします。
緩い斜面は、早る気持ちで、ついついオーバーペースになってしまいます。
すると、大きな岩が目印のザイテングラートの取り付きに出ました。
ザイテングラートは岩を登る箇所が連続するので、転倒しないよう注意して進みます。
鎖やハシゴが現れますが、落ち着いて三点確保ができればそれほど難しくありません。
湾曲したカール地形と、パノラマの大絶景のせいで、平衡感覚が狂う。
穂高岳山荘が見えてきたらザイテングラートの終了点。
整備された道を上って山荘の建つ白出(しらだし)のコルに到着しました。
水分を補給したら、いよいよ奥穂高に向けて、岩場の登りが始まります。
山荘脇の大きな壁面に取り付きます。
迫りくる斜面に、ついついテンションが上がってしまいますが、
ここは落ち着いて一歩一歩。
すぐに2連のクサリと2連のハシゴ。
ここが渋滞しやすく、後ろに人が待っていると思うと、とても緊張します。
ハシゴを過ぎれば、槍ヶ岳からジャンダルムまでのパノラマの稜線歩きです。
楽しい時間はあっという間。
長い長い斜面を登り切った先には、
どこまでも連なる山、また山。
標高3190メートル。
奥穂高岳に登頂しました。
槍ヶ岳に北穂高
ジャンダルム、西穂高
吊り尾根の向こうに前穂高
これまで登った山をぐるっと全部眺めると、
登った時の思い出が溢れてきます。
自分の足で登り切ったからこそ見せてもらえる景色。
山と向き合い、自分を信じたから見える景色があります。
いつまででも眺めていたいですが、下を見下ろすと、
まだまだ登ってくる登山者の列。
渋滞になりそうなので、下山。
とんでもない絶景。
槍に向かうこの稜線は何度訪れても素晴らしい!
さあ、絶景に酔いしれていてはいけません。
ここからが一番危険なところ。
穂高岳山荘に戻ってくると、疲れや、登頂した嬉しさから気持ちが緩んでしまいます。
集中も切れた状態で事故になることが多いです。
この先のザイテングラートは特に下山時に事故が起きやすいです。
急に折れる道で踏み外したり、トレッキングポールを使ってしまい、浮石でバランスを崩したり。
手足の短い私は、積極的にバックステップで降りていきます。
休憩は邪魔にならない場所で。
ぴょこんと飛び出た取り付きの岩が見えてきました。
こんなに登ったかな?と感じるほど、なかなか涸沢に着きません。
せっかくなので、景色を楽しみながら進みます。
後半は、涸沢小屋のソフトクリームや、
ヒュッテのフランク、から揚げ。
誘惑で頭が一杯に。
涸沢に戻ると下界にいるとき以上に飲んだり食べたり。
今度はヒュッテに戻ってテラスで飲み食い!
絶景をツマミに持参した5合瓶も空っぽに。
・奥穂高の難易度は? 北穂高とどっちが難しい?
よく質問されるのが、「北穂高とどっちが難しいですか?」。
難易度はほぼ同じです。
人が少ない分、北穂の方が焦らないかもしれません。
北穂は一枚岩を鎖で登る箇所があるので、滑るのが怖い人は嫌かもしれません。
ハシゴも長いのがあります。
また、「北穂から奥穂の縦走危険個所はありますか?」という質問もよく受けます。
縦走ルートは、北穂から奥穂へ反時計回りの方が楽です。
危険個所は北穂から涸沢槍の区間。
岩が脆く、ジャンダルムより嫌らしいるルートだと感じます。
また、尾根を涸沢側、滝谷側と行ったり来たりするので、ガスっていると、滝谷との分岐を間違いやすいです。
縦走しても見える景色は、滝谷が見える以外、ほとんど変わりません。
一日で三座踏みたいのでなければ、無理にいかない方が安全です。
どうしても涸沢岳に登りたいのであれば、白出のコルからピストンすると良いと思います。
・ザイテングラートは何で事故が多いのか?
ザイテングラートの下山時は要注意です。
勢いがついているときに、絶壁のルートが急に折れる箇所があり、滑落事故が多発しています。
「登りで疲労困憊」、「登頂の達成感から油断する」など、複合的な要因があると思います。
膝の上の、通称「ブレーキ筋」がパンプしていると、姿勢が崩れ危険です。
三点確保等の技術はもちろんですが、
何よりも疲れ果てない体力が必要です。
白出のコルに到着した時点で、大幅にコースタイムを過ぎていたり、筋肉がパンプしていたら、勇気をもって引き返すのが正解です。
それから、浮石が多いので、トレッキングポールは使用しない方が安全です。
自分が転倒することもあるし、落石を人に当ててしまうこともあります。
大小の岩を巻き込み崩しながら落ちてくる岩は、本当に怖いです。
ヘルメットは必須ですね。
軽量のインモールドモデルもたくさん発売されていますが、長く使えるのはやっぱりハードシェルのモデルです。有名メーカーでも樹脂の質が悪く、割れやすいものもあります。
私のおすすめはペツル!
・まとめ
色とりどりのテントの花が咲くテント場で過ごす山の時間。
上高地から涸沢、そして穂高岳へ。
荘厳な岩場を登った先からみえる景色は、
自分の人生に色を添えてくれます。
登ってみると、今までの自分を超える山旅となります。
・youtube
ルートの詳しい様子や、絶景を動画でも紹介しています。
是非ご視聴&チャンネル登録をよろしくお願いいたします。