残雪の岳沢パノラマ 難易度と装備
2017年6月24日(土)
梅雨の中休み。
毎日週間予報を見ては、今度の休みはどの山が晴れるのか調べるのが日課になっていました。
日内でも変動する天気予報。
木曜夜の時点では木曽駒なら晴れる予報だったので、軽アイゼンで行く計画で装備をパッキングしました。
出発直前の予報では、北アルプスも晴れの予報!
結局、日帰りで前穂高へ向かうことに。
急な予定変更でしたので、岳沢小屋まで行ければOK。
雪の具合で岳沢パノラマまで行けたらいいなぁ。
そして奇跡的に夏道が現れていたら前穂へ!
金曜深夜、さわんど駐車場に到着。
GWとは打って変わって6月はガラ空きです。
4:00起床。
身支度を整えたらタクシーで上高地へ一番乗り。
5:10、登山届けを提出したら、まずは岳沢へ、
いざゆかん!
岳沢小屋までのルート
河童橋を渡ると岳沢湿原を経由する木道のハイキングコース。
湧水を集めた清流がとろとろ流れ、立ち枯れの木々が水面に反射しています。
枯山水のような水の流れはいつまで見ていても飽きません。
この分岐を間違うと明神池に行ってしまいます。
岳沢トレイル(岳沢登山道)
すぐに岳沢の登山道が。
『岳沢トレイル』と名づけたのは岳沢小屋の方だそうです。
外国人観光客も多く訪れる上高地。
ホテルでは岳沢をおすすめの散策路として紹介しているそうです。
そんな経緯から、海外の人にもわかりやすいよう名付けられたそうです。
ハイキングよりはキツイ、登山と言うには物足りない。
標高差650メートルの、森林散策です。
まずは比較的緩やかな傾斜の針葉樹の森を抜けます。
針葉樹ってなんだかアメリカっぽく感じます。
会社の先輩が新婚旅行のお土産でくれたグランドティートンの絵葉書。
雰囲気が似ています。
ずっと雪面の直登ばかりだったので、雪のない登山道にちょっととまどいます。
一歩一歩足の置き場を意識するのに、なかなか感覚が戻りません。
今日は靴も夏靴です。
モンベルのツオロミーブーツ。
無雪期の山はすべてこれで登っています。
緑が太陽に透けて、その影が地面を流れていきます。
ずんずん登ります。
鳥がさえずる中、樹林帯歩きの楽しい感覚が戻ってきます。
雪山はキレイだし、あまり汗もかかないし、雪山が好きって思っていましたが、
季節が変われば、今度は夏山っていいなと思います。
岳沢の登山道は岳沢小屋まで10番から1番まで、番号の付いた看板があるので励みになります。
8番を過ぎると木の階段が増えてきます。
この明神南沢のあたりは、雪崩の被害があったところで、森の樹々も若い木が目立ちます。
若い木や、キレイな苔など、写真を撮る人には良いポイントだと思います。
7番、名物の「風穴」。
約50分で到着。
本当に天然のクーラーですね。
凍土に冷やされた風が穴から吹き出ています。
心地よい。
雪渓が現れました。
ずりずり滑るので慎重に。
6番で一気に見晴らしが良くなりました。
西穂、奥穂が見えます。
この辺からお花もたくさん。
ゴゼンタチバナ
ガクアジザイかな?
ウラシマソウ
サンカヨウ
3番からは石段が。
歩幅が合わず太腿がパンプします。
次の番号の看板を探しながら登るのですが、見つからず。
2番からは急登らしいのですが、そんなにキツく感じませんでした。
またまた雪渓。
まだか?
ペースが遅いのかな?
と考えながら登っていくと、小屋が見えてきました。
ここが1番。
あと少し、ガンバ!
サクラ系・・・
少し下る、ということは・・・
登るのかっ! ひぃ~(汗)
精神力を解除していたので、いきなりキツく感じます。
7:30、約2時間30分で、
やったぁ~!岳沢小屋到着!
汗だくです。
重太郎新道
重太郎新道を見上げると結構な雪が残っています。
やっぱり失敗した!!!
今日は軽アイゼンしか持ってきていません。
東京は連日30℃を超えているし、雨で雪はほとんど消えてるかな?
なんて考えが甘かったです。
そりゃそうだ。この時期の重太郎新道はアルパインクライマーのルートと言われています。
こんな看板もあります。
岳沢小屋のスタッフさんは、登山道の状況をブログに書いていますので、無理だろうとは思っていましたが・・・。
前穂高は前爪が無いと無理ですね。
ピッケルも必要ですね。
よし!
せめて岳沢パノラマまで行ってみよう。
清木場俊介似の小屋のお兄さんにパノラマまでの道の状況をお聞きすると、
数箇所イヤな雪渓があるとのこと。
軽アイゼンは、「う~ん」という感じらしいです。
「難しければ、また今度にすると良いですよ」と、とても親切に教えてくれました。
支配人さんが様子を見に上まで行っているそうですので、トレースは完璧なはずだ。
「重太郎新道通行止め」の看板が。
こう書いておけば、初心者の方や外国人観光客が行かないだろうという配慮ですね。
とにかく行けるところまで行ってみよう。
無理ならあきらめよう。
小屋から眺める景色だけでも十分素敵だし、
なにより身体も冬仕様のまま。
歩き方も慣れていないし、脂肪もたくさん蓄えてしまいました(苦笑)
夏山に向けたリハビリとしては、今日はそんなに攻める予定でもなかったので、ゆっくり登ることにしました。
それにしても誰も上にいません。
下にもいません。
本当に登山者が少ない。
ヘルメットを着用します。
ちょっと大袈裟な感じで、恥ずかしいですが、安全第一。
ポールも使うことにしました。
お気に入りのポールはKOHLAのやつ。
花谷泰広さんも使っているのと同じモデルで、伸縮させるレバーがポールと並行に付いていて、開閉が早いです。
実はテン場に忘れてきてしまったので、今は仮のものを使っていますが、いつか買い戻したい。
軽い気持ちの人が入って行かないように、ルートには目印もありません。
あえて不親切にする配慮は、少しでも山の事故を減らすためなんですね。
たしかにどこがルートは初見ではわかりません。
しっかりルートファインディングをして、頻繁に上を見ながら登ります。
※あえてルートの詳細は控えさせていただきます。
軽アイゼンも装着。
これまた本当のお気に入りは別のやつ。
踏み抜きながら岩を超えたり・・・
枝をくぐり抜けたり・・・
ふきのとうかな?
例の雪渓です。
ここを写真の左上に登って行きます。
が、結構な傾斜です。
下から見たときは、ここは大丈夫そうに見えていたのですが、私の技量では前爪でキックするか、
あるいはピッケルで足場を切らないと無理ですね(汗)
それにもし行けたとしても下山はもっと怖そうです。
ということで、ここで撤退です。
きっとあと二週間もすれば、夏ルートで登れるでしょう。
焦ることはない。
そしたらまたリベンジします!
でも、振り返ると絶景です。
雲は晴れ、谷に切り取られた空が高い。
低木の間を鳥がさえずりながら遊んでいます。
地面にはいろいろな花が、その花びらを陽光に透かしています。
ミヤマキスミレかな?
よし、ここを「岳沢小パノラマ」(こぱのらま)と命名しよう(笑)。
数人登山者が小屋まで登ってきたのが見えます。
やっぱりだれも上には来ないようですね。
しばらくここで景色を眺めます。
お腹が空いてきたので、小屋に戻ります。
岳沢小屋
まだ9:00。
今日はここでのんびりしよう。
岳沢小屋は、標高2170メートル、収容人数60名の小ぢんまりした雰囲気の良い小屋です。
位置的には穂高を攻める前泊、あるいは下山時の後泊に利用しやすいため、そんなに混雑しないのかな?(涸沢等に比べて)と思いました。
それでも小屋泊は必ず予約が必要です。
低木に囲まれ、空が突き抜け、周囲は格好のよい峰々が。
鳥が本当に多く、そのさえずりを聞きながら、ここでテン泊したら素敵だろうなと思いました。
おにぎりでお昼ご飯です。
10:00~14:00まではお昼メニューが注文できるようですが、本格的な小屋開けはまだのようなので遠慮しておきました。
支配人さんはまだ戻って来ないので、お兄さんが一人で対応しています。
「今一人なので、少しお待ちください」と嫌な顔一つせずに対応しています。
モルタルで何かを補修しながらお客さんの対応。
ベルギーから来たお客さんには英語で重太郎新道の危険性を説明しています。
小屋でコーラを買いました。
飲み物はお釣りがなければセルフで料金箱にお金を入れる仕組みです。
岳沢トレイルの手ぬぐいを発見。
おしゃれでかわいい♪
今日は本当に天気がよくて最高ですね。
やっぱり山はいいな♪
サングラスをかけてお昼寝。
こんなふうにのんびり過ごすのもいいものですね。
12:00、名残惜しいですが下山します。
雪の無い石の上は、膝を壊さないように足が先、重心移動が後。
意識しながら降ります。
お花を見つけたり、景色を楽しみながら。
午後は雪解けで登山道の一部はびしょびしょです。
パンツの裾が汚れるのが嫌な人は、ゲイター(スパッツ)があると便利かもしれません。
残雪期にはソフトシェル素材のゲイターが快適です。
緑のトンネルは若葉がレース模様を作ります。
若葉が薫る。
気持ち良い樹林帯歩きです。
あっという間に河童橋です。
観光客で賑わっています。
岳沢トレイル&前穂高、また来るよ~!
まとめ
6月上旬並の残雪。この時期の重太郎新道はアイゼン(前爪のあるもの)、ピッケルは必携ですね。
私たち都会人感覚ではまだ残雪が豊富に感じました。
気温と時間帯にも注意して、雪が溶け出す前に行動するのが安全だと思いました。
それでも重太郎新道は一般向けではないようです。
同じ槍穂カテゴリーでも、槍沢みたいに沢をずんずん登るのではなく、槍の穂先のような道を永遠と歩くような感じだそうです。
もう少ししたらリベンジしたいと思います。
リベンジしました!↓