2016年12月24日(土)
木曽駒ケ岳 八丁坂と宝剣岳はアイスバーン
前回の木曽駒ケ岳から約4週間。
師走の激務を、山のことだけを考えて乗り越えてきました。
雪の積もり具合など、どんな状況になっているのかワクワクします。
今年のクリスマスは土日に重なり、祝日と合わせて3連休です♪
本当は23日に登る予定でしたが、週間予報ではあまり天気が良くありません。
念のため麓に宿を予約していましたので、1日スライドできました。
7時に菅の台バスセンターに行くと、すでに数人のザックが置いてあります。
寒いので場所だけ取って車で待機しているのでしょう。
私が並ぶと、ワラワラと人が集まってきました。
それなりに人数がいましたので、8時に臨時バスを出してくれました。
千畳敷に到着しました。
気温はマイナス3℃
暖かいです。
上を見上げると、昨日の雪が風で飛ばされ、白く煙っています。
何度来てもいいなぁ。
連休のためか、結構人がいます。
準備が整ったら、
いざゆかん!
ルートは前回と違い冬ルートです。
粉雪がモフモフなので、アイゼンが噛みにくく、歩きにくいですがガンガン進みます。
直登なのでどんどん高度を稼げます。
頑張りの結果がすぐに出るようで楽しいです。
勾配が出てくると、渋滞になっています。
軽装備の人が数人登頂を断念したらしく、登る人を避けることなく降りてきます。
アイゼンを着けたままシリセード気味にゆっくり降りる人も。
ハラハラします。
振り返ると千畳敷も雪煙で白の中。
サングラスは必須アイテムですね。
雪山の危険その1
雪崩
千畳敷は雪崩が多く発生しますので、要注意です。
今月頭にも3箇所大きな雪崩があったそうです。
すぐに降雪があったのでデブリ跡も消えてしまったそうです。
雪崩の発生場所は、
下から順に、
①サギダル尾根から神社に向かって。
②宝剣直下からカール中央を横断するもの。
③八丁坂登山道から向かって右の岩峰からカールの底に向かって。
オットセイ岩を越えると少し雪崩の危険は少なくなるのかな?
あ、でもどこでも危険には変わりないですね。特にドカ雪の後は全て危険ヶ所ですね。
いずれにしても、ビーコン、ゾンデ棒、スコップは必携ですし、ビーコンの使い方もマスターしなければいけませんね。
実は前夜、駒ヶ根の街で偶然宝剣山荘のお姉さんに出会って、いろいろお話したのですが、海外ではエアバッグ付きのザックが普及していると教えていただきました。
先の雪崩情報もお姉さんに教えていただいたものです。
仕事でお疲れのところ色々とお話をさせて頂いて楽しいひと時が過ごせました♪
雪山の危険その2
雪質の変化
オットセイ岩の手前で列が完全に渋滞になってしまいました。
数歩進んではつまって止まってしまいます。
そして雪を巻き上げた強風が顔面に刺さります(痛)
風上に頭を向け、お辞儀のポーズでやり過ごすと、足元を真っ白の風が抜けていくのが見えます。
時間がかかってしまうので、トラバースしてラッセルしようかな~?
と思っていると、先頭を登る人のピッケルの音が違っています。
ザクッ、ザクッと。
もしや。
だんだん近づいてみると、乗越浄土手前の50メートル程の急斜面は、風で雪が飛ばされ、クラストゾーンになっています。
ピッケルのスピッツェは刺さらないし、アイゼンも刺さりません。
渋滞の原因や、意気消沈して下山してくる人の原因はこれだったんですね。
凍ってなさそうな所を探しながら登ろうにも、ツルツルで横にトラバースするのも怖い。
仕方がないので、前爪を蹴り込んで、ピッケルはブレードを刺して登ります。
一番怖かったのは、後続の人が間隔を開けず、ぴったり付いてくることでした。
前爪を蹴り込もうと足を後ろに振り上げると、すぐ後ろに人の顔が!
滑落したら巻き込んじゃうな~、とハラハラしながら登りました。
頼もしい相棒はクライミングテクノロジーのやつ。55cmです。
八丁坂くらいの急峻なルートは短くて、曲がっているピッケルが使いやすいです。
無事に乗越浄土に到着です。
いつもの倍以上、時間がかかってしまいました。
風が強い。
宝剣岳
伊那前岳
トレースがほとんど消えています。
雪に埋まった宝剣山荘。
今日は宝剣岳に行ってみる予定でしたので、ハーネスを付けます。
場合によってはパートナーとアンザイレンする予定です。
宝剣岳はもっと雪が積もるとさらに急勾配になりますので、今のうちに登りたいです。
いつも思うのですが、冬の間だけでも宝剣岳にフィックスロープがあればなぁと思います。
でも安易に登っちゃう人がいるかな?
宝剣山荘脇からアタックします。
宝剣岳、いざゆかん!
少し登ると、ここも雪が飛ばされてツルツルのアイスバーンです。
しかもかなりの傾斜です。
完全に怯んでしまいました。
ダブルアックスが欲しいくらいでした。
ここを越えれば歩きやすくなるかな?とも思いましたが、一度顔を出した恐怖心はなかなか引っ込んでくれません。
※余裕がなく、写真が撮れませんでした。
雪山は、場所や時間帯で雪質がガラっと変わりますので難しいなぁと改めて思いました。
こりゃ無理かな?
いや、もうちょい行ってみるか?
と魔(間)が悪くブツブツつぶやくパートナー。
登る気満々なのか、山頂を見上げる目がヤバイです(ワラ)
雪山の危険その3
天候
木曽駒の向こうから嫌な色の雲がモクモクと向かってきています。
指をさしてパートナーに教えます。
天気予報ではばっちりだったのですが、なんだか嫌な雲です。
2月にビバークしたときも、予報では晴れだったのですが、ほんの数分で完全にホワイトアウトしてしまいました。
恐怖が蘇ります。
風も強く、いつもより早く手が凍ってしまいました。
八丁坂の渋滞で時間も微妙です。
勇気ある撤退です!
下りの方が怖いですね。
下山後に出会ったクライマーの方からお聞きしたのですが、昨日中央稜からアタックしたところホワイトアウトになってしまい、壁でビバークしたそうです。
私はビバークがあまり好きではないので(好きな人の方が珍しいかな?)聞いているだけで寒くなってしまいました。
勇気ある撤退とはいえ、やっぱり落ち込みます。
パートナーにも申し訳ない気持ちです。
八丁坂の下山も最初は恐る恐るカニ歩きです。
状態が良ければ前をむいてズンズン下山できるのに。
それでも腰が引けないよう意識しながら恐怖心と戦います。
後ろ向きにハイハイの姿勢で下山している人も何人かいます。
宝剣岳の中央稜にクライマーの姿が。
羨ましい。
なんだか完全燃焼できずに千畳敷まで戻ってきました。
ん?天気が良くなっています(泣)
でも、これでいいんだな。うんうん。
ホテル千畳敷で、年間パスポートを使って、サービスのコーヒーを注文します。
落ち込んでいるとパートナーがぜんざいとモツ煮をおごってくれました。(ワラ)
木曽駒ケ岳&宝剣岳、また来るよ~!
まとめ
怖い体験は安全登山にとって、財産のひとつだと思いますが、時には大胆な行動も必要なのかな?とも思います。
結局は、「慎重」と「大胆」の安全基準を判断できるように、もっともっと経験しなければと思いました。
ロープウェイが使えるということは、大きなメリットですが、逆説的に考えると、時間の制限があるということです。
また、簡単に標高が稼げるのも、同じく裏を返せばいきなり3000メートル級の雪山に飛び込むことを意味します。
そして木曽駒は雪崩のイメージが強いですが、八丁坂はガチガチに凍りますし、乗越から先も凍るとかなり怖いです。
難易度は低く考えず、しっかり雪訓しなければと思いました。
アイゼンやピッケルのメンテも大切ですね。
数日後は、さらにガチガチに凍る八丁坂↓
年末年始は宝剣山荘に泊まることもできます↓
それから今回は麓に宿泊したので、駒ヶ根と宮田村を満喫できました。
おいでなんしょ みやだ!