北横岳 雪山初心者にもおすすめ
12月16日
今シーズン初の雪山登山です。
装備も身体の使い方も無雪期とは別物ですし、山に入るのも数週間ぶりなので、慣れている北横岳に行ってきました。
・北横岳の標高
北横岳は標高2480mで、ロープウェイを利用すると、標高2200mからスタートできますので、雪山だけではなく、夏に八ヶ岳デビューとしてチャレンジするのもおすすめです。
また、ロープウェイを降りたところが「坪庭」という散策コースになっていますので、山に登らなくても樹氷やシュカブラを見ながら雪山の雰囲気を堪能することができます。
・北八ヶ岳ロープウェイ 時間と料金
だいたい他の山は前夜車中泊なのですが、北横岳なら東京からも近いので、東京を早朝出発しました。3時間程で北八ヶ岳ロープウェイの駐車場に滑り込みました。
スキー客が多いかなと想像していたのですが、9:00の時点でも駐車場は十分空いていました。
駐車場代は無料です。
また夜間もトイレが空いていますし、洗面台からはお湯も出ます。
ロープウェイは9:00始発です。
20分間隔で運行しています。
料金は大人往復で1900円。
今日の天気は・・・
早速始発に乗車。
わくわく。
雲のベールを纏った蓼科山を見ながら。
あっという間に坪庭に到着です。
外に飛び出したいのを我慢し、登山届けを提出します。
・坪庭
外に出ると・・・
うわ~!
純白の光彩が一面に敷き詰められています。
露出している顔に突き刺さる棘のような風が、「雪山に来たんだ!」という気持ちを盛り上げてくれます。
・装備と服装
<装備>
装備は慣らしのため12本爪のアイゼンです。(ですので靴は冬用)
※実際は10本爪です。私の場合足のサイズが小さいので、一般的な12本爪だと土踏まずの爪が密集して効きにくくなってしまうからです。
雪面が凍っていなければ、チェーンスパイクもおすすめです。
「まだ雪山登山にハマるかわからないしなぁ~」という方でもリーズナブルですし、春山の残雪歩きでは軽アイゼンより歩きやすいのでお守りとしてザックに入れておくのも良いと思います。
強風を予想して、バラクラバとゴーグルも持ってきています。
歩き方を慣らす目的で来ましたので、ポールは使いません。
ピッケルも必要ありませんね。
チェーンスパイクや軽アイゼンでも登れると思います。
他は夏山と同じく、無線、救急セット、行動食、山専ボトルなどなど。
<服装>
上半身はパタゴニアのキャプリーンミッドにノースフェイスのバーサマイクロ、ノースのマウンテンジャケット。
ニット帽とネックゲイターも。
※ビレイ用ダウンジャケットもザックに入れてあります。
下半身はウールの極厚ソックス、ノースフェイスのバーブパンツ、オーバーパンツ、スパッツです。
手袋は防寒テムレス1枚のみ。
※もちろん予備の手袋はウールインナー、ゴアのアウター、ゴアのミトンを持ってきています。靴下も予備は必須です。
<その他>
今回は身体慣らしで来ていますので、ザックも重たくしたかったので、一般的な雪山装備も持ってきました。
北横岳では必要ないと思いますが、参考までに記載しておきます。
・ピッケル
・ツェルト
・お尻マット
・ストーブ+ガス
・コッヘル
・ハクキンカイロ
・一日分の食料(カップ麺)
・GPS
・スノーショベル
ロープウェイの坪庭駅のところには緊急用のシェルターがありますが、たまにはツェルトでビバークの練習もしておかなきゃと思いつつ、装備は持参していますがなかなか・・・(笑)
・コース詳細
坪庭駅から北横岳山頂までは90分程です。
アイゼンを装着します。素手でも寒くありませんが、「慣らし」のためグローブを付けたまま装着します。
雪面を前後左右に蹴って、装着具合を確認したら、
北横岳、いざゆかん!
<坪庭から登山口>
坪庭は、散策路の順路が時計周りです。
歩き出してすぐの登り。
アイゼンを履いていてよかったです。
登りきると・・・
さらに展望が開けます。
冷たく粒立った空気が、爽やかな陽光を含んで冴え返っています。
出発から5分ほどで、第一休憩所。
冴え冴えと葉を落とした木の枝に、六花が咲き誇っています。
さらに5分で第二休憩所。
山の方を見上げると、樹々の梢に丸々と付着している雪は、強風で梢がゆらぐと、蒼白い光の塊となって空になだれ飛んでいきます。
<登山口から北横岳ヒュッテ>
さらに数分で登山道の分岐。
積雪期はガスっていたり、おしゃべりに夢中になっていると見逃してしまう看板を目印に。
少し下ると
雪に埋まった木の橋。
粉砂糖を振りまいたような小径を進みます。
樹々はすっかり白い衣を纏っています。
希薄で澄んだ光の中に、クリスマスツリーがたくさん。
北八ヶ岳は明るくメルヘンな雰囲気が特徴です。
急登や危険な箇所も無く、写真を撮ったり、おしゃべりしながら楽しく登れます。
あ、でもここは雪山。油断禁物ですね。
始発で登ったため、ほとんど登山者はいません。
自分の足音も樹氷に吸い込まれて消えていきます。
シラビソの中をジグザグに登ります。
樹林帯では、目線も近くなり、いろいろな発見があります。
葉の下に隠れて光を反射する氷柱。
降雪から守られた低木には白いサンゴのような霧氷が。
展望が少し開けると、優しい光が斜めに差す坪庭の全景。
曇り空も柔らかな光彩。
遠く雪の中に、青い三角屋根。
縞枯山荘です。
目印のリボンも雪山では可愛いアートピースに見えてきます。
雲の切れ間に青空が見えると、さらに気分も高揚してきます。
よっこらしょっと。
三ッ岳の分岐。
三ッ岳はその名の通り、三つのピークが特徴の岩がゴロゴロした山です。
さらに森が深くなります。
階段は前爪を引っ掛けないように注意が必要です。
ここを越えると、もうちょい。
出発からゆっくり登って45分で北横岳ヒュッテに到着です。
天狗と2年振りの再会。
ここで雪山の楽しみ、砂糖をたっぷり入れた紅茶をいただきます。
山専ボトルに入れてきました。
夏山ではパーコレーターで淹れたコーヒが好きですが、雪山ではストーブを出すのが面倒なので、家から作って持ってきた紅茶をよく飲みます。
朝5時に作って、まだまだ熱々です。
おすすめはジャンナッツのアールグレイ。
天然由来の香料で香りを強くしていますので、標高の高い山でも美味しく感じます。
行動食はクリームパン。
<北横岳ヒュッテから山頂>
お腹を満たしたら、アタックの準備をします。
稜線に飛び出すと強風が予想されますので、バラクラバを装着し、シェルのフードを調整します。
ゴーグルは基本的に下山時しか使用しませんが(登りでは曇ってしまうので)、念のため取り出しやすい雨蓋に移動します。
序盤は変わらず森の中をぐんぐん登ります。
傾斜はいささか急になってきます。
樹氷の間から淡い日差しが漏れ、雪面にレース模様を映し出します。
樹々の間に空が見えてきました。
風が吹くと、樹々たちは、一瞬躊躇い抵抗を見せますが、梢に積もった雪花が散ると、無数のガラス片のように陽光に反射します。
キラキラの中を進みます。
雲の流れる速度が早い。
ということは・・・、
南峰直前で木がなくなると・・・、
やっぱり!!!
ぶわ~!!!!!
写真ではわかりにくいですが、爆風です。
下から吹き上げた風が身体を地面から引き離そうとします。
恐らく風速30メートル程度かな?
シェルのフードの調整が甘かったため脱げてしまいました(汗)
足を広げて耐風姿勢を。
パートナーはなにやら訳のわからない言葉を叫んでいます。
身動き取れずしゃがんでいる人、諦めて引き返す人も。
少しずつ進んで、三角点にタッチ。
標識に掴まっていないと身体が吹き飛ばされそうです。
ここからハイマツの茂みを北峰に向かいます。
茂みに入ると風が弱まりました。
ふぅ~、こんな爆風が痩せ尾根だったり、凍った壁だったらと思うとゾッとします。
それでも今日のテーマは「慣らし」なので良い体験です。
数分で北峰登頂!
ここも強風です。
蓼科山。トレーニングに丁度良い山ですね。
反対側は南八ヶ岳の峰々。
上の方は厚い雲がどんよりと垂れこめ、麓との間の空間は鉛色に煙っています。
<下山ルート>
今日は貸切ですが、こんな風では何もできないので、勿体無いですが下山します。
ハイマツの間に引かれた道を抜けると南峰はまたまた爆風。
ぬわ~!!!
身体が真横にもっていかれそうです。
樹林帯に潜り込むとほっとできます。
北横岳ヒュッテに戻ってきました。
七ツ池に寄ってみようかと思いましたが、お腹が空いてきたので、また今度の楽しみにします。
七ツ池は、賑やかな北横岳の中で、唯一静かな空間が現れる、おすすめスポットです。
紅茶で水分を補給したら、出発です。
雪道の下山は膝の負担も少ないため、ずんずん進むことができます。
登ってくる人とすれ違うときは、踏み抜いたり、谷側に落ちたりしないよう気をつけます。
また、ザックに取り付けたポールやピッケルが人に当たってしまわないよう注意が必要です。
あっという間に坪庭です。
時間的にはここから縞枯山まで行ってもよかったのですが、空腹が(苦笑)
シメはご褒美カレー&コーンポタージュ
・まとめ
北横岳は雪山初心者にも、ベテランにもおすすめです。
理由は、行動時間の短さ、難易度、通年営業の小屋があること。
他には無い牧歌的な雰囲気が味わえます。
山頂は一気に展望が開け、高山の雰囲気が十分味わえます。
また登山者が多いので、トレースが消えてしまうことも少ないと思います。
軽アイゼンやチェーンスパイクでも可能ですし、ピッケルを使うような場所はありませんでした。
それでも雪山ですので、天候の急変も怖いですし、防寒装備も必須です。
夏に一度登っておくか、慣れている人と一緒に登ると安心ですね。
※危険ヶ所
危険ヶ所は、特にありませんが、狭い登山道でのすれ違いに注意が必要です。
今日のように強風になることもしばしばあります。
また、坪庭でも、だだっ広い分、ホワイトアウトすると方向がわからなくなることもあります。
坪庭散策路の帰路側の下り階段は、段差が埋まり、凍ってツルツルの滑り台になることもあります。
北横岳、また来るよ~!