木曽駒ヶ岳 テント泊 8月
2017年8月17日(木)~19日(土)
先日のジャンダルムから下山し、そのまま富山へ。
ビジネスホテルのコインランドリーで山の服を洗濯し、剣岳へ!
の、はずが。
天気予報は、雨、雨、雨。
東日本は不安定な天気が続いているようで、他に行けそうな山を探します。
そうだ!木曽駒へ行こう!
というわけで木曽駒に行ってきました。
年間パスポートも持っているし、剣5泊分の装備もあります。
8/15、夜。
菅の台バスセンター駐車場着。こまくさの湯で汗を流す。
そして車中泊。シートがフラットにならないので背中が痛い。
8/16、早朝起床。
外は強い雨。天気予報を見ると一日強い雨。木曽駒ヶ岳もガスに包まれています。
バス停もいつもなら行列なのに閑古鳥が鳴いています。
う~ん・・・。ジャンダルムの疲れもあるしなぁ・・・。
とりあえず、こまくさの湯へ。
食堂でソースかつ丼を食す。
その後休憩室でお昼寝。
夕方、また風呂へ。
そして休憩室へ。パートナーとも、もはや話すネタがない。
21:00閉店なので車へ。
そして車中泊。背中と腰が痛い。
幸い涼しいので、寝苦しくはない。
8/17、5:00起床
この日はバスの始発が6:15。すでに行列ができています。
行列の待ち時間に、夏期のみ設置される登山届のポストへ提出。
もちろん普段通り千畳敷でも提出できます。
急いで支度し、臨時バスの2便目に乗車。
ロープウェイで千畳敷へ。
外へ出ると・・・
やった~!
相変わらずの景観です。お花畑も先月より増えています。
二晩の車中泊で背中がガチガチになったし、「こまくさの湯」の店員さんから怪しまれながらこの日を待った甲斐がありました。
会社の上司のもらったテント内用のお気に入りのソーラー発電のライトは、夏休みの連日登山でも活躍してくれます。こんなふうに雨蓋の上で充電します。
おもしろルートの紹介
千畳敷から乗越浄土(八丁坂)
今回は宝剣山荘のお姉さんが取材を受けた、ランドネ9月号の『神様百名山を旅する』という連載記事に影響され、木曽駒のお社もいろいろ巡礼してみようと思います。
まずはロープウェーの安全を祈願するために祭られている信州駒ヶ岳神社。
すると、偶然宝剣山荘のお姉さんがいました!
背負子には大量の荷物が。これから歩荷するんだそうです。
嵩がありすぎて括りきれなかったトイレットペーパーは、イケメンのお兄さんが下りてきて歩荷します。
先週はとてもお客さんが多かったそうで、23日のヘリの荷上げまでにいろいろと不足するものがあるそうです。
すごいなぁ。かっこいいなぁ。
八丁坂をお姉さんに着いていきますが、ぜんぜん追いつけません。
休むことなく、一定の速度で登り続けています。
涸沢ヒュッテの山口さんといい、本物の山の人は全然違うんですね。
こういった姿を見ると、山荘のトイレットペーパーも無駄に出来ないなぁと思います。
それに、私はいつもテン泊なので、もっと何か宝剣山荘や頂上山荘に貢献しなければと思います。
小屋のスタッフさんは「お客さんが楽しく安全に登ってくれるのが一番嬉しい」といつも言って下さいます。
私たち登山者にとっても、山荘がある安心感や、登山道の整備まで。だからこそ、楽しく山に登れるんですよね。
私たちにとって、山荘の存在は無くてはならないものですよね。
木曽駒の平和と未来を守るため、さぁ、ガンガン登ります!
ベニヒカゲとの出会い
途中、私の汗と涙の染み込んだザックのベルトに蝶がとまりました。
ベニヒカゲという準絶滅危惧種のちょうちょです。
ブローチのようにくっ付いたまま全然逃げない。
「仕方ないなぁ。」一緒に登ってあげます。
いつも宝剣岳を見上げるオットセイ岩。
振り返ると天然広角!
もう雪は無くなって、歩きやすい。
お花もたくさん咲いています。
冬はガチガチで怖かったポイントが見えます。
空は抜けるように青く、雲は躊躇いながら、天頂の所々に浮いています。
乗越浄土に到着です。
牧歌的な雰囲気の稜線が魅力の伊那前岳
天空を突き刺す宝剣岳
中央アルプスの主峰、木曽駒ヶ岳と前衛峰の中岳。
赤い屋根がかわいい天狗山荘と。
その完璧なロケーションのど真ん中に位置する家庭的な雰囲気の宝剣山荘。
宝剣山荘で力持ちのお兄さんにご挨拶します。
下界は臨時バスが出ているとお伝えしたら、気合を入れていました。
ドコモのアンテナでさえ青空に映え、陶器でできたアートピースのようです。
さぁ、ここからが今回のテーマ、いつもと違うルートの紹介です。
良く知られているのは、八丁坂~中岳~木曽駒ヶ岳のルートです。
もっと違った景色のルートがありますので、何度来ても楽しめるのが木曽駒ヶ岳。
乗越浄土~中岳巻道
中岳は木曽駒と宝剣岳と伊那前岳が見渡せて、とても素敵な場所なのですが、今日は巻道を紹介します。
この巻道は、通称「夏道」と言うらしいです。
ケルンのある分岐を左に進みます。
所要時間は中岳を超えるより5分ほど短いです。
「難所あり 積雪期閉鎖」の表示があります。
途中、崖をトラバースしますので、ちょっと危険なルートになります。
特に天候が悪いと、ガスで視界不良になり、踏み外して滑落してしまったり、谷から強風が吹きますので、バランスを崩して滑落してしまうので、要注意です。
落ちたら最低でもヒドイ目に会うでしょう(怖)
重いテン泊装備だとアップダウンが少ないので楽なのですが、バランスを崩さないように進みます。
足場が狭い。
軽く登ったり
下ったり
木曽方面も晴れ渡っています。
青空は稜線ギリギリで薄く煙っています。
途中から振り返ると、地獄谷が見えます。ずっと眺めていると、このゴツゴツした山肌に流れてきたガスが当たって、岩の凹みに所々ガスが散り散りに残ります。
刻々と変化するこの景色が好きです。
水玉のついたお花
もうちょい
あっという間に頂上山荘。
テントはまだ少なく、いつものお気に入りの場所に設営できました。
目印のタルチョを張ったら、頂上山荘でおでんとモツ煮をいただきます。
生ビールも注文できますので、天気の良い日は外のドラム缶のテーブルで飲み食いするのもいいですね♪
頂上山荘のお兄さんに夏道のことをお聞きしたら、頂上山荘から宝剣山荘へ戻る方が怖くないそうです。
頂上山荘~西駒方面分岐
頂上山荘から木曽駒に直登するのではなく、右に迂回します。
馬の背や、遭難記念碑、将棊ノ頭方面の分岐まで15分程。
普段見えない伊那前の稜線を右手に見て、眼下に頂上山荘のテン場を見下ろしながら、ゆっくりお散歩コースです。
ここは宮田村のシンボル「コマウスユキソウ」が咲いています。
世界でもこの近辺にしか咲かない、モコモコした小さく可愛らしい花です。
人も少ないので、前後を気にせずゆっくりお花を見たり、写真を取ったりできるのも巻道の魅力ですね。
西駒方面分岐~木曽駒頂上
今度は分岐を左に頂上に向かいます。
所要時間は20分程
道はゴツゴツしていますが、急登ではないのでキツくありません。
ここでもお花を見つけながら
最後の岩場を超えて、
登頂です。
北アからそのままこちらに来ましたが、今回のようなのんびりコースなので、全然疲れることもなく登ることができました。
さて、今回は巡礼登山でもありますので、お社へ
木曽駒頂上~頂上木曽小屋巻道~頂上山荘
さて、下山は頂上木曽小屋を経由した巻道で戻ります。
所要時間は25分程でしょうか。
ここの魅力は、8月中旬でも運が良ければ高山植物の女王「コマクサ」が見られることです。
荒涼とした岩礫に咲くピンクの小花。
もう枯れかかっていますが、5月から7月に見頃を迎えます。
この道も鼻歌でも歌いながら歩けるような心地よさ。
そんな雰囲気に惑わされないよう、ここも落石注意です。
慎重かつ迅速に通り抜けます。
テン場に帰ってきました。
普段と違う景色も見れますし、アップダウンも少なくて、新鮮な気持ちで楽しく登れました。
まとめ
夏道は崖のトラバースなので危険です。
他のルートも緩めではありますが、ここは登山道。十分気を付けなければいけません。
ガスって滑落したり、逆に広い道は視界不良になると方向を見失いやすいので注意です。
その後・・・
翌日8/18。一日雨のため、潔くもう一泊することにしました。
カッパを着て下山することもできたのですが、夏休みももうすぐ終わってしまいます。
なので少しでも長く山にいたいな、と思いました。
雨の中、テントを担いで登ってくる人もそれなりにいます。
することがないと、ひたすらおやつを食べ、お昼寝、の繰り返しです。
テントに当たる雨粒の音。
ベンチレーターから入ってくるガスはテント内を濡らします。
テント内の結露や雨の浸水はパックタオルで拭きます。
速乾で吸水性がすごいので、雨のテント泊や厳冬期の結露拭きに便利です。
テントとフライの間に迷い込んだハナアブも、一緒に雨宿りします。
暇だ。
でもこれが山にいるということ。
五感で楽しみます。
時折雷が鳴ります。
ピカッと光ったら、1、2、3、4、ゴロゴロー。
まだ遠い。大丈夫。
自然の都合でしか人間は動けないんだなぁ、なんて考えていたら夜がやってきました。
8/19 早朝。そっとシュラフを抜け出し、一昨日の西駒方面分岐の道に。
雲の向こうから朝日が透けています。。
まだ晴れていないガスの中の登山道はふわふわ明るくて、この時間帯もなかなか良いなと思います。
風が強くなり、ガスの流れが見えるようになると、そろそろかな?
夜明けの頃、天候が回復する瞬間が好きです。
まさに雲散霧消。
一気にガスが捌けると、ハイマツの緑、花崗岩の灰色、青い空が目に飛び込んできました。
まるで濁った憂いが溶けて流れ去るようです。
今年の夏休みもずっと山にいられたことを感謝して、下山します。
中岳経由で、お社に立ち寄ります。
下界は晴れている様子。
すると千畳敷から宝剣山荘のお姉さんと力持ちのお兄さんが、歩荷で登ってきます。
ご挨拶すると、昨夜怪我をしてしまった登山者を送ってきたそうです。
救助要請にならずよかったと安心された表情でした。
それにしても、一晩怪我人に付き添い、下山に付き添い、帰りはまた歩荷!
頂上山荘のお兄さんも朝一で歩荷。さらに「もう一回行かなきゃ」と爽やかな笑顔。
小屋のスタッフさんは本当に凄い!
私も頑張らなきゃ、といつも元気をもらいます。
お花も満開。今日もたくさんの登山者がいます。
帰りたくないなぁ。
笑顔と寂しさが交差する千畳敷。
来てよかった!
おいでなんしょ、木曽駒ヶ岳。