登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

パタゴニア

【冬季登山】雪の状況は?装備は?11月木曽駒ヶ岳テント泊 【強烈な爆風を行く!】

雪が無い!?小屋閉め後の木曽駒ケ岳でテント泊

 

中央アルプス最高峰、木曽駒ケ岳のテント場は、頂上直下の鞍部「頂上山荘」という小屋の前にあり、とても便利なテント場です。例年、水の確保が困難になる10月中旬には小屋閉めとなりますが、テント場の利用は雪で埋まる前まで可能です。

トイレや水場はありませんが、登山者の数も一気に減り、静かな山でのんびり過ごすことができます。

今回は、小屋閉め~積雪期の間、いつ真冬になってもおかしくない微妙で無難しい時期の木曽駒ケ岳を紹介します。

f:id:chi-sk8:20201230232503j:plain

 

木曽駒ヶ岳ルート地図

f:id:chi-sk8:20210822003900p:plain

木曽駒ヶ岳一帯の概念はこのような形になります。

比較的行動時間の短い距離範囲に、色々なルートがあって、何度訪れても楽しめます。

 

一日目のルート【岩と雪の登山道の様子】

 深夜に、麓にある菅の台バスセンター駐車場に到着しました。

やはり時期的登山者は少なく、空いています。

車の座席を倒し、毛布を被って仮眠をします。

f:id:chi-sk8:20201230203530j:plain

寒さであまり眠れないまま朝を迎えました。

寝不足の気持ち悪さと寒さは、「このまま温泉に入ってソースカツ丼でも食べて帰ろうかなぁ~?」なんて誘惑が出てきます。山が好きなはずなのに、朝が弱いのはどうしたものか・・・。

バス待ちは行列になることもなく、すんなり始発のバスに乗り込みます。終点、しらび平駅からは、駒ケ岳ロープウェイを利用します。約7分30秒の空中散歩を楽しんでいる間に、雲の上の別世界、千畳敷駅に到着です。

併設されているホテル千畳敷の「2612カフェ」のコーヒーとホットドッグで朝食です。

テント泊は時間に余裕があるので、こんなふうにゆったりできるのが魅力でもあります。

一気に標高を上げるので高山病にならないよう、2612カフェで順応するのも安心です。

  

登山届は、千畳敷駅に提出するポストがあります。提出してから外に出ると・・・

あれ!?雪が無い!

先週は一面が雪で埋まっていたのに、晴天が続き気温も高かったため溶けてしまっています。

千畳敷カールは、六万年前と二万年前に氷河の力で削られたお碗型(カール)の地形。f:id:chi-sk8:20201230203831j:plain

何度来ても、いつ来ても最高の景色♪

紅葉を終え、凍らないよう自ら枯らした高山植物がカールに敷き詰められ、積雪に備えています。

空と岩のコントラストが目に飛び込み、澄んだ空気は視力が良くなったように遠くまで見渡せます。

初冬の青空はシャンパン色の陽光に輝く。

高山特有の適度な湿度は、山の匂いと相まって、訪れた人は誰もが深呼吸をしてしまうでしょう。 

登山はハードルが高くても、この千畳敷カールには一周40分程の遊歩道が整備されています。

日帰りはもちろん、是非、日本で一番標高の高いところに建つ「ホテル千畳敷」に泊まって、星天を鑑賞しながら、身も心もリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?

ホテルを運営する中央アルプス観光では様々なイベントを開催していますのでHPをチェックしてみてください。

 

さぁ、ホテル千畳敷の西側に祀られる信州駒ヶ岳神社で、登山の安全をお祈りをして・・・

f:id:chi-sk8:20201230204147j:plain
 

木曽駒ケ岳、いざゆかん!

 一泊にはいささか大き過ぎるザックには、厳冬期と同じ防寒装備に、お守り変わりのチェーンスパイク、水が6リットル、それから、それから・・・。

厳冬期に向けて歩荷訓練を兼ねています!

 

左上に見える尖ったピークが宝剣岳。

f:id:chi-sk8:20201230204218j:plain

登山道は稜線上で一番低い鞍部にある乗越浄土までジグザグに続いています。

 

初夏にはコバイケイソウ、シナノキンバイ、チングルマなどが咲くカールも、今は荒涼とした景色が広がります。

夏や紅葉シーズンは、アリの行列のように乗越浄土まで人の列が続いていいますが、今日はほぼ貸し切りです。

 

カールを横切り、右から遊歩道と合流すると八丁坂の取り付きです。

f:id:chi-sk8:20201230204355j:plainここからいよいよ爪先の角度がきつくなり、上部のV字状に見える乗越浄土に向かいます。

「乗越までいかに早く登るか?」いつも自分の体力を試してしまいます。

※ロープウェイで一気に標高を上げているので、慣れていない方は高山病にならないようゆっくり登ってください。

 

大小様々な花崗岩が整備された急登。

7月頃にはシナノキンバイが黄色い花を咲かせる場所です。

迫りくる岩の間をどんどん進みます。

ふぅ、ふぅと息が上がる一歩手前まで、心肺機能の限界までペースを上げます。

 

オットセイ岩までくれば、乗越はもう少し。f:id:chi-sk8:20201230205027j:plain


 

八丁坂の上部は、階段が整備された急斜面。

f:id:chi-sk8:20201230205125j:plain

 

ここが雪で埋まっていると、本当に怖いです。

あと数週間で完全に雪に埋まり、青光りするアイスバーンになります。

www.chillpaine.com

 

 

ガンガン飛ばして30分で乗越浄土。

f:id:chi-sk8:20201230205238j:plain


 

右手の伊那前岳は、たおやかな稜線が続いています。

正面には中岳とその向こうに木曽駒ケ岳の頂上を望みます。

青い屋根の宝剣山荘、赤い屋根が天狗荘です。

f:id:chi-sk8:20201230205324j:plain

 

左の宝剣岳は、今日も天空にその雄姿を突き刺しています。

f:id:chi-sk8:20201230205407j:plain

頂上山荘はもう閉まっているので、宝剣山荘でテントの受付をします。

宝剣山荘も同じく小屋閉めを終えていますが、その年によって、予約が入れば週末だけ開けることがあります。

f:id:chi-sk8:20201230205451j:plain

支配人さんにご挨拶。

今日はテント場が埋まる心配もないので、お仕事の邪魔にならない程度に、(完全に邪魔していますが)会話が弾みます。

 

さて、宝剣山荘の裏を通り右方向の中岳へ向かいます。

裏手には天狗岩があり、ビューポイントの一つです。f:id:chi-sk8:20201230205552j:plain

天狗岩の真似をして口をとんがらせているパートナー。(天狗は口じゃなくて鼻なんだけどなぁ。)大人しくさせるため、行動食のブラックサンダーを与えて、先に進みます。

左に分岐する巻き道が、変化に富んでいて好きなルートですが、日陰なので、岩が凍っていたり、先週降った雪が残っていそうなので、通常のルートを進みます。

f:id:chi-sk8:20201230205626j:plain

 

比較的なだらかな道を登ると、巨岩で構成された中岳です。f:id:chi-sk8:20201230205656j:plain

中岳から望む木曽駒ヶ岳。

ちょこんと見える三角屋根は駒ケ岳神社です。

f:id:chi-sk8:20201230205753j:plain

鞍部に見える青い屋根が頂上山荘で、その前の開けたスペースがテント場です。

山荘の左右の斜面には、「駒」の名が付いた高山植物、「コマウスユキソウ」が咲きますので、シーズン中は見どころのひとつです。

 

第二の我が家に到着。f:id:chi-sk8:20201230210006j:plain

たぶん今までで100泊近くしているはずです。

ここは、中央アルプス唯一のテント場で約70張。

 

今日は誰もいません。貸し切り状態です。

テントを設営すると、寒いので中へ。

f:id:chi-sk8:20201230210059j:plain

オレンジ色のフライを透かして届く太陽の光が暖かい。

コンビニのお昼ご飯を食べて、キャラメルポップコーンを作ります。

 

誰もいないテント場にポップコーンの音が響きます。

f:id:chi-sk8:20201230210141j:plain
 

腹ごしらえをしたら、眠気が・・・。

今回はこのまま頂上を踏まずにのんびり・・・と誘惑が。

実際に「今週は疲れたから頂上山荘でのんびりしようかな?」ということで、このテン場まで来て頂上を踏まないこともしばしばあります。

いかん、いかん!せっかく貸し切り状態なので、頂上へ向かいましょう。

 

一度、トイレに宝剣山荘まで戻ります。

またまた支配人さんの仕事の邪魔をしてから、頂上に向かいます。

途中、中岳から振り返ると、ガスが巻いています。

f:id:chi-sk8:20201230220753j:plain

次の瞬間、ブロッケン現象が見られました!

f:id:chi-sk8:20201230220419j:plain

 

あまりに寒いので、テントに立ち寄り、ビレイヤーダウンを羽織りました。 

行動時間も短く、寒いのでビレイヤーパーカーを羽織ったまま、アタックザックを背負っていきます。

f:id:chi-sk8:20201230210225j:plain

板で窓が塞がれた頂上山荘から、木曽駒ヶ岳への最後の登りです。大小様々な花崗岩がゴロゴロと転がる斜面。

日陰には雪が残っています。

f:id:chi-sk8:20201230210306j:plain

溶けて固まっているので、滑らないように気を付けて進みます。

 

 

15分程で、木曽駒ヶ岳山頂。

 

f:id:chi-sk8:20201230210325j:plain

駒ケ岳神社と御嶽山。

f:id:chi-sk8:20201230210930j:plain

山岳信仰の歴史が今に残ります。

 

宝剣の向こうに伸びる稜線は空木岳へ。そして伊那谷を挟んで南アルプスとその向こうの富士山。

f:id:chi-sk8:20201230210347j:plain

将棊頭山から伊那に伸びる尾根の遠景には八ヶ岳。

 

北アルプスは槍もはっきり見えます。

f:id:chi-sk8:20201230210440j:plain

その手前に乗鞍岳。

さらに左にどっしり鎮座する独立峰の御嶽山。

  

はぁ~、やっぱり登ってよかった~。

 

陽が傾く、誰もいない頂上。

f:id:chi-sk8:20201230210711j:plain

残念ながら雷鳥には会えませんでした。今はどんな羽の色になっていいるのかなぁ?

 

お腹も減ってきたので、そろそろテント場に戻ります。

 

頂上山荘は閉っているので、水も持参した6リットルのみ。(持って来すぎました)

冬季は、水分補給が一緒にできる鍋料理がおすすめです。

今回は冷凍のなべ焼きうどんです。

f:id:chi-sk8:20201230210738j:plain

具も豪華でおすすめです。

 寒いと、意識しないと水分補給量が少なくなってしまうので、冬季は鍋料理が良いですね。

 

空に星が瞬く頃、テントの外で歯を磨いていると、冷たい風もなんだか心地よく感じます。

f:id:chi-sk8:20201230210908j:plain


 

冬のテント泊装備~寒さ対策

さて、今日は厳冬期と同じ寒さ対策装備で来ました。

一覧で紹介します。

 

・プリマロフトの象足(化繊綿は濡れても保温するので安心です。そして洗いやすい)

・足用ホカロン(象足の中に貼り付けます)

・ナンガのポータブルダウンパンツ(真夏以外は常に使っています)

・サーマレストのリッジレストソーライト

 片側が銀になっているクローズドセルのマットです。空気を入れるやつはパンクしたら大変。昔パンクさせたことがあって、着替えやらザックやら、ありったけのモノをシュラフの下に敷きましたが、凍えて眠れませんでした。

・普通の銀マット(サーマレストより幅があるので、地面からの冷気をシャットアウトできます)

・シュラフはナンガのオーロラ700

 オーロラテックスという撥水生地なので、シュラフカバーがなくても、雪が少量溶けた程度はへっちゃらです。

・パタゴニアのダスパーカー(化繊なので濡れてもOK)

・ハクキンカイロ(ホカロンが使えなくてもコイツはOKです)

・ニット帽とネックゲイター(頭からの熱も逃がしません)

 

と、かなり重装備です。重要なのはやはり地面からの冷えだと思います。

厳冬期は、吐いた息がテントの生地で霜になって、風が吹くとパラパラと降ってきます。

体温で溶けると、顔や床が濡れることもあります。

 

今回はポカポカの天国でした。

遠くから尾根を伝ってくる風の音を聞きながら、夕闇に意識も溶けていきます。

 

装備の記事はこちら↓

www.chillpaine.com

 

二日目のルート【爆風の中の下山】

ゆっくり起床して、朝ごはんは簡単にカップラーメンです。

これくらい寒くなるとノーマルガスは使えなくなります。

パワーガス、あるいはハイパワーガスが必要です。

<ここで裏技>

カメラのレンズヒーターをガス缶に巻くと、使えるようになります。

f:id:chi-sk8:20201230221112j:plain

 

撤収を終えたころ、あたりはガスに包まれ、風が嫌な強さになってきました。

f:id:chi-sk8:20201230220908j:plain

髪の毛やまつげ、ネックゲイターもすぐに凍ります。

f:id:chi-sk8:20201230221203j:plain

 

雨雪にはならなそうだし、私は運動量が多く、汗っかきなので、ソフトシェルのまま下山することにしました。

強風のときは、途中でハードシェルに着替えるのも大変なので、運動量が少なく、天候が読めないときはハードシェルだと安心です。

 

手袋は予備も含めて数種類持ってきていますので、行動用に最適なものをチョイス。

今回はカメラの操作がしやすいジャージ素材のもの。

ジャージ素材のものも、厚さが様々ありますので、自分に最適なものを見つける楽しみがあります。

おすすめはアウトドアリサーチのもの。ラインナップがたくさんあります。

 

さて、風が暴風から爆風に変わってきましたので、そろそろ下山です。

中岳への登りに差し掛かるころ、辺りはガスに包まれ、爆風で飛ばされそうです。

私が今まで体験した爆風ベスト10にランクインする強さ!

f:id:chi-sk8:20201230221559j:plain

お辞儀の体制で両足と頭で三角形を作り、風上に頭を向けて、耐風姿勢をとります。

風の呼吸の合間でガンガン登ります。

パートナーは、何やら訳の分からない言葉を叫んでいます(笑)

 

中岳を越えれば風も穏やかになるはずです。

f:id:chi-sk8:20201230221814j:plain

ダメだ。今日は暴風のまま。

ここから先の乗越浄土までの鞍部も風の通り道なので、気合を入れて宝剣山荘まで進みます。 

 

f:id:chi-sk8:20201230221956j:plain

霜の花。

髪の毛も霜だらけ。

f:id:chi-sk8:20201230222737j:plain

 

そしてこの視界の悪さ。すぐそこの天狗荘が見えたり見えなかったり。

これで積雪だと、真っ白で何も見えなくなってしまいます。

足元も真っ白なので、なんでもない斜面で転倒してそのまま滑落する危険もあります。

数時間前、早朝は太陽が出ていたのに。一気に変わる天気。山の怖さですね。

f:id:chi-sk8:20201230222024j:plain

風雪に耐える山岳建築が安心の宝剣山荘に到着です。

f:id:chi-sk8:20201230222131j:plain

支配人さんにご挨拶をしたら、乗越浄土から八丁坂を下ります。

序盤はとても高度感があります。

f:id:chi-sk8:20201230222448j:plain

 

 

f:id:chi-sk8:20201230223037j:plain

オットセイ岩を過ぎると風も穏やかに。

寒さは変わりませんが、霧氷を楽しむ余裕が出てきました。

f:id:chi-sk8:20201230223111j:plain

まとめ


あっという間に千畳敷です。

今回は例年より雪が少ないかな?といった印象です。

でもこの時期はいつ真っ白になってもおかしくないので、万全の装備が必要です。

登山道の最新状況は、宝剣山荘さんのHPやFacebookを見ると良いと思いますが、装備選びは慎重さが求められます。

 

見てもわかりにくい凍った岩があったり、靴下や手袋が濡れてしまったら、予備が無いと大変なことになります。

テント泊は、頂上山荘が閉まっていますので、トイレ、水場がありません。夏山シーズンの感覚で来るのはちょっと大変だと思います。

今回のような爆風ではテントも張れません。ポールを抜いて布だけ被ってやり過ごすか、下山できるなら下山するほうが安心です。数年前の冬季にはテントごと飛ばれて亡くなってしまった方もいました。

 

気を付ける点はたくさんありますが、どんな時期に来ても、ロープウェイで一気に標高を稼いで、最高のロケ―ションが約束されている木曽駒ケ岳。

雷鳥の移住計画も順調のようです。

 

是非おいでなんしょ!

登山道の様子は公式YouTubeにもアップしましたの是非ご覧ください!

https://youtu.be/hKjsA0RLPc8

 





 

 

 

 

 

 

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加