登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

パタゴニア

唐松岳 テント泊登山 

唐松岳 テント泊 三日目

4/30
昨日は唐松岳に登頂して、のんびり過ごしました。
とても贅沢なテント泊、素晴らしいロケーションと最高の天気の中、2泊しました。
最後は下山のルート詳細と、山行のポイントをご紹介します。
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唐松岳頂上山荘までのルート↓

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唐松岳にアタック↓

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朝5:00起床
スマホのアラームが鳴る前に、周囲の物音で目が覚めます。
数時間前から寒くてウトウトしながら、眠ったのか眠っていないのかよく分からないまま、テントの外から明かりが透けてくるのを感じていました。
今日は下山。
テントのジッパーを開けると、昨日と何も変わらない景色がそこにあります。
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ここから見える景色は、ずっとずっと昔から変わらないんだな。
時代が変わったり、赤ちゃんが大人になったりしても。
普段はそんなことも考えず、最新の家電にワクワクしたり、流行のファッションをチェックしたりして過ごしています。
ここにに来て、山の美しさを見てると「こういう場所はずっと残しておかなきゃ」と思います。
そんなことを考えながら、朝食はカップラーメンを。
食事を終えたら歯磨きをして撤収です。

撤収作業もこれだけ天気が良いとのんびり進められます。
振り返ると空は青いリボンを翻し、黒部の向こうに立山連峰が常に見える。いつまで見ていても飽きません。
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パートナーは自分で作詞作曲した後立山の「ゴタテの唄」なる不愉快なメロディーの唄を歌い続けています(怒)
それにしても素手で作業できるし、ポールも凍って外れなくなるなんてこともなく、楽ちんです。
私も鼻歌でも唄いたい気分ですが、適当な曲がまるで思いつきません。
あっ、竹ペグは回収するのに苦労するので、レジ袋に雪を詰めてアンカーにすると良いと思いました。
ガチガチに凍った雪をピッケルを使って掘り出します。
思えば今回の山行でピッケルが活躍したのはサラミのビニールを切ったときと、竹ペグを回収したときだけ・・・。
山屋の魂「ピッケル」!その使い方は無限也!
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ルートの詳細

下山も入山と同じく、白馬八方のゴンドラを利用して下山します。
とても名残惜しいですが、また頑張って山に返ってこよう。
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頂上山荘から丸山ケルン

唐松岳頂上山荘からの下山の核心は、歩き初めてすぐに現れる岩と雪のミックスしたルートです。
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ザックが大きく、下を引っ掛けそうなところはバックステップで下ります。
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狭い岩道で傾斜もきつく、前爪を引っ掛けやすかったり、足場が悪くバランスを崩しやすいので注意が必要です。
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雷鳥との遭遇

下山が苦手な私に比べ、後ろから歩いてくるパートナーは雷鳥の鳴きまねをしています。
これがなかなか上手く、他の登山者から「雷鳥の鳴き声がする!」と勘違いされています。
しばらく進むと、本当の雷鳥がいました♪
しかもご夫婦のようです。
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旦那さん♪
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奥さん♪
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二人とも朝ごはん中のようで、まったく逃げる気配がありません。
イタチなどの動物にやられないように、たくさん赤ちゃんを産むように言い聞かせてサヨナラします。
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しばらくはこんな尾根歩きです。
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上の樺・下の樺

一面雪の広い尾根を進みます。
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まるで鏡の破片を敷き詰めたような雪面が私の目を射抜きます。
春の雪山は日陰というものが一切ありません。

急斜面を下ると・・・
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上の樺のあたりです。
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白樺も雪面に反射した色艶を幹に纏って、自然の中で個の姿をはっきりと見せています。
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こんなところを乗り越えたり
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冬ルートなので、木の根をまたいだり。
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植物を傷つけないように要注意です。


第三ケルンから第二ケルン

標高を下げるにつれて暑くなってきました。
無理にこじ開けられたような痛々しい傷跡のような土の部分が増えてきました。
先を見ると、もうアイゼンは必要なさそうですのでこの先で外します。
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雪玉を作って、アイゼンについた土を落とします。
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アイゼンを外すと歩きやすい。
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岩と砂利を踏む音が青空に吸い込まれていきます。
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第二ケルンから八方池山荘

ここまで来ればあと少し。
恒例の空腹との戦いが始まります(w)
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それでもこれだけ景色が良いと、下山も気持ち良いですね。
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木道を歩く乾いた音がぽくぽくと。
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その音は未知の頂を踏む前とは違って響いています。
振り返ると白馬三山が威厳と優美とに満ちて天空の中程まで聳えています。

唐松岳&頂上山荘、また来るよ~!

残雪期テント泊について

残雪期のテント泊は、昼夜の気温差、季節の変わり目による日々の気温・天候差に注意が必要です。
天気予報が晴れであっても、夜間の冷え込みは結構なものがあります。
またテントの設営が雪上ならば、地面からの冷え込みに配慮が必要です。

装備

・テントの外張りは、3シーズン用のものが良いでしょう。冬用外張りは撥水性が無いため、雨になった場合びしょ濡れになってしまいます。

・ペグは竹ペグも良いですが、スノーアンカーの方が便利だったですね。

・マットは暖かいもの。私はサーマレストのリッジレストソーライトという片側がアルミ蒸着(銀色)のものを使っています。今回は油断と軽量化のため、薄い銀マット1枚でしたが、かなり寒かったです。
雪上に設営するなら2枚重ねでも良いと思います。

・グランドシートは、アルミ蒸着のものが冷気を反射してくれるのでおすすめです。
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・ハクキンカイロがあれば尚更暖かいです。標高が高いと使い捨てカイロは効果が低くなってしまいます。使い捨てタイプは「マグマ」という屋外専用のものがおすすめです。
水場が豊富な場所なら、ナルゲンボトルやプラティバスにお湯を入れると湯たんぽになります。
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・シュラフはビバーク前提のクライマーさん並に寒さに慣れていない方は冬用が良いと思います。どうしても3シーズン用しか用意できない場合は、シュラフシーツとシュラフカバーを使い、カイロやありったけの着替え類を中に入れることで多少暖かくなります。
足元をザックに突っ込むのも効果アリです。
※その時期の気温・天気、個人の耐寒性で変わってきます。私は寒さに強い方です。

・ガスは、ハイパワーを持って行きました。ノーマルガスとの価格差と安心感を天秤にかければ、それほどの出費ではありません。

服装

・ダウンジャケットは、パタゴニアのナノパフでは寝るには寒かったです。パートナーのダスパーカーはとても暖かく、3シーズンシュラフでも快適そうでした。

・ダウンパンツはナンガのポータブルダウンパンツ。

・像足はモンベルのプリマロフトのやつ。

・フリースはノースフェイスのアルパインバーサマイクロという薄手のもの。行動中の汗抜けを優先しました。


・靴下はウールの極厚。

テント泊のポイントや装備はこちら↓
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まとめ

残雪期のテント泊は何度もやっていますが、同じゴールデンウィークの時でも、山によっても状況が違いますし、その時の天気によって全然状況が変わります。
急に冬山に逆戻りするメイストームなんてことになることもあります。
登山装備も幕営装備も冬山だと思って準備するのが良いと思います。
まずは小屋泊を経験してみるのも安心かもしれません。
天気さえ良ければ、暖かい中で雪山を堪能できる最高のシーズンですね。

この二日後、GW後半戦は木曽駒ケ岳に行きました

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唐松岳 残雪期登山とテント泊

唐松岳 ゴールデンウィーク 登山 二日目

4/29、昨日は八方尾根スキー場から、ここ唐松岳頂上山荘までアプローチしてきました。
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唐松岳頂上山荘までのアプローチ

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寒い寒い夜は-7℃。
雪の上の幕営は下から冷気が上がってきて、体中が冷やされて、まるで背中やお尻から冷風が吹き出しているんじゃないかと思うほどでした。
深夜2:00頃から寒さでウトウトしながら朝を待ちました。
2月にビバークしたことを思い出しながら、太陽の有り難さを再確認。

4時頃には、ご来光目当てのお客さんだろうか、シャリシャリに凍った雪の上を歩く音がします。
遠慮がちにジッパーを開け閉めする音、冷たい冷気に咳き込む音、ジェットボイルのガスの音、一日の始まりを音で感じます。
シュラフから出るのも勇気が必要です。
いつもモジモジしている私とは違って、パートナーは意味不明の言葉を発し、シュラフから飛び出しました(w)
浮腫んでジャムおじさんの失敗作品集に加えられそうな出来栄えの顔。
何パンなんだろうか?(w)
それでもお湯を沸かしてくれるので、顔については言及しないでおきます。

カメラを片手にモルゲンロート目当てで徘徊してみます。
残念ながら赤くはなりませんでしたが、今日も快晴で絶景です。
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冷たい風が鼻と頬をキンキンに冷やし、手先が痺れてきます。
それでも朝日の中だと気持ち良い。
隣のテントのお姉さんと「今日も天気が良いですね」と声を掛け合います。
本当に最高の天気だな。雲一つ無い。
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唐松岳アタック

朝食を終えると、今日下山するだろう人たちはテントを撤収しています。
小屋泊のお客さんもちらほらアタックしていきます。
私はもう一泊する予定ですので、昨夜泊のお客さんが下山し、今日日帰りの人が来る隙に貸切状態を狙って登ります。

テン場から見上げると、山頂に向かってほぼ一直線の登山ルートが見えますので、混み具合が丸見えです。
その間に、皆が撤収した雪の無いところにテントを引越ししたり、お菓子を食べながらタイミングを待ちます。
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頃合を見て、9:00アタック開始です。

持ち物

共通の持ち物は雨蓋を取り外してスリングで背負います。
缶コーヒーやバナナはともかく、無駄なものまで持ちたがるパートナーが担当します。
中身は、共通装備。
救急セット、GPS、補助ロープ、スリング、カラビナ、飲み物、行動食などなど。

私はアイゼンケースにスリングを通し斜めがけに背負います。
中身は無線、飲み物、などなど。
ブラックダイヤモンドのケースはいろいろな使い方ができて便利ですね。

パートナーはピッケル。
私は、雪面の状況と登山ルートの傾斜やトラバース道の幅から判断してトレッキングポールにしました。

山頂アタックのポイント

ヘルメットを被ったら、
唐松岳、いざゆかん!
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まずは岩と砂利の道を登ります。
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傾斜もゆるく、歩きやすいですが、さすがに標高が高いので息が上がります。傾斜がゆるいと余計にハイペースになってしまいます。
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少し進むと右手に白馬岳が見えてきます。


雪渓の手前でアイゼンを装着します。
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アイゼンは前爪のあるもの。

雪の箇所はトレースがあっても慎重に行きます。
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夏にも一度登っていますので、この右側は切れ落ちているはずです。
これ以上右に行かないように。
逆に左過ぎても踏み抜きに注意しなければ。

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少しの砂利道を過ぎ、

また雪です。この上を進みます。
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よっこらせっ!
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ここは狭いトラバースです。
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しっかりトレースがありますが、要注意です。
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一歩一歩慎重に行きます。

ここまで来れば一安心。
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やった~!
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登頂!
こんなに天気の良い日に登れるなんて最高だな。



剱、立山
大きな鳥が翼を広げたようです。
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白馬
遠く遠くへ続く、雪が被った縦走路を辿って見ているだけでワクワクしてきます。
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五竜
ダイナミックな山容
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風も穏やかで暖かい。
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ゆっくり景色を眺め、雪だるまを作ったり、のんびり過ごします。
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ここでお昼御飯にすればよかったなぁとちょっと後悔します。
せめてストーブを持ってくればコーヒーが飲めたのに。
本当に貸切状態になるとは・・・。
夏に登ったときは山頂は混雑していて、写真を撮ったらすぐに空いているスペースに避けなければならないほどでした。

さて、ぼちぼち日帰りのお客さん達の姿が山荘の向こうに見えてきました。
先ほどの狭い急傾斜のトラバースですれ違うのは怖いし、雪面が緩んでくる前にテン場に戻ります。
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やはりこのトラバースが核心ですね。
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かなり緊張します。

景色に見とれて油断しないよう慎重に。
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ただいま~。
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テン場に戻ってきました。

このテン場でも今日も立山連峰が眺め放題です。
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シュラフを干したり、コーヒーを淹れたり。
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小屋の周りをお散歩したり。
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イワヒバリ。
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夕食

今日の夕食はボイルのみで作れる「簡単ロコモコ丼」です。

メスティンで御飯を炊いたら、
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昨日から雪に埋めて保存しておいたレトルトのハンバーグと卵をボイルします。
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温まったら御飯に乗せて、カットバターをトッピングしたら完成です!
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山でハンバーグが食べられるなんて、なかなか贅沢ですね♪
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残雪期テント泊の寒さ

太陽は丁度唐松岳山頂に沈みます。
天空が透明な青い絵の具色に染まるブルーモーメント。
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夕闇が訪れると、雪面は薄ら青白く光を放ち、急に冷たい風が吹いてきます。
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東京では夕方には街の照明が輝き出し、一日の終わりを振り返る時間もありません。
こんなに綺麗な光のスペクトルが空を包んでいるなんて、山に登らなければ気づかなかったことですね。

食事を終え、歯磨きをしたら明日の下山に備えて眠ります。
昨日と違って、今日は土の上の幕営です。
雪上と寒さはどのくらい違うのか。

装備も同じく、アルミ蒸着のグランドシート、
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使い古して薄くなった銀マット、
3シーズン用のシュラフ、
パタゴニアのナノパフ、
ナンガのダウンパンツ、

ありったけの衣類やザックカバー、スタッフバッグなどをマットの下に敷きます。

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寝始めは良かったのですが、深夜になると、床からの冷気はないものの、寒さはあまり変わらず。
外気温は-7℃~-8℃程。
テントの後ろの方から、時折「ゲケケケケ~」と雷鳥の鳴き声が聞こえます。
雷鳥も寒いのかなぁ?

遠くからハイマツを撫でた風が一塊りとなって、ゴーっとやってくるのが分かります。

寒い。
昨夜に引き続き朝日を待ちながら過ごす夜となりました。
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三日目につづく
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唐松岳 テント泊 ゴールデンウィークのルートと4つのポイント

GWの唐松岳 テント泊

4月28日(土)
待ちに待ったゴールデンウィークです。
今シーズンの冬は、スキーの特訓をしていたので、テント泊での登山は久しぶりです。
装備の重さに耐えられるか?
残雪期とはいっても、雪上でのテント泊の寒さはどんな感じだったかな?
わくわくどきどきの山行となりました。
昨年のGWは立山は雷鳥沢でした。
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今年は、後立山から、昨年登った別山を見てみようという企みです。
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コースタイム

八方池山荘→第二ケルン1:00
第二ケルン→丸山ケルン2:00(途中休憩10分)
丸山ケルン→唐松岳頂上山荘50分
計3時間50分

アクセスと駐車場

コンビニ

東京からのアクセスは中央道と長野道で安曇野ICまで。
そこから長野オリンピックの会場になった八方尾根スキー場まで下道になります。
だいたい4時間程度。
仕事を終え、深夜の高速をひとっ飛びです。
安曇野ICからはコンビニもいくつかありますが、ガソリンスタンドは夜中は閉まっているので要注意です。

駐車場

駐車場はゴンドラリフトアダムのすぐ横にあります。
一日500円。
朝方、集金のおじさんが来てくれます。
無料の駐車場はここから白馬駅の方に徒歩5~7分ほど下ったところに、八方第3駐車場、第2駐車場、第5駐車場があります。

八方アルペンライン

八方アルペンラインというのは、八方駅から八方池山荘まであるゴンドラとリフトの総称です。
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料金は大人往復2900円。
チケットを買うときに、登山届けの提出を求められますので、先に記入しておきましょう。
(前は違った気がしますが、提出漏れを防ぐ意味では良いシステムですね)
3日間有効なので、唐松岳頂上山荘やテント泊しても大丈夫です。

荷物は15Kg以上は有料、440円になります。
私は22kgだったので別でチケットを購入します。

スキーのお客さんもたくさん。
パイネのガッシャブルムを担いだ山岳部の学生さんや、年配のご夫婦。
不眠不休で運転してきた、はんぺんのような顔のパートナーを除いてみんな楽しそう(w

ゴンドラ、リフト2本を乗り継ぐと、約20分で標高1830mの八方池山荘です。
この辺りはガスが濃くて嫌な予感・・・。
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八方池山荘はあいにく設備の故障でトイレが使えませんでした。

唐松岳登山ルート

八方池山荘から第二ケルン

唐松岳、いざゆかん!
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登山道にほとんど雪はありません。
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ここから第二ケルンの公衆トイレまで、右が岩道のルート、左が整備された木道のルートになります。

木道ルートは雪に埋まっています。
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冬靴の硬いビブラムソールが木の階段にポコポコと響きます。
地表の境が薄らと白く、高くなるにつれ濃さを増す青空に向かって進みます。
かなり眩しいのでサングラス、日焼け対策は必須です。
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第二ケルンから第三ケルン

第二ケルンが最後のトイレです。
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この先は山荘までトイレがありません。


第二ケルンを越えると所々雪道になってきました。
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まだアイゼンは必要ありません。

シャリ、シャリ、と重たく溶けた雪道。
ふくらはぎに心地よい負担感。
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これです♪残雪期の感じ。
春山特有の柔らかい陽光が雪面に反射されるごとに、光のカーテンをくぐり抜けるようです。
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第三ケルン

ここまで来ると、一気に眺望が開け、右手には白馬三山の急峻な岩稜が挑めます。
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雪が溶けたら眼下に八方池が見えるはずです。
そして目の前には不帰ノ險、五竜岳、鹿島槍。
ここまで写真撮影を目的に登ってきて帰るお客さんも目立ちます。

下ノ樺

この辺りから先は、夏道とは違って尾根を歩くルートになり、勾配もきつくなってきます。
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登山道らしくなってきました。
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ここでアイゼンを装着すると良いと思います。
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念のためヘルメットを装着します。

雪と青空のコントラストに白樺の枝。幹は艶々しく、春の息吹きを感じます。
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勾配がキツくなってきて、息が上がる。
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緩んだ雪で足がずり下がり、なかなか消耗します。
汗が吹き出す。

雪道が途切れると、苦手なアイゼンでの岩道歩きです。
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ガリガリと爪と岩の擦れる音に、滑るんじゃないか?と怖くなります。

長い長い斜面。ガンバ!
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直登はふくらはぎに効きます。
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丸山ケルン~唐松岳頂上山荘

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ここまで来れば、あと1時間程で唐松岳頂上山荘です。
360°眺望できる広い尾根を進む。
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尾根筋を渡ってきた風が強くなってきました。

ひぃ~、キツイ!
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だんだんと岩と雪のミックスに。
いやらしいルートです。
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積極的に手を使って登ります。
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見覚えのある落石防止のネット。
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ということはもうちょっとです。
肩にザックが食い込んで、鈍痛が増してきました。

コ、コーラ!着いたらコーラを飲んでやる~!と気合で進み続けます。

ここのトラバースは片側が切れ落ちていますし、装備が重たいのでバランスに注意します。
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私の場合、ピッケルよりトレッキングポールを使用して正解でした。
最近はカーボンやショック機構が付いているのがありますが、アルミのシンプルなもので、ワンタッチロックのものが頑丈です。

小屋が見えてきました♪
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やった~!
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受付に行くと・・・
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!!!

宝剣山荘のお姉さんがいました♪
実はお姉さんに会うために唐松岳を選んだのでした。
昨年の雷鳥沢も。
久しぶりの再会ですが、相変わらずテキパキと働いていてカッコいい♪

唐松岳のテント場

テン泊は一人一泊1000円
トイレは山荘内の綺麗なトイレが使えます。

水場が貴重な頂上山荘は天水を主に使用しています。
天候等の条件では十分な量が確保できない場合もあるそうですので節水を心がけましょう。

自販機

自販機もあり、ペットボトルの水は300円。
缶コーラ、なっちゃんは400円
500mlアクエリアスは500円。
もちろんビールもございます!
他にも売店にはチップスター、あんぱん、カップヌードル等があります。
お湯を購入することもできます。


忙しいお姉さんにご挨拶して、テントの設営に向かいます。


テン場は、通常の小屋下の斜面は使用できませんので、北の別棟の前後が指定場所です。
雪の上が空いていましたので、奥から順に詰めて設営します。
この日は全部で10張りほどでした。

まずは整地。
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残雪期のテント

グランドシートはおすすめのアルミ蒸着のやつ。
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テントはアライのエアライズ3。
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外張りは夏用(3シーズン用)です。
雪上ですので自作の竹ペグを使用します。
寝不足でヘトヘトなので、カップラーメンでお腹を満たしたら、お昼寝タイムです。

テントの真ん前には翼を広げたような立山連峰。
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剱が真ん中に鎮座しています。
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昨年同じ時期に登った別山も。登ったことのある山は、離れて眺めると特別な想いがします。
もう一年経ったのかぁ。

山岳信仰の時代、山に神様が居たと考えたのもわかる気がします。


左は五竜岳。
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右は明日登る唐松岳。
きらきら水晶みたいに光っています。
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さらに小屋の後ろをちょっと登ると右は白馬岳が見えます。
全ての稜線が視界を対角に折り重なり、圧倒的な質量と面積の広がりを見せます。


Tシャツ一枚でもちょっと暑いくらいで、時折風が吹き込むと心地よく、
気がつくと眠っていました。
目が覚めると16時。
そろそろ晩御飯です。
コンビニで買った大量のパンとレトルトのシチュー。
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温めて食べる頃にはダウンジャケットを羽織らないと寒くて震えます。
雪面もカチカチに凍ってきました。
19時を過ぎるとだんだんと夕暮れがやってきます。
空は暗くなろうとしているのに、雪は幽かな光りを放っています。
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窓の結露で滲む小屋の明かりは、まるで昔味わった幸福がこちらに微笑みかけてくるようです。
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寒い夜

ダウンパンツに、像足を履き、上半身はダウンジャケット。
マットは軽量化の為、潰れて薄くなったホームセンターの銀マット。
シュラフは3シーズン用のモンベルのバロウバッグ#3

明日は唐松に登って、あとは贅沢にこのテン場でのんびり過ごすスケジュールです。
わくわくしながらも、一日の疲れで眠りがやってきました。

22時過ぎ、寒さで目が覚めます。
地面からの冷気で背中が寒く、熟睡できません。
失敗したぁ。
東京の異常な厚さで甘く見ていました。
気温は-7℃。
朝日の温かさを待ちながら、うとうと過ごすのでした。
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ポイント

①テン泊装備の重さ、残雪期の歩きにくさもあり、トレッキングポールが活躍しました。

②軽アイゼンやチェーンスパイクではなく、前爪のあるアイゼンが良いと思いました。急斜面では前爪があった方が安全です。
足の小さい私は、12本爪ではなく10本です。土踏まずに爪が集中してしまうと雪面に刺さりにくくなってしまうからです。

③この時期は一気に冬に戻ることもあるのでシュラフ、マットは冬用が良いです。服装も。(反省)

④日焼け止めは何度も塗り直した方が良いです(悔)
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二日目 山頂アタック編につづく

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入笠山 雪山登山 初心者にもおすすめ

入笠山 日帰り雪山登山

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2月10日

南アルプスの北端、入笠山に行ってきました。

国家試験の為、どうすれば合格するか、勉強よりも運気を上げることに忙しく(笑)、まともに雪山に登っていませんでした。

おまけに運気を上げようと、とんかつ、キットカット、柿(五角形だからゴウカク)、ドトールコーヒー(ど通る!)、ウインナー(winner)・・・

とにかく食べ過ぎて身体もパワーアップしてしまい、バテ必至の予感がしたため、短時間で登れる入笠山に決めたわけです。

 

 

アクセス

東京からは中央道で2時間程。

諏訪南ICから7分で、富士見パノラマリゾートスキー場です。

今回はいつもの4WD+スノータイヤではなく、代車の4WD+ノーマルタイヤ(チェーン携行)でしたが、スキー場なので融雪・除雪もしっかりしてあり、走行に問題はありませんでした。

 

駐車場

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駐車場は2000台のスペース!そして嬉しい無料です。

9時過ぎに到着したのですが、十分空いていました。

 

 

<便利な施設・設備>

スキー場なので、更衣室、待合室、託児所などもありました。

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ゴンドラの始発と料金

<営業時間>

ゴンドラは始発が8:30

下り最終が16:30です。

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<料金>

登山の往復利用は大人1650円、子ども800円でした。

 

スキー客に混じってアウェー状態の私。

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スキーヤーでカラフルなゲレンデ

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ゲレンデ下を横切り、ゴンドラ乗り場へ

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いよいよ乗り込みます。

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標高1050メートルの山麓駅から1780メートルの山頂駅まで、その差730メートル、約15分間の空中散歩です。

 

入笠山登山ルート

ゴンドラを降りたらいよいよスタートです。

入笠山は標高1955メートル。山頂は視界が開けていて、360°の眺望が楽しめます。

実は、昔MTBのダウンヒルをやっていたことがあって、何度か訪れたことがあります。

雪山のデビューとか、雪山登山の雰囲気を楽しみたい人にもおすすめです。

八ヶ岳の北横岳よりも、歩行時間が短いので、こちらから先に登るのも良いかもしれません。

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スキー場のBGMを聴きながら登山道入口へ。

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 進むにつれてBGMが小さくなると、森に深く入ってきた実感が湧きます。

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八ヶ岳の北横岳や、日光白根山、残雪の谷川岳天神平なんかも、スキーヤーと登山者が入り混じっていて、不思議な雰囲気です。

 

入笠山は、白樺など樹々の種類が多く、他の山とはまた違った雰囲気の明るい樹林帯を行きます。

樹林帯でも眩しいのでサングラスを装着します。

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トレースは踏み固められていて、歩きやすいです。

 樹々の枝から落ちた雪は、陽光に反射して無数のガラス片のように輝きます。

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今回のテーマは「凍っていない限りアイゼンを使わない」

なので、靴の裏をしっかり使って歩きます。

 

ザックにはガチャ類を全て入れてきましたので、テン泊装備並の重さになっています。

こういった歩く時間の短い時ほどトレーニングですね。

 

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鹿避けの柵を抜けます。

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 入笠湿原

約20分で入笠湿原に到着です。

気温はマイナス7℃。

ほぼ無風なので、歩いていると汗ばむくらいです。

 

子供達の悲鳴が!

見てみると、みんなソリ遊び。

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ちびっ子よりも大人の方が派手な転び方をしていて楽しそうです。

 

汗が出始めたので、ネックゲイターを外し、シェルのジッパーを全て開けます。

ペースを落とさなきゃ。

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こんなに天気が良いならソフトシェルでも良かったかもしれません。

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マナスル山荘には立ち寄らず、先に山頂を目指しますので、遊歩道から行きます。

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傾斜も緩いので、のほほんと、お散歩気分で歩けます。

ついつい鼻歌が。

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旧ゲレンデ。

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ここからはゲレンデを直登します。

緩斜面ですが、息が上がる。

少しペースを落としてのんびりした気持ちで一歩一歩。

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本来はこの右側の林の中に登山道があります。

雪が少ないときは植物保護のため登山道を登らないといけないですね。

この下にはレンゲツツジが春を待っています。

振り返ると八ヶ岳が見えます。

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ラブラドールやゴールデンがカッパを着て雪原を走り回っています。

みんな楽しそうで可愛い。

我が家の犬なんか野性的なので、カッパを着せると暴れて脱ぎ捨て、ビリビリに八つ裂きにします。

雪用の肉球保護のブーツも足を振り、一撃でミサイルのように脱ぎ捨てて怒り狂って、フローリングを掘ろうとします(笑)

熊と戦うことはできても、ここのワンちゃん達みたいに一緒に遊ぶことは難しいですね。

 

ゲレンデを越えると、また森の中へ。

静穏な明るさの森に、樹々の影が雪面にレース模様を映し出します。

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暑い・・・。

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少しづつ傾斜が出てきました。

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足腰を鍛えるためにトレースを外れて歩きます。

(あ、もちろん植物を傷つけないよう)

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膝上くらいまで埋まります。

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雪面が少し締まってきました。

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アイゼン無しの歩行にも慣れてきました。

靴のソールがだんだん信用できるようになってきました。

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上空が開けてくると・・・

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<入笠山頂>

湿原から50分で山頂です。

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やった~!

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山頂は雪も風で飛ばされて岩肌が見えています。

風はすぐに汗を冷やしますので、ジッパーを締めます。

 

周囲は360°のパノラマが。
 

八ヶ岳

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南アルプス

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観音岳かな?

 

行動食のクリームパンと、山専ボトルに入れてきたお砂糖たっぷりの紅茶をいただきます。

 

唇に染みる熱い紅茶。

山頂は広いので、天気がよければゆっくりごはんを食べられそうですね。

 名残惜しいですが、団体のお客さんが登ってきましたので、下山します。

 

岩場コース

下りは岩場コースと書かれたルートを行きます。

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ここでもアイゼンは使わず。

 八ヶ岳を見下ろしながら。

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少し傾斜がキツイですが、ベタ足でしっかり。

 

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鎖がありました。

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夏道も楽しそうですね。

 

あっという間に旧ゲレンデに到着です。

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 ソリ遊びの子供達の黄色い声が雪原に吸い込まれています。

 

マナスル山荘

山荘の前もたくさんの人で賑わっています。

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わんちゃんを連れた人も多く見かけます。

 

ここはビーフシチューが名物だそうですが、下山後の予定があるので我慢。

看板わんこの「こはだ」ちゃん。

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可愛い♪

こはだ氏と一緒にティータイム♪

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名残惜しいですが、先へ進みます。

 

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この辺りはスズランの群生地だそうです。

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湿原からは、緩やかな登りが続きます。

けっこう疲れていることに気づきます。

やっぱり身体がなまっていたようです。

下山時は視点も変わってきますので、森の植物も目に付きます。

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ここまでくればあと少し。

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戻ってくると、天気も曇り気味になっていました。

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入笠山 コースタイム

 

ゴンドラ山頂駅→入笠湿原20分

入笠湿原→山頂50分

山頂→入笠湿原(マナスル山荘)30分

入笠湿原→ゴンドラ山頂駅20分

 

往復合計2時間

 

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装備

<上半身>

・パヤゴニア キャプリーン

・ノースフェイス バーサマイクロフリース

・ノースフェイス マウンテンジャケット

・モンベル シャミースネックゲイター

・防寒テムレス

 

<下半身>

・パタゴニア キャプリーンタイツ

・ウール極厚ソックス

・モンベル オーバーパンツ

・モンベル スパッツ(ゲイター)

・モンベル アルパインクルーザー2800(靴)

 

<携行品>

・ザック オスプレー バリアント

・山専ボトル

・ストーブ+ガス(ハイパワー)

・GPS

・無線機

・地図

・コンパス

・予備手袋、靴下

・ビレイ用ダウンジャケット(パタゴニア ダスパーカー)

・行動食

・ツェルト

・その他重り代わりの登攀具(笑)

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まとめ

入笠山は、雪山初心者、とくに始めて登る方に丁度良いと思いました。

ゴンドラが利用できて、行動時間が短く、途中に小屋もあるので安心です。

今日ぐらいの積雪ならチェーンスパイクがあれば十分だと思います。

あ、それでも装備はしっかりしないといけませんね。

 

逆に、スノーシュー目当ての人には雪の量が物足りないと思いました。

積雪後のパウダーの日を狙って行くと楽しいと思います。

 

また、雪原の斜面でそり遊びができるので、ちびっ子を連れて行くのも楽しいと思います。

 

短い歩行時間ですが、明るい森に、変化に富んだルートがあり、山頂からの眺望も素晴らしく、なかなか面白い山だと思いました。

 

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入笠山、また来るよ~! 

 

 

 

 

 

 

 

岩根山荘 アイスクライミング

岩根山荘 アイスクライミング講習

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1/13(土)

 

昨年の赤岳鉱泉のアイスキャンディから約1年振りのアイスクライミングです。

どうでもいいですが、私のカーナビは「今日は○月○日、○○の日です」と教えてくれます。

今日はナビが何も言わなかったので調べてみると、1月13日は若手クライマーで有名な河上紘輝さんと、花村樹さんのお誕生日なんですね。

おめでとうございます♪

 

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アイスクライミングは人工氷壁がある場所がなかなか少ないのですが、岩根山荘はずっと行ってみたいと思っていたところでした。

早朝東京を出発し、約3時間で岩根山荘に。

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途中道路の気温計が-9°になっていてびっくりしました。

 

 

岩根山荘

岩根山荘は、奥秩父山塊に囲まれた川上村の標高1400メートルに位置します。

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道中は狭い道をくねくねと進み、こんなところに人工氷壁があるんだろうか、とハンドルを切り森を抜けると、いきなり氷壁が姿を現します。

 

駐車場の目の前がアイスツリーという好ロケーションです。

岩根山荘はもちろん宿泊することもでき、フリークライミングのメッカとして有名な廻り目平の屋根岩が全てのお部屋から望めます。

露天風呂もあり、室内ウォールまであります!

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保科雅則先生

今回教えていただく先生は、保科雅則先生。

世界中で登攀の記録を残し、日本人として始めてアイスクライミングのワールドカップに出場した経歴があります。

私は、保科先生の書いた「アルパインクライミング」(山と渓谷社)を教科書にしていましたので、「そんな凄い人に教えてもらえるなんて!!」と嬉しさの反面、とても緊張してこの日を迎えました。

 

 

集合時間よりだいぶ早く到着してしまいましたが、駐車場には続々と車が滑り込んできます。

埼玉、東京、神奈川の首都圏ナンバーが多く、名古屋のナンバーもありました。

人が増えてくると、アイスツリーの周辺はGreen day、MXPXなんかのBGMが流れ、一段と明るい雰囲気になります。

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トイレを済ませ、一通り着替えをしておきます。

 

10:00、本で見ていた先生が登場です!

私の事前プロファイリングによると、井原剛志似のバリっとした軍曹タイプの人。山をナメている奴の性根を叩き直す人、と勝手に思い込んでいました。

血尿が出そうな程緊張して、両踵を付け、直立姿勢でご挨拶しました。

すると、とても物腰の柔らかい繊細な印象で、一気に緊張が溶けました。

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私たちの他にも生徒さんが5名いました。

みなさん良い人そうで安心。

 

山荘で、アイスツリーの受付をし、登録料を支払います。

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早速ハーネス、アイゼン、ヘルメットを付けます。

それにしても人が大勢います。

受付のお姉さんによると、今日はドライ壁がリード可能の日ということもあり、こんなに混むことは珍しいそうです。

 

お借りした装備はアイゼンと、アックス。

 アックスはMIZOのアイスアックス。「MIZO」のロゴがシブイ!(たぶん北斗かな?)

 アイゼンは、おなじみCASSINのブレードランナーです。これもオレンジ色でカッコイイ!!

他の人はPETZLのリンクスが多かったです。

 

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step1

まずは靴の確認。

アイゼンのまま、氷の上でぴょんぴょんジャンプします。

これで靴の中で踵が浮くようであれば靴ひもを閉め直します。

靴ひもの締め方も先生が丁寧に教えてくれます。

 

step2

次は準備体操です。

基本的なストレッチをしますが、まるでスターウォーズのC-3POのように身体が硬くなっています。

でもC-3POのような通訳もできないし、儀礼も備わっていないし・・・もういいか。

しまった。

そりゃそうだよ・・・。

最近はボルダリングも行っていなかったし、体重は絶賛増量キャンペーン中だし(恥)

隣のパートナーからは「イテッ」、「イテテッ」と動くたびに声が。

「一動一痛」と名付けました(笑)

 

step3

今度は、氷の張った地面に膝を付き、アックスの振り方を練習します。

グリップは下端のストッパー状のところに小指が当たるように。

降るときは、手首のスナップを効かせ、一旦小指側を浮かせ、突く瞬間に握込みます。

 

まずは利き腕側から地面の狙ったところに何度も打ち込みます。

 

ちなみに、透明の氷は薄く剥がれやすく、濁った氷は固く頑丈だそうです。

 

利き腕の打ち方が100%になったら反対の腕でやります。

私は右利きなので、左は力も弱く、難しい。

これでパンプしかかっていたら、もっと難しいだろうなと思いました。

 

登攀1本目

まずはウェアーのチェックをします。

アックスを打ち込むと砕けた氷がバラバラと降ってきますので、シェルのジッパーは首元まで完全に閉めます。

それからフードも折りたたんでバタつかないようにします。

 

注意事項

・ツリーの周りは砕けた氷でいっぱいです。

 万が一踏んでしまうとつるっと滑るので要注意です。

・また登攀者の下には入らないこと。2~3メートル壁から離れないといけません。

・落氷に注意する

 アックスを刺した瞬間に顔を下に向け、落氷をヘルメットで受けます。氷は石と同じで、よく唇なんかがざっくり切れてしまうそうです。

 

いよいよ登ります。

私は3番目。

赤岳鉱泉のように傾斜しているルートは無く、全部垂直です。

 

とにかく省エネで行かないとマズいので、しっかりオブザベーションします。

う~ん・・・。わからん。

しかも女性は私一人だから手足の長さも筋力も違うから、前の人の動きは参考にできないしなぁ~・・・。

 

いよいよ私の番です。

 

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壁に近づきますがいきなりポイントがみつからない。

とりあえず基本の「凹んだところ」を探し、登ってみます。

 

ついつい腕力に頼ってしまいます。

それにしても氷が硬い。

アックスが狙ったところに定まりません。

できるだけ壁にくっついて楽をしようとしますが、岩の癖で、踵を上げてしまい足が不安定になってしまいます。

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アイスは踵を下げないと(水平に)、前爪のサイドの爪が効かないということを忘れていました。

細かく刻みながら、先生に言われたところまではなんとか登れました。

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ロワーダウンしてきて、カラビナの安全環を外そうとしたら、力が入りません。

思ったよりパンプしています。

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登攀2本目

次は同じルートを終了点まで。

 

先生からのアドバイス

・アックスは左右をできるだけ狭く。広いと身体がねじれてしまうため。

・両足は同じ高さに。

・蹴り込みは膝を支点に。

・少しずつステップを刻んで登る。

・腕がパンプしたら、アックスを刺したまま、腕を下にぶらぶらして休ませる。

 こうすると血流がよくなるそうです。

・前半は省エネ、後半は根性で登る

 

 

さっきの反省を活かして、アックスはできるだけ高いポイントに、踵を上げすぎないように登ります。

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やっぱり氷が硬い・・・。

当たりを見つけている間にどんどん腕がパンプしてきます。

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心の中で自分の右腕と左腕に問いかけながら。

おい!オレの筋肉!やるのかい?やらないのかい?どっちなんだい?

byなかやまきんにくん

 

「テンション!」

休んでそのまま登ろうか考えますが、腕が限界。

ここでロワーダウンです。

 

悔しい!!!

 

登攀3本目

先生のお手本

別の場所に移動します。

シャンデリアのハングから取り付くルートです。

ここを先生が登ります。

 

いきなり凄いムーブでゆっくり繊細に登っています。

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同じ人間とは思えません。まるで手足が伸びているように見えます。

途中氷柱が砕けてもまったく慌てることなく、動きを切らしません。

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先生の人柄が現れているような柔らかく繊細なクライミングです。

スルスルと終了点まで。

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拍手が沸き起こります。

 

他の講習会グループの先生が登っている姿も見ましたが、保科先生はほんとに美しい!

カッコイイ!

先生のように自分の決めた、思い描いたラインで登ることができたらどんなに楽しいだろうなと思います。

クライミングは自由な自己表現の場なんですね。

 

これが見られただけでも来た甲斐があったってもんです!

 

私たちはこのルートではなくて、南側の氷の柔らかそうなルートを登ります。

ここも全然わかりません。

ついつい目の前から直線に真上だけを見てしまうので、当たりのホールドが見つからないまま、ごまかして登ります。

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アックスを引き付けるときに、外に引いてしまい、アックスが抜けてしまいました。

引くときはおへそに向かって引かないといけませんね。

おまけに衝撃でアックスを落としてしまいオーバーパンツに穴が!(泣)

戦意喪失でギブアップです。

がーん!・・・

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 破れたパンツを見て落ち込む図。

帰ったら修理しなきゃ。

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悔しい!

 

 

気がつけば13:00

ここで昼食です。

場所は岩根山荘の食堂。

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かわいい暖炉があります。

お湯もポットがあって、無料で頂けます。

ちなみに、カレー等の軽食も注文できるそうです。

参加者のパンプ具合を判断して14:30まで休憩です。

  

登攀4本目

午後一発目は、また最初にやった垂直の壁です。

午前より、氷が柔らかく、他の人が削ったステップがで出来ていますので、登りやすいです。

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午前中に覚えた基本動作を意識しながら登ります。

隣のピンクのお姉さんはスクリューを打つ練習をしています。

二等辺三角形の安定した姿勢。参考になりますね。

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それでもステップも大きくなり、後半のハングになっているところ手前で腕が限界に。

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はぁ~、悔しい!

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でも楽しい!

 

どうも足が効いてないようです。

 

登攀5本目

今度はドライ壁へ移動します。

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隣ではアイスコンペの練習をしている方達がいます。

カッコイイ♪

 

ここは懸垂力が大事になってきますが、前爪の感覚を掴むには丁度良さそうです。

アックスは先生のPETZLエルゴをお借りします。

傷を付けないように丁寧に使わせていただきましたが、とても使いやすい。

ピックの角度とハンドルの握りやすさ、そして軽さ。

 

 

木の板を打ち付けたホールドに引っ掛けて登りますが、オブザベーションをまったくしなかったので、途中で少し降りて登り返すハメに。

むむむ~!!

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スタミナ切れで終了。

 

 

登攀6本目

絶対トップまで登ってやる!

本当はここで終了だったのですが、もう1本登らせてもらいました。

なるべく遠くにアックスを・・・

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腰を引き付けなきゃ!

おりゃ~。

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左手を休ませようと思ったら、右足が外れる!

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ひ~!!!

やっぱり腕が限界です。

 

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本当に悔しいですね。それでも、もっともっと登りたいし、上手くなりたいという気持ちが湧いてきます。

 

確保

最後に先生にお願いしてビレイの練習をさせてもらいました。

ベテランそうなクライマーさんに実験台になってもらいます(汗)

色が可愛いというだけで買ったルベルソ4を使います。

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ルベルソ4はザイルの出し入れはATCよりやりにくいですが、セカンドのビレイに便利だそうです。

 どちらもロープの屈曲を摩擦抵抗に利用した器具です。

 

 

基本の動作は5ステップ。

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先生の著書「アルパインクライミング」で覚えたやつだ!と、とてもワクワクします。

 

ビレイはとにかくビレイに徹して集中すること。

アイスの場合は張り気味にするそうです。

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上にいるクライマーさんは腰をぴったり壁に付けています。

この姿勢が腕を休ませる基本のようです。 

 

やっぱり実際に教えてもらうと、ちょっとしたコツや、自分の癖を指摘してもらえるので、本当に勉強になります。

 

まとめ

今回覚えたポイントは、

・アックスは左右をできるだけ狭く。

・引き付けるときは肘をお臍の方向に。

・両足は同じ高さに。

・靴底は水平に。

・蹴り込みは膝を支点に。

・前爪のサイドの爪も効かせる。クライミングシューズで言う「内エッジ・外エッジ」

・少しずつステップを刻んで登る。

・腕がパンプしたら、アックスを刺したまま、腕を下にぶらぶらして休ませる。

・腰を壁に密着させ、腕を伸ばすと楽になる。

・ビレイはアイスの場合張り気味にする。

・ビレイ用インサレーションがあると快適です。

↓先生とおそろいのダスパーカー。現行はハイパーパフです。ダスに比べワンサイズ小さな作りになっていますが、胸の外ポケットがあるので便利そう。

 

 

また、続けることが大事だそうです。

こうしてブログを書いている今でも、はやく壁に行きたい!という気持ちでいっぱいです。

この気持ちがあるうちに再チャレンジしようと思います。

 

それから何より、先生の人柄に触れて、大ファンになりました。

アイスはもちろん、室内も外岩も、また保科先生に教えて頂きたいと思いました。

 

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岩根山荘アイスツリー、また来るよ~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宝剣山荘 年末年始営業

宝剣山荘 年末年始の小屋泊

 

12/29

昨年に引き続き、年末年始に宝剣山荘が営業します。

昨年は日帰りで行ったので、勿体無い思いをしました。

今年は絶対泊まる!と決意(大袈裟)して一年。

予約をして、この冬休みをずっと楽しみにしてきました。

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朝6時前、東京を出発します。順調に流れる中央道をノンストップで9時過ぎに菅の台バスセンターに滑り込みます。

駐車場は余裕がありました。

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今日の天気は・・・

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この時点からさらに悪化する予報なので、覚悟が必要です!
 

駐車場と年間パスポート

バスのダイヤは、この時期は1時間に1本のみ。

ゆっくり支度をして、切れてしまった年間パスポートを申し込みます。

申し込みと支払いはバスセンターの窓口で済ませます。

バスは、途中でタイヤチェーンを装着した便に乗り換えます。

車内は、まだ観光客は少なく、ほとんどがフルサイズ一眼を持った登山者でした。

みんな楽しそう。

その後、ロープウェーのしらび平駅で顔写真を撮り、年パスのカードを受け取ります。

カードが出来上がる時間は、いつもは下山時なのですが、今日は窓口のお兄さんが頑張ってくださり、ロープウェー出発時間にギリギリで完成しました!

 

ロープウェーも1時間に1本の間隔で運転しています。

始発から3本目の11時台の便で千畳敷へ。

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冬期専用の入口ができていました。

登山届けを記入すると、補導員の優しいオジサマに装備のチェックをしてもらいます。

ポールで登らないこと。

アイゼンは12本爪。

他、登山届けの裏のチェック表を見てもらいます。

小屋泊なのに何故か全てにチェックが入っているのを見て、「縦走?」と聞かれてしまいました。

いや・・・・「小屋泊で、これ実はほとんどがお菓子と、寒かったら嫌なので厳冬期用のシュラフが~・・・」と説明すると、困惑しながら苦笑いのオジサマ(汗)

いきなり恥をかいたり汗をかいたり、丁度良いウォーミングアップになりました(苦笑)

 

アイゼンを装着し、ヘルメットを被ったら、カマボコ型の出入口から外に出ます。

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うわ~、真っ白。

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雪面と空の境界が無く、白の濃淡だけが風に流されていきます。

サギダルの天辺の岩がかろうじて灰色に浮かびます。

麓から見上げたときは青空だったのに。

4人程、「ダメだ、見えない」と言って途中撤退してきました。

目を細めて見上げると、乗越の影が見えています。

よし、大丈夫!

サギダルの方にルートを取らないよう、念のためGPSを起動しておきます。

 

宝剣山荘、いざゆかん!

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八丁坂から乗越浄土

積雪期は千畳敷を右に迂回して八丁坂に取付きます。

千畳敷まではロープウェイがありますので、気軽に考えてしまう方も多く見かけますが、ここは雪崩の巣。

気を引き締めます。

 

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雪はモフモフのパウダー。

こりゃアイゼンはいらなかったかな?

でも乗越手前がアイスになっていたら・・・・と昨年のトラウマがありますので、このまま進みます。

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日帰りの登山者は始発で登っているからか、この時間はほとんど人がいません。

 

それでもトレースはしっかりあります。

深くても腰上程度。

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ピッケルは55cmです。

 

 

前半はサギダル尾根からの雪崩に注意しながら登ります。

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頻繁に上を見上げながら、一歩一歩。

高度を上げるにつれて、風が強くなってきます。

ひゅうっと風が来ると顔に雪が突き刺さります。

瞬きをする度に上下のまつげが凍ってくっついてしまいます。

 

いつもならこのペースだと汗をかいてしまうのですが、今日はかなり気温が低いのか、寒いくらいです。

ピッケルもキンキンに冷えて、手が凍るのも早いです。

一歩一歩登る速度で、ガスの向こうに見慣れた岩が姿を現します。

 

 久しぶりの再会、オットセイ岩。

今日も変わらずじっと宝剣を見上げています。

 

急勾配になってくると、トレースの一段一段と、自分の歩幅が合わず、「よっこらせっ」と登る頻度が多くなり、息が上がります。

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直登はふくらはぎにも効きます。

休ませる足も前足を左右を入れ替えながら。

 

例年ガチガチに凍っている乗越手前の斜面も今日はややカリカリ程度なので、管理小屋の方に直登します。

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一歩一歩が重い。

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もうちょい。

 

出発から40分で乗越浄土です。

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飛び出した瞬間、強風の洗礼が!

一瞬で汗や身体から出た蒸気が凍ります。

 

髪の毛も、

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スリングも

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全部凍ってしまいます。

 

一番近い、そこにあるはずの宝剣岳ですら真っ白で見えません。

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ガスの中に浮かぶ象徴的な青い屋根。

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 宝剣山荘です。

 

スタッフのみなさんは元気かな?

アイゼンを外したら、建物左側の入口を潜って入ります。

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頭をぶつけないように。

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宝剣山荘

中に入ると、お客さんたちはストーブの周りで談笑しています。

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小屋は今日開けたばかりで、まだ温まっていませんが、お客さんの笑い声、石油ストーブの匂い、軋む床の音、人間の営みがそこにあることだけで暖かく感じます。

 

スタッフのみなさんもお元気そう。

今日は初めての小屋泊です。

勝手がわからず少し緊張していましたが、スタッフさんも他のお客さんも、みなさん親切で、すぐに緊張が溶けました。

 

しばらくストーブの傍でくつろぎます。

家から作ってきたお砂糖たっぷりの紅茶と、コンビニで買った大量の昼食とお菓子(笑)

 

山専ボトルはまだまだ熱々を保っています。

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お客さんは写真を目的に登ってきた方が多く、みなさん顔見知りのようです。

人見知りの私でも、とても居心地のよい空間です。

 

スタッフさんたちは、小屋開けの作業と、お客さんの対応でフルスロットルです。

それでも笑顔で、チームワーク。なんだか素敵な職場だなと思いました。

怪力のお兄さんが分厚いサブロクのコンパネを3枚まとめて運んでいます!

入口の床に並べ、ベンチを配置しました。

お客さんが小屋の中でアイゼンを装着できるようにしてくださいました。

 

トイレは意外と暖かくて安心しました。

これはありがたいです。

トイレの奥では発電機が絶賛発電中です。

このエンジンの音、それに焼けるオイルの匂いでさえ温かさを感じるので不思議です。

 

 

建築物としての魅力

今日泊まる部屋は二階、5番の部屋。

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二階の内部を見るのは始めてなのですが、スケルトンの柱や梁までデザインのように見せる(見える?)のが格好良いです。

山岳建築の面白さですね。

 

南北に長く、山がたくさんある日本列島の建築様式は、とても多様で見ているだけで楽しいものですが、とくに山小屋はわくわくします。

私が山小屋に建築物として魅力を感じる理由の一つに、山と人の営みが想像できることがあります。

都市から離れた山間部や山小屋の建築物は保全や整備も後回しにされがちで、切り捨てられやすいでしょう。

例の事業仕分けでは山小屋のトイレ整備の補助金が廃止されそうになったこともあります。

でも、私は、山小屋のような生活圏の端っこの方にこそ活力があると思っています。

山小屋は、一私企業の営利団体という括りでは語れません。

「環境保全」と「登山者の安全」という観点は大きく、その公共性は誰が見ても明らかです。

山小屋がずっとずっと継承されるよう、私たち登山者ができることをしなければと思います。

 

 さて、お部屋は象徴的な大屋根の傾斜を利用した作りで、小さな可愛い窓があります。

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この窓の高さより、さらに上まで雪で埋まっているようです!

 

とても綺麗な清潔感のあるお部屋です。

 

山小屋の魅力

ザックを置いたら、また1階へ。

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時々外の様子を見に出ると・・・

 

やっぱり真っ白。

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真横からびゅうと風が吹いて、雪を飛ばし冷たい煙をあげます。

360°白い大きな旗がなびいているようです。

立っていても身体が倒されそうになるほど。

 

もし晴れたら真っ赤に染まる宝剣岳が見られるかもしれないし、星空も見られたらいいなぁと、一縷の望みにかけて、オーバーパンツも履いたまま過ごします。

 夏だったら、リラックスした服に着替えて過ごせるのも小屋泊の魅力かもしれませんね。

 冬は夏よりさらに水も貴重、お風呂も無いし、歯磨き粉も石鹸も使えない。

この時期は携帯の電波もありません。

(あ、乗越のあたりと、天狗荘のあたりは電波があったりなかったりでした。)

 人によっては不便に感じるかもしれませんが、山では人の暮らしの原点を思い出させてくれます。

家ではスマホを見ている時間が長くても、宝剣山荘では本棚の本を読んだり、他のお客さんとの会話を楽しんだり、こういう機会ではないと味わえない時間が過ごせます。

小屋のスタッフさんや、他のお客さんの話を聞いていると、インターネットでは知ることのできない貴重なお話がたくさん聞けるので、とても勉強にもなります。

ゆったり流れる時間を過ごすなんて下界ではなかなか無いことです。

 また、外の様子を見て自然の厳しさや美しさを感じて、山にお邪魔させてもらっているという気持ちにもなれます。

そうすると環境保護の大切さもわかります。

  

テン泊でも同じですが、日帰りでは味わえない山を感じることも小屋泊の魅力だなと思いました。

夕暮れのグラデーション、酔うほどの星空、雲散霧消の朝。

刻々と変化する「今日」を過ごせる贅沢は、ここでしか味わえません。

 下界では人間関係の鬱陶しさが嫌で、山では誰にも会いたくないな、と思って登っても、小屋に着くと、やっぱり人の温かみを感じて、人は一人では生きていけないんだなという気持ちにもなります。

 

夕食

6:30

夕食の時間です。

席はスタッフさんが教えてくれます。

団体さんを同じテーブルに、単独の方や少人数のパーティーを同じテーブルに。

食事の時間も楽しいコミュニケーションになるように配慮してくれています。

 

メニューは、念願の揚げ物♪

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テント泊では、油を使う揚げ物なんてできないので、とても豪華です。

いつも『これは揚げ物だ!』と自己欺瞞と闘いながら食べているビッグカツや、どん兵衛のかき揚げ、じゃがりこ。お恥ずかしい(汗)

野菜もシャキシャキ新鮮です。

何よりも、この標高でこんなに美味しくお米が炊けるなんて!

水の都合上紙皿ですが、そんなの全然気になりません。

品数が多く、とても美味しい!

宝剣山荘は揚げ物の日が多いのも特徴だそうです。

また、支配人さん特性の煮魚が出る日もあるそうですので、食べられた方はラッキーですね。

 

食後は消灯時間(通常は8:30らしい)までリラックスタイムです。

星でも出てたらラッキーだなぁと、外に出て見ます。

変わらず爆風で、飛ばされた雪の渦が巻いています。

ただただ灰色の広い平面が際限なく広がっています。

 

小屋泊の寝具と服装

消灯時間になりましたので、お部屋に移動します。

布団は、ふかふかの敷き布団、毛布、掛布団。

念のため持参した厳冬期用のシュラフを間に入れます。

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服装は、ダウンパンツ、フリース、ダウンジャケット、靴下on像足。

そして胸元にぶら下げたハクキンカイロ。

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 シュラフに潜り込むと・・・

暑い。

汗ばんできた・・・。

そりゃそうですね。

テント泊の服&シュラフに布団でサンドイッチ。

そして屋根、壁、床ですもんね(苦笑)

結局ダウンジャケット、ダウンパンツは脱いで、像足も脱ぎました。

 

テントでは、ビニール袋に入れた靴、カメラのバッテリー、スマホ、水・・・それからそれから、とにかく凍っては困るものを全部シュラフの中に入れて寝るので、それはそれは窮屈で寝苦しいものです。

おまけに吐いた息がテントの内側で凍って霜になります。

風が吹くとテントが揺らされ、その霜が顔面に降り注ぎます。

それにく比べたら宝剣山荘は天国ですね。

 

小屋の外はかなり強風らしく、まるで地震のように小屋全体が揺れます。

雪山の環境の厳しさを改めて感じます。

 

明日はモルゲンロートが見れたら最高だな。

ごーごーと地響きのような風の音を聞きながら眠りにつくのでした。

 

ご来光

6:30スマホのアラームで起床。

日の出は6:55分頃。

南アルプスからご来光が昇るはずです。

切れ切れの眠りにまみれながら身支度を整え、外に出ます。

 

薄ら明るいですが、ヘッデンを点灯します。

ガスはほとんどありません。

風の息の間隔が長くなっています。

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山は一晩芯まで冷やされ、世の中の全ての憂いを消し去っているようです。

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中岳には既にカメラの三脚を据えた人の姿が見えます。

宝剣岳の中腹から構えている人も。

 

一瞬の閃光を記録するために、寒さに耐えて、じっと待っています。

 

まだか。

心地よい緊張感と期待感が寒さを和らげます。 f:id:chi-sk8:20180108200112j:plain

 

徐々に、しかし確実に群青の空、灰色の雲が、オレンジのグラデーションになってきます。

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遠く向こうの南アルプスの稜線と富士山がはっきりしてきます。

 

 

一瞬暗くなったように感じ、次の瞬間、光芒が水平に手を伸ばし、天に幾筋もの矢を放ちます。

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一気に山全体を明るく照らし、風で吹き上げられた雪煙はキラキラと、まるでガラス片を撒き散らしたように、凍てついた空気の底とともに新しい一日がさらっていくのが見えます。

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「うわぁ・・・」

「あぁ・・・」と、言葉になりません。

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振り返ると中岳は橙に照らされていますが、朝焼けと言える程にはなりませんでした。

それでも、橙と冷たい浅葱色のコントラストが山の立体感を増していきます。

 

陽が富士山より高くなると、シュカブラの表情がはっきりしてきます。

 

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ご来光を撮っていたカメラの人達も手持ち撮影に切り替え、散策しています。

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白く輝く御嶽山

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 稜線を渦巻く雪煙

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逆光の中にカッコイイお姉さんの姿が。

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オジサマ達の中で紅一点。

どんな素敵な写真を取るのかな?

 

そろそろ朝食の時間なので、小屋に戻ります。

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朝食 

朝食も豪華。

 

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鮭をメインに、普段の朝だったら食べることのない品数です。

同じテーブルの人同士、今日の予定を楽しく話し合います。

 

朝食を終えると、木曽駒頂上にアタックする人、下山する人、三ノ沢を目指す人、それぞれ出発していきます。

 私は宝剣岳の行けるところまで行く予定です。

 いらない装備を45lゴミ袋に入れデポしたら、装備を整えます。

 

爆風の宝剣岳

宝剣岳、いざゆかん!

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数メートル登っただけで爆風が!

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風を避けるものが何もないので身体が真横に持っていかれそうです。

風の息の合間で進みながら、直登するか、トラバースするか悩みます。

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 少しでも風の影響が少なそうなトラバースルートを進みます。

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数歩進むと、ズブズブッっと足場が谷側に流れます。

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新雪で安定しません。

しかもこの爆風・・・。

残念ですが、さすがに怖いのでここまで。

引き返し、尾根を直登すると・・・。

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こちらも爆風で千畳敷側に飛ばされそうです。

やっぱり、冬の宝剣は厳しいですね。

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もっと経験を積んで、いつか必ずリベンジしてやる!と心に誓い下山します。

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雪洞掘りのコツ

宝剣山荘に戻ってきました。

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まだまだ下山するのは勿体ないので、のんびりします。

雪に埋まった正面入り口からゴンゴンと音がします。

覗いてみると、支配人さんが重機並のパワーで除雪しています。

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外に出て、邪魔をしないように見学します。

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雪洞を掘るときのために、支配人さんに無理にお願いして、少しだけ穴掘りの体験をさせてもらいました。

 

怪我をしないように注意しながら、掘ってみます。

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固い、そして重たい。

 

コツをお聞きすると、スコップは雪面に対して、垂直ではなくて、斜めに刺すとやりやすいそうです。

 

雪が新雪で固まらないときは、掘りだす地面にツェルト等を敷いて、その上に掻いた雪を溜めておき、ツェルトごと引っ張ってまとめて運び出すと早いそうです。

 

また、横穴はなかなか掘るのが大変なので、場所によっては竪穴を掘り、床を掘りごたつのようにベンチ状にしてツェルトを被るのもアリだそうです。

 

お忙しい中、教科書では教えてくれない雪洞堀りのコツを教えて頂いて、とても勉強になりました。

 

それにしても、凄いスピードの除雪作業!

支配人さんも、いつものお姉さんも休むことなく動き続けています。

 

よくよく考えれば、小屋脇の入り口があるのに、正月に合わせ、増えるであろう登山者のために、わざわざ正面も開けてくださるなんて、本当にありがたいですね。

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そうこうしていると、長野県警山岳遭難救助隊の方と、遭対協の方が登ってきました。

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以前お世話になったお礼を伝えられました。

 

名残惜しいですが、そろそろ下山の時間です。

 

八丁坂の下山

来た時よりなぜか重く大きくなっているザックを担ぎ、出発です。

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八丁坂はいきなり急勾配から。

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それでも凍っていないので、普通にズンズン進みます。

 

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高度感があるので、バックステップで降りている方も多かったです。

自分のペース、自分の降り方が安心ですね。

滑落してもどこかで止まるでしょうけど、下の人を巻き込むのが怖いです。

 

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また後ろからアイゼンを着けたままシリセードしてくる人もいたり、なかなかスリルがあります(汗)

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どんどん近づいてくる千畳敷

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 雪に埋もれながら春を待つ樹々。

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 あっという間に千畳敷に。

 

 

まとめ

小屋泊なら、くつろぐ時間も多く、ダウンパンツにダウンジャケット、像足を持っていくと快適です。そのまま寝てしまえば十分暖かいので、シュラフまではいらなかったですね。

 

 

途中カメラの動作が不安定になりました。

ホワイトアウト気味だったり、吹雪いているとカメラのAFが定まらず、シャッターが切れないことがありました。手袋をしたまま設定を直すのは大変なので、フォーカスが合わなくてもシャッターが切れる設定にしておくと良いですね。

 

 

宝剣山荘は、何よりスタッフさんの心配りと、見えないところでの相当の苦労で営業されているんだなと思いました。

また、この時期のお客さんも、皆さん素敵な山屋さんばかりでした。

そういった人の温かさが魅力の小屋だと思います。

 

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おいでなんしょ!宝剣山荘!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北横岳 雪山登山 コース詳細と装備

北横岳 雪山初心者にもおすすめ

 

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12月16日

今シーズン初の雪山登山です。

装備も身体の使い方も無雪期とは別物ですし、山に入るのも数週間ぶりなので、慣れている北横岳に行ってきました。

 

 

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北横岳の標高

北横岳は標高2480mで、ロープウェイを利用すると、標高2200mからスタートできますので、雪山だけではなく、夏に八ヶ岳デビューとしてチャレンジするのもおすすめです。

また、ロープウェイを降りたところが「坪庭」という散策コースになっていますので、山に登らなくても樹氷やシュカブラを見ながら雪山の雰囲気を堪能することができます。 

 

北八ヶ岳ロープウェイ 時間と料金

だいたい他の山は前夜車中泊なのですが、北横岳なら東京からも近いので、東京を早朝出発しました。3時間程で北八ヶ岳ロープウェイの駐車場に滑り込みました。

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スキー客が多いかなと想像していたのですが、9:00の時点でも駐車場は十分空いていました。

駐車場代は無料です。

また夜間もトイレが空いていますし、洗面台からはお湯も出ます。

 

ロープウェイは9:00始発です。

20分間隔で運行しています。

料金は大人往復で1900円。

 

今日の天気は・・・

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早速始発に乗車。

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わくわく。

 

雲のベールを纏った蓼科山を見ながら。

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あっという間に坪庭に到着です。

 

外に飛び出したいのを我慢し、登山届けを提出します。

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坪庭

外に出ると・・・

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うわ~!

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純白の光彩が一面に敷き詰められています。

 

露出している顔に突き刺さる棘のような風が、「雪山に来たんだ!」という気持ちを盛り上げてくれます。

 

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装備と服装

 

<装備>

装備は慣らしのため12本爪のアイゼンです。(ですので靴は冬用)

※実際は10本爪です。私の場合足のサイズが小さいので、一般的な12本爪だと土踏まずの爪が密集して効きにくくなってしまうからです。

雪面が凍っていなければ、チェーンスパイクもおすすめです。

「まだ雪山登山にハマるかわからないしなぁ~」という方でもリーズナブルですし、春山の残雪歩きでは軽アイゼンより歩きやすいのでお守りとしてザックに入れておくのも良いと思います。

 

 

強風を予想して、バラクラバとゴーグルも持ってきています。

歩き方を慣らす目的で来ましたので、ポールは使いません。

ピッケルも必要ありませんね。

チェーンスパイクや軽アイゼンでも登れると思います。

他は夏山と同じく、無線、救急セット、行動食、山専ボトルなどなど。

 

<服装>

上半身はパタゴニアのキャプリーンミッドにノースフェイスのバーサマイクロ、ノースのマウンテンジャケット。

ニット帽とネックゲイターも。

※ビレイ用ダウンジャケットもザックに入れてあります。

 

 

下半身はウールの極厚ソックス、ノースフェイスのバーブパンツ、オーバーパンツ、スパッツです。

 

手袋は防寒テムレス1枚のみ。

※もちろん予備の手袋はウールインナー、ゴアのアウター、ゴアのミトンを持ってきています。靴下も予備は必須です。

 

<その他>

今回は身体慣らしで来ていますので、ザックも重たくしたかったので、一般的な雪山装備も持ってきました。

北横岳では必要ないと思いますが、参考までに記載しておきます。

・ピッケル

・ツェルト

・お尻マット

・ストーブ+ガス

・コッヘル

・ハクキンカイロ

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・一日分の食料(カップ麺)

・GPS

・スノーショベル

ロープウェイの坪庭駅のところには緊急用のシェルターがありますが、たまにはツェルトでビバークの練習もしておかなきゃと思いつつ、装備は持参していますがなかなか・・・(笑)

 

コース詳細

坪庭駅から北横岳山頂までは90分程です。

アイゼンを装着します。素手でも寒くありませんが、「慣らし」のためグローブを付けたまま装着します。

雪面を前後左右に蹴って、装着具合を確認したら、

 

北横岳、いざゆかん!

 

<坪庭から登山口>

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坪庭は、散策路の順路が時計周りです。

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歩き出してすぐの登り。

アイゼンを履いていてよかったです。

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登りきると・・・

さらに展望が開けます。

冷たく粒立った空気が、爽やかな陽光を含んで冴え返っています。

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出発から5分ほどで、第一休憩所。

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 冴え冴えと葉を落とした木の枝に、六花が咲き誇っています。

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さらに5分で第二休憩所。

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山の方を見上げると、樹々の梢に丸々と付着している雪は、強風で梢がゆらぐと、蒼白い光の塊となって空になだれ飛んでいきます。

 

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<登山口から北横岳ヒュッテ>

さらに数分で登山道の分岐。

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積雪期はガスっていたり、おしゃべりに夢中になっていると見逃してしまう看板を目印に。

 

少し下ると

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雪に埋まった木の橋。

粉砂糖を振りまいたような小径を進みます。

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樹々はすっかり白い衣を纏っています。

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希薄で澄んだ光の中に、クリスマスツリーがたくさん。

 

北八ヶ岳は明るくメルヘンな雰囲気が特徴です。

 

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急登や危険な箇所も無く、写真を撮ったり、おしゃべりしながら楽しく登れます。

あ、でもここは雪山。油断禁物ですね。

始発で登ったため、ほとんど登山者はいません。

自分の足音も樹氷に吸い込まれて消えていきます。

 

シラビソの中をジグザグに登ります。

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樹林帯では、目線も近くなり、いろいろな発見があります。

葉の下に隠れて光を反射する氷柱。

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降雪から守られた低木には白いサンゴのような霧氷が。

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展望が少し開けると、優しい光が斜めに差す坪庭の全景。

曇り空も柔らかな光彩。

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遠く雪の中に、青い三角屋根。

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縞枯山荘です。

 

 目印のリボンも雪山では可愛いアートピースに見えてきます。

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雲の切れ間に青空が見えると、さらに気分も高揚してきます。

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 よっこらしょっと。

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三ッ岳の分岐。

 三ッ岳はその名の通り、三つのピークが特徴の岩がゴロゴロした山です。

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さらに森が深くなります。

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階段は前爪を引っ掛けないように注意が必要です。

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ここを越えると、もうちょい。

出発からゆっくり登って45分で北横岳ヒュッテに到着です。

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天狗と2年振りの再会。

 

ここで雪山の楽しみ、砂糖をたっぷり入れた紅茶をいただきます。

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山専ボトルに入れてきました。

夏山ではパーコレーターで淹れたコーヒが好きですが、雪山ではストーブを出すのが面倒なので、家から作って持ってきた紅茶をよく飲みます。

朝5時に作って、まだまだ熱々です。

おすすめはジャンナッツのアールグレイ。

天然由来の香料で香りを強くしていますので、標高の高い山でも美味しく感じます。

 

行動食はクリームパン。

 

<北横岳ヒュッテから山頂>

お腹を満たしたら、アタックの準備をします。

稜線に飛び出すと強風が予想されますので、バラクラバを装着し、シェルのフードを調整します。

ゴーグルは基本的に下山時しか使用しませんが(登りでは曇ってしまうので)、念のため取り出しやすい雨蓋に移動します。

 

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序盤は変わらず森の中をぐんぐん登ります。

傾斜はいささか急になってきます。

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樹氷の間から淡い日差しが漏れ、雪面にレース模様を映し出します。

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樹々の間に空が見えてきました。

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風が吹くと、樹々たちは、一瞬躊躇い抵抗を見せますが、梢に積もった雪花が散ると、無数のガラス片のように陽光に反射します。

キラキラの中を進みます。

雲の流れる速度が早い。

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 ということは・・・、

南峰直前で木がなくなると・・・、

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やっぱり!!!

ぶわ~!!!!!

写真ではわかりにくいですが、爆風です。

下から吹き上げた風が身体を地面から引き離そうとします。

恐らく風速30メートル程度かな?

 

シェルのフードの調整が甘かったため脱げてしまいました(汗)

足を広げて耐風姿勢を。

パートナーはなにやら訳のわからない言葉を叫んでいます。

身動き取れずしゃがんでいる人、諦めて引き返す人も。

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少しずつ進んで、三角点にタッチ。

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標識に掴まっていないと身体が吹き飛ばされそうです。

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ここからハイマツの茂みを北峰に向かいます。

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茂みに入ると風が弱まりました。

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ふぅ~、こんな爆風が痩せ尾根だったり、凍った壁だったらと思うとゾッとします。

それでも今日のテーマは「慣らし」なので良い体験です。

 

数分で北峰登頂!

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ここも強風です。

 

蓼科山。トレーニングに丁度良い山ですね。

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反対側は南八ヶ岳の峰々。

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上の方は厚い雲がどんよりと垂れこめ、麓との間の空間は鉛色に煙っています。

 

<下山ルート>

今日は貸切ですが、こんな風では何もできないので、勿体無いですが下山します。

 

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ハイマツの間に引かれた道を抜けると南峰はまたまた爆風。

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ぬわ~!!!

身体が真横にもっていかれそうです。

 

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樹林帯に潜り込むとほっとできます。

 

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北横岳ヒュッテに戻ってきました。

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七ツ池に寄ってみようかと思いましたが、お腹が空いてきたので、また今度の楽しみにします。

七ツ池は、賑やかな北横岳の中で、唯一静かな空間が現れる、おすすめスポットです。

 

紅茶で水分を補給したら、出発です。

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 雪道の下山は膝の負担も少ないため、ずんずん進むことができます。

登ってくる人とすれ違うときは、踏み抜いたり、谷側に落ちたりしないよう気をつけます。

また、ザックに取り付けたポールやピッケルが人に当たってしまわないよう注意が必要です。

 

あっという間に坪庭です。

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時間的にはここから縞枯山まで行ってもよかったのですが、空腹が(苦笑)

 

シメはご褒美カレー&コーンポタージュ

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まとめ

北横岳は雪山初心者にも、ベテランにもおすすめです。

理由は、行動時間の短さ、難易度、通年営業の小屋があること。

他には無い牧歌的な雰囲気が味わえます。

山頂は一気に展望が開け、高山の雰囲気が十分味わえます。

また登山者が多いので、トレースが消えてしまうことも少ないと思います。

軽アイゼンやチェーンスパイクでも可能ですし、ピッケルを使うような場所はありませんでした。

それでも雪山ですので、天候の急変も怖いですし、防寒装備も必須です。

夏に一度登っておくか、慣れている人と一緒に登ると安心ですね。

 

危険ヶ所

危険ヶ所は、特にありませんが、狭い登山道でのすれ違いに注意が必要です。

今日のように強風になることもしばしばあります。

また、坪庭でも、だだっ広い分、ホワイトアウトすると方向がわからなくなることもあります。

坪庭散策路の帰路側の下り階段は、段差が埋まり、凍ってツルツルの滑り台になることもあります。

 

北横岳、また来るよ~!

 

 

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前穂高岳 難易度と5つのポイント

前穂高 重太郎新道ルート詳細
10月8日(日)


昨日は雨の降る中、上高地から岳沢トレイルを越えて、岳沢ヒュッテに幕営しました。
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前穂高岳 ルート地図

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周囲のテントのヒソヒソした話し声で目が覚めました。時計のバックライトを点灯すると4:10。
気が付くとフライを叩く雨音は止んでいます。
スマホのアラームは4:30に設定したので、そろそろ鳴るはずです。
アラームが鳴るまで待つか、いっそこのまま起きてしまおうか、悩んでいる間にアラームが鳴りました。
テントのジッパーをそっと開けると、煙ったような薄明が山に跳ね返り、自然の濃度一杯の空気とともにテント内に流れ込んできます。
水仙色の空がゆっくりと、でも確実に透明度を増してきます。
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お湯を沸かすストーブのボーという音、ジッパーを開け閉めするジーという音。
テント内ではその狭い環境のためか、目より耳が活躍します。
朝の音は、お坊さんの朝のお勤めと同じ。衣を着て、木魚や鐘を叩く音のように、いつものお決まりの流れとなって、早朝アタックの心をめぐり、包み、洗っているようです。
そして私は峰々の美しさと、明るい移り行きとを思う。

朝食は簡単にカップラーメンで済ませます。

テラスの上の見晴らしで、低木に囲まれたテント、すがすがしい光に包まれた朝の岳沢。

テント撤収

昨日はテン場が一杯で、結局小屋隣のテラス状のところに幕営しました。
そのため、7時までには撤収しないといけないのです。
今日は、全てザックにパッキングして、アタックザックで前穂に向かいます。
テントは昨日の雨でたっぷりと濡れてしまい、数倍の重さになっています。
こんなときに活躍するのが45リットルゴミ袋です。
テントの専用袋にはきつくて入らないし、厳冬期なんかは手袋をしたままの撤収作業になりますので、ゴミ袋があると、そのまま丸めて突っ込むだけなので簡単です。
ザックはテラスの隅っこの邪魔にならないところでお留守番です。

前穂高岳 ルート詳細と危険ヶ所

重太郎新道

岳沢からはヘルメットを着用します。

ヘルメットのバックルを閉めると、胸が高鳴り、気合が入ります。
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6:00、
前穂高岳、いざゆかん!

岳沢小屋から沢を渡ります。
昨日の混雑で、沢にもテントが数張りありました。
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沢を越えたらすぐ左へ。
テン場の脇から重太郎新道がはじまります。
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前半は草木の生い茂るルートをジグザグに進みます。
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ここは6月にこれ以上進めなかった『岳沢小パノラマ(勝手に命名)』(笑)
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最初のハシゴ

昨日の雨がなごりなく上って、今朝は天地の間に新しい風が流れています。

岳沢小屋から30分。
ちょっとした岩場を這い上がると、最初のハシゴがすぐに現われます。
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長さは8メートル程。
角度も75°程かな?
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それほど怖くありません。


カモシカの立場


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ハシゴからさらに30分。
まばらに生えたダケカンバの林の急登を越えると、カモシカの立場です。
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目の前にはギザギザした西穂から奥穂の稜線がお出迎えです。


さらに右方向に草の間を登ると二連ハシゴが登場します。
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ここも難無く通過できます。


ここから急勾配のクサリ場が続きますが、この鎖は足場の悪いとき用ではないでしょうか?
少なくとも登りでは必要ありませんでした。

この後も短い鎖やハシゴがありますが、高度感はありません。
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岳沢パノラマ

ジンジャエールのような澄んで爽やかな、酔わせる陽光に包まれて。
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カモシカの立場から30分、
ハイマツと岩場の急勾配が結構長い。
登りきると、岳沢パノラマに到着です。
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パノラマから下を振り返ると、手前から霞沢岳、焼岳、乗鞍岳。さらに遠くに御嶽山を望む。

ここからは、ハイマツ帯の岩の稜線沿いに進みます。
岩の影から出ると、秋の陽光が眩しい。
それでも10月の脆い日差しは秋風と岩陰にあっさり飲み込まれてしまいます。
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時々岩を登る所がありますが、比較的なだらかなルートが大部分です。
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雷鳥広場

岳沢パノラマから25分の雷鳥広場は、岳沢から前穂の7合目に相当します。
前には吊り尾根が壁のように立ちはだかります。
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小さなピークの下りのハシゴ。
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私の苦手なスラブ状の箇所。三連のクサリ場があります。
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雨天時は滑りそうですね。

紀美子平

雷鳥広場から20分で紀美子平です。
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ここが休憩できるポイントとしては1番広いです。

ここで荷物をデポして空身で登る方が目立ちました。

私の場合、どの山でも同じなのですが、水分が心配だったし、バナナを山頂で食べたかったのでザックを背負ったまま進みます。

水分を補給して、
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山と高原地図のコースタイムと違い、ここからが長く感じます。
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先はずっと岩登りの連続です。
楽しい♪
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荒々しい岩が覆いかぶさってくるようです。
首を真上に向けても、山頂はなかなか姿を見せてくれません。
最後の砦といった雰囲気です。
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岩は触ると冷たくて、薄青い涼しい影を宿しています。
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まだか~?いや、もうちょい!
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ここを越えれば・・・
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前穂高岳


紀美子平から40分。

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9:00、
登頂です!


登頂に轟いた心臓がしばらくして鎮まると、おもむろに喜びが湧き上がってきます。
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西穂高からジャンダルム、奥穂高・・・
つい先週はあそこにいたんだなぁと感慨深い。
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北穂高から槍ヶ岳
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登ったことのあるピークは、とても綺麗に見えるから不思議です。
「あそこの天辺には昨年の私が」
「向こうのピークは夏休みの私が」
これまでの思い出が遠く向こうに霞んだ山頂に見える気がします。


そして念願のバナナ(笑)
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バナナを噛じると槍の穂先!・・・がやりたかっただけです。すいません。(懺)
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せっかくなのでFyuse貼り付けておきます。
PCの方は左右にドラッグで、スマホは傾けるだけで、パノラマが楽しめます。

奥穂が私を呼んでいる(笑)
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吊り尾根を歩いてみたかったですが、岳沢からの重装備を背負って下山する体力が心配でしたので、泣く泣く下山します。

下山

重太郎新道は、下山が怖いです。
実際奥穂から降りて来た方が怖がっていました。
「吊り尾根なんかここの下りに比べたらなんでもないよ」と言っていました。

山頂から紀美子平

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ジャンダルムで慣れた「お尻下り」が活躍します。あ、「しりさがり」じゃないですよ(笑)
ザックが引っかからないようショルダーストラップは1番短くします。
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トラバース。
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高度感があります。
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時には片手を着いて、ピョンと足をおろします。
「あぶない刑事」の舘ひろしのようにスタイリッシュに。
時には柴田恭兵のようにダンサブルに!
古くてすいません(笑)
岩場が得意なパートナーは余裕らしく、柴田恭兵(ユウジ)になりきって、勝手に私を「タカ!このすっとこどっこい!」なんて呼んでいます(怒)
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あ、決してふざけてはいませんよ。
実際この時はかなり怖かったです。
紀美子平手前はスラブ状になっています。
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紀美子平から岳沢パノラマ

鎖場
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ここは無理に降りなくても立って歩ける巻道がありましたが、鎖の練習をしておきます。
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垂直の壁を、うんしょ、うんしょ、とベタ足で。
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足元ばかり注意しているので、時々視線を上にやると、穂高の岸壁が迫り来るようです。
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岳沢パノラマ上部。
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岳沢パノラマから岳沢小屋

標高を下げるにつれて気温も上がる。
汗が吹き出してきました。
この季節にしてはかなり暑い。
これから登ってくる人は、今日ピストンで岳沢で泊まる方や、穂高岳山荘で泊まるそうです。
羨ましい。
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乾燥して粉っぽい岩は滑りやすいので、鎖を活用します。
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最初にあったハシゴ。
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ここは狭い。
手遅れになる前にダイエットしなくては(汗)
もう手遅れか!?(笑)
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この辺りは、昨日の雨のせいか、泥の付いた岩が滑りやすく、
下山時の疲労もあって、油断すると滑って危ないと思いました。


11:00、昼の陽光に照らされた岳沢小屋に到着しました。
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すでに小屋周辺のテラスまで混雑しています。

デポしておいたザックは、なぜか登ってきたときより荷物が増えています。
濡れたテントが嵩を埋め、昨夜食べなかった食料も大量で、誤算です。

ピーナツクリームのパンと、昨日から徐々に減っていった最後のバナナを食べたら、小屋にご挨拶します。

岳沢トレイル

秋風に吹かれながら、岳沢トレイルを下ります。
黄色のトンネルは陽を透かして、金色の空気に包まれます。
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金色や銅色に、ダケカンバや、モミジの朱色はそれぞれに燃え立つばかり。
凋落のときまであと幾日かと思えば、私まで染まりそうな色にもひとしおあわれが添うようです。

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標高を下げ、森が深くなると、樹々はこれから訪れる冬にまだ気づいていない。
季節と季節を繋ぐ糸が、断ち切れそうになってもなお一筋二筋繋ぎとめているようです。
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葉の間から差し込む光のカーテンをくぐり抜けます。
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苔の絨毯も、陽を受けて、印象派の画布を見ているようです。
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パンツの裾が結構汚れてしまいました。
スパッツを履いておけばよかった。

ポクポクと小気味よい音を響かせる木道。
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上高地に戻ってきました。
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ご褒美はいつもの上高地ソフト。
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チーズミックスがおすすめです♪

まとめ

コースタイム

岳沢小屋---カモシカの立場・・・・・60分
カモシカの立場---岳沢パノラマ・・・30分
岳沢パノラマ---雷鳥広場・・・・・・25分
雷鳥広場---紀美子平・・・・・・・・20分
紀美子平---山頂・・・・・・・・・・40分

後半は苦手な岩場のため、少し時間がかかっています。

下山時は、遅れて登って来る登山者も多く、すれ違いの待ち時間を考慮しておくと安心です。

目安のスポット

岳沢小屋から山頂までの目安としては、
カモシカの立場・・・三合目
岳沢パノラマ・・・・五合目
雷鳥広場・・・・・・七合目
紀美子平・・・・・・八合目
といった感じです。

一番きつく感じるのは岳沢パノラマ直下の登りでしょうか。
絶え間無く急登が続きます。
他も岩登りの連続ですが、合間に緩斜面があるので、息を整えたり、筋肉が休まったりできるので少し楽かなと思います。
そして紀美子平からは、スタミナの消耗もあり、長く感じます(汗)

難易度

重太郎新道は、何と言っても下山時が難しいです。
ザイテングラードや、北穂の下りよりも難しいと感じました。
とにかく急傾斜がずっと続くこと。
そして下山時の疲労も加味されると危険が増すように感じました。
実際に事故も頻繁に発生しています。
また滑落だけではなく、落石の危険もありますので、ヘルメットは必携です。


登山のポイント

①重太郎新道は後半、特に紀美子平からが意外と長く感じます。
これは体力的な消耗具合もあるかもしれませんし、手足の短さによる岩場歩きのハンデもあると思います。
②重太郎新道の下りは、思ったより大変でした。特に岩場は高度感があり、やはり手足の短さが仇となりました。
③山頂は結構広く、素晴らしい展望は北アルプスでもトップクラスだと思いました。山頂でゆったり過ごすスペースもあり、岳沢で一泊するのであれば、時間的にも余裕がありますので、紀美子平に荷物をデポするのではなく、食べ物、飲み物、カメラを持っていくと楽しめます。
④岩場の下山は、お尻を着いて降りる場合、ザックの底が地面に引っかかって怖い場面がありました。できるだけ背中の上の方に持ち上がるように、ショルダーストラップを短くすると良いと思います。
⑤一泊したことで、行動時間も短くなり、体力が温存できたと思っていましたが、岩場の急登は、普段と使う筋肉が違うようです。翌日はもちろん筋肉痛になりました。技術、経験はもちろんなのですが、連続する岩場では、体力・筋力で集中を切らさないことが大切だろ思いました。事前にランニングや筋トレなどのトレーニングをしておいて良かったです。

活躍アイテム

パックタオル・・・雨のテン泊登山は、テント内や濡れた装備を拭くのに、吸水速乾のタオルが大活躍でした。

アタックザック・・・賛否両論ありますが、中身が軽くても大きなザックでは下山のときに地面に引っかかって危険です。コンパクトなアタックザックがあって助かりました。

持ってくれば良かったもの

雨の中の樹林帯歩きは風も無く、傘があったら快適だと思いました。
いつもは持ってくるのですが、今回は完全に忘れていました(泣)

それから、雨上がりの登山道は、快晴の翌日でも結構泥はねでパンツの裾が汚れてしまいます。スパッツがあれば良かったです。
晴れていて、泥ハネだけの対策なら、ソフトシェル素材のスパッツは快適ですし、見た目もスマートでカッコイイ♪
帰りのバスやタクシーで観光客から白い目で見られることもありません(苦笑)


前穂高&岳沢小屋、また来るよ~♪

岳沢 秋のテント泊

岳沢小屋でテント泊

10月7日(土)


6月の残雪の時期に前穂高にチャレンジしましたが、今年は融雪が長引いており、嫌らしい雪渓が残っていました。
おまけに軽アイゼンのみで、ピッケルも無いまま奥明神沢ルートに行けるほどの技量もなく、撤退となりました。
それでも岳沢から見上げた峰々は、間近から立ち上がり、青白い真珠色のガスが立ち込めた幾筋もの谷が、秘境を思わせる雰囲気に満ちていました。
小屋のまわりの低木に鳥がやってきては歌っています。

「絶対に良い時期にリベンジしてやる!」と意気込んで、今回、一泊の計画で向かいました。

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アクセス

さわんど駐車場

10/6金曜夜、雨の降る中、中央道を飛ばします。
先週の西穂高上高地ルートの疲れが残る中、駐車場が混んでいないことを祈りつつ深夜1時、さわんど駐車場に車を滑り込ませます。
駐車場は天候の為か、がら空きです。
ヘッドライトに浮んだ黒光りするアスファルトを慎重に進み、タクシー乗り場とトイレの丁度中間辺りに駐車しました。
先週ほど気温は低くなく、毛布一枚で快適に眠れました。

天気

早朝4:30起床。車は全く増えていません。
外に出ると、山間部の朝特有の樹々の濃い匂いが胸を満たします。
トイレを済ませ車に戻り天気予報を確認します。

今日は昼まで雨・・・。
10時まで二度寝することにしました。
天気は悪いけど、今日はいい朝だ。
こんなにのんびりスタートする山も、はじめてかもしれません。

シャトルバス

予定通り10時に起床し、シャトルバス乗り場に向かいます。
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降っているのかわからない程度の小雨。
バスは30分間隔で出発しています。
上高地まで片道1250円。
往復なら2050円とお得なのですが、時間を気にするのも嫌だし、帰りの混雑具合によってはタクシーで相乗りの方が早い場合もあるので片道にしました。

ほとんど並ぶことなく乗車できました。
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実はバスに乗るのははじめてだったのですが、今日みたいに空いている時期はバスがおすすめです。
タクシーは相乗りできるほど人もいませんでしたので。

それに他の観光客に混じって、大型バスの車窓から眺める景色は、いつもより優雅な気分にさせてくれます(笑)

11:00上高地バスターミナル着。
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観光客も登山者も少ないです。
登山届けを提出し、トイレを済ませたら、


岳沢小屋、いざ、ゆかん!



岳沢トレイル

岳沢トレイルの詳細は6月の記事もご覧ください↓
www.chillpaine.com
ルートはこんな概念です。

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岳沢ルートマップ

河童橋を渡り・・・
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登山口までは、木道の散策路を行きます。
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午前中の清々しい美しさと、その明るい広がりとを思いながら進む道は、なんだかいつもの上高地と違って見えます。
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観光客のお父さんが私を指差して、「あの人は山屋って言うんだよ。リュックにはテントとか寝袋とか岩に登る道具が入っているんだ。何日も山で過ごすんだよ。」と子どもに説明していました。
いや・・・ほとんどは食べのもなんですけど・・・とは言えず、足早に登山口に向かいます。
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登山口到着。
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岳沢トレイルは、登山というにはちょっぴり物足りない、でもハイキングよりはキツイ、といった感じのコースです。
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登山口から順に、10番、9番・・・・1番、岳沢小屋、とポイントごとに番号と説明の書かれた看板が設置されています。
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標高を上げるごとに、植物の種類が変化していきます。
この時期は、樹々の色付きも緑から黄色・赤と変化を見ながら登るコースとなっています。


なかなか雨が降り止みません。
風の無い樹林帯の小雨なら、傘を持ってくれば良かった。

ザックカバーは、マットやヘルメットが外付けなので、大き目のものがオススメです。


あぁ!!!!
カメラが壊れてしまいました(泣)
ここからはスマホで頑張ります。


小雨が葉を伝い、静かにパラ・パラパラと落ちてきて、日常の憂いを洗い流してくれるようです。
雨もまた良し。
雨が少し強くなると、木の下で雨宿り。
視線は自然と足元や近くを見るようになります。
蟻も一緒に雨宿りです。
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サーっと、耳鳴りのように続くのは、雨の音なのか、もうだいぶ下になった梓川の早瀬の歌か、耳に心地よい。


雨足の弱くなった合間で先に進みます。
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本来なら2時間程度のコースをゆっくりゆっくり。
流れる景色をしっかりと心にとめながら。
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小径の岩に鳴る靴の音。
原生林の幹は濡れて黒々と光っています。
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風穴

気温もこの季節にしては高く、雨ともガスとも言えない湿気に満ちた登山道では、かなり汗をかきます。

歩き始めて50分、おなじみ名物の風穴で涼みます。
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だんだんと紅葉が増えてきました。
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変わらず止まない雨の中を、のんびりした気持ちで行く。
物見高い目や鼻や耳はすっかり解放しながら。
別に急用があるわけじゃないんだ。

日頃、「全日本せっかち協会」の会長と揶揄されているパートナーも今日は珍しくゆっくり歩いています(笑)
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雨降りの森歩きは、自然をそのまま受け入れる者の気宇を大ならしめずにはいない。
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爪先上がりの淡々とした階段状の整備された道。
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赤黄色のトンネルを抜けます。
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岳沢小屋が見えてきました。
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あと少し、ガンバ!


岳沢小屋

ゆっくりゆっくり登って、雨が強まれば木の下に、弱まればまた進み、といった具合で、結局2時間30分かけて到着しました。
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岳沢小屋は標高2,170メートに位置します。
定員は60名、絶対予約してくださいね。
テン場は、小屋から沢を挟んだ登山道の両側に設営します。
30張りが限界です。

テント泊でも、
夕食2000円
朝食1700円
お弁当1300円
で、前日までに予約しておけば注文できます。

テント設営

小屋前に行くと・・・
えぇ~!?
結構混雑しています。
小屋の宿泊はもう一杯のようです。
以前、親切にしていただいた、清木場俊介似のイケメンのお兄さんが受付してくれました。
テン場ももう一杯とのことです。
どこに張れば良いかわからないと困っていると、外に出てきてくれて、「明日は前穂高?それなら撤収してデポしてからアタックすれば大丈夫だから、あの辺りとかがいいんじゃないかなぁ?」と教えてくださいました。
おかげて平らな、寝心地の良さそうな場所を確保できました。

テン場が一杯のときは、小屋周りに張ることができますが、7時までには撤収しないといけないのです。
撤収した荷物は預かってはくれませんが、小屋周辺にデポして良いそうです。



すると、これまでとは一変して強い雨が!!!
ぬわ~!
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ツェルトをザックに被せ、ザックカバーを頭から被ります(笑)

先にフライシートを取り出し、広げた下にテント本体を入れます。

普段は一緒に餅つきのペアなんか組んだら、きっと大怪我するほど息の合わないパートナーと、軍隊の訓練のようなコンビネーションとスピードで。
猛吹雪の厳冬期のテント設営を思い出します。
「そっちたぐり寄せて!」
「イエッサー!」
「ガイラインを出せ!」
「イエッサー!」
「男になりたいか!?」
「というか入口が逆であります!」
「口答えするな!」
と、なぜか上下関係に(笑)

そしてもちろん上官の私から先に中に滑り込みます(爆)
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そこらじゅうが濡れているので、パックタオルで拭きます。
服も濡れてしまいましたが、体温もまだまだ高いので着干しで大丈夫そうです。

装備は、大きなゴミ袋に入れてきていたし、さらにジップロックや防水のスタッフバッグに入れていたのでノープロブレム。
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濡れた手ぬぐいはテントの天井に細いスリングを張って、干します。
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それにしても強い雨。
タイミングが良いんだか悪いんだか。


水場

雨が弱くなった隙を見て水を汲みにいきます。
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ついでにコーラを買いました。


小屋の中にもお土産が色々。
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手ぬぐいを二種類GETしました♪

長野県警山岳遭難救助隊のお馴染みTシャツが飾ってあります。
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カッコイイ!
自衛隊のTシャツみたいに一般販売したら売れると思うんですけど・・・、長野県警さんいかがでしょう?

トイレを済ませたら、テントに戻ります。
結局服は完全に乾きませんので、着替えると随分心地よくなります。
お昼ご飯はコンビニで買ったもの。

天気次第で今日の行動がどうなるかわからなかったので、調理せずに食べられるものにしました。
お味噌汁だけは作ります。

今日の気温ではノーマルガスで大丈夫でした。
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また雨が強くなりました。
シュラフを広げ、横になりながらフライに当たる雨音を聞きます。
こうしているのも山の魅力です。
自然の全体と細部を見て感じて、受け入れてもらいます。
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近くの木に鳥がやってきたようです。
パタパタタと羽根に付いた水玉を落として、その合間に水晶珠をぶつけ合ったように唄っています。
CMかラジオのジングルのようなメロディーに似ていますが・・・思い出せません。

お腹が一杯になって身体が温まると心地よい眠気がやってきました。
熟睡してしまうと勿体無いので、シュラフには入らずウトウトします。


!・・・熟睡していたようで、夕方になっていました。
お昼を食べ過ぎたせいでお腹が空いていません。
パーコレーターでコーヒーを沸かし、りんごジャムクッキーで晩御飯にします。


明日は念願の前穂高へ。
岩峰歩きを想像してワクワクします。

テント泊の装備と服装

・サーマレストのマット(1番安いやつ)
・銀マット(ホームセンターの5ミリ厚のもの)
・シュラフ・・・モンベル バロウバック#3
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・インサレーション・・・パタゴニア ナノパフジャケット
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・ダウンパンツ・・・ナンガ ポータブルダウンパンツ
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・像足・・・モンベル エクセロフトフットウォーマー
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・ハクキンカイロ
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以上で快適に眠れました。


湿気ったシュラフの匂いに包まれて、深い眠りがやってくるのでした。
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まとめ

雨の樹林帯歩きは、確かに不快でしたが、真夏のそれとは違って、傘があれば小雨程度なら楽しめると思いました。

もっと強い雨の場合は、登山道が川のようになってしまったり、土が田んぼのようにぐちゃぐちゃになったら滑って危険だと思います。

木道はありがたいですが、重たいテント泊装備を担いでいるとブレーキが効かず、滑りやすいので注意が必要です。

また、ザックカバーをつけていても浸水しますので、ザック内のものも防水対策が必要です。

岳沢小屋は素敵なロケーションに建っている小ぢんまりとした小屋です。
トイレもキレイでしたし、スタッフさんも親切です。
キャパの限度もありますし、混雑するときこそマナーを守って利用すると良いとおもいます。
予約は必須ですし、テン場も張れない場合は沢に設営しますので、マット等で対処できるように想定しておくと良いと思います。



前穂高アタック編につづく・・・
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西穂高岳 上高地から日帰り登山

西穂高 日帰り 上高地ルート

10月30日(土)

紅葉真っ盛りの北アルプス、西穂高岳に、上高地から日帰りで登ってきました。

あまりメジャーではないルートで、体力的にはなかなかハードでしたが、最高の秋晴れの中、気持ち良い山行となりました。

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西穂高 日帰り登山 

上高地から西穂独標まで

こちらの記事をご覧ください↓

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西穂高独標からピラミッドピーク

9時30分、西穂高岳、いざゆかん!

独標(11峰)からは順に、10峰、9峰、ピラミッドピーク(8峰)と進みます。

 

ここからはヘルメットは必須アイテムです。

早速、西穂高方向から、ガラガラと落石の音が聞こえてきました。

渋滞になったらさらに危険が増すでしょう。

緊張します。

 

西穂高岳、いざゆかん!

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西穂高の難易度

危険個所は、4箇所です。

まずは独標(11峰)からの下り

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・10峰からの下り

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・9峰からのやせ尾根のトラバースと、

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・下り

 

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と、いきなり難所が現れます。

 

ジャンダルムの馬の背で麻痺していましたが、冷静に考えると、特に、9峰からのトラバース&下りは高度感があり、足場が悪かった気がします。

 

難易度はそれほど高くありませんが、天候が悪くなれば一気に怖いルートになりそうです。

岩場歩きに慣れていないと、このピークの連続は時間がかかるかもしれません。 

 

ピラミッドピーク(8峰)に到着です。

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 あの三角の天辺に立っていると思うと嬉しさでニヤニヤしてしまいます。

こんなにギザギザの岩峰のピークを踏み続けて進むなんて、贅沢ですね♪

 

 

ピラミッドピークからチャンピオンピーク

ピラミッドピーク(8峰)からは、7峰の直下がトラバースになっていて、鎖があります。

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高度感はありませんが、緊張します。

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6峰

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5峰

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あ、あんなところお地蔵さんが佇んでいます。

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「たぬき岩」ということはお地蔵さんではなかったんですね(笑)

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チャンピオンピーク

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なんとなくガッツポーズしたくなる場所です(笑)

 

チャンピオンピークから西穂高岳

ここからは、小さなピークを通過して、

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3峰

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 2峰

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最後の急斜面。

 

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ここが足場が丁度良いところに無く、ベタ足と腕力で登りました。

気がつけばボトルネック状態で登山者が集中して、ちょっとした渋滞。

細かな岩屑も散在していて落とさないように緊張します。

 

手足の短さは、母方DNAの仕業。

きと先祖はドラえもんかグーグーガンモだったに違いない(笑)

 

 

11時00分

独標識から1時間30分、

西穂高岳、登頂!

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前方にはジャンダルム。

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ついこの前登ったのに、もう懐かしい気がします。

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このまま縦走できたらどんなに楽しいことだろう。

ひーひー言いながら、重たい装備で峰々を渡り歩けたら、素敵な景色が沢山見られるんだろうな。

 

その奥にちょこんとあるのは奥穂の祠。

 

右前のドーンという壁が吊り尾根ですね。

眼下には岳沢が見えます。

 

さらに、右に回ると梓川が見えます。

意外と近くて、いかに短時間で標高を稼いだか実感します。

 

 

左前には槍。

 左後ろは笠ヶ岳。

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真後ろにはずっと見守ってくれた焼岳。

その奥の乗鞍岳。

 

せっかくなので、ここでお昼ごはんにします。

山頂は狭いので、これ以上混んできたら座っていたりしたら迷惑になってしまいます。

大々的に料理はできないので、バナナとおにぎり。そしてまたバナナからの饅頭(笑)

くそ~っ!お味噌汁が飲みたい!

せめて山専ボトルにお湯だけでもあれば!

あ、日帰りの場合はタイガーのサハラマグが軽くておすすめです。

保温力も山専ボトルに迫る能力です。

 

 

 

 

登ってくる人みんな嬉しそうです。

フルサイズ一眼を担いで来た人、

子どもと一緒に登ってきた親子、

年配のご夫婦、

単独できていたスタイリッシュなお姉さん。

いろいろな人が、いろいろな楽しみ方をしています。

共通しているのは、みんな本当に山が好きなんだなぁってこと。

それぞれの山頂が、眩しく輝いています。

 

西穂高岳では、ヘルメットを被っていない人の方が少ないです。

西穂山荘の宿泊者にはレンタルもあります。

 

 

岩ヒバリもやってきました。

西穂の岩ヒバリは凛々しい顔つきです。

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気温は0℃近いはずです。

薄手のダウンを着ている方もいました。

山頂で長居したり、寒さに弱い方は持ってくると良いと思います。

私もザックに入っています。

おすすめは化繊のインサレーション。ダウンは濡れたらロフトが潰れて保温しなくなってしまうから。

クライマー御用達の万能ビレイヤージャケット、ナノパフを愛用しています。

 

 

 

太陽が当たると暖かく、目の前が陽の光で白むと、空の青さは消えて無くなり、散らかした輝きの粉の中に峰々の輪郭が浮き出てきます。

眩しさに目をつむってみると、瞼に透けて雲の動きを感じます。

谷に当たった風が岩峰を駆け上がり、巻きながら頬を撫でて行くのがわかります。

新しく目を開いては、空が目に見えない速度で、ゆっくりと落ちかかってくる気がします。

 

最高だね♪

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下山

 11:30

名残惜しいですが混雑する前に下山開始です。

これまでは下りのポイントが難所でしたが、今度は登りと下りが逆になりますので、気を引き締めます。

でも往路とは違った雰囲気が楽しみでもあります。

 

下山の核心

いきなり本峰からの下りが怖い。

ホールドはあるのですが、凹凸が少なく、一枚岩のような雰囲気があります。

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ザイルを取り出して肩絡みで確保し合っているパーティーがいましたので、しばし待ちます。

 

なんとなく滑る感じ?

ホールドの間隔も広く、嫌らしい下りです。

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本峰直下まで行けば、一安心です。

笠ヶ岳と焼岳が交互に現れます。

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 絵に描いたような稜線。

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 お尻をついて、ピョンと降りられそうなところも、今回はザックが邪魔なので、バックステップになる場面が多く、結果時間がかかってしまいます。

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向こうからどんどん登ってくる人がいます。

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高度感があります。
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どこまでも歩いていけそうな気持ちよさ♪

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独標の頂上にもたくさんの人が見えます。

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ガラガラと小さな岩の敷き詰められた登山道は、油断するとグキッと足首をひねりやすいので注意ですね。

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やっぱりここのトラバースはちょっと緊張します。

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上ったり、下ったり。単純な動作の繰り返しですが、同じ動きで流れる景色。

楽しい♪

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ここまで来れば西穂山荘が見えてきます。

あとちょっと。

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西穂山荘に戻ってきました。

ロープウェイからのお客さんがたくさんいました。

西穂山荘の標高は2367メートルだったんですね。

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少し休憩、というかまた食べてしまいました(笑)

樹林帯は暗くなると怖そうなので、ぼちぼち出発します。

ここからは樹林帯をのんびり行きます。

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なんだか長く感じるなぁ。

こんなに登ったっけ?

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木の階段は、一段一段が高さがあるので、下りは踏み外しそうになります。

衝撃が膝に堪えます。

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トレッキングポールがあったら楽ちんでしたね。

花谷泰広さんも使っているKOHLAは頑丈です。

 

 

1時間ちょっとで登山口に戻ってきました。

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まとめ

コースタイム

上高地---西穂山荘・・・2時間

西穂山荘ーーー西穂高独標・・・1時間

西穂高独標ーーー西穂高岳・・・1時間30分

西穂高岳ーーー西穂山荘・・・2時間

西穂山荘ーーー上高地・・・1時間

 

 

朝6時に登り始め、下山したのが14時過ぎでした。

山頂では長めに過ごすことができましたし、途中途中こまめに休憩をはさみました。

上高地から西穂山荘はそれなりに体力が必要ですが、それほどキツさは感じませんでした。

何よりほとんど人のいないルートなので、余計な気を使うこともなかったのがおすすめポイントですね。

 

もちろんコースタイムは個人差がありますので、まずはロープウェイを利用して登ってみると良いと思います。

 

難易度

独標までは、北アルプスデビューの人でも穂高の雰囲気が楽しめるルートです。

穂高では珍しくハイマツの緑も多く、長閑な景色からスリリングな岩峰まで、山の魅力が盛りだくさんでした。

 

独標から西穂高岳本峰まではいくつものピークを超える岩の殿堂といった雰囲気です。

難易度は他の穂高連峰に比べると低いですが、油断すると大変なことになりそうです。

自分が、気を付けていても、他の登山者の落石に巻き込まれるかもしれませんし、天候が悪化すれば一気に難しい山に変化してしまいます。

 

岩場歩きは体力や根性だけでは上手く登れませんね。

慣れている人を見ると、本当にスタスタと登っていて、経験が大事だなと思いました。

 

また、いつものことなのですが、手足の短い(私は特に)人は下りでお尻を着いて下りようとするとザックが地面に当たって、前のめりに転倒しやすくなってしまいます。

必然的にバックステップになる場面が多く、結果時間がかかってしまいます。

 

 

上高地からのルートはロープウェイ利用者との渋滞に重なることも少なく、マイペースでの山行でした。

 

西穂高岳、I'll be back.

 

西穂高 独標 初心者でもチャレンジしやすい北アルプス

西穂高 独標 ルート詳細


9月30日

秋はイベントシーズンで私の仕事は土日が勝負になります。
なかなか休みがとれませんでしたが、前回の唐松岳から三週間ぶりの山となりました。

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今回は西穂高岳本峰を目指します。
一般的なルートは、新穂高ロープウェイを利用したルートが早いし楽なのですが、今回は上高地から歩いて登ってみることにしました。
ロープウェイの始発で登れば、体力が温存できるので、その先からハイペースが維持できますが、登山道の渋滞が嫌だなと思ったからです。
上高地からだったら、5時30分には行動開始できるので、時間に余裕が持てるかな?

まずは独標までのルートを紹介します♪

西穂高独標について

西穂高独標は標高2,701メートルで、西穂高岳本峰まである大小様々な11個あるピークのうちの1番始めの11峰です。
独標とは「独立標高点」の略です。

新穂高ロープウェイ

新穂高ロープウェイを利用して、西穂山荘までの記事はこちらを↓
www.chillpaine.com
その先は『西穂山荘から西穂高独標』をご覧ください。



上高地からのルート

今回は上高地から歩いて登ります。
山と高原地図の標準コースタイムを見ると、西穂山荘まで3時間40分。
標高差約900メートルを登ります。
日帰りの計画ですので、かなり時間を巻く必要があります。

また、ロープウェイで登って一泊したけど、翌日悪天でロープウェイが運休なんてこともあります。
そんな時のエスケープルートとしても利用できますので、時々このルートを使っておくと安心かもしれません。

さわんど駐車場

深夜、おなじみのさわんど駐車場に到着しました。
お盆シーズンよりも車が多く感じます。
気温はかなり寒く、車中泊も上着を着て毛布を被ってもやや肌寒かったです。

4:00起床
まわりの車ももう準備しているようで、バフッ、バムッ、と遠慮がちなドアの開閉音がありこちから聞こえてきます。
タクシー乗り場の様子を見ると、そこそこ並んでいます。
しまった!
急いで支度し、タクシー乗り場に並びます。
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いつもならどんどんタクシーが来るのに、なかなか来ません。
きっと他の乗り場も同じでしょう。
おそらく涸沢カールの紅葉目当ての人が多いのではないでしょうか。

タクシーを待っている間は、ダウンを羽織ます。
こんなときもコンパクトで便利なビレイヤーインサレーション、パタゴニアのナノパフです。
化繊ロフトなので濡れても保温するので安心です。

それでもかなり寒く、震えが出ます。

結局乗れたのは5:40。
既に登り初めている予定だったのに・・・タイムロス。
こうなったら登りで取り返します。


西穂高岳登山口から西穂高山荘

西穂高岳登山口は、バスターミナルより手前の、上高地帝国ホテルでタクシーを降ります。
間違ってバスターミナルまで行ってしまった場合は、歩いても8分程で戻ってこられます。
帝国ホテルの横を通り抜けます。
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登山口のトイレ

橋の手前に公衆トイレがあります。
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田代橋を渡り
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橋を渡った突き当たりにある、大きな門が登山口です。
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左に行くと焼岳の登山口です。


登山届け

登山届けは、この登山口の門みたいなところにあります。
提出はこのポストに。
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熊出没注意

秋といえば食欲の秋。私の場合は年がら年中食欲の季節なのですが(笑)
それはクマも同じこと。冬眠前の食い貯め時期です。
8月にも焼岳登山口付近でツキノワグマの目撃情報がありました。
北アルプスではあまり見かけませんが、ビビリの私は樹林帯を歩くときはいつも熊鈴を付けています。
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効果の程は賛否両論ありますが、自分の居場所をアピールしておくメリットは多いです。
猟師に間違って撃たれることもあるかもしれませんし(笑)
実際群馬の山で登山道に散弾銃のシェルが落ちていたときはぞっとしました。

また急いで登って(下って)いるときに、前の人が、私の尋常じゃない揺れ方の鈴の音で気づいてくれて道を譲ってくれることもあります。

鈴は、山林管理の人が使うようなトロイカ鈴や南部熊鈴のようなものがかっこいいですが、登りではあまり身体が激しく上下しないので、音が鳴らないことがあるので、結局ザックの下にぶら下げるようなタイプのものがいいと思います。

登山開始

6:00 西穂高岳、いざゆかん!

誰もいない静かな樹林帯です。
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登りはじめてすぐに汗ばんできましたのでシェルを脱ぎます。
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わかりやすい登山道ですが、それなりに荒れていて、傾斜もあります。
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水場

山荘までの中間あたりに水場があります。
出発して丁度1時間。
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「宝水」というらしく、看板がぶら下がっていますが、水がありません。
水の音をたよりに探すと、登山道から左側に下ったところにあります。
この先に水場はありませんので、要注意です。
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黒糖まんじゅうを食べたら、さぁ、休まずガンガンいきます。
ここからは整備されたところが多いです。

ひたすら階段を上ったり、木道を歩いたり。
結構長く感じます。
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まだ誰ともすれ違いません。

するとヤブから二羽の猛禽類がバサバサバサ~と飛び出してきました!
驚いて悲鳴を上げるパートナー(笑)
しゃがみこんで、腰が抜けたようです。

きっと相手も驚いたでしょう。


樹々の間に・・・あ!あれは山荘の壁だ!と思ったら幻でした。
いつもの症状ですね(苦笑)

それなりに疲れます。

パートナーは寒くて車で仮眠もできなかったようで、素人が彫った能面のような表情です(笑)


タクシーの混雑で出発は1時間遅れてしまったし、ロープウェイを使って、余った体力で飛ばせば同じこと、むしろその方が楽だったのに。
好き好んで上高地から登るなんて・・・提案者の私が思っちゃいけないですね(苦笑)

焼岳へ折り返す分岐です。
これが見えたらもう少しのはず!
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樹々の間に山荘が見えてきました。
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8:00、ヤブを抜けると、西穂山荘のテン場の裏に出てきました。
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登山口出発から2時間です。
1時間45分程標準タイムを縮めました。
それほどめちゃくちゃに飛ばしたわけではありませんので、標準タイムは少し余裕を見て計算されているのかもしれません。


1年半ぶりの西穂山荘。
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じっとしていると一気に汗が冷えます。
手も若干かじかみます。



気温は・・・3℃です!
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トイレは100円。

ソフトクリームの看板が誘惑してきますが、先に進まなくては!(悔)

アミノ酸ゼリーとバナナでエネルギーを補給したら、出発です。

西穂山荘から西穂高独標

8:30出発
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ここから稜線に飛び出し、風も強そうなのでシェルを羽織ます。
今日はパタゴニアのナイフブレードプルオーバーです。
ポーラテック社のパワーシールドプロという防風、透湿素材を使い、防水性もある万能なソフトシェルです。
廃盤なので、今日のようなスピード日帰りアタックでは、現行だとM10ジャケットを使ったレイヤリングになんかいいなと思います。



私のお気に入り、アズフーディーも万能で、あイフブレードよりも使用シーンが幅広く、便利・快適です。



序盤は大きな岩を、よっこらよっこら越えて、ぐんぐん登っていきます。
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すると絶景の稜線に飛び出します。

丸山まではかなり緩やかな稜線です。
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ハイマツの間に引かれた白い道を行きます。

ここは広い稜線なので、ガスったら道を外しそうで怖いです。


西穂丸山

山荘から10分程で西穂丸山山頂です。
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ここまでは、ロープウェイを使い2時間歩けば登れるので、トレッキングコースとして人気です。

後ろを振り返ると焼岳と乗鞍岳。
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左の大きな山は笠ヶ岳。
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ここでも十分綺麗な景色が楽しめます。

さらに進みます。

ハイマツの緑の間の道を進みます。
長閑な稜線が、この後の岩稜帯への気分を高めてくれます。
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冷たい風が耳にひやりと入ります。
晴れ晴れとして、自分まですきとおってしまいそうな秋の空。

ごりごりと岩を踏む音が乾いた空に吸い込まれていきます。


道は岩屑がガラガラしていて足を取られます。
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ハイマツがまばらになってくると、西穂の峰々が近づいてきます。
右から独標、ピラミッドピーク。
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岩峰歩きを想像しただけでワクワクします。

稜線をトラバース気味に進みます。
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積雪期はここがミックスになっていて怖かったのを思い出しました。
雪庇も大きくて、恐る恐るでした。
今考えるともう歩ける気がしません(汗)
残雪期の記事はこちら↓
www.chillpaine.com

youtubeにもアップしました↓
www.youtube.com



結構高度感があります。
少し下ったら、
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独標の取付きです。
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ここからは手を使うことが多くなります。
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○、×の目印も親切すぎるほどたくさんあります。
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鎖もありますが、使わない方が登りやすいです。
ホールドもしっかりしています。
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この辺りも渋滞になりそうですね。
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西穂高独標

9:30、山荘から丁度1時間で到着しました。
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コースタイム

西穂高登山口(上高地)~西穂山荘・・・2時間
西穂高山荘~西穂丸山・・・・・・・・・10分
西穂丸山~西穂高独標・・・・・・・・・50分
※途中、小休憩込み


まとめ

上高地からのルートは標準タイムよりは早く登れましたが、それなりに体力が必要です。
日帰りの場合、早出で登山道の渋滞を避けたい、かつ体力に自信がある方にはおすすめです。

逆に、空いている時期や平日で、体力を温存して一気に登りたいならロープウェイを使う方が良いかもしれません。

山荘から先は、ハイマツの緑がキレイな穏やかな稜線歩きと、独標直下の岩場と、山の魅力が詰まっています。

難易度

独標直下の岩場以外はそれほど危険もありませんでしたが、所々浮石がありましたので、ヘルメットはあった方が良いかもしれません。
独標より先まで行くなら必須です。

また初心者が登りやすいということもあり、危ない場面(人)も多く見かけました。

稜線は逃げ場がありませんので、ガスで見えなくなったり、雷には要注意ですね。

独標のエスケープルートもありません。

持ってくればよかったもの

グローブ

手も若干かじかみますのでグローブをつけます。
私のお気に入りはノースフェイスのインナーグローブです。
全ての指でスマホのタッチパネルに反応しますので、冬のテント泊でも便利です。

お湯

じっとしているとかなり寒かったので、山専ボトルにお湯を入れてくればよかったです。

西穂高岳本峰へ

ここからは西穂高岳編にいきます!
www.chillpaine.com

唐松岳 日帰り ルート詳細

【唐松岳】ロープウェイを使って日帰り登山

 

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前回の、奥穂~ジャンダルム、そして木曽駒ケ岳から下界に戻って一週間。

さっそく山パワーが切れかけてしまいました。

これは充電が必要だ。

www.chillpaine.com

 

唐松岳の概要

唐松岳は、標高2696m。北アルプスの後立山連連峰の縦走路にの途中にあります。

ロープウェイ、リフトを使ったら一気に1800メートルまで標高が稼げ、積雪期を除けば難所も無いので、「北アルプス入門の山」といわれています。

その魅力は登山起点の八方池からすぐに視界が開けた八方尾根であるため、抜群の眺望を楽しみながら登ることができることです。

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唐松岳 登山ルート 地図

 

アクセスと駐車場

 

コンビニについて

中央道安曇野I.Cを降りて、コンビニで食料を仕入れます。

八方尾根までの道中にコンビニはたくさんあります。

現地にも白馬駅の近くにローソンがありますので、山によくある「最終コンビニ」を意識しなくても大丈夫です。

ガソリンスタンドは、夜中は1箇所だけ営業していました。

 

駐車場について

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駐車場は、ゴンドラリフトアダムの乗り場の真横にあります。

夜中に到着する場合は、「こんな道の先にあるの?」と思う程狭くて暗い道の先にあります。

駐車料金は1日500円。今回は朝6時の時点でまだ空きがありました。

もちろん深夜でも入庫可能です。

トイレはアダムの駅舎の中にあります。

自販機もあります。

 

八方アルペンラインについて

八方アルペンラインというのは八方駅から八方池山荘まで3つあるリフトの総称です。

これを利用することで、一気に標高1830m、八方池山荘まで、約20分の空中散歩を楽しみます。

 

料金

料金は大人往復3000円

発売日を含む3日間有効なので、泊りの山行も往復券で大丈夫です。

モンベルカードやJAFカードで割引になるそうです。

荷物が15kgを超える場合は、片道450円が必要です。

 

営業時間

営業時間

営業時間は時期によって変わりますので、HPで確認すると良いですね。

www.happo-one.jp

グリーンシーズンを過ぎた今回は始発7:30、チケットの販売は7:15分から。

下山の最終便は上の第1ケルン駅が16:30でした。

 

6:00に起床してゆっくり準備します。

車中泊の車内は少し肌寒く、毛布を被ると丁度寝やすい季節になりました。

7:30ちょっと前からチケット売り場に列が出来ていました。

それでもゴンドラがどんどん来ますので、それほど待つことはありませんでした。

すこし肌寒いので薄手のソフトシェルを羽織って丁度良い気温でした。

八方尾根ゴンドラリフト「アダム」

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八方駅から兎平まで8分の空中散歩です。

標高は770mから1400mへ。

上に向かって右は牛の放牧地帯になっていて、たくさんの牛が朝ごはん中でした。

 

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アルペンクワッドリフト

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兎平から黒菱平まで7分。

黒菱平で標高1680m。

リフトは4人乗り。ザックは前で抱きかかえます。

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グラートクワッドリフト

こちらも4人乗りのリフト。

5分ほどで終点の八方池山荘に到着です。

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登山ルートの紹介

八方池山荘から第三ケルンまで

八方池山荘から第3ケルンまでは、標準タイムで登り1時間、下りは40分です。

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グリーンの絨毯に引かれた白い登山道がどこまでも続いています。

路の傍らには、高山植物が咲き誇り、風に揺れています。

その種類も多く、高山植物が好きな方には本当にオススメです。

 

唐松岳、いざゆかん!

すぐに分岐が現れ、上に向かって右が登山道、左が散策ルートになっています。

分岐に気付かず、散策ルートを進んでしまいました。

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登山ルートは下山で紹介します。

しっかり整備された木道を、ぽくぽく鳴らしながら歩きます。

勾配もゆるく、霧の中でも、その先に浮かぶ景色を追いかけて歩くのはとても気持ちいい。

汗ばんできたので、シェルを脱ぎ、Tシャツ1枚に。

 

第二ケルンとトイレ

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唐松岳はケルンが多く、地図を確認してもほとんど一本径なので、大小様々なケルンを見つけながら進んでいきます。

 

遠くにケルンの影を見つけると、まるで宝物を見つけたように、「あっ!あった!」と声が出てしまいます。

 

第2ケルンの手前にトイレがあります。

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ここは水洗式で綺麗なトイレです。

このトイレの裏手で登山ルートと合流しています。

この先は唐松山荘までトイレはありませんので要注意です。

念のための簡易トイレとツェルトも持ってきました。

 

本当にお花がたくさん。

天気が悪くても、足元で楽しめますね。

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第三ケルンと八方池

魔女の帽子のような形の第3ケルン

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ここから下に降りると有名な八方池があります。

八方池の湖面に映る逆さの不帰剣が有名で、それを見るのを目当てに登ってくる方も多いそうです。

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今日は残念。

ガスで山が見えませんので、八方池には立ち寄らずこのまま進みます。

 

第三ケルンから丸山ケルンまで

遊歩道はここで終わり、この先は登山道ですので、しっかりした装備が必要です。

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足元は次第にゴツゴツした岩場になってきます。

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ガスに煙る山の影。

稜線歩きがは初心者からベテランまで楽しめるコースです。

 

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晴れていたらもっと素敵な眺望だったでしょう。

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地味な傾斜でも登り続けてきた疲労の蓄積で、それなりに疲れます。

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途中、バナナでエネルギー補給。

アミノ酸等のゼリーもお手軽ですが、自分でもぐもぐ噛んで食べる方が、力が出る気がします。

 

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この区間の標準タイムは、登り1時間40分、下り1時間です。

 

岩が滑るなぁと思ってよく見たら、青い岩が。

谷川岳によくある蛇紋岩ですね。

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乾いていても良く滑るので油断しないように。

 

 

下の樺、上の樺

下ノ樺、上ノ樺の間はダケカンバの樹林帯です。

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樹々がガスを避けていてくれているようで、明るい緑のトンネルを抜けます。

見上げると樹々の間から見えるのは明るい乳白色のみ。

まるでメルヘンの世界にいるようです。

 

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ここの道は土がむき出しの箇所が多く、雨の下山時は滑りやすそうです。

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扇雪渓

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森の切れ目から急に雪渓が姿を現しました。

 

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雪渓の周りは座るのに丁度良い岩がゴロゴロしています。

ここで休憩する人が多かったです。

雪渓の上を撫でた風が、身体の熱気をさらってくれます。

 

先月はこの近辺で滑落事故もあったそうです。

なぜこんなところで!?という気がしますが、それが山の事故なんですね。

気を引き締めて先に進みます。

 

丸山ケルンから唐松岳頂上山荘へ

ここで一段と景色が開けます。

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小高いてっぺんにちょこんとケルンが見えます。

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丸山ケルンに到着です。

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 天気が良ければ、向かって左から、五竜岳、唐松岳、白馬三山まで見渡すことができます。

 

 ガスが濃さを増して、幻のような山影が見え隠れします。

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真っ白ですが、ルートは見えています。

積雪期だったらあきらめていますね。

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一瞬、ガスが掃けると、空は変わらずそこにありました。

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先が見えてきました。

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山荘までは登り50分、下り40分です。

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ここからはガレ場になります。

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木道は雨で濡れたり、霜が付く季節は滑りそうですね。

積雪期はここが難所になります。

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山側は落石防止のネットが張られています。

 

稜線の南側をトラバース気味に進んで行きます。

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クサリやロープが張られていますが、普通に通過できます。

 

さすがに太ももがパンプ気味です。

思えばこのルートはアップダウンはなく、アップのみ。ずっと登りっぱなしでした。

緩斜面が多いので、ついついハイペースで登ってきてしまったせいでしょうか。

 

ここを右に巻くと、唐松岳頂上山荘が見えてきました。 

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結局、標準タイムを1時間以上短縮してきました。

 

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唐松岳頂上山荘について

唐松岳頂上山荘は、80年以上の歴史がある山小屋です。

山頂から15分の好立地で、テント場もあります。

入ると、とてもおしゃれな内装で、窓からは剱岳を正面に望みます。

日帰りのお客さんでも、トイレは一日に何回使用しても300円です。

自販機もあり、食事もできます。

 

唐松の姿が見えました。

手のひらで撫でたようななめらかな稜線にガスが巻いています。

綺麗だなぁ。

「今からあそこを歩くんだ」とワクワクすると同時に、お腹が減ってきました。 

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 アタックの前に食事にします。

コンビニで仕入れた、のり巻き、サンドイッチ、バナナ、ゆで卵・・・

食べ過ぎです(笑)

 

寒いのでソフトシェルを羽織ります。

時折姿を現す太陽が、暖かい。

 

山荘から唐松岳頂上へ

さあ、いよいよ頂上にアタックです。

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ここからは往復で30分程です。

山荘前に荷物をデポして空身で登る人も多く見かけました。

緩い斜面を登っていきます。

 

コマクサがまだ残っていました。

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他にも色々なお花が咲いています。

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不帰剣も見えます。

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食べ過ぎたせいか、急に身体が重くなったように感じます。

また、お花を見るのに急に立ち止まったり、しゃがんだりするのも、心肺を乱しますね。

 

上を見上げると、空に向かって登っているような感覚です。

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やった~、登頂です!

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人気の山だけあって、山頂にも人がたくさん。

みんな笑顔です。

お話をしてみると、はじめての北アルプスという人が多かったです。

 

登っているときは晴れていたのですが、頂上についたらガスが(泣)

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一瞬ガスが晴れると、空の真ん中に五竜岳が姿を現しました。

う~ん、晴れていたら絶景のパノラマだったでしょう。

 

振り返ると

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白馬三山方面は

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どんどん混んできますので、山頂お弁当を食べたりするのは控えた方が良さそうです。

写真撮影なども譲り合って。

名残惜しいですが下山の時間が近づいてきました。

 

下山の様子と注意点

下山は八方池山荘まで2時間30分程の道のりです。

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来た道をそのまま戻ります。

一泊できるなら、五竜まで縦走するのもいいですね。

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ガスがさらに濃くなってきました。

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泊り装備の人もどんどん登ってきます。

こんなロケーションで、星空を見たりできるなんて、羨ましい。

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登りで時間を巻いたぶん、下山はゆとりを持ってお花を見ながら進みます。 

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丸山ケルン

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唐松岳は虫がとても少ないように感じます。

いつもそうなのか、今日だけ特別なのか・・・。

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 相変わらず蛇紋岩が滑ります。

疲れていたり、登頂の達成感で油断すると危険ですね。

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樹林帯の土も、ズリズリと、やっぱり滑りやすい。

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第3ケルン

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 第二ケルンのトイレに寄ったら、今度は遊歩道ではなく登山道を進んでみます。 

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誰も歩いている人がいなくて、貸切状態。

これだけ幻想的な中を歩いていると、なんだかふわふわと身体が軽くなったような錯覚。

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 登山道の方もしっかり整備されていました。

 こちらの方が散策路より高い位置にあるので若干見晴らしが良いです。

下の人が歩いているところが散策コースです。

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木道を歩くポコッ、ポコッという音が小気味よく響きます。

歩く音、吐く息、おしゃべりの声、日頃の憂い、全てが白いガスに溶けていくようです。いつもは寂しい下山の時間ですが、ロケーションの良さのためか、下山路も楽しめます。 

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八方山ケルン

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最後は岩がごろごろした道を進んで、

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八方池山荘まで戻ってくると、朝は閉まっていた売店が開いていました。

ソフトクリームは300円!

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まとめ

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唐松岳の魅力

北アルプス入門の山ということで、難易度は低く、危険ヶ所もほとんどありませんでした。

それでも、行動時間長いですし、大きなおにぎり型の山は、登りはずっと登り、下りはずっと下り。足の筋肉は休まるタイミングがなく、それなりに疲労感がありました。

これで晴れていれば、絶景の稜線を歩けますが、今日のような天気でも、多品種多量のお花や、ガスに霞む山の影、と幻想的な雰囲気が楽しめます。

 

また運が良ければ雷鳥にも出会えるそうですし、高山のシンボルとも言えるケルンが一層唐松岳の雰囲気を作っています。

 

これぞ北アルプス!と周り全てが山、山、山、と山の中を歩いているという感覚が、1番の魅力ですね。

 

注意点

木道の散策路、樹林帯の土の道は雨天だと滑りやすいので注意が必要ですね。

 それから蛇紋岩も滑りますので要注意です。

それから難易度の低い山だからこそ、油断せずに装備もしっかりしないといけないと思いました。

 

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唐松岳、次来るときはどんな姿を見せてくれるのか、何度も訪れたくなる山でした。

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また来るよ~。

 

ゴールデンウィークにテント泊で行ってきました↓

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