登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

パタゴニア

木曽駒ヶ岳 巻き道と巡礼登山 テント泊 8月

木曽駒ヶ岳 テント泊 8月

 

2017年8月17日(木)~19日(土)

 

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先日のジャンダルムから下山し、そのまま富山へ。

ビジネスホテルのコインランドリーで山の服を洗濯し、剣岳へ!

 

 

 

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の、はずが。

天気予報は、雨、雨、雨。

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東日本は不安定な天気が続いているようで、他に行けそうな山を探します。

 

そうだ!木曽駒へ行こう!

 

というわけで木曽駒に行ってきました。

年間パスポートも持っているし、剣5泊分の装備もあります。

 

8/15、夜。

菅の台バスセンター駐車場着。こまくさの湯で汗を流す。

そして車中泊。シートがフラットにならないので背中が痛い。

 

8/16、早朝起床。

外は強い雨。天気予報を見ると一日強い雨。木曽駒ヶ岳もガスに包まれています。

バス停もいつもなら行列なのに閑古鳥が鳴いています。

う~ん・・・。ジャンダルムの疲れもあるしなぁ・・・。

とりあえず、こまくさの湯へ。

食堂でソースかつ丼を食す。

その後休憩室でお昼寝。

夕方、また風呂へ。

そして休憩室へ。パートナーとも、もはや話すネタがない。

21:00閉店なので車へ。

そして車中泊。背中と腰が痛い。

幸い涼しいので、寝苦しくはない。

 

8/17、5:00起床

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この日はバスの始発が6:15。すでに行列ができています。

行列の待ち時間に、夏期のみ設置される登山届のポストへ提出。

もちろん普段通り千畳敷でも提出できます。

 

急いで支度し、臨時バスの2便目に乗車。

ロープウェイで千畳敷へ。

 

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外へ出ると・・・

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やった~!

相変わらずの景観です。お花畑も先月より増えています。

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二晩の車中泊で背中がガチガチになったし、「こまくさの湯」の店員さんから怪しまれながらこの日を待った甲斐がありました。

 

会社の上司のもらったテント内用のお気に入りのソーラー発電のライトは、夏休みの連日登山でも活躍してくれます。こんなふうに雨蓋の上で充電します。

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おもしろルートの紹介

千畳敷から乗越浄土(八丁坂)

今回は宝剣山荘のお姉さんが取材を受けた、ランドネ9月号の『神様百名山を旅する』という連載記事に影響され、木曽駒のお社もいろいろ巡礼してみようと思います。

まずはロープウェーの安全を祈願するために祭られている信州駒ヶ岳神社。

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すると、偶然宝剣山荘のお姉さんがいました!

背負子には大量の荷物が。これから歩荷するんだそうです。

嵩がありすぎて括りきれなかったトイレットペーパーは、イケメンのお兄さんが下りてきて歩荷します。

先週はとてもお客さんが多かったそうで、23日のヘリの荷上げまでにいろいろと不足するものがあるそうです。

 

すごいなぁ。かっこいいなぁ。

八丁坂をお姉さんに着いていきますが、ぜんぜん追いつけません。

休むことなく、一定の速度で登り続けています。

 

涸沢ヒュッテの山口さんといい、本物の山の人は全然違うんですね。

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こういった姿を見ると、山荘のトイレットペーパーも無駄に出来ないなぁと思います。

それに、私はいつもテン泊なので、もっと何か宝剣山荘や頂上山荘に貢献しなければと思います。

 

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小屋のスタッフさんは「お客さんが楽しく安全に登ってくれるのが一番嬉しい」といつも言って下さいます。

私たち登山者にとっても、山荘がある安心感や、登山道の整備まで。だからこそ、楽しく山に登れるんですよね。

私たちにとって、山荘の存在は無くてはならないものですよね。

 木曽駒の平和と未来を守るため、さぁ、ガンガン登ります!

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ベニヒカゲとの出会い

途中、私の汗と涙の染み込んだザックのベルトに蝶がとまりました。

ベニヒカゲという準絶滅危惧種のちょうちょです。

ブローチのようにくっ付いたまま全然逃げない。

「仕方ないなぁ。」一緒に登ってあげます。

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いつも宝剣岳を見上げるオットセイ岩。

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振り返ると天然広角!

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もう雪は無くなって、歩きやすい。

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お花もたくさん咲いています。

 

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冬はガチガチで怖かったポイントが見えます。

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空は抜けるように青く、雲は躊躇いながら、天頂の所々に浮いています。

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乗越浄土に到着です。 f:id:chi-sk8:20170824175526j:plain

 

牧歌的な雰囲気の稜線が魅力の伊那前岳

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天空を突き刺す宝剣岳

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中央アルプスの主峰、木曽駒ヶ岳と前衛峰の中岳。

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赤い屋根がかわいい天狗山荘と。

 

その完璧なロケーションのど真ん中に位置する家庭的な雰囲気の宝剣山荘。

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宝剣山荘で力持ちのお兄さんにご挨拶します。

下界は臨時バスが出ているとお伝えしたら、気合を入れていました。

 

ドコモのアンテナでさえ青空に映え、陶器でできたアートピースのようです。

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さぁ、ここからが今回のテーマ、いつもと違うルートの紹介です。

良く知られているのは、八丁坂~中岳~木曽駒ヶ岳のルートです。

もっと違った景色のルートがありますので、何度来ても楽しめるのが木曽駒ヶ岳。

 

乗越浄土~中岳巻道

中岳は木曽駒と宝剣岳と伊那前岳が見渡せて、とても素敵な場所なのですが、今日は巻道を紹介します。

 

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この巻道は、通称「夏道」と言うらしいです。

ケルンのある分岐を左に進みます。

 

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所要時間は中岳を超えるより5分ほど短いです。

 「難所あり 積雪期閉鎖」の表示があります。

 

途中、崖をトラバースしますので、ちょっと危険なルートになります。

特に天候が悪いと、ガスで視界不良になり、踏み外して滑落してしまったり、谷から強風が吹きますので、バランスを崩して滑落してしまうので、要注意です。

 

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落ちたら最低でもヒドイ目に会うでしょう(怖)

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重いテン泊装備だとアップダウンが少ないので楽なのですが、バランスを崩さないように進みます。

 

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足場が狭い。

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軽く登ったり

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下ったり

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木曽方面も晴れ渡っています。

青空は稜線ギリギリで薄く煙っています。

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途中から振り返ると、地獄谷が見えます。ずっと眺めていると、このゴツゴツした山肌に流れてきたガスが当たって、岩の凹みに所々ガスが散り散りに残ります。

刻々と変化するこの景色が好きです。

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水玉のついたお花

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もうちょい

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あっという間に頂上山荘。

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テントはまだ少なく、いつものお気に入りの場所に設営できました。

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目印のタルチョを張ったら、頂上山荘でおでんとモツ煮をいただきます。

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生ビールも注文できますので、天気の良い日は外のドラム缶のテーブルで飲み食いするのもいいですね♪

 

頂上山荘のお兄さんに夏道のことをお聞きしたら、頂上山荘から宝剣山荘へ戻る方が怖くないそうです。

 

頂上山荘~西駒方面分岐

頂上山荘から木曽駒に直登するのではなく、右に迂回します。

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馬の背や、遭難記念碑、将棊ノ頭方面の分岐まで15分程。

普段見えない伊那前の稜線を右手に見て、眼下に頂上山荘のテン場を見下ろしながら、ゆっくりお散歩コースです。

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ここは宮田村のシンボル「コマウスユキソウ」が咲いています。

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世界でもこの近辺にしか咲かない、モコモコした小さく可愛らしい花です。

人も少ないので、前後を気にせずゆっくりお花を見たり、写真を取ったりできるのも巻道の魅力ですね。

 

 

西駒方面分岐~木曽駒頂上

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今度は分岐を左に頂上に向かいます。

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所要時間は20分程

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道はゴツゴツしていますが、急登ではないのでキツくありません。

 

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ここでもお花を見つけながら

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最後の岩場を超えて、

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登頂です。

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北アからそのままこちらに来ましたが、今回のようなのんびりコースなので、全然疲れることもなく登ることができました。

 

さて、今回は巡礼登山でもありますので、お社へ

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木曽駒頂上~頂上木曽小屋巻道~頂上山荘

さて、下山は頂上木曽小屋を経由した巻道で戻ります。

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所要時間は25分程でしょうか。

 

 

ここの魅力は、8月中旬でも運が良ければ高山植物の女王「コマクサ」が見られることです。

 

荒涼とした岩礫に咲くピンクの小花。

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もう枯れかかっていますが、5月から7月に見頃を迎えます。

 

この道も鼻歌でも歌いながら歩けるような心地よさ。

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そんな雰囲気に惑わされないよう、ここも落石注意です。

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慎重かつ迅速に通り抜けます。

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テン場に帰ってきました。

 

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普段と違う景色も見れますし、アップダウンも少なくて、新鮮な気持ちで楽しく登れました。

 

まとめ

夏道は崖のトラバースなので危険です。

他のルートも緩めではありますが、ここは登山道。十分気を付けなければいけません。

ガスって滑落したり、逆に広い道は視界不良になると方向を見失いやすいので注意です。

 

その後・・・

翌日8/18。一日雨のため、潔くもう一泊することにしました。

 

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カッパを着て下山することもできたのですが、夏休みももうすぐ終わってしまいます。

なので少しでも長く山にいたいな、と思いました。

 

雨の中、テントを担いで登ってくる人もそれなりにいます。

 

 

することがないと、ひたすらおやつを食べ、お昼寝、の繰り返しです。

 

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テントに当たる雨粒の音。

ベンチレーターから入ってくるガスはテント内を濡らします。

 

テント内の結露や雨の浸水はパックタオルで拭きます。

速乾で吸水性がすごいので、雨のテント泊や厳冬期の結露拭きに便利です。

 

 

 

テントとフライの間に迷い込んだハナアブも、一緒に雨宿りします。

 暇だ。

でもこれが山にいるということ。

五感で楽しみます。

 

時折雷が鳴ります。

ピカッと光ったら、1、2、3、4、ゴロゴロー。

まだ遠い。大丈夫。

自然の都合でしか人間は動けないんだなぁ、なんて考えていたら夜がやってきました。

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8/19 早朝。そっとシュラフを抜け出し、一昨日の西駒方面分岐の道に。

雲の向こうから朝日が透けています。。

まだ晴れていないガスの中の登山道はふわふわ明るくて、この時間帯もなかなか良いなと思います。

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風が強くなり、ガスの流れが見えるようになると、そろそろかな?

夜明けの頃、天候が回復する瞬間が好きです。

まさに雲散霧消。

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一気にガスが捌けると、ハイマツの緑、花崗岩の灰色、青い空が目に飛び込んできました。

 まるで濁った憂いが溶けて流れ去るようです。

今年の夏休みもずっと山にいられたことを感謝して、下山します。

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中岳経由で、お社に立ち寄ります。

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 下界は晴れている様子。

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すると千畳敷から宝剣山荘のお姉さんと力持ちのお兄さんが、歩荷で登ってきます。

ご挨拶すると、昨夜怪我をしてしまった登山者を送ってきたそうです。

救助要請にならずよかったと安心された表情でした。

 

それにしても、一晩怪我人に付き添い、下山に付き添い、帰りはまた歩荷!

頂上山荘のお兄さんも朝一で歩荷。さらに「もう一回行かなきゃ」と爽やかな笑顔。

小屋のスタッフさんは本当に凄い!

 私も頑張らなきゃ、といつも元気をもらいます。

 

 

お花も満開。今日もたくさんの登山者がいます。

帰りたくないなぁ。

笑顔と寂しさが交差する千畳敷。

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来てよかった! 

おいでなんしょ、木曽駒ヶ岳。

 

 

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ジャンダルム 難易度 奥穂からピストン

ジャンダルムの登山ルート

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ジャンダルム


 

上高地から涸沢を経て奥穂高岳まで

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いよいよジャンダルムへ
ジャンダルムとはジャンダルムは北アルプス穂高連峰・奥穂高岳の西南西にあるドーム型の岩峰。
標高は3163m。頂には素敵なオブジェが待っています。
西穂高岳から奥穂高岳の縦走ルートの途中に位置し、国内登山ルートでは最難関。
特に、今回アプローチする奥穂高側からのルートには、「馬の背」、「ロバの耳」
と名付られた瘦せ尾根の難所が続きます。

 

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ジャンダルム ルートマップ

「山」を始めて、何度も訪れた上高地。穂高連峰や霞沢岳、焼岳に囲まれた、キラキラした渓谷美はもちろん、梓川の水の流れと、それを縁取る明るい林や、遊歩道の傍らの草花も、訪れるたびに親しみを感じます。

そしてそこからアプローチする穂高の峰々の頂に立ってみても、上高地に入ったときとと同じように、なんとも穏やかな気持ちにさせてくれます。

今回は、これまでのような、ワクワクする期待はというよりも、「緊張」と「希望」という相反する感覚をモチベーションに、ここ奥穂高岳頂上にやってきました。
これから向かう「ジャンダルム」という名前の響きににある、人を寄せ付けない厳かな雰囲気の山頂では、どのような気持ちになるのでしょうか。

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ジャンダルムをやると決めてから、毎晩ジョギングをし、通勤は自転車に変更。

行く山選びでは岩稜歩きの練習ができるところを選んできました。実際に自分の目で見てみないことには、やれるかどうかわかりません。

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「ダメなら撤退」と何度も自分に言い聞かせます。

リミッターを振り切ってしまったら、実力以上の山に登ってしまいかねないから。

怖がる気持ちは事故のサインです。

でもそれを乗り越えなければ、ずっと登れないまま。そのボーダーラインを見失わないようにしなければ。

隣で呑気に謎のメロディーの鼻歌を歌っているパートナーにも集中するよう言って聞かせます(苦笑)

奥穂山頂からジャンダルムへの稜線を望むと、今まで見たこともないようなナイフリッジが空の上を走っています。

まわりにいた登山者も「凄いねぇ」、「あんなとこ行ったら死んじゃうな」と言いながら写真を撮っています。

 

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「いや、これから私行くんですけど(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル ・・・」と、心の中で呟き、

 

ジ、ジャンダルム、・・・い、いざゆかん!

とぅ!

 

馬の背

スタートしてすぐが馬の背です。すでに核心部と言える地球の皺の折り目を進みます。

先を見ても、〇印はありますが、どこがルートなのか全く判別できません。

落ち着いて、足を置ける場所を探します。

大丈夫、一応ルートはある。

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その高度感から、気持ちまでフワフワしてきて、まるで雲の上を歩いているような錯覚に陥ります。

天気も良く、見晴らしがあるぶん、切れ落ちた谷底まで良く見えてしまいます。

でも足場は思ったよりは幅があります。

足の置き場は自然と「ここしかない」となるので、迷うことは少ないです。

それでも落ちたら最低でも重症以上です(怖)

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途中、足の横幅分もないステップをトラバースする所があります。手足が短いのでかなり緊張しました。

ここは、天辺をそのまま歩く方が良かったかもしれません。

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緊張でものすごく喉が乾きます。

 

実は基部に20mほどの迂回ルートがあるらしいのですが、奥穂側からは取付きが見えなかったし、せっかくここを歩きに来たのでこのまま進みます。

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馬の背は一般的には西穂側から登った方が楽と言われています。

今回は逆なので、ここを下っていきます。

三点確保をしっかり意識しながら、バックステップで一歩一歩。

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時間がかかりますが、焦らず。

掴んだホールドが浮いている箇所もあるので、確認しながら進みます。

 

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これがバコッと外れてしまったらTHE ENDです。

前からも後ろからも誰も来ませんでしたので、変なプレッシャーはありませんが、常に緊張です。

 

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時々、これから目指す岩のドームを見ては、「あそこに行くんだ」と気持ちを奮い立たせる。

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お尻を着いて降りると安全な箇所もあるので、ザックを岩に引っ掛けないように、ショルダーストラップを締めます。

今回使用したアタックザックはモンベルの「バランスライト20」というもでる。

他にもっと軽量でコンパクトなものもあるのですが、岩場の通過がありますし、入れる装備もそこそこ多いので耐久性のあるこのモデルにしました。

バランスライトは背中のパッドを取り外すことができるので、それなりにコンパクトに折り畳めます。

パッドは取り外したら、そのままビバーク用のマット(座るとき用)にもなります。

一本締めのストラップも開閉が早いのでおすすめです。

 

落石の巣!ガレ場の下降

  ナイフリッジを過ぎるとガレ場の下降です。

一歩目がいきなり浮石で、まったく気を緩める隙をくれません。

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二歩目を置いたところもまた浮石で、動悸が早くなります。

すると後続のパートナの「ヤバイ」の声が。

見ると浮石を踏んで、岩が足の下でずれて飛び出しています。

すぐに石を押し込んで事無きを得ました。

 「ふぅ」とため息をつき、額に冷汗が流れるのがわかります。というか、冷や汗だの、ドーパーミンだのエンドルフィンだの、脳は、今を生物的な緊急事態と感じているようです。

 

引き続き、足の置き場を探しながら慎重に。

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まるでここ一帯が浮石でできた塊のような崖。

ホールドもグラつくので、いきなり無理なストレスをかけないように、そっと確認する。

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ここで落石してしまって下に人がいたら、大変です。

 

鞍部に着いても、今度は後続からの落石の危険性があるので、直下には留まらず、ロバの耳側に寄って水分補給します。

緊張で本当に喉が渇くので、思ったより水分の消費が激しい。

 

 

ロバの耳

ロバの耳は逆層スラブのクサリ場を右斜め上に登っていきます。 

 

落石発生!!

先ほど降りてきたガレ場の崖から「ラーク」の声が響くと同時に、ガラガラガラ、パカンパカーン、と落石が発生。

見ると上の男性が落としてしまったようです、すぐ下には登山者の姿があります。

しかもヘルメットも被っていません。

下の登山者は走って崖を下り逃げます。

両腕を広げたよりも大きな岩が転がり落ち、さらに大小様々な岩を巻き込み、砕き、崩しながら、絨毯爆撃のように男性に迫ります。

私たちも「ラーク、逃げろ」と叫びながら、壁に張り付いたまま動くことができません。

岩が迫り、「あぁ、あの人死んじゃう!」と思いました。

次の瞬間、男性はなんとか壁の窪みに張り付き、岩を避けることができました。

 

こんな現場に遭遇するなんて。

でも進まなければ。ミシンを踏むように震える足、力の抜けた身体に、なんとか気を入し直します。

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まだ動悸が止まらない。深呼吸。 

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手足の短さで、ホールドやステップが届かず、苦戦しますが、あれこれムーブを意識してクリア。

ボルダリングの動きが意外と役立ちました。

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ステップも場所によっては爪先で乗り込みます。

底の固い靴で良かったと思いました。

もっと岩登り向けのシャンクの固い靴もありますが、爪先の「クライミングゾーン」と言われるところが狭く、靴底のクッション性もありませんので、上高地からのアプローチの長さを考えると、今回のモデルでも快適ですし、私には十分なスペックです。

今度は高度感のある絶壁をトラバースします。

いつもは頭の中で「だいたこの辺りにいるな」と地図が浮かぶのですが、大まかなポイントはわかっても、時間の経過と進んだ距離が予想できません。

 

先ほどの落石で、ちょっとした岩の音、人の声にも敏感になってしまいます。

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このようなサイドのホールドは力が逃げやすいので緊張します。

足をしっかりきめて。

 

こういった、ちょっとしたテラスでさえ安心ゾーンに感じますが、一般登山道では核心部扱いですね。麻痺しています。

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鞍部からジャンダルムへ

一枚岩のクサリを通過して、岩屑の道を進むと、ついにジャンダルムの取付きに差し掛かります。

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ここで小休止。

ずっと前の方を進んでいたパーティと笑顔でご挨拶。

人がいるだけで、ホッとします。 

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お聞きすると、パパさん、ママさん、お兄ちゃん、みんな山LoverのGABOさんファミリー。

この先は「邪魔はしませんので」と後ろを着いていくお願いをしたら、快く「一緒に行きましょう」と言っていただけました。

  

北壁には残置スリングがありました。

でも直登する勇気はないので、狭いトラバースを西穂側に周り込みます。

最後まで気が抜けませんが、景色を見る余裕が出てきました。

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ここからはどこを登っても山頂に辿り着きますが、先ほどの落石の恐怖が拭えないので、○印を探しながら。

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集中。

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とにかく浮石を踏まないように慎重に。

 

「もうちょい!ガンバ!」と、パパさんの応援にどれだけ勇気づけられたことか。

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そして、ついに・・・・。

 

山頂で待っていたもの

登頂です。

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はぁ~、緊張した~。

「生きてるよね?」

 

なんて見晴らしがいいんだろう。

下界は全て雲の下に隠れています。

雪の香りがする雲表のそよ風が頬を撫でて通り過ぎます。

進んできた天空の道を振り返る。

その向こうに奥穂高から北穂高、槍ヶ岳。

奥穂の向こうには吊尾根から前穂高。

反対は独標から西穂。そして焼岳、笠ヶ岳。

北アルプスのオールスターが見渡せる大パノラマが広がります。

 

正式にはジャンダルムは山には数えられないのですが、標高は槍ヶ岳に次ぐ高さです。

見渡すと、まるで実寸大の地図を見ているようです。

 

山頂にはずっと会いたかった天使が待っていました。

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本当に緊張した~。

今まで登ったどの山よりも。

そして、これまでの山ともう一つ違うのは、戻るのも怖いということ。

 

登頂の喜びはまだ50%です。

無事に帰らなければ。

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ジャンダルムの下山ルート

帰りもGABOさんファミリーとご一緒させていただきます。

来た道を戻りますが、戻ったところが本当のゴールです。

安全に帰らなければ。

 

 

基部の鞍部まで

 

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みんなの力量(主にぽんこつな私のペース)にあわせたルートを探し先頭を行くお兄ちゃん。

 全く怖がらず自ら実験台となり危険ヶ所を後続に伝えるママさん。

終始冗談で雰囲気を明るくして、要所要所で私にホールドを教えてくれたり、先頭に指令を出すパパさん。

チームワークの良さに、パーティで登るのもなかなか良いものだなと思いました。

  

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ロバの耳

 

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こういうところは思い切って両手でクサリを掴み、腰を落としてベタ足で。

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緊張の瞬間!落石の巣を通過

 

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落石の巣。一番慎重になった箇所かもしれません。

上から石が落ちてこないよう、そして自分も落とさないよう。

できれば上から誰も来ませんように、できることなら後ろに誰もきませんように、祈りながら登っていきます。

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ナイフリッジから馬の背を登る

下界の気温が高いのでしょうか、徐々にガスに包まれます。白いモヤの向こうに、馬の背の不気味な影が浮かび上がります。

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 やはり登りの方が幾分か安心です。

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「↑ウマノセ」の文字、緊張します。 

 

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爪先で乗り込むことが多い。

 

奥穂も見えた。

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先行のアドバイスに助けられながら。

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前向きに手を着いたり、バックステップになったり、自分に一番合った方法で一つひとつの岩を越えていきます。

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馬の背をクリアすると、出発してからやっと一息つけられら気がします。

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奥穂に到着。

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一緒に登って頂いたおかげで、来たときより安心して、そして楽しく進むことができました。

本当ありがとうございます、GABOさんファミリー!

この後も、色々な山でお会いする度に、テントのペグをお借りしたり、モバイルバッテリーをお借りしたり、貴重な食事を御馳走になったり、毎度お世話になっています。

みんなでジャンダルムポーズ。

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無事に奥穂に戻ってきてここでやっと100%の達成感が。

みんなでハイタッチ。

こんなに嬉しい山行になるとは思いませんでした。

  

花に虫がとまっている、そんな場面を見るだけで、はぁ、生きてるなぁと感じます。

一年のほとんどを雪に閉ざされるこの山の、ほんの一時の短い夏だけわざわざ咲く花は本当にきれいですね。

奥穂に戻ってきた私たちも、花と同じ。咲くばかり。

明日がどうとかこうとか、今は知るものか。

みんなジャンダルムに登ったんだ!

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これまで登ったどの山よりも、知らない人同士に、結束感、団結感があります。

自己紹介してない人同士もお互い顔を覚えていて、お互いに喜びを分かち合っています。

剱岳でもこんな場面はありませんでした。

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油断ならぬ穂高岳山荘への下り

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こんな急勾配登ったのかと、かなり高度感があります。

まだまだ油断は禁物です。

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今まで岩をよじ登っていたので、まっすぐなハシゴに、違和感。

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ジャンダルム 参考コースタイム

奥穂岳出発7:10~ジャンダルム到着9:00  1時間50分

ジャンダルム出発9:20~奥穂高岳到着11:10  1時間50分

コースタイムはあくまで参考です

渋滞や、核心部の通過で、他の山と同じタイムでは登れないと思っておいたほうが良いでしょう。私の力量不足もありますが、このルートに限っては、山と高原地図のタイムは全くアテになりませんでした。

余裕も持った計画が必要です。

 

ジャンダルム登山のポイント

浮石に注意すること

とにかく浮石だらけでした。自分も落とさない、他人からの落石にも細心の注意が必要です。

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体力と気合!?

こんなことを言うと「技術や経験は?」と語弊がありますが、基本は体力と気合です。

涸沢から奥穂経由でジャンダルムのピストンだと、休憩を入れて行動時間は10時間になりました。

ルートは全てが核心です。一時も気が抜けません。安心できる鞍部はたったの2箇所。

難易度ばかりが目立つルートですが、集中して歩き続けられる体力は必要ですね。

事前にランニングや筋トレをしておいて良かったと思いました。 

難易度は剱岳もほぼ同じ。個人的な感想では、剱や大キレットの方が怖くなかったように感じます。きっと鎖の有無や、人の多さで、感じ方が分かれるのだと思います。

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ザイテングラートの魔

 

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穂高岳山荘で水を補給します。

1リットル200円。

500ミリリットル100円。

私のナルゲンボトルは丁度1リットルなので200円入れます。

ナルゲンボトルは容量のメモリが付いているので、メスティンで炊飯するときにも便利ですし、広口のボトルは行動食を入れることもできます。

なんだかんだ広口のシンプルなボトルが1番使いやすいですね。

ペットボトルやプラティバスは外圧で破裂してしまうと悲惨なので、ナルゲンボトルがおすすめです。

今シーズンは脱水で行動不能になった例もあったようですので要注意です。

涸沢の常駐隊基地でもアミノバイタルの粉末を配布していました。

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やはり疲労が蓄積しているのか、膝の上の筋肉、名付けて「ブレーキ筋」がパンプしかかっています。

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ザイテンで事故が多い理由の一つは疲労と油断なのではないかなと思いました。

疲労で滑落。

登頂の達成感から油断してルートを間違える。

浮石を踏んで滑落。

落石に巻き込まれる。

ポールを使ってしまい、体重をかけた岩が浮石・・・などなど、

色々な図式が想像できます。
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慎重に。

歩く速度で流れ去る、歩幅通りの風景を楽しみます。

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アタックの装備について

ジャンダルムに登る装備は、基本的な登山装備と変わりません。

追加であれこれ持つよりも軽量化した方が、安全だと思いました。

もちろん、ツェルトや救急セット、行動食は減らしてはいけません。

特に、緊張で喉が渇くので水分はいつもよりかなり多く必要になりました

ヘルメットは絶対に必要です。

しつこいようですが、装備の力で登れるという山ではなく、経験・体力・気合が必要だなと強く感じました。

それからテント泊の場合は、軽量化で体力を温存するのではなく、「睡眠でいかに体力を回復できるか」、流行りの軽量化に走らず、基本的な装備が良いと思います。

どうせ長時間歩けば軽量化してもバテますので。

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まとめ

 約10時間程の長い山行だったけど、振り返ればあっという間でした。

時には息を飲み、時には感嘆の声を上げ、ひたすら攀じ登ることだけを考えていました。

人との出会いに助けられたし、自分の課題がわかった良い経験となりました。

テントで夕食を終えたものの、興奮からか目が冴えて、なかなか寝付けません。

色とりどりのテントの灯りも消えた頃、そっとシュラフを抜け出し外に出てみます。

濃紺の夜空に、漆黒の穂高連峰が浮かび上がり、山から吹き降ろすガスは湿って寒く、数時間前に登ったあそこから吹いているのかなと考えると、何故か懐かしい匂いがしました。

「登れて良かった。」というパートナーの一言が印象的でした。

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 刺激的なジャンダルム・・・癖になります!

 

下山後、その足で一路富山へ。

剱をやるはずが・・・

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奥穂高岳 登山の難易度と4つのポイント

奥穂高岳 テント泊 登山 8月
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今回は、登山者憧れの穂高連峰、奥穂高岳からジャンダルムをピストンする計画です。
一昨日、涸沢に到着しテント泊。昨日アタックの予定でしたが、天気が微妙でしたので、のんびり停滞しました。
涸沢の様子はこちら↓
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そしていよいよ・・・。

奥穂高岳 登山ルート


涸沢から奥穂高への一般的な登山ルートは、ザイテングラートの岩尾根を登って、白出乗越に出ます。
その後穂高岳山荘を通過し、登頂となります。
白出乗越まで2時間、さらに山頂まで1時間の合計3時間で、涸沢からは短いコースですが、岩場歩きと、涸沢までのアプローチでの疲労蓄積等、危険要素もたくさんあります。
記事後半に注意箇所に触れていますので参考にしてください。奥穂高岳は、富士山、南アの北岳に次ぐ日本第三位の標高で、北アルプスでは一番の標高です。
標高は3190mです。


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奥穂高岳 ルートマップ


早朝3:00起床。
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いつもそうするように、キーホルダー型の温度計で確認すると、気温は10℃程。この時期としては平均的な気温です。

Tシャツ、ユニクロのステテコという、家でリラックスしているときと同じ格好に、
シュラフはmont-bellのバロウバッグ♯3。

日付が変わる頃から寒くなり「薄着すぎたかな」と微睡の中で後悔します。
シュラフを出て着るものを追加するのも面倒だなと、しばらくモゾモゾしながら悩みましたが、
隣のパートナーも寒さに耐えかねたらしくインサレーションを着込んでいます。
私もあきらめて途中でパタゴニアのマイクロパフを着込みました。

おかげでその後は快適に眠れましたが、足元の寒さが増したことに、朝の気配を感じるのは、テント泊ならではの感覚です。

まわりのテントからも、静かにジッパーを開けるジーっという音やビニール袋のガサゴソという音聞こえ始め、
私も鳴る前のスマホのアラームを解除します。
外に出るのは寒くて嫌だな、という小学生の頃の毎朝の葛藤を思い出しながら、
気合を入れてシュラフから飛び出し、行動着に着替えます。

暗いなかヘッデンの明かりを頼りに涸沢ヒュッテのテン泊者用トイレに向かうと、同じく亡霊のように暗闇を往来する登山者とすれ違います。
用を足したら、昨夜準備しておいたアタックザックを背負い、出発です。
朝食は行動食で済ませる予定で、まずは歩き出しの分のエネルギーを、コンビニのレジ横で買った小さな羊羹で補給します。
さて、

奥穂高岳、いざゆかん!
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アタックザックの中身

ちなみにアタックザックの中身は、
カッパ
ツェルト
マイクロパフ(化繊の薄手のインサレーション)
救急セット
水1リットル(穂高岳山荘で追加補給します)
無線
GPS
ヘッデン
120センチスリング2本
カラビナ2枚
行動食多め
など。

今回は念には念を入れて、穂高岳山荘でツェルト泊になっても良いよう、慎重な装備になりました。

涸沢テント場~ザイテン取付

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ルートは奥穂に向かってカールを右に巻き、テン場から涸沢小屋を経由します。
左回りのパノラマコースもあるのですが、雪渓のトラバースは早朝は凍っていることが多く、軽アイゼンを履くのも面倒だったので、こちらから。

ヘッデンはブラックダイヤモンドのギズモです。
やや光量が弱いので、現在はブラックダイヤモンドのスポットを愛用しています。

夜間の行動にも使える、そこそこの光量があり、コスパも高く、ナイトハイクでも活躍します。
ちなみにペツルのヘッデンも性能は良いのですが、同じ光量表記でも暗く感じます。
代理店の方に聞いたところ、ペツルの表記の方が正しいから控えめなのだとか・・・。
同じルーメン数でもブラックダイヤモンドの方が明るく感じます。
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辺りはまだまだ暗く、星の名残が散らばる空に、涸沢槍から奥穂高の稜線が黒く切り取っています。
北アルプスの真ん中で、夜明け前に歩いていることに実感がなく、自分が霧になってこの画の中に留まっているようです。
岩に描かれているはずの目印も、暗くてほとんど見えません。
離れたところに、ルートを外している人のヘッデンがチラチラ光っています。
前の人に付いていかず、自分で確認しながら進むことが大事です。
私は前日に散歩がてら下見しておいたので、ロストすることなくルート通りに登ることができました。

岩を積み上げて作った立派なテラスの涸沢小屋からは樹林ゾーンの中を抜けます。
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小さな森を抜けるここは、道がそこしかないので間違える心配がありません。

樹林ゾーンを抜けると、だだっ広い、石のゴロゴロしたところに出ます。
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よく見ると石に「○」とか「→」が書いてありますが、暗い中、ザイテンの盛り上がりの影だけを見ていると、ルートから外れてしまいます。
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他に、赤いリボンの付いた棒も。
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目印同士のの間隔が長いときは、白っぽくなった、苔の付いていない岩のところを進むと間違えにくいと思います。


ルートを外れても合流できるのですが、人が歩いていないということは、浮石が多く、捻挫したり落石の危険があります。

しばらく進んでいるうちに、段々とカール全体が明るくなってきました。
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ヒュッテの社長、山口さんに教えてもらったモルゲンロートの時間は04:55。
自分の手の平を見ると、周りの景色と同じオレンジ色。
モルゲンロートの中を歩いていることが、まだ夢の名残にいるようです。
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ザイテングラートの取付きに到着です。
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事故の頻発するルート。
ヘルメットのあご紐を締めて、靴ひものチェックと水分補給。
気を引き締めます。
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ザイテングラートの難易度

ここは、落石、滑落と、毎年事故が多く発生しています。

ハイマツの間の岩登りからスタートです。
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朝日を浴びるお花に元気をもらいます。
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ハイマツ帯を越えると、クサリのトラバース。
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下りのときは、足場が見えにくいので、登りのときに足場を覚えておくと安心です。

短いハシゴもありますが、高度感も無く難しくありません。



正直、登りではそんなに危険に感じません。そんなところが逆に油断を誘うのかもしれません。
油断して景色を楽しみすぎてルートから外れてしまい、浮石を踏んで落石、みたいな図式。

特に下山時は、疲労でふらついたり、登頂した達成感からの気の緩みもあるかもしれません。
さらに登山者が多く渋滞で時間が押して焦ってしまったり、天候が悪化してしまえば難易度が上がってしまいますね。


最後は草付きの緩い斜面を登ります。
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自分が空に近づいているような錯覚。
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見えた!涸沢に来る度にちょこんと見えていた建物。
下から見上げていたときは小さなマッチ箱のように見えていたのに、
立派な建物です。
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穂高岳山荘に到着です!
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穂高岳山荘~奥穂高岳

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すぐに二つハシゴが現れます。
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50メートル程を垂直に登りますので高度感があります。
山荘に宿泊したお客さんがご来光を見て下山してくる時間と重なってしまい、渋滞になります。
お互い声を掛け合って、譲り合って進みます。


この後右に巻くクサリが2箇所あります。
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前後に人がいると、ちょっと緊張します。
足さばきが崩れないように三転確保を意識します。


その後も浮石に注意しながら緩い稜線を登ります。
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錆びたピッケルの道標
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「標高3190m。北アの主峰。」
日本第三位、祠の上は第二位の標高。

「目指す頂はもうすぐだ。」そう思うと、登り切ってしまうことに寂しさを覚えます。
一歩一歩をしっかり感じながら、大切に登ります。
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ジャンダルムが見えました。
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ブロッケン現象も。
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そしてついに・・・!
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山頂です。
嬉しいというより、ほっとします。
達成感というより、日常生活の結果の一つのような感覚。
何故か特別な感じがしません。
不思議な気持ちです。
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下界では「あぁ、もう全部嫌だなぁ」と思いながら働いて、厭世的になることもあります。
そんなときは、「山のため!」と思い頑張っています。
でも、「山のため」なんて、楽しみのために嫌なことを頑張るのはきっと間違いでなんですね。
純粋に100%山を楽しみたいと思いました。
じゃないと下界が嫌になってしまうから。
私のは無責任な借り物の哲学で、「○○のために頑張ろう」というのは、「家族のため」とか「好きな人のため」って方が正しいんじゃないかなと思います。
だから登頂したのに、いつもと違う感覚なのかもしれません。
こういう考え方ができたのは、今回の山行の収穫です。


山頂ではみんなが笑顔。
写真を撮る人。
おにぎりを食べている人。

標高3000メートルを超える過酷な環境なのに、時間はゆっくり流れ、
訪れた人、一人ひとりの頂があるように見えました。
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奥穂高岳 安全登山のポイント

ポイント① ゆっくり登ること


理由は、浮石を確認しながら登ることと、急いで岩に無理な力が加わると動いてしまうからです。
いずれも落石を起こさないためです。
ルートも丁寧に確認しながら登らなければ、外れて滑落になるケースが多いようです。
なのでガシガシ登らず、ゆっくり、ゆっくり。

周囲の音や、自分の前後の登山者との距離に敏感になります。
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ポイント② トレッキングポールは使わない

トレッキングポールは使ってもザイテンの取付きまでです。
昨年秋は、浮石にポールを着いた方がバランスを崩し滑落してしまいまいました。
滑落後、怪我により行動不能となり、低体温症で亡くなってしまいました。
警備隊の基地でもポールを使わないよう呼びかけています。
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ポイント③ ヘルメットの着用

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滑落、落石の危険を考えれば、絶対必要です。
私はこの後、ジャンダルムで恐怖の現場を目の当たりにしました。
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昨日もザイテンから滑落がありました。
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遭難者のヘルメットの状況。
後頭部からばっくり割れ、滑落の衝撃がわかりますね。
このヘルメットの持ち主は手足に怪我を負ったものの、頭部に深刻な損傷は無かったそうです。
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※長野県警HPより

chi-sk8.hatenablog.com

ヘルメットは必須です。

ポイント④ 行列

頂上直下は、行列が出来ていました。
登る人、降りる人で声を掛け合っています。
日陰で待ち時間ができるため、汗が冷えて寒くなります。
ソフトシェルを着ておいて正解でした。
こういった渋滞でロスする時間も考慮して、余裕をもった計画が必要です。




この後は、なんと!このままジャンダルム編につづきます!
chi-sk8.hatenablog.com

奥穂高岳 登山 涸沢までのアプローチ編

* 奥穂高 テント泊登山【Day1】

涸沢カール

8月11日

梅雨明けになると、夏山ならではの、真っ青の青空と岩肌のコントラストを思い浮かべ、
ひんやりした心地よい風を受けながら、山で過ごすことに憧憬を抱きます。
梅雨の合間を縫っては、夏山に身体を慣らすため、ハードな日帰りロングルートを登り、
この日を迎えました。

今回は目指すのは、登山者が憧れる穂高連峰、奥穂高岳。
山行一日目の今日は、明るい渓谷美の上高地を抜け、ベースキャンプとなる涸沢カールまで進みます。

奥穂高岳 地図

8月10日
仕事を終え、(いや、終える前から頭の中は山で一杯なのですが)一路上高地へ。

車中泊のポイント

深夜、毎度お馴染みの沢渡駐車場に到着しました。
この時期の沢渡は、夜間は結構涼しいのですが、それでも車の窓を開けておいた方が快適です。
車の窓周りに虫除けスプレーをして、ドアの上半分に被せるタイプの簡易的な網戸を取り付けます。
早朝4時30分、駐車場内のあちこちから、車のドアを開閉する音が控えめに響き、ザックに取り付けたクマ避けの鈴の音が移動しています。
バスに乗るか、誰かと相乗りならタクシーでも値段は変わりません。
タクシー乗り場を見ると、数組並んでいましたので、私もタクシーに乗ることに決め、運よく相乗りで上高地に向かうことになりました。

釜トンネルが少し早く開いたため、5:05に上高地に到着。

登山届を提出したら、早朝の霞に包まれる梓川沿いの遊歩道を、野鳥の鳴き声を聞きながら、まずは横尾まで進みます。

涸沢カールまでのルートの紹介

上高地バスターミナルから横尾まで
05:30
横尾までは観光客も散策できる平坦な道を進みます。
平坦とはいっても平均タイム約3時間となります。目標は2時間。
平坦な道ほどタイムを巻くのは大変です。
涸沢ではテント設営の際、先着順で有料のコンパネを借りることができます。
いつもコンパネを確保するため、この横尾までの区間はかなりスピードを上げて歩きます。
梓川に沿って、沢のせせらぎをBGMに、心地よい風に吹かれながらのウォーミングアップとなります。

河童橋

河童橋

この時間はまだ観光客は少なく、ほとんどが登山者でした。

横尾まで、軽トラの荷台かなんかの移送サービスとか、レンタル自転車があればいいのになぁと毎回思います。
ほぼ小走り並みのスピードで歩いていると、この風光明媚な景観を楽しむよりも、合理的な考えが浮かんでしまいます。

それでも、進むにつれて、期待が膨らむこの区間が、この山域の魅力を高めているように感じます。
アプローチが長ければ長いほど、山の懐深くに入っていっているようで、胸が高鳴ります。



明神館 06:00

自販機で冷やされている炭酸飲料の誘惑に目を背け、休憩はとらずこのまま進みます。

道すがら、サルも口をモグモグさせて、朝食の時間。

徳沢園 06:40

徳澤園

いつ訪れても、明るい林に囲まれた清潔でひっそりとしたテン場ですね。
芝生の上に寝そべって、ソフトクリームを食べたり、パーコレーターで淹れたコーヒーを飲みながら読書したり、またソフトクリームを食べたり。
そんな風にここでのんびり過ごすのも素敵だなと思います。

横尾 07:40

旗が道沿いに並び、橋の下や道の脇にテントが点在しています。

横尾から先は、いよいよ登山道がはじまり、気合を入れる必要があります。
横尾にも自販機があり、手っ取り早くエネルギー補給ができるコーラで喉を潤します。



横尾から涸沢ヒュッテまで
吊り橋の上から見下ろすと、
上高地と比べ幅の狭くなった梓川が、轟轟と雪解け水を流しています。

さぁ、ここからがいよいよ登山道。

涸沢カール、いざゆかん!

本谷橋までは、極々普通の一般的な登山道です。
爪先上がりの道は、ゴリゴリと石ころを踏みしめる。


屏風岩


昨年はこのあたりに暴れん坊のサルがいて、かなり遠くからサルパンチで威嚇していたのを思い出します。

何度も通ったこの道を歩きながら、懐かしかったり、新鮮だったり。
こういう危険個所の少ない登山道では、これまでの山の記憶を振り返る道でもあります。


本谷橋 08:40

吊り橋にくると、橋の下は沢の両側が広場になっていて、休憩している人がたくさんいます。
かなりハイペースで登ってきたおかげで、肩から湯気が立ち上ります。


橋の下は日陰もあり、沢を通過して吹く風が、全身の熱気を払ってくれます。
高校生の頃、通学は自転車で、川沿いを毎日走っていました。
お気に入りの橋の下で、友達とお菓子を持ち寄って部活の帰りにおしゃべりして過ごしました。
そんな自分たちの様子みて、「ブリッジクラブ」と呼ぶようになりました。
ブリッジクラブのみんなは元気かな?


今回は1ヶ月前から、毎日ランニングとサーキットトレーニング、筋トレをして準備してきました。

そのおかげか、息切れもせず、筋肉まだまだ大丈夫そうです。

ところが本谷橋から先が結構キツイ!

下山してきたおば様は「ここからが地獄よ~、ガンバ」と、励ましなのか脅しなのかよく分からない声援をしてくれました(笑)


急登はふくらはぎがパンプしないように、がに股で踵で登ることを意識。
時には、上半身と下半身の向きをひねって横向きに歩くこと楽になります。

パートナーは朝食を抜いたせいで、シャリバテになったようで、「息も筋肉も楽なのに力が出ない」、「前に進まない」と辛そうです。

昨年は対向の人とすれ違う幅も無かったガレ場のトラバース道は、綺麗に整備されて広くなっています。

昨年の様子はコチラ。もっと詳しい記事になっています。↓

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整備してくれた関係者のみなさんに感謝しながら、頭上からの落石にも注意して素早く通り抜けます。


涸沢ヒュッテの吹き流しが見えたら、もうちょい!

の、はずなんですが、見えているゴールって遠い(泣)
動く歩道を逆から歩いているみたいに、全然進まない。


登山道沿いの沢で、もう一度顔を洗って水分を補給します。
沢の水は骨が痛む程冷たい。


さあラストスパート!
ガンバ!!


10:30 涸沢ヒュッテ、いつもよりゆっくりめの到着です。



テント設営について

今回もテントはアライテントのエアライズ3ですので、幕営スペースが限られます。



一息つきたいところですが、よい場所を探して設営します。

テント受付小屋の前のコンパネを借ります。
今晩からの快適なマイホームの基礎となるため、お金には変えられません(笑)

1泊につき1枚500円です。

受付は12時からですので、先に設営します。

目印のタルチョを張ったら、我が家の完成です。



雪渓の隣。

夜は山から雪渓を通ったガスが降りてきて、寒そうだなと思いましたが、
トイレまでの距離等考えて、いや、実際はあれこれ考えるのも面倒だったし、広いテン場を彷徨うのも億劫だったので妥協したわけです。

時間が経つにつれテントも増えてきます。

それでも混雑したテント場でさえ風景にしてしまう涸沢のロケーション。

最高だね。

今回は3泊の予定で、一日は予備日となります。

山岳警備隊の基地前の掲示板を見に行きます。
登山道の状況や、事故状況、天気予報を仕入れます。

う~ん、明日は微妙な天気。
明後日は完璧な快晴。

ということで、明日はここでのんびり過ごすことに決定。

というか早速お昼寝岩でごろん(笑)

お気に入りのソフトシェルが快適です。

涸沢テント場のポイント! コンパネは先着順で一枚500円。
受付は12時からなので先に設営。
トイレから遠いと夜中に催したときに大変です。
最新情報は山岳警備隊の基地で入手。
飲み物からお土産までなんでも揃うヒュッテでは、お弁当も注文できるのでオススメです。

 

まとめ

涸沢までのアプロ―チは、積雪期を除けば危険個所は少ないです。
天空の楽園、涸沢カールには、カールを目的に登ってくる人も多いほど人気の小屋・テン場ですので、朝はトイレが渋滞しますし、人がたくさん。マナーが?な方もいますが、来る価値は大です。


二日目「奥穂高登山編」につづく
chi-sk8.hatenablog.com

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剱沢テント泊 雷鳥とキヌガサソウ

2017年7月16日(日)

剱岳 撤退とサプライズ


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昨日は装備の重量でかなりバテバテで剱沢まで登り幕営しました。
結局剱はやれず、過剰装備を反省する課題だらけの愉快な登山となりました。
chi-sk8.hatenablog.com

翌年、登頂しました!
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剱沢キャンプ場の概要

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剱沢キャンプ場は、約200張りのテント設営が可能です。

飲用可能な水場もあり、トイレは二ヶ所設置されています。
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売店はありませんので、さらに10分ほど下った剱澤小屋まで行く必要があります。
ただし夕方18時頃には閉まってしまいます。

微妙な傾斜がありますが、整地すれば岩のゴロゴロじゃないところにテントを張ることができます。

夕方からは別山乗越から雪渓を通って吹き下ろす風が冷たく、寒いです。

気軽な登山者は少なく、静かなテン場という印象でとても気に入りました。

室堂からは3時間30分で、雷鳥坂をひたすら登りますので、装備は軽い方が良いと思いました。

管理小屋には診療所と山岳警備隊の詰所が併設されています。
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剱岳 無念の撤退

深夜3時起床。
寒くてうとうとしていたら周りのテントも同じ時間に起き出したようで、ゴソゴソ、ヒソヒソ音が聞こえます。

テントのジッパーを開け外の様子を見ると、ガスが濃く、風が強い。
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隣を見るとパートナーがいません。
もう一度外を覗くと、ヘルメットを被ったパートナーがウロウロ徘徊しています。

テントに戻ってきて、「やっぱ天気ダメっぽいね」と落ち込んでいる様子。
私も「やっぱダメっぽいね」と。

それにしてもヘルメットまで被ってやる気満々(泣く)

周りのテントもそのまま撤収しています。

雨が降る前に下山する算段なのでしょう。

私は眠かったので6時まで二度寝します。


6時、ミニクリームパンを食べ、トイレに行ったら撤収です。
ほとんどのテントがいなくなっています。
剱もガスに包まれています。
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さらに明日の天気も良くなさそうです。

強風でテントが飛ばされないよう、テントを畳む手順を工夫します。


ガスに包まれるとポツポツと雨粒が。

さぁ、今回は撤退ですが、目標が増えたと思えばよし!

剱沢から剣御前小屋まで

昨日来た道を戻ります。
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剱御前小屋までは登りです。
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傾斜は緩めなのですが、やっぱりキツい!
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剱岳を背負って雪渓を淡々と登ります。
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途中で雨が強くなりそうでしたのでシェルを羽織ります。
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今日は寒いので雪山から夏山まで使える、モンベルのサンダーパスジャケットです。
簡単な雪山から夏まで使えるシェルです。
ゴアテックスではありませんが、実感として防水透湿は抜群だと思います。
もちろんレインシェル最強はストームクルーザーでしょうけど、布地の頑丈さと、コスパはこちらの方が上だと思います。
あ、暑がりの人で、冬山は別のものを使いたい人はストームクルーザーがおすすめです。

風も強くなってきました。
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どんどん濃くなるガスが不安になります。


上空からヘリの音が聞こえますがガスで見えません。

剱岳の向こうを回ってきたようで、山肌すれすれを上昇しています。
大きな機体は「つるぎ」ですね。
事故があったようです。
命がけで救助にあたるヘリ。
私たち登山者はもっともっと気をつけなければと、気を引き締めます。
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剱御前小屋に出ると強風が!
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寒い!

唇が青くなっていると、山岳会の優しいオジサマが小屋の影に手招きしてくれました。

撤退した無念を伝えると、「今日は止めて正解」と言ってくれて、なんだか気分が晴れました。

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『後半で差をつける!』ゼリーを補給します。

剣御前小屋から雷鳥沢まで

周りはガスで真っ白です。
200メートル程下りれば視界が晴れるはずですが、しっかり地図を見ておきます。
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ザックの重さでフラつかないよう、慎重に下ります。
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所々雪の上を歩きますが、アイゼンはまだ必要ありません。
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雷鳥との出会い その一

夏道を行くと、開けたところに雷鳥が!
メスがうずくまって地面をズリズリしています。
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可愛い。

雷鳥に元気を貰ってさらに進みます。

雷鳥沢が見えてきた頃、雨粒が大きくなってきました。
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すると「ケケケ~」と泣き声がします。

雷鳥との出会い その二

雷鳥のカップルです♪
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こんなに警戒心が無いなんて。
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全然逃げません。
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「あんたたち、こんなにお人好しだから天然記念物になっちゃうんだよ!」と忠告して先に進みま。
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岩道が終わるとまた雪渓です。
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ここは長いのでアイゼンを履きます。


衣笠草 発見!

すると一際目立つ大きな白い花が!


これは!!
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衣笠草です!
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全国的にほとんど見ることが出来ない衣笠草が沢山咲いています。


剱岳は登れませんでしたが、今日はある意味ラッキーですね。

登頂できなくても他の楽しみ方があるのも山の魅力ですね。
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雪の割れ目。
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雷鳥沢に一番近いルートを下りたいので、大走側から回り込みます。

またまた雷鳥。
こんどはたくさんのヒナを連れています♪


沢を越え、浄土川の橋に出ました。
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段々天気が悪くなってきます。


雷鳥沢から室堂

雷鳥沢のテントも減ってきていますが、今日到着した登山者ともすれ違います。
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ゴールデンウィークは雪に埋まっていたトイレ。
このトイレ前の坂で何度も滑落したなぁ(苦笑)


ここからは室堂までまたまた、また登りです。
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上を見ると気持ちが折れます。

「ふんどし」ならぬザックの腰ベルトを閉め直して登ります。



ここからが色々な意味で一番しんどかったかも。

なんてことない遊歩道のようなコースなのに息が切れ切れで、太ももがプルプルします。

観光客とすれ違う時は、格好悪いので涼しい顔で(笑)

ちょっと登山のマナーを知ってる人がいると大変です。
こっちは体力の90%を使い果たしているのに、「登り優先」を守って、仲間内で「ほらほら登る人優先だから避けて待って」なんて言ってくれちゃってます。

挨拶するのも辛いのに、ずんずん登って「ありがとうございます!」と元気を装います(泣)

私のザックを見て、「あそこにはピッケルとかロープとかトイレまで入ってるんだよ。凄いねぇ。」なんて言われて。
いやいや、食べきれなかったソーセージやお菓子、それにコーラとカルピスソーダが・・・とは言えず(恥)

這う這うの体で室堂に到着しました。
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まとめ

天気が悪く、ガスが濃いと雷鳥に出会える確率が高くなりますね♪
それに露に濡れた植物たちがとても綺麗に見えます。
衣笠草を見ることが出来たのも貴重な体験でした。

何より身体を鍛え直さなければ!
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剱岳、今度こそ!

剱岳 難易度 アプローチ編

2017年7月15日(土)
剱岳 登山 剱澤までのアプローチ
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前回の宝剣岳を宝剣山荘から極楽平まで行き、さらに登り返して戻ってくるという岩場歩きのトレーニングをしました。
岩場は楽しい♪
ということで今回は、ずっと楽しみにしていた剱岳に行ってきました。
結論から言ってしまえば悪天候のため撤退だったのですが、得るものは沢山ありましたので、記事にしてみます。

宝剣岳の記事はこちら↓
chi-sk8.hatenablog.com



立山はゴールデンウィーク以来2ヶ月ぶりとなります。
夜9時に東京を出発し、一路立山へ6時間のロングドライブです。

深夜3時、立山駅に到着。
ゴールデンウィークは切符売り場に列ができていたので、到着するなりすぐに並ぶことに。
あれ?
誰もいません(汗)
車に戻るのも面倒なので、駅前でビバークすることに(苦笑)
サーマレストを敷き、ツェルトを被ります。

ケーブルカーの始発は7時、チケットは6時20分から販売開始です。
明るくなってくると、登山客がちらほら。
黄色い布の中で動く怪しさ満天のかたまりを見て、「えっ?寝てる人がいるよ」とヒソヒソ。
恥ずかしいので、そのまま寝続けます。

GWの様子とケーブルカー・バスの乗り方はこちら↓
chi-sk8.hatenablog.com


駅では燕がお出迎えです。
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ケーブルカー、バスと乗り継いで、室堂へ!
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観光客がたくさんいます。


やっぱいいなぁ~♪
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往復4000円ちょっとでほとんど歩かずに来られる天国。

千畳敷とも涸沢ともまた違った雰囲気。
なんというか奥行きがあります。
自分の意識も遠く向こうへ吸い込まれるようです。

さぁ、今日は剱澤のテン場まで。
いざゆかん!

剱岳 登山 行程

登山の行程は、
一日目:室堂から剱澤まで登りテン泊
二日目:夜明け前に剱岳にアタックして、剱澤で撤収し16:00頃室堂着
といった一泊二日の予定です。



剱澤の水場が使えるか分からなかったので、水5リットルを担ぎ上げます。
おまけにセルフビレイ用にP.A.Sを使おうとハーネスやらルベルソ4やら、いつも以上の数のスリングとカラビナまで持ってきてしまったため、ザックの重量が厳冬期並みの重さになってしまいました(後悔)
これが後々仇となるのでした・・・。

室堂から雷鳥沢

雪の無くなった石畳をずんずん雷鳥沢まで行きます。
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雪と岩の斑模様の峰々。
空は刻々と表情を変え、刷毛で描いたような雲が流れています。
360°、こんな景色がぐるぐるして目眩がするほどです。


12本爪のアイゼンやピッケルを持っている人がそこそこいます。

私はポールと6本爪アイゼンのみ。
心配なのは剣山荘から前剱の間にある雪のトラバースです。

それと一番懸念されるのは天気です。
今日の段階の予報では明日のアタック時は「てんきとくらす」だと「C」。
「mountain forecast」では「heavy」。
麓の天気は午前中は曇りで午後から雨。

ここ数日でコロコロ予報が変わっていますので、今夜あたり「A」、つまり晴れになってくれることを、
淡く期待します。
ダメならダメで、剱澤までのアプローチとテン場の実地踏査とすればよし。
と、結局山に身を置きたくて仕方ないんですね。
登れなくても、そこにいるだけで充電できます。



みくりが池。
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雪が溶けて池に沈み、その上に水があるという、この短い時期しか見られない現象です。
水面に山と空と雲が映っています。
水の色もこれぞ「水色」。


地獄谷。
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雷鳥荘。
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このあたりが1番地獄谷の硫黄がキツく、喉が痛くなります。
濡らした手ぬぐいで鼻と口を塞ぐと良いそうです。


テン場が見えてきました。
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雪の間を抜けて・・・。
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雷鳥沢ヒッテ。
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宝剣山荘のお姉さんに教えてもらった頼もしい立派な建物。
ここは温泉に入れるレアな小屋なんですね。
オヤジさんはお元気かな?


雷鳥沢のテン場は、まだテントがまばらです。
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雷鳥沢から剣御前小舎

ここからが本番です。
雷鳥坂はまだ行程の1/3が雪の上を歩くことになります。
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浄土川の先を見ると、気持ちも一緒に流れていきそうです。
下界のストレスや憂鬱や鬱憤が、雷鳥沢の空気に溶けて吸い込まれていきます。
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橋を渡る。
恐る恐る、慎重に。
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ここからは登山道を中心に、どこから登るのが安全で楽か、ルートファインディング(大袈裟かな?)しながら登ります。
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試しに軽アイゼンを履いてみます。
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うわ~、やっぱり登りは一歩一歩がキツい!
ザックの重さで息が上がり、太ももがパンプします。
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いつもならぐんぐん他の人を抜かせてもらうのですが、今日はダメだぁ~。
上を見上げる度に天気も変わっています。
時折現れる青空と山のコントラストに励まされます。
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こんなときはマイペースに景色やお花を見ながら登ります。
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悔しい気持ちが出ますが、無理にペースを上げると、これは危険。
「だって楽しむために来てるんだから」と自分に言い聞かせます。


夏道に出たのでアイゼンを外します。
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手間でも外した方が早い。
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と思ったらまた雪渓が現れます。
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今度はアイゼン無しで登ってみます。
滑ることなく登れました。

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こんな感じで岩、雪、岩、雪を繰返します。
身体の使い方もころころ変えるので、余計に疲れる気がします。
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振り返ると雷鳥沢があんなに小さく見えます。
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「剱御前はいねがぁ~!」
と台詞も表情もナマハゲのようなパートナー(笑)
駅前ビバークでも眠ることができなかったようで、不眠不休の登山を決行するとこうなるようです。
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小屋はまだ見えません。
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見えたら見えたで遠く感じますが、見えないと励みになりません。


ひ~!!
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ガスの向こうに小屋の影が!
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やったぁ♪
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小屋に出ると、ガスと強風で一気に汗が冷えます。
こんなときは撥水性のあるソフトシェルは便利ですね。
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お気に入りのホグロフス。快適♪

剱岳も見えますが、上の方はガスでかくれんぼ。



剣御前小舎から剣沢キャンプ場


ここから40分程は剱沢まで下るのみ。
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剱御前小屋から剱沢まではほとんどの雪の上を歩きます。
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転んだところで滑落するような心配はない道なのですが、なんとなく怖くてペースが落ちてしまいます。

岩に大きなレリーフが。
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石井逸太郎さん。
地質学者の方で、このあたりの氷河地形の調査中にクレバスから滝に落ちて亡くなってしまったそうです。


テントが見えてきました!
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もうちょい。
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雪渓をひたすら下ります。
足が横滑りして歩きにくい。

太ももがパンプして、体幹もブレてきました。
体幹の筋力は今後の課題ですね。

テン場に到着です!
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テントは15張り程。

雪のないところに目星を付けてザックを置いたら、管理小屋に向かいます。


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するとガタイの良い人達が沢山います。
富山県警山岳警備隊の方々が訓練に来ていました。
頼もしい。

小屋の前には手書きのイラスト掲示板があります。
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剱岳の各ルートの情報が詳細に書かれています。


む~ん、明日の天気が心配だ。
山の天気予報はこちら↓
chi-sk8.hatenablog.com



あ、それから水場が使えました♪
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それにしてもヘトヘトです。
いつもならテン場を散策するのですが、しばらく座り込みます。


重い腰を上げて(実際に腰も足も重くなっていました)、テントを設営します。
いつものエアライズ3


張り縄を固定する石を運ぶのも一苦労です。

パートナーは大きな石を動かしながら、「どうですかっ?どうなんですかっ!」と敬語で石にキレています。
末期症状です(笑)

テントを設営したら、中に滑り込み、しばらくぼんやりします。
お昼ごはんはコンビニで買ってきたおにぎりとサンドイッチとゆで卵です。
こんなに疲れていても食べる力は人一倍あります(笑)

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だんだんとガスってきました。
剱様もかくれんぼ。
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明日通過する前剱下のトラバース。
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凄い斜面です。

警備隊の方に状況をお聞きしたら、人がすれ違える幅もあるし、
急な傾斜のところは階段状に切ってあるそうです。
剣山荘の人達が総出で整備してくださったそうです。

それでも転ぶ人が多いので、気をつけるよう教えていただきました。

プラティパスに水を汲み、テントに、戻ります。



太陽が見え隠れするのに連動してテント内も暑くなったり寒くなったりします。

足だけシュラフに突っ込み、上半身はソフトシェルを羽織ります。

何をしていたのか、何を考えていたのかも覚えていない程、瞬間的に深い眠りがやってきたようです。


15:00肌寒くて目が覚めました。

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テントも増えています。


トイレに向かいます。
管理小屋から雪渓を越えた反対側にあります。

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トイレは二ヶ所あって私が使った方はバイオトイレ。

もう1つは汲み取り式だそうです。

バイオトイレ、何故かぜんぜん臭くありません。

携帯の電波も通じます。
天気予報をチェックしたり、ガスに見え隠れする剱岳を見上げたり。
気持ちの半分は疲れに支配され、もう半分は明日アタックできるのか、天気のことが気になります。

テン場全体が同じような雰囲気に包まれています。


みんなヒソヒソ。

すでにやることが無い。
ヒマだ・・・。
最近お気に入りのハーブティーをすすりながらぼんやりします。


夜になると寒さが増してきました。
パタゴニアのナノパフにナンガのポータブルダウンパンツで快適です。


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明日は3:00起床。
夕食はお茶漬けで簡単に済ませ、早々と眠りに着くのでした。
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まとめ

剱沢までのルートは歩きやすく、残雪による危険な箇所はありませんでした。

なによりテン泊装備の重さが1番キツかったです。
剱沢まではあくまでアプローチ。
ここで翌日に疲れを残してしまっては意味がありません。

二泊の予定にするのも安心だと思いました。

どちらにしても一泊でも二泊でも、余計な装備は必要ないですね。

今回私の余計な装備は、
ハーネス+ガチャ類。
これはスリングで簡易ハーネスを作ればOKですし、剱のクサリ場でセルフビレイなんて取ることはまず無いと思います。
あくまでお守りです。

それから水場が使えるなら6リットルも水はいらなかったですね。

サプライズで持ってきていた缶コーヒーもいらなかったですね(苦笑)

他にも身体拭きシートや、大量のお菓子などなど。
軽量化の余地はたくさんあります。


テン場での快適さ=十分な休息
or
軽量化による疲れ予防

どちらを取るかバランスが大切だと思いました。

あ、もちろん体力作りは絶対ですね。


逆に持ってくれば良かったものは、ピッケルと前爪のあるアイゼン。
お守り効果による余裕が生まれると思います。



二日目につづく

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宝剣岳 極楽平ルートの難易度 木曽駒テン泊二日目

7月上旬

木曽駒ケ岳&宝剣岳 7月 テント泊二日目

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昨日から夏山シーズン初のテント泊で木曽駒ケ岳まで来ています。

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久々の緑の木曽駒ケ岳でのんびり過ごし、宝剣山荘のスタッフさんにも全員お会いできました。

 

今日は宝剣山荘側~宝剣岳~極楽平のピストンで、そこそこの時間を集中して岩歩きのトレーニングをしたいと思います。

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宝剣岳ルートマップ

 

6:00起床

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3:30頃から周りのテントは起きだしていたようで、静かに何か準備をしているようでした。

きっと木曽駒ケ岳山頂からご来光を見るのかな?

 

木曽駒ケ岳のご来光

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山のインスタント焼きそばのコツ

朝食は、最近発売されたインスタントカップ焼きそば『モッチッチ』をいただきます。

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山でカップ焼きそばを作るときのコツはただ一つ!

 

お湯を残し気味にすべし!

そうしないと麺がくっついて食べにくくなってしまいます(笑)

 

あ、それか環境への配慮云々は、諸説ありますが、湯切りしたお湯はそのままスープにします。

今日はたまごスープ。

 

モッチッチのお味の方は・・・

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普通の美味しさです。

きっと標高による沸点の違いなのかな?

下界で食べるとまた違うのかもしれません。

 

必殺の「のりたま」をトッピング!

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さぁ、支度をしたら宝剣岳へ、いざゆかん!

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宝剣山荘脇から登ります。

 

宝剣岳 登山道の様子

宝剣山荘から宝剣岳

以前の記事はこちら↓

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まずは宝剣山荘脇から

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厳かな雰囲気の岩の殿堂がどんどん近づいてきます。

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傾斜もだんだん急に。

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標高をぐんぐん稼ぎます。

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ホールドがたくさんありますので、登りやすい。

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 例のトラバースの鎖場。

岩も乾いているので安心ですが、落ちたら死にます。

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山頂付近はかなり狭いです。

ここでお弁当を食べるなんて無理ですね。

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よし!登頂です。

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でもこの先っちょの岩、一体どうやってよじ登るんでしょうね?

誰か手足の短い私にも登れる方法を教えてください。

プッシュでむりやり登って、お腹を擦りながら降りるしかないのでしょうか?

 

 

宝剣岳山頂~極楽平 下り

さぁ、混雑する前に極楽平方面に向かいます。

道はどんどんハードになってきます。

全部が核心ぐらいに思っていかないと、油断すると魔が差したときに事故ってしまいます。

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こんなところは右手はパーミングで、肘まで全体を岩に擦りつけてホールディングしますので、腕時計が傷だらけに(泣)

外しておけばよかった(悔)

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岩のトンネルを抜けて。

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慎重に下ります。

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三ノ沢分岐が見えてきました。

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もうちょい。集中!

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山頂から約30分で三ノ沢分岐です。

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裏からみた宝剣岳。

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ここから10分程、牧歌的な稜線を行くと極楽平です。

 

 

極楽平~宝剣岳 登り

さあ、来たみちを戻ります。

油断しないように慎重に行きます。

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鎖が助かります。

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例の舞台に、恐る恐る・・・

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ここまで来ればあと少し。

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ただいま~。

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 まとめ

なかなか宝剣山荘~宝剣岳~極楽平を往復することはありませんが、往路と復路で登り方が変わるので、なかなか良いトレーニングになりました。

恐怖心があまり無くなっていましたので、今まで以上に油断しないように注意しなければと思いました。

 

前回来たときは、ガスと小雨で岩も鎖も濡れていましたが、今回は滑ることもなく、慎重に三点確保を守って行けば、問題ありませんでした。

 

ふと気を抜いた瞬間が1番怖いですね。

 

このルートをテント泊装備で登るのはちょっと難しいかもしれません。

体幹が相当ブレないように鍛えないと、バランスを崩しやすいし、私はお尻を付いて下ることがあるので、そうするとザックの底面がひっかかってしまうので、もっと練習が必要ですね。

 

YouTubeにもアップしました↓

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番外編

ブヨの恐怖

実は行動中にブヨに噛まれてしまいました。

岩場ではなかなか処置もできなかったので、宝剣山荘まで戻ってきてからポイズンリムーバーを使ってみましたが、時すでに遅し(泣)

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腕にどら焼きを乗せているように腫れてしまいました。

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普段はここまで腫れないのに。

ムヒアルファEXを塗ります。

 

その後しらび平のバス停で隣にいたお姉さんが見かねて、持っていた保冷剤をくれました。

お姉さん、ありがとうございました。

 

 

八丁坂の残雪の状態

 

名残惜しいですがテントを撤収し下山です。

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誰もいないテン場は、ぽつーんという感じで、「あ、ここは山だったんだ」と改めて思います。

日曜なので、日帰りで木曽駒にアタックする人がほとんどで、みんなここの前を通り過ぎていきます。

 

 

中岳へ登る途中からふと見ると、頂上山荘のお兄さんが中岳の巻き道を歩いています。

背負子には大量の荷物が!

すたすたと普通に歩いています。

凄い!

巻道はちょっと危険なルートになります。

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宝剣山荘にご挨拶すると、支配人さんと力持ちのお兄さんコンビが巨大なコンテナバッグを動かしています。

凄い!重機がなくても、ここのスタッフさん達はなんでもできちゃうんですね。

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お姉さんも昨日に引き続きフル稼働です。

 

何度も宝剣山荘越しの景色を振り返りながら下山します。

 

今日もたくさんの人が登ってきます。

登山道は雪が半端に残っているので、ポールを使いました。

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ちびっこもガンバ!

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やっぱり木曽駒は何度来ても素敵なところですね。

 

 

おいでなんしょ、木曽駒ケ岳&宝剣山荘!

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宝剣岳&木曽駒ヶ岳 7月 テント泊と岩場トレーニング

7月8日(土)~7月9日(日)

木曽駒ヶ岳&宝剣岳 テント泊

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金曜深夜、菅の台バスセンターの駐車場。

暗い車内に明りが横切ると、ジャリジャリジャリと音がして、少しずつ車が増えてきているのがわかります。

6時に起床し、バス停に並びます。

カラフルな服装で、短パンにサポートタイツの人が多く、もう夏なんだなぁと感じます。

あれだけ早く夏山にも登りたいと思っていたのに、いよいよ夏山シーズンなんだなぁと思うと、ちょっぴり雪山が恋しくなるのは不思議です。

 

さて、今回の目的は夏シーズン初の頂上山荘のテン場での幕営。

それから夏の極秘山行に向けた岩稜歩きの慣らしです。

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木曽駒ヶ岳 地図

 

八丁坂の残雪状況

千畳敷。

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見上げるだけで、乗越の向こうを想像してニヤニヤしてしまいます。

アルブミン全開で八丁坂を登ると、乗越浄土では身体の熱気を風がさらう。

 

ほとんど食糧で20キロになってしまったザックが肩に食い込むと、太もものパンプの予感がします。これがまた嬉しい非日常。

 

木曽駒ヶ岳、いざゆかん!

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八丁坂は、先週の雨でかなり雪溶けが進んだようで、ほとんど夏道です。

先月から宝剣山荘の支配人さん、力持ちのお兄さんの怪力コンビでステップを切ってくださったり、雪かきをしてくださったおかげです。

感謝の気持ちで登らせてもらいます。

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所々にシナノキンバイやチングルマが可愛く風に揺られています。

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三ヶ所ほど残雪箇所を登ります。

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心配な方は軽アイゼンやチェーンスパイクがあると下山時は安心かもしれません。

それからパンツの裾が汚れるのが嫌な方はゲイターがあると良いと思いました。

 

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いや~、テン泊装備の重さがなかなかキツイ(汗)

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厳冬季の方が重たいし、直登でキツイと思ったのですが、岩の上を、一歩一歩足の置き場を探しながら登る方がキツく感じます。

足の短さと、ペースが乱されるからかな?

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乗越浄土。

 

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宝剣岳、伊那前、中岳に囲まれ、こんな高い標高なのに優しい景色なのは、宝剣山荘とそこに集まる人の温かみがあるからかな?

ぐーっとはるか空の上から見下ろすことができたら、大きな山にぽつんと佇む豆粒のような宝剣山荘。そこに蟻んこのように登山者が集まっているのはなんだか微笑ましく感じます。

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人間は自分が主役だと思っているけれど、本当は蟻んこみたいな小さい存在なんですね。そんな小さな存在が下界では大きな悩みがあったりしながらも、山では汗かいて登って、景色を眺めたり、それぞれ楽しんでいることを考えると、そんな素敵な環境を提供している宝剣山荘ってディズニーランドより凄いなって思います。

 

ここの景色は本当に好きです。

 

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宝剣山荘にご挨拶すると、バリバリと仕事中の支配人さんがいました。

テン泊の受付はもう頂上山荘とのこと。

お世話になります♪

 

さぁ、良いテントスペースを確保するため、ガンガン進みます。

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中岳f:id:chi-sk8:20170710103422j:plain

 

振り返ると大好きな景色が。

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岩の道をトントン下ると、

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第二の我が家、頂上山荘のテン場が見え手きました。

 

ハイマツ帯にも可愛いお花がたくさん。

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頂上山荘テント場

空が近くにあるような錯覚。その空に、ゴリッ、ゴリッと岩を踏む音が吸い込まれていきます。

受付を済ませると設営です。

 

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雪が無いって超楽チン!

ポールか地面に着いても凍る心配が無いし、素手で設営できます。

急いでテントに逃げ込んだり、身体やザックの雪をタワシで払う必要もありません。

ノーガードでそこに身を置いて・・・とにかく自由な感じ♪

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アタックザックに、カッパや無線、ツェルト、スリング、おしてお菓子を沢山を詰め込んだら、宝剣に向かいます。

あ、勿論ヘルメットはマストですね。

 

宝剣山荘のおすすめアイテム

その前に宝剣山荘でお目当てのソフトクリームをいただきます。

 

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山の上でソフトクリームが食べられるなんて♪

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それからもうひとつ。

宝剣山荘オリジナルタオル!

ばーん!

 

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今年から発売しているオリジナルタオルで、赤とネイビーがあります。

細めで長いので、首に巻いたり、ケガの応急処置に使ったり、何かと便利です。

私は赤をGET!

 

いつものお姉さんも今日は大忙しみたいで、気合いが入っています。

かっこいい♪

 

そんなこんなしていると、宝剣岳が渋滞になっています。

宝剣岳のアタックは明日に変更し、今日はテン場でゆっくり過ごすことにしました。

 

 

お昼ご飯

 お昼のメニューは、焼きおにぎりとハムステーキです。

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焼きおにぎりは冷凍のやつを開封して保冷袋に入れて持ってきました。

ハムステーキは真空パックのもの。

 

フライパンに、クックパーを敷いて焼くだけ。

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焼きおにぎりは大成功(焼くだけなんだから当たり前か)

ハムステーキは、ガーリック&ハーブというおしゃれなものを選んだのですが、

これが全く焼きおにぎりに合わない。

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しかも結構なボリュームで、水を飲みながら舌をリセットするのですが、震えが出る程味がマッチしない・・・。

パンとスクランブルエッグなどと合わせるのが正解でしょう。

 

 

持ってくれば良かったもの

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食後はまったり過ごします。

隣のテントのおじさまは、どこにもアタックせず、テン場でのんびり過ごすんだそうです。

私も同じくここに身を置くだけで楽しく感じて、ただのんびりするためだけに来ることもあります。

ヘリノックスのチェアワンに座り、本を読んでいます。

しばらくしたら、スケッチブックを取り出して写生をしています。

いいなぁ。

 

 

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ヘリノックスのチェアワンは何度かお店で吟味したのですが、買っちゃおうかなぁ。

本も持ってくればよかったなぁ。

ロープウェイから近いので、色々なグッズで楽しめるのも木曽駒の魅力ですね。

 

 

 

気がついたらお昼寝していたようです。

少し肌寒く、というかどんどん寒くなってきました。

 

夕食

夕飯の時間です。

今日はパタゴニアプロビジョンズのワイルドピンクサーモンを使ったホイル焼きに挑戦します。

これはイヴォン・シュイナードが釣った鮭を・・・じゃなくて、鮭を燻製にしてオイル漬けにして味付けしたもので、湯煎してそのまま食べることもできます。

パタゴニアらしく、環境への配慮と生産者の支援の意味があって、「美味しいのその先」を見据えた商品になっています。

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いつもはアルファ米なのですが、今日は贅沢にメスティンで炊飯します。

 

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メスティンの炊飯

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鮭のホイル焼き

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今日はテントが20張りくらいかな?

みんな静かで、マナーの良い人達ばかりでした。

マナーの悪い人がいないせいか、どこかから聞こえてくるイビキの音でさえ上品に聞こえるから不思議です。

 

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久しぶりの無雪期のテント泊。

風も無く穏やかな夜です。

 

自作の汗拭きスプレーで身体をさっぱりさせます。

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7月のテント泊服装とシュラフ

行動中はTシャツに薄手の夏パンツ。

テン場でまったりするときはソフトシェルを羽織りました。

日が沈んでからは、薄手のダウンジャケットを羽織っている人が多かったです。

 

シュラフはおなじみモンベルのバロウバック#3

マットはサーマレストのリッジレストクラシック。

 

夜中に何度か寒くて目が覚めましたが、ダウンジャケットを着れば問題ないと思います。

 

さぁ、明日は宝剣岳を越えて、極楽平まで行き、さらに登り返して戻ってこなきゃ。

楽しみだなぁ。

 

頂上山荘の発電機の音に人の温かみを想いながら、眠るのでした。

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二日目につづく

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岳沢 登山 6月 前穂高岳改め岳沢パノラマ

残雪の岳沢パノラマ 難易度と装備

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2017年6月24日(土)

 

 

梅雨の中休み。

毎日週間予報を見ては、今度の休みはどの山が晴れるのか調べるのが日課になっていました。

日内でも変動する天気予報。

 

木曜夜の時点では木曽駒なら晴れる予報だったので、軽アイゼンで行く計画で装備をパッキングしました。

出発直前の予報では、北アルプスも晴れの予報!

結局、日帰りで前穂高へ向かうことに。

急な予定変更でしたので、岳沢小屋まで行ければOK。

雪の具合で岳沢パノラマまで行けたらいいなぁ。

そして奇跡的に夏道が現れていたら前穂へ!

 

 

 

金曜深夜、さわんど駐車場に到着。

GWとは打って変わって6月はガラ空きです。

 

4:00起床。

身支度を整えたらタクシーで上高地へ一番乗り。

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5:10、登山届けを提出したら、まずは岳沢へ、

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いざゆかん!

 

岳沢小屋までのルート

河童橋を渡ると岳沢湿原を経由する木道のハイキングコース。

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湧水を集めた清流がとろとろ流れ、立ち枯れの木々が水面に反射しています。

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枯山水のような水の流れはいつまで見ていても飽きません。

 

この分岐を間違うと明神池に行ってしまいます。

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岳沢トレイル(岳沢登山道)

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岳沢トレイル 地図

すぐに岳沢の登山道が。

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『岳沢トレイル』と名づけたのは岳沢小屋の方だそうです。

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外国人観光客も多く訪れる上高地。

ホテルでは岳沢をおすすめの散策路として紹介しているそうです。

そんな経緯から、海外の人にもわかりやすいよう名付けられたそうです。

 

ハイキングよりはキツイ、登山と言うには物足りない。

標高差650メートルの、森林散策です。

 

 

まずは比較的緩やかな傾斜の針葉樹の森を抜けます。

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針葉樹ってなんだかアメリカっぽく感じます。

会社の先輩が新婚旅行のお土産でくれたグランドティートンの絵葉書。

雰囲気が似ています。

 

ずっと雪面の直登ばかりだったので、雪のない登山道にちょっととまどいます。

一歩一歩足の置き場を意識するのに、なかなか感覚が戻りません。

 

今日は靴も夏靴です。

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モンベルのツオロミーブーツ。

無雪期の山はすべてこれで登っています。

 

 

 

緑が太陽に透けて、その影が地面を流れていきます。

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ずんずん登ります。

 

鳥がさえずる中、樹林帯歩きの楽しい感覚が戻ってきます。

雪山はキレイだし、あまり汗もかかないし、雪山が好きって思っていましたが、

季節が変われば、今度は夏山っていいなと思います。

 

 

岳沢の登山道は岳沢小屋まで10番から1番まで、番号の付いた看板があるので励みになります。

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8番を過ぎると木の階段が増えてきます。

この明神南沢のあたりは、雪崩の被害があったところで、森の樹々も若い木が目立ちます。

若い木や、キレイな苔など、写真を撮る人には良いポイントだと思います。

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7番、名物の「風穴」。

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約50分で到着。

本当に天然のクーラーですね。

凍土に冷やされた風が穴から吹き出ています。

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心地よい。

 

雪渓が現れました。

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ずりずり滑るので慎重に。

 

6番で一気に見晴らしが良くなりました。

西穂、奥穂が見えます。

 

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この辺からお花もたくさん。

 

ゴゼンタチバナ

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ガクアジザイかな?

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ウラシマソウ

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サンカヨウ

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3番からは石段が。

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歩幅が合わず太腿がパンプします。

 

 

次の番号の看板を探しながら登るのですが、見つからず。

 

2番からは急登らしいのですが、そんなにキツく感じませんでした。

 

またまた雪渓。

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まだか?

ペースが遅いのかな?

 と考えながら登っていくと、小屋が見えてきました。

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ここが1番。

あと少し、ガンバ!

 

サクラ系・・・

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少し下る、ということは・・・

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登るのかっ! ひぃ~(汗)

精神力を解除していたので、いきなりキツく感じます。

 

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7:30、約2時間30分で、

やったぁ~!岳沢小屋到着!

 

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汗だくです。

 

重太郎新道

重太郎新道を見上げると結構な雪が残っています。

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やっぱり失敗した!!!

 

今日は軽アイゼンしか持ってきていません。

東京は連日30℃を超えているし、雨で雪はほとんど消えてるかな?

なんて考えが甘かったです。

そりゃそうだ。この時期の重太郎新道はアルパインクライマーのルートと言われています。

こんな看板もあります。

 

 

岳沢小屋のスタッフさんは、登山道の状況をブログに書いていますので、無理だろうとは思っていましたが・・・。

 

前穂高は前爪が無いと無理ですね。

ピッケルも必要ですね。

 

よし!

せめて岳沢パノラマまで行ってみよう。

 

清木場俊介似の小屋のお兄さんにパノラマまでの道の状況をお聞きすると、

数箇所イヤな雪渓があるとのこと。

軽アイゼンは、「う~ん」という感じらしいです。

「難しければ、また今度にすると良いですよ」と、とても親切に教えてくれました。

支配人さんが様子を見に上まで行っているそうですので、トレースは完璧なはずだ。

 

 

「重太郎新道通行止め」の看板が。

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こう書いておけば、初心者の方や外国人観光客が行かないだろうという配慮ですね。

 

 

とにかく行けるところまで行ってみよう。

無理ならあきらめよう。

小屋から眺める景色だけでも十分素敵だし、

なにより身体も冬仕様のまま。

歩き方も慣れていないし、脂肪もたくさん蓄えてしまいました(苦笑)

夏山に向けたリハビリとしては、今日はそんなに攻める予定でもなかったので、ゆっくり登ることにしました。

 

それにしても誰も上にいません。

 

下にもいません。

本当に登山者が少ない。

 

 

ヘルメットを着用します。

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ちょっと大袈裟な感じで、恥ずかしいですが、安全第一。

chi-sk8.hatenablog.com

ポールも使うことにしました。

お気に入りのポールはKOHLAのやつ。

花谷泰広さんも使っているのと同じモデルで、伸縮させるレバーがポールと並行に付いていて、開閉が早いです。

実はテン場に忘れてきてしまったので、今は仮のものを使っていますが、いつか買い戻したい。

 

 

 

軽い気持ちの人が入って行かないように、ルートには目印もありません。

あえて不親切にする配慮は、少しでも山の事故を減らすためなんですね。

たしかにどこがルートは初見ではわかりません。

 

 

しっかりルートファインディングをして、頻繁に上を見ながら登ります。

 ※あえてルートの詳細は控えさせていただきます。

 

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軽アイゼンも装着。

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これまた本当のお気に入りは別のやつ。

 

 

 

踏み抜きながら岩を超えたり・・・

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枝をくぐり抜けたり・・・

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ふきのとうかな?

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例の雪渓です。

ここを写真の左上に登って行きます。

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が、結構な傾斜です。

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下から見たときは、ここは大丈夫そうに見えていたのですが、私の技量では前爪でキックするか、

あるいはピッケルで足場を切らないと無理ですね(汗)

それにもし行けたとしても下山はもっと怖そうです。

 

ということで、ここで撤退です。

きっとあと二週間もすれば、夏ルートで登れるでしょう。

焦ることはない。

そしたらまたリベンジします!

 

でも、振り返ると絶景です。

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雲は晴れ、谷に切り取られた空が高い。

低木の間を鳥がさえずりながら遊んでいます。

 

地面にはいろいろな花が、その花びらを陽光に透かしています。

 

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ミヤマキスミレかな?

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よし、ここを「岳沢小パノラマ」(こぱのらま)と命名しよう(笑)。

数人登山者が小屋まで登ってきたのが見えます。

やっぱりだれも上には来ないようですね。

しばらくここで景色を眺めます。

 

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お腹が空いてきたので、小屋に戻ります。

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岳沢小屋

まだ9:00。

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今日はここでのんびりしよう。

岳沢小屋は、標高2170メートル、収容人数60名の小ぢんまりした雰囲気の良い小屋です。

位置的には穂高を攻める前泊、あるいは下山時の後泊に利用しやすいため、そんなに混雑しないのかな?(涸沢等に比べて)と思いました。

それでも小屋泊は必ず予約が必要です。

 

 

低木に囲まれ、空が突き抜け、周囲は格好のよい峰々が。

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鳥が本当に多く、そのさえずりを聞きながら、ここでテン泊したら素敵だろうなと思いました。

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おにぎりでお昼ご飯です。

 

10:00~14:00まではお昼メニューが注文できるようですが、本格的な小屋開けはまだのようなので遠慮しておきました。

 

支配人さんはまだ戻って来ないので、お兄さんが一人で対応しています。

「今一人なので、少しお待ちください」と嫌な顔一つせずに対応しています。

モルタルで何かを補修しながらお客さんの対応。

ベルギーから来たお客さんには英語で重太郎新道の危険性を説明しています。

 

小屋でコーラを買いました。

飲み物はお釣りがなければセルフで料金箱にお金を入れる仕組みです。

 

岳沢トレイルの手ぬぐいを発見。

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おしゃれでかわいい♪

 

今日は本当に天気がよくて最高ですね。

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やっぱり山はいいな♪

 

サングラスをかけてお昼寝。

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こんなふうにのんびり過ごすのもいいものですね。

 

12:00、名残惜しいですが下山します。

 

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雪の無い石の上は、膝を壊さないように足が先、重心移動が後。

意識しながら降ります。

 

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お花を見つけたり、景色を楽しみながら。

午後は雪解けで登山道の一部はびしょびしょです。

パンツの裾が汚れるのが嫌な人は、ゲイター(スパッツ)があると便利かもしれません。

残雪期にはソフトシェル素材のゲイターが快適です。

 

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緑のトンネルは若葉がレース模様を作ります。

 

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若葉が薫る。

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気持ち良い樹林帯歩きです。

 

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あっという間に河童橋です。

 

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観光客で賑わっています。

 

岳沢トレイル&前穂高、また来るよ~!

 

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まとめ

6月上旬並の残雪。この時期の重太郎新道はアイゼン(前爪のあるもの)、ピッケルは必携ですね。

私たち都会人感覚ではまだ残雪が豊富に感じました。

気温と時間帯にも注意して、雪が溶け出す前に行動するのが安全だと思いました。

それでも重太郎新道は一般向けではないようです。

同じ槍穂カテゴリーでも、槍沢みたいに沢をずんずん登るのではなく、槍の穂先のような道を永遠と歩くような感じだそうです。

 

 

もう少ししたらリベンジしたいと思います。

 

リベンジしました!↓

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木曽駒ヶ岳 日帰り登山 6月 乗鞍岳のはずが···

木曽駒ヶ岳 6月の残雪

2017年6月3日(土)

 

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今回は予定変更で、急遽木曽駒ヶ岳へ行ってきました。

 

 

 

6月前半の乗鞍スカイラインは凍結に注意

季節の変わり目だからか、なんだか疲れが取れず、身体がダルいので、短時間で3000メートル峰に登りたいと思い、6月2日(金)深夜、一路高速で乗鞍岳へ。

身体がダルくてもやっぱり山に行きたくなっちゃうから不思議です(ワラ)

まわりからは、「疲れてるなら家で休めばいいのに」と言われますが、山だからこそ心が充電できるんですね。

 

深夜2時、平湯温泉の、ほおのき平駐車場に到着しました。

この時期は長野側の乗鞍高原からはバスがありませんので、岐阜側のここからでなければ畳平に行けません。

始発のバスは6時50分なので、6時まで車で仮眠します。

毛布一枚にくるまりますが、寒くてなかなか寝付けません。

サンルーフからはプラネタリウムのような星空が見えます。

 

ウトウトしたまま6時を迎えました。

駐車場は10台もいないくらい。

閑散としています。

 

バスの受付へ行くと、数人の登山者がザワザワしています。

お話を聞くと、昨日の雪で乗鞍スカイラインが凍結したため、午前中は通行止めに!!

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天を仰ぐ人、スマホで他の山を探す人、それぞれ残念な気持ちを噴出させています。

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ずっと運転してきて、寒くて眠れなかったパートナーは、ベンチで明日のジョーのように真っ白になっています。

 

私の脳内会議が始まります。

 

新穂高へ戻り西穂独標へ行くか?

 

上高地から涸沢へ、日帰り装備しか持ってきていないけど、ツェルトでビバークするか?

 

う~ん。

 

!!!

 

そうだ!木曽駒に行こう!?

ここからなら2時間ちょい。

9時前には菅の台に着くので、余裕で行ける!(私が運転するわけではないのに勝手ですね)

 

ということで、西村京太郎トラベルサスペンスも驚きの展開で、木曽駒ヶ岳へGO!

真っ白くなって固まったままのパートナーに缶コーヒーを与え、起動します(笑)

 

乗鞍岳は翌年リベンジしました

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おなじみの菅の台バスセンター。

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あれ?いつもより人が少ないです。

 

駒ケ岳ロープウェイ年間パスポート

こんな急な思いつきでも、年間パスポートがあると便利ですね。

年間パスポートは、

 

12,000円で、バス、ロープウェイが乗り放題です。

同行者は5名までバス、ロープウェイが20%引き。

菅の台バスセンターの無料駐車券が 付いてきます。

ホテル千畳敷のレストランも5名まで10%引き。

 

と、かなりお得です。

 

ちなみに今年は50周年だそうです。

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大好きな木曽駒ヶ岳。

ワクワクしながら千畳敷に到着です。

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溢れる日光を受けて、山が歓びおののいているようです。

八丁坂はまだまだ残雪が見えます。

 

岩肌と雪が海外の山のような世界観を見せてくれます。

雪面が春山特有の照り返しで、目に刺さります。

気温は8℃ちょっと。

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心地よい風と日差しでお昼寝できそうです。

 

今日はTシャツに厚手のソフトシェル。

おすすめソフトシェル - 登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

ノースフェイスのバーブパンツにオーバーパンツを履きました。

靴は冬靴です。

グローブは薄手のインナーグローブのみ。

 

あ、もちろん冬用グローブや、ハードシェルとビレイ用ダウンジャケットはザックに入っています。

 

残雪の様子

八丁坂の残雪は踝ぐらいまで埋るコンディションで、10時の時点では緩くもなく歩きやすいです。

 それでも急斜面の恐怖を思い出し、12本爪アイゼンを履きます。

 

この時期は夏ルートと同じく鳥居を潜ってスタートです。

 

木曽駒ヶ岳、いざゆかん!

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この雪の下ではそろそろお花たちが咲く準備を始めているのかな?

 

あれ?

なんだか身体が重たいです。

冬の間に溜め込んだ脂肪のせいか(苦笑)

 

息が上がり、足の筋肉も早速パンプしかかっています。

 

毎年のことなのですが、自身を戒める、シーズン明けとなりました。

いくら雪山に登っていても身体は重たくなってしまいます。

例年梅雨入り前に身体を作るため、谷川岳の西黒尾根をやった後、日帰り10時間コースの山をいくつかやって、やっと夏山仕様の身体が出来上がるという恒例行事なのです。

冬の間からダイエットとトレーニングをすれば良いのに、まったく学習できていません。

 

そんな自分の不甲斐なさに忸怩たる思いを抱きながら登ります。

 

暑いのですぐにTシャツ一枚に。

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空を見上げると太陽の回りに虹が見えます。

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後で宝剣山荘のお姉さんに聞いたら、天候が崩れる前兆だと教えていただきました。

 

 

今日は本当に人が少ないなぁ。

 

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斜度はどんどんきつくなってきますが、登りやすい。

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それから軽装備の人が目立ちます。

八丁坂の途中まで行って引き返してきた人も数人。

 ジーパンの人はお尻を着いたまま必死に降りてきます。

 外国からの観光の方は、トレースの上をゆっくりシリセード。

足元はスニーカーにチェーンスパイクです。

 

怪我しないように気を付けて、と心の中で祈ります。

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オットセイ岩。

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いつもと変わらず宝剣岳を見上げています。

 

乗越浄土の手前からは夏道の階段や足場が見えています。

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前爪を引っ掻けないように、丸太を傷つけないように、慎重にギョリギョリと歩きます。

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ここでアイゼンを外すと良かったと反省します。

 

年末はここがカリカリに凍っていて泣きそうになったことを思い出します。

本当に怖かったなぁ。

chi-sk8.hatenablog.com

 

 

約30分で乗越浄土。

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ほとんど雪はありません。

 

 

大好きな宝剣岳。

 

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もう登頂している人が見えます。

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羨ましい。

ヘルメット持ってくれば良かった~(悔)

 

稜線が女性らしく、美しい伊那前岳。

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いつも変わらず鎮座する中岳越しの木曽駒ヶ岳。

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いつ来ても天国のようですね。

 

さあ、大好きな宝剣山荘へ向かいます。

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山荘の手前はまだ雪が残っています。

 

 

スタッフの皆さんはお元気かなぁ?

 

いつものお姉さんがいました♪

なんと背負子で新しい枕と布団を運んできたようです。

すごいボリュームでした!

今年の宝剣山荘は新品の寝具です!

 

ストーブの前でいろいろお話をさせていただきました。

ここは本当にほっこり癒されます。

 

 

本格的な小屋開けは、もう少し先のようで、準備にお忙しそうでした。

 

 

支配人さんといつものお兄さんは水の確保の為の作業に出かけているそうです。

 

今日は山荘の回りをのんびりお散歩することにしました。

 

このフラットな場所は本当に素敵ですね。

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木曽駒ヶ岳一帯の魅力が全て見渡せます。

 

柔らかい空気に風景が全て包まれて、生命の息吹をたたえているのを感じます。

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空は遠くまで高く広く、雲は輪郭をくっきりさせています。

 

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昨日は0℃にも届かなかったようで、この時期には珍しくエビの尻尾まで出来ていたそうです。

 

ツララがキラキラ。

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年末に入口だったところ。

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春の柔らかさが風景を包みこみ、光は丸みを帯びています。

 

隅に追いやられたドラム缶でさえ穏やかな風に吹かれています。

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山での水の確保

 

中岳の方を見ると、取水タンク?の上にいつものお兄さんが立っています!

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見てるだけでドキドキする危険な作業。

水の確保ってこんなに大変だったんですね。

 

支配人さんもホースが通っている雪の斜面で作業しています。

トラバースが苦手な私には絶対無理ですね。

遠くから見守ることしかできません。

 

木曽駒ヶ岳を訪れる登山者のために危険と隣り合わせの作業をされているんですね。

 

風が出てきて、太陽が雲に隠れてしまうと、身体が冷えてきました。

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宝剣山荘に戻ってコーヒーをいただきます。

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はぁ~、今、窓越しに光る伊那前岳を見ながらコーヒーを飲んでいるのは世界で私だけ。

 

 

有名な山岳ガイドさん

すると、あちこちの山で時々お見掛けするガイドさんが来ました。

いつも歩き方がかっこよくて、声をかけようと思っていたのですが、なかなか勇気が出ませんでした。

今日はお姉さんに紹介して頂き、一緒に写真を撮っていただきました。

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渡辺さんは、ワイルドなルックスですが、とても丁寧で優しい紳士でした。

冬になったらアイスクライミングのガイドをお願いしたいな♪

https://ja-jp.facebook.com/tetsuo.watanabe.31

total-service.a.la9.jp

 

 

お昼休憩のお姉さんとまたまたおしゃべり。

楽しい話、勉強になる話、山は話題が尽きませんね。

木曽駒ヶ岳一帯にはまだまだ素敵なルートや山があることをお聞きできたので、またチャレンジしたらレポートしようと思います。

 

 

こんなに人が少ないなら今日は宝剣山荘に泊まっちゃおうかな?と悩みましたが、名残惜しくも下山の時刻になってしまいました。

 

というのも、今日は菅の台で開催される「くらふてぃあ杜の市」というクラフトイベントを見たかったからです。

杜の市は、300を超えるテントが並び、作家さんの作品を購入したり、大道芸や手作りパンなんかの食べ物も出店しています。

もちろん私のお目当ては食べ物。

ソースカツ串に、飲むヨーグルト、ソフトクリーム、それからそれから・・・。

 

 

下山

夏道の階段の下まではアイゼン無しでいきます。

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雪も弛んでいるのでツボ足でも行けるのですが、怖いのでアイゼンを履きます。

後ろから来る人の邪魔にならない場所で・・・。

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 午後の陽射しは黄色味を帯びて、雪肌をキラキラ金色に輝かせています。

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振り返ると岩峰が覆いかぶさってくるような錯覚が起きます。

八丁坂を登るときはいつも、あの向こうにある絶景を目指して、息が切れても、足がパンプしても、不思議とガンガン進めます。

日常生活では辛いことがあると、つい逃げたり、休んだり。頑張った先に、きっと何か良いことがあるんだって思って、進まなければいけないのですが、なかなか・・・。

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雪は丁度歩きやすいコンディションでした。

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スタスタと小走りしたり、方向転換してみたり、滑落停止を練習したりしながら、来年の雪シーズンまでに感覚を忘れないように、色々な歩き方をしてみます。

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あっと言う間に千畳式駅に到着しました。

 

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木曽駒ケ岳、また来るよ~♪

 

まとめ

アイゼンの装着のタイミングが難しかったです。

装備選びも、ついつい春の陽気に騙されて軽くしてしまいがちですが、急に冬に戻ることもあるそうなので、日帰りでもしっかり装備しなければいけませんね。

 

それから山荘のスタッフさんの、危険と隣り合わせの作業を垣間見て、改めてしっかり登らなきゃと思いました。

装備、知識、技術をしっかり、そしてなにより楽しく(自分だけじゃなく)登りたいと思いました。

 

 

 

GW立山 雷鳥沢テント泊とおすすめ観光スポット

GWの雷鳥沢 三日目

2017年5月5日(金)
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昨日は山の神様が贈ってくれたとしか言い様のない快晴の中、
念願だった別山から剱岳を見てきました。
chi-sk8.hatenablog.com



今日は下山の日。
早朝ウトウトしながらも、下山のことは考えないように、1秒でも長く今を楽しみたい気持ちが、確実にやってくるこの時と戦っていました。

でも時間が進む以上仕方ないですね。
初デートの時、「時間が止まったらいいのにな」なんて考えていた気持ちに似ています。


下山とはいっても、雷鳥沢から室堂まではずっと登りになるので、登山?
なんだかややこしいですね。
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目次


いつと同じくトイレに行きたくなって目が覚めます。
時計を見ると6:00

まわりのテントは食事をしていたり、撤収しているようです。

外に出てみると、昨日までの晴天から曇り空になっています。
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それでも丸みを帯びた日が出るとジリジリと暑くなります。

今日はのんびり撤収する予定なので、濡れた装備を乾かしたり、お菓子を食べたりしながら、マイペース。
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雲の形が刻々と変化しています。
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それでも撤収が始まると身体が覚えていて、あっという間に衣食住が全てザックの中に。
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毎度のことですが、楽しかったぶん、本当に寂しくなります。


さて、雷鳥沢ヒュッテのお姉さんに、ご挨拶しに向かいます。
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そり遊びをする子どもたち。
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イグルーを作っている人も。
楽しそう♪
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9:30、ヒュッテではまだ部屋のお掃除をしているようで、四階建てのたくさんある開け放った窓のどこかから掃除機の音がしています。
登山者が気持ちよく疲れを癒せるように、そして安全に山に登れるように、こうして毎日掃除しているんですね。
ヒュッテに泊まったわけでもないのに感謝の気持ちが湧いてきます。


しばらくテラスに座って景色眺めてまったりします。
しばらくするとお姉さんが。

お世話になったお礼をして、下山後のおすすめプランを教えてもらっていると、ヒュッテのお嬢ちゃんも出てきていろいろ教えてくれました。
小さなコンシェルジュはガソリンスタンドの営業日まで把握していて、本当に感心します。

まだ小学生なのに、レジをこなしたり、下駄箱の開きスペースを気にかけたり、立派な戦力になっているようです。

記念にヒュッテのオヤジさんも一緒にパチリ♪
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オヤジさんは雪崩の起こる日を天気からぴったり予測したり、
今日も天候が悪くなると言っていたそうです。
ヒュッテにオヤジさんがいると本当に安心ですね。


お風呂も自販機もあるし、何より忙しくても、どのスタッフさんも嫌な顔せず対応してくださいます。


雷鳥沢が超人気のベースキャンプ地である理由はヒュッテの皆さんのお人柄なんでしょうね。

次回は是非ヒュッテに泊まりたいと思います。


名残惜しいですがお別れして下山です。

ここからはコツコツ登り続けます。
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何度も山やテン場を振り返りながら。
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雪はもうズクズクに溶けていますので、アイゼン無しで大丈夫です。
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寂しさで足取りが重い・・・。


所々石の道が見えています。
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三日ぶりの地面。
寂しい反面、地面の踏み心地が気持ち良い。

雷鳥と遭遇

みくりが池を過ぎると、「ゲケケケ~」と鳴き声が!

雷鳥だぁ!

テン泊装備を背負ったまま100メートルほど走りました(汗)
もう少しで写真の射程範囲内と思ったら、逆方向に飛んでいってしまう(汗)
我々、雷鳥取材班もまた逆方向に100メートルダッシュ!

観光客も多い中、巨大なザックを背負ったおかしな連中。悪目立ちします(苦笑)

あぁっ!カメラのバッテリーが切れてるっ!
急いでスマホでパチリ!

おかげでこんなに至近距離で雷鳥が撮れました♪
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振り返ると山が照り輝いています。
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名残惜しいのでサングラスを外して眺めます。

今回の最後に見た空は、
「まるで青びかりでツルツルしてその光はツンツンと眼に染み込み、また太陽を見ますとそれは大きな空の宝石やうに・・・」

宮沢賢治の『ひかりの素足』の一節を思い出しながら。


 こっしゃい、立山

持ってくればよかったもの

保湿化粧水&乳液・・・お風呂の後に&日焼けのケアに。
リップクリーム←忘れてしまいました。
ヒップソリ・・・あればもっと遊べたかも。

まとめ

とにかく天気に恵まれた三日間でした。
春の雪山は雪崩に要注意ですね。
それから、バックカントリースキーの方とお話できたことで、
いろいろと勉強になりました。
スキーの方は登山とは違うルートに入るので、特に雪の状態をお聞きできたのはとても参考になりました。
また、春のせいでしょうか、富山の雪は長野とはまた違う雪質に感じました。
反省点は、日焼け対策です。
日焼け止めを塗っていても焼けます。
こまめな塗り直しと、テント内で毎日アイシングすればよかったです。
個人的には、テン場まで近いので、食事をもっと豪華にすれば良かったと思います。


あすすめ日焼けケアはこちら↓
chi-sk8.hatenablog.com



立山周辺のおすすめ観光スポット

ちなみに下山後は、ヒュッテの美女二人組(お姉さんとお嬢)に教えて頂いた、立山博物館と、まんだら遊苑に寄りました。

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立山博物館はイヤホンを付け解説を聴きながら立山や山岳信仰の歴史を見てまわれますので、とても勉強になります。
ただのレジャー登山だけではなく、山岳信仰という視点を持って山に登ると、もっともっと山が面白く感じられると思います。

まんだら遊苑は、立山に伝わる立山曼荼羅をモチーフにその世界を園内に再現してあるスポットです。
ここはかなり面白かったです。

他にも色々気になるスポットを発見したのですが、時間が足りませんでした。
また次回いろいろ行ってみたいと思います。

ゴールデンウィークの立山 別山登山

GW 雷鳥沢から別山へ

2017年5月4日

雷鳥沢テント泊の2日目。
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目次



昨日念願だった雷鳥沢に幕営し、
chi-sk8.hatenablog.com

今日は5時に起床します。
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トイレに行きたいのですが、シュラフから出る勇気がなかなか出ません。

トイレを済ませたらカップラーメンで朝食です。

今日も晴天です。
今日は、昨日ヒユッテでお姉さんに教えてもらった別山に登って、剱を真ん前から見るプランに決定しました。


ということで、ゆっくり仕度をします。
ザックにツェルト、無線、GPS、救急セット、お湯を入れた山専ボトル、行動食などを入れたら、

別山 登山ルート

7:00
別山、いざゆかん!
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別山は雄山、浄土山を加えて「立山三山」と呼ばれます。
標高2880mの霊山立山の北の鎮です。

雷鳥坂で別山乗越へ

まずは剱御前小屋のある別山乗越まで雷鳥坂を行きます。
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ひたすら、とにかくひたすら、ただただひたすら直登です。
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悟りや想念を求めず、とにかく登ります、と、ちょっぴり山岳信仰モード。


2ヶ月ぶりの登山、息が上がります。
なかなかの急登ですが、程よい凍りかたで登りやすいです。
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早速暑い。

シェルのジッパーを全開にして、ずんずん登ります。

振り返るとテン場があんなに小さくなっています。
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急登なのでハイペースで標高を稼いでいることに勇気を貰いながら。

下から見ると剱御前小舎まで遠くに見えたですが、登っている最中は小屋が見えないので、目印の旗を確認しながら一歩一歩コツコツ。
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久しぶりのこの感じ。
太もものパンプ具合。
息があがっても、ゆっくりでもいいから休まず足を動かします。
一歩一歩自分の身体や自然の変化を確認しながら登ります。
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2ヶ月のブランクはとても長かったですが、やっぱり山登りっていいな。

バックカントリーの人も多く見かけます。
スキーにシールを貼っただけで登れちゃうなんて、凄いなぁ。


ここまで来れば、小屋はもうすぐ。
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前半の核心

でもここから苦手な雪の尾根歩きです。
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いささか緊張してきます。

慎重に、一歩一歩。
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道が狭いのですれ違いには気をつけなきゃ。


すると、

「ゲケケケ~」

雷鳥だぁ!!

トコトコトコと歩いて逃げてしまったので写真には収められず。


雷鳥沢から1時間40分で剱御前小屋です。
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水分を補給します。
それにしても身体が重い。
息が上がる。

小屋の窓からは富山県警の常駐隊の方が無線で何やらやりとりしています。物々しい感じです。

事故かな?
何事もないといいけど。

すると警備隊の方が3人別山の方に向かっていきます。

凄いスピード!

私たちが安全に登れるのも警備隊のみなさんのおかげなんですね。
本当に感謝ですね。

剣御前小舎から別山へ

ここから別山は30分ほど。
でも休憩してしまったせいで、足がダルい。
心肺も元に戻ってしまいました。
これまでの直登での消耗が響きます。

序盤は岩と雪のミックス。
ギョリギョリと音をたてながら登ります。
前爪をひっかけそうで苦手な道です。
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ここからは気温も風もガラッと変わります。
風が強めになりますので、剣御前小舎で身支度を整えると良いと思います。

眼下にはテントが見えます。
剣沢のテン場かな?
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するといきなり、剱岳が見えました!
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おぉ~!
「剱岳点の記」で見たアングルだぁ。
剱を左手にペースが上がります。
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カッコいい。
切り立った厳かな山容。

祠が見えました。
もうちょい。ガンバ!
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別山登頂!
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祠の正面は雪に埋まっています。


どっしり構えた剱岳。
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こんなに垂直に近い山にルートを開いた人がいるなんて。

いつか絶対登ってみたいな。

反対側には鹿島槍が見えます。
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しばらく景色に見とれます。
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下山の様子

天気も最高だし、それほど寒くもないのでもっと ここに居たかったのですが、下山です。

痩尾根や急斜面があると思うと気が引き締まります。

アイゼンのベルトが緩んでいないか確認したら(これ大事ですね)、下山します。

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尾根は慎重に。

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空が近い。
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急斜面は基本の歩き方を意識して。
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下りは心肺が楽なので景色をじっくり見ながら。
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ツボ足が効くので安心して小走り。



本当にスケールが大きい。
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ひ~暑い~。
シェルとフリースを脱ぎました。
テムレスも蒸れるので折り返します。
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汗だくで12:00テン場に着いたときは身体から湯気が(笑)。
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片付けをしたらタオルと着替えを持って雷鳥沢ヒュッテへ。

まずは腹ごしらえ。

今日は中華丼をいただきました。
標高が高くてもごはんの炊けかたがとても美味しい。
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14:00で食堂が閉まってしまうのでテラスで待っていると、宝剣山荘のお姉さんが運んできてくれました。
今日もお客さんが多くて忙しそう。
でも働く姿が本当にカッコいい。

食後はお風呂。
昨日より混んでいましたが、お風呂の後は、昨日から目を付けていたアイスタイムです!

立山高原ソフト!
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テントに戻ったら山を眺めながらお姉さんに頂いたミントティーとクッキーでゆったりします。
ふと目線を上げるだけで常に山が見える。
最高の贅沢ですね。
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こんな時間でもまだまだテント泊のお客さんが来ます。

グループの方が多く、昨日より混んでいるようです。

あちこちで宴会が始まり、居酒屋状態(苦)

山岳部の学生さんたちや、ちびっこ達は静かで、マナーが素晴らしいです。

見習わなくては。

別山に登れた嬉しさでニヤニヤすると、日焼けした肌が突っ張ってヒリヒリします。
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夕食  超おすすめカップ麺

夕食は無印のバターチキンカレーラーメンです。
個人的に久々のヒットです。中本の蒙古タンメン以来かな♪
蓋の上に調味油が付いていて、これが美味しさの秘密なのかもしれません。
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最初はお湯を少なめに麺を食べます。


シメに、ここにアルファ米の雑炊用のものを投入して熱湯を追加し5分ほど待ちます。
お湯は少な目がおすすめです。
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あぁ、久しぶりの山が初めての立山。
しかも残雪の中テントで2泊。
お風呂にも入れてサッパリ。


ゆっくりゆっくり陽が沈んでいきます。
稜線に不思議な色の光芒を放ち、夜が訪れます。

パタパタと、テントが優しく風に鳴ります。
雷鳥沢ヒュッテの明かり。

雷鳥沢全体がなんだか幸せそう。


本当に来て良かったなと昨日からを振り返りながら眠りにつきます。
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つづく
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